交通事故の慰謝料は通院日数と通院期間のどちらで計算する?

通院日数は交通事故慰謝料に影響する?適切な通院日数とは

交通事故による怪我の治療のために何日通院したかによって、慰謝料の金額は変わってきます。

だからといって、やみくもに通院日数を増やせばいい訳ではありません。慰謝料を計算するうえでは、どれくらいの頻度でどれくらいの期間治療を続けたかという入通院期間も重視されます。

したがって、適正な慰謝料を受け取るためには、通院日数と入通院期間が慰謝料の金額に与える影響を理解しておくことが大切だといえます。

今回は、通院日数の考え方や、治療期間に対する適切な通院頻度といったポイントについて説明します。

通院頻度が合理的であることを説明し、裁判基準よりも上回る金額で合意できた事例
  • 後続車の追突による怪我

弁護士依頼前

17万円

弁護士介入

弁護士依頼後

65万円

48万円の増加

通院日数は交通事故慰謝料にどう影響するのか?

交通事故で怪我をした場合に、治療に伴う精神的苦痛に対する賠償として受け取ることができる慰謝料入通院慰謝料といいます。

通院日数は、交通事故に遭った場合に受け取ることができる慰謝料のひとつである入通院慰謝料の金額に影響します。入通院慰謝料は、通院日数や通院期間にもとづいて計算するからです。

では、通院日数・期間はどう影響してくるのでしょうか?掘り下げてみていきましょう。

そもそも通院日数とは?通院期間とは違うのか?

そもそも通院日数とは何を指すのでしょうか?また、通院期間とはどのように違うのでしょうか?
それぞれの考え方をみてみましょう。

通院日数交通事故による怪我の治療のために、実際に通院した日数

例:1ヶ月(4週間)に週2回のペースで通院した場合、通院日数は8日
⇒週2回に4週間をかければ良いので、「2×4=8日

通院期間治療を始めてから完治・症状固定(それ以上治療を続けても症状の変化が見込めない状態)と診断されるまでにかかった期間

(入院期間と通院期間を合計した期間です)

例:4月1日から6月30日まで通院した場合、通院期間は3ヶ月

  • ①4月1日~4月30日(1ヶ月間)
  • ②5月1日~5月31日(1ヶ月間)
  • ③6月1日~6月30日(1ヶ月間)

という内訳になるので、「①+②+③=3ヶ月間

自賠責基準は入通院日数をもとに計算

自賠責基準とは、被害者の損害を最低限補うことを目的として、車両を持っている人全員に加入することが義務づけられている“自賠責保険”が利用している基準です。

自賠責基準を利用する場合、他の基準と比べて、算定後の金額が低額になってしまうケースが多いです。

自賠責基準では、1日あたりの入通院慰謝料である4300円に、

  • ①入通院期間
  • ②実際に入通院した日数×2

のどちらか少ない方をかけることで、慰謝料を計算します。

このように、自賠責基準を利用して入通院慰謝料を算定する場合に、月の半分以上通院しない限り、入通院日数が大きな影響を与えます。

なお、自賠責基準を利用する場合の詳しい計算方法は、下記の記事で説明しています。

弁護士基準は入通院期間をもとに計算

弁護士基準とは、一般的に裁判所や弁護士が利用する、これまでの交通事故に関する裁判例をもとにして作られた基準です。
弁護士基準によって算定される金額を他の基準の場合と比べたときに、最も高額になりやすいと考えられています。

弁護士基準では、【軽傷の場合】用と【重傷の場合】用の2種類の算定表を使い分けて、入通院慰謝料を算定します。
算定表上で考慮されるのは“入院期間”と“通院期間”なので、弁護士基準の場合、基本的には通院日数は金額に影響しません。

ただ、通院日数が少ない場合には、3.5倍基準というものがあり、通院日数の3.5倍(軽傷の場合は3倍)を通院期間の目安とするという、ルールがあるので注意が必要です。

下の表は、入院せずに通院治療のみをした場合の入通院慰謝料の金額をまとめたものです。

通院期間 重傷 軽傷
1ヶ月 28万円 19万円
2ヶ月 52万円 36万円
3ヶ月 73万円 53万円
4ヶ月 90万円 67万円
5ヶ月 105万円 79万円
6ヶ月 116万円 89万円
7ヶ月 124万円 97万円
8ヶ月 132万円 103万円
9ヶ月 139万円 109万円

なお、弁護士基準を利用する場合の詳しい計算方法は、下記の記事で説明しています。

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交通事故における通院日数の数え方

交通事故における通院日数は、実際に通院するために使った日数を数えて把握します

そのため、

  • 事故当日に念のために医師の診察を受けた日
  • 治療や検査は受けずに、薬や湿布などを処方してもらっただけの日

も通院日数として数えられます。

これに対して、1日に複数の病院を受診しても、通院のために使った日数は1日だけなので、通院日数は「1日」しかカウントされません。

なお、治療を目的とするリハビリを受けた日も通院日数と認められますが、症状固定(治療を続けても状態が改善しないと医師に判断された後)の後のリハビリは“治療の一環”ではなくなるため、通院日数に数えられなくなります。

交通事故慰謝料を受け取るための適切な通院頻度とは?

通院期間に対して通院日数があまりに少ない、つまり通院頻度が低いと、相手方の保険会社に「もう怪我は治っているのでは?」「わざと治療期間を引き延ばしているのでは?」と疑われてしまい、慰謝料を減額されてしまう可能性があります。

仕事などで忙しい方も多いでしょうが、損することがないよう、怪我の状況に合わせて適切な頻度で通院することが重要です。

適切な通院頻度がどの程度なのかわからなければ、主治医や弁護士に相談されると良いでしょう。

なお、慰謝料の観点からすると、むちうちなどの軽傷の場合は、週2~3日程度、または月10日程度通うのが合理的でしょう。

通院日数が少ないと慰謝料は減額されてしまう?

入通院慰謝料は、1日でも入院または通院していれば請求できます。

しかし、あまりに通院日数が少ないと、「症状が軽いのではないか」「治療を続ける必要はなかったのではないか」と疑われてしまい、相場よりも慰謝料を減額されてしまう可能性があります

通院日数が多ければ慰謝料は増額されるのか?

やみくもに通院を続けても、慰謝料が増加するとは限りません。むしろ過剰診療だとみなされてしまい、治療費を打ち切られてしまったり、慰謝料の計算で不利に扱われてしまったりする危険が出てきます。

過剰診療とは、必要性や合理性のない診療のことです。
具体例としては、慰謝料を増額させたいがために必要ない治療を受けたり、通常の方法で治療できるのにあえて高額な治療法を選択したりするといったものがあります。

「必要で合理的な治療」と認められなければ、通院日数として数えられ、慰謝料の計算に反映されないばかりか、治療費を負担してもらえず争いもあるので、過剰な通院は控えましょう。

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通院日数は後遺障害等級認定にも影響する

通院日数は後遺障害等級認定に影響するため、後遺障害慰謝料の計算にも間接的な影響を及ぼします

後遺障害等級認定では、事故と後遺症の因果関係や症状の程度を見極めるために、怪我の治療経過等を考慮します。
そのため、あまりにも通院日数が少なすぎるような場合には、事故との因果関係が認められなかったり、少ない治療で済むほど症状が軽かったとみなされてしまったりする可能性があります。

このような場合には、後遺障害等級認定で非該当とされる、あるいは不当な等級が認定されるといった事態になりかねません。

後遺障害慰謝料の金額は、認定される後遺障害の等級に応じて決められますから、適切に通院して症状に見合った等級認定が受けられなければ、適正な慰謝料を受け取ることができません。

死亡慰謝料は通院日数の影響を受けない

入通院慰謝料や後遺障害慰謝料とは違い、死亡慰謝料は通院日数の影響を受けません。この金額は、亡くなった方の家庭内での役割や遺族の人数、扶養の有無などによって決まるからです。

そもそも死亡慰謝料とは、被害者が亡くなってしまった場合に請求できる慰謝料です。

詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください。

通院期間が長期にわたる場合の通院日数について

通院期間が長いにもかかわらず、月に2~3回等、通院頻度があまりに少ない場合、保険会社から「通院日数の3.5倍(軽傷の場合は3倍)を通院期間として慰謝料を計算するべきだ」と主張されることがあります。

例えば、骨折して治癒するまでに1年かかり、その間に30日だけ通院したケースでは、保険会社は、「30日×3.5倍=105日を通院期間として慰謝料を計算するべきだと主張してくるでしょう。

しかし、この主張が通ってしまうと、本来は通院期間の「1年」で計算できたはずなのに、慰謝料がガクッと減ることになってしまいます。

骨折は、安静を保って自然治癒を期待する治療を行うことも多いですから、怪我の症状や治療内容といった点から、通院日数の適切性を判断するべきといえます。
したがって、骨折以外の怪我でも、経過観察をメインに通院していたために通院頻度が少なかったケース等、通院日数の適切性が認められるときは、通常どおり計算した慰謝料を請求しましょう。

保険会社から治療費の打ち切りを打診されたら通院をやめるべき?

結論からいうと、医師が治療が必要だと判断している限り、通院をやめる必要はありません

保険会社は自社からの保険金の支払いを最小限にしたいと考えているため、

  • 通院日数が少なすぎる場合
  • 漫然治療(症状の改善に効果があるのかわからない治療を受け続けること)が疑われる場合

などには、「治療の必要性がない」と判断して治療費の打ち切りを打診してくる可能性があります。

しかし、そもそも治療を続ける必要性があるかどうかは、主治医が判断することです
また、治療を続ける必要性があるにもかかわらず通院をやめてしまうと、通院日数が少なくなるので、もらえる慰謝料が減ってしまいます。

したがって、症状が残っており医師が治療を続ける必要性を認めている間は、通院を続けるべきです。

通院日数と慰謝料に関するQ&A

リハビリのために通院した場合は通院日数に含まれますか?

リハビリのために通院した日も通院日数に含まれます。リハビリは、身体の不具合な状態を事故前の状態に戻そうとするものなので、「治療の一環」といえるからです。

ただし、以下のリハビリのために通院した日は、通院日数に数えることはできません。

  • 症状固定後のリハビリ 症状の改善を目指す治療とはいえなくなるので、通院日数に含めることはできません。
  • 示談が成立した後のリハビリ 「治療の一環」といえる場合もありますが、一度した示談を撤回して再請求することは困難なため、通院日数に含めて治療費や慰謝料を請求することは基本的に認められません。

自宅療養をしていた期間は通院日数に含まれますか?

怪我の症状や治療内容を考慮すると、適切な通院日数だったと認められる場合には、自宅療養期間も通院日数に含まれます

例えば、骨折の場合、患部を固定し安静にして折れた部分がくっつくのを待つだけで、積極的な治療を行わないこともあります。

しかし、このような場合、患部をギプス等で固定して自宅療養をしていた期間は治療期間だといえるので、自宅療養期間を入院期間とみなして慰謝料を計算できる可能性があります。

また、入院施設に空きがない等、入院できるようになるまで自宅療養をしているような場合も、入院期間とみなして慰謝料を計算できるケースがあります。

慰謝料を増額するためにも毎日通院した方がいいですか?

むやみに、毎日通院しても慰謝料を増額できるというものではありません。むしろ、行き過ぎた通院をしていると、過剰診療だとみなされてしまい、逆に慰謝料が減らされてしまう可能性があります。

そもそもの前提として、通院の目的は「治療」です。治療を目的としない通院や、症状の改善が見込めない治療等、必要性や合理性のない治療は過剰診療にあたるので、治療費を早めに打ち切られてしまったり、治療費を支払ってもらえなかったりするリスクがあります。

このようなリスクを避けるためにも、適切な頻度で通院することが重要です。
なお、怪我の種類や症状、治療経過等によって適切な通院頻度は違うので、主治医と相談すると良いでしょう。

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通院頻度が合理的であることを説明し、裁判基準よりも上回る金額で合意できた事例

ここで、弁護士法人ALGが実際に解決した事例をみてみましょう。

後続車に追突されて怪我をした依頼者は、6ヶ月にわたって通院を続けたものの、実際に通院したのは30日にも満たない日数だけでした。
そのため、保険会社からは約17万円という弁護士基準を下回る慰謝料が提示されていましたが、依頼者にとっては到底納得できない金額でした。

そこで弊所は、通院期間を基準に計算する「弁護士基準」で慰謝料を算定し、合意を目指すことにしました。

まずは、通院日数と通院頻度が少なかった理由を依頼者から詳しく聞き取り、そのうえで、保険会社に対して依頼者の通院日数・頻度が合理的だったことを説明しました。
そして、依頼者の通院日数・頻度が合理的である旨を説明する「意見書」を添付して損害賠償を請求しました。

その結果、弊所が提示した金額の8割にあたる「約65万円」を慰謝料として認める内容で合意することができました。
この金額は、弁護士基準で算定した金額を上回るものでした。

適正な通院日数について交通事故の専門家である弁護士がアドバイスいたします

ここまで、適正な慰謝料を受け取るうえで、通院日数が重要であることを説明してきました。
簡単にまとめると、適正な慰謝料を獲得するためには、通院日数が極端に多くなったり少なくなったりしないよう、適切な日数・頻度で通院するように注意する必要があるということです。

とはいえ、適切な通院日数を判断するためには、交通事故に関する知識はもちろん、医学的な知識も必要です。
そこで、交通事故の専門知識に加えて医学的な知識も兼ね備えた弁護士のアドバイスを受けることをおすすめします

また、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料の金額は、通院日数だけでなく、個々の被害者の事情によっても増減しますので、被害者ご自身で妥当な請求額を判断するのは難しいでしょう。
この点、弁護士なら、交渉の落としどころを踏まえた妥当な請求額を見極めることができます

ご依頼者様にとって最善の結果が得られるよう尽力しますので、通院するうえで疑問やご不安のある方は、ぜひ弁護士にご相談ください。

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弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 :弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates執行役員

保有資格 弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

東京弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ名(司法書士1名を含む)を擁し()、東京、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、神戸、姫路、大阪、福岡、バンコクの11拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。