交通事故の示談の流れ|知っておくべき進め方について

交通事故の直後から示談までの流れ

交通事故は基本的に相手方と示談交渉をすることにより解決します。

示談交渉とは、裁判などの手続きを踏まずに相手方と話し合いによって解決する方法のことです。
示談交渉をどう進めるか、示談内容をどうするかによって受け取れる損害賠償の金額が変わってくることもあるので、示談交渉の流れを知っておくのはとても大切なことです。

この記事では示談交渉の流れに着目し、幅広く解説していきます。

交通事故の示談の流れ ~交通事故発生から示談成立まで

事故から示談までの大きな流れは以下の通りです。

  • ①交通事故発生
  • ②治療、通院(入院)開始
  • ③症状固定(または完治)
  • ④症状固定の場合は、後遺障害等級の認定申請手続き
  • ⑤示談交渉開始
  • ⑥示談成立
  • ⑦示談額入金、事件終了

交通事故が発生したら、ショックで頭が真っ白になるかもしれませんが、今後の示談交渉のために、やらなければならないことがいくつかあります。

次項では、事故直後にすべきことや、保険会社とのやりとりについて解説していきます。

交通事故後から示談までの流れ

交通事故発生直後にすべき6つのこと

事故直後はパニックになっているとは思いますが、意外とやっておくべきことは多いものです。
その代表例は下記のとおりです。

①警察へ連絡

警察への通報は義務です。実況見分調書や交通事故証明書を作成してもらう為にも必ず通報しましょう。

②事故現場の写真

現場写真があれば、あとから事故状況を確認する証拠になります。

③相手方の情報

相手方の運転免許証や名刺、保険会社名などを確認させてもらいましょう。

④実況見分への協力

ケガがある場合は人身事故扱いとなり、実況見分が行われます。相手方との意見が相違した場合の証拠書類にもなるので、しっかりと状況を伝えてください。

⑤ケガがあれば軽症でも病院を受診

症状が軽くても必ず病院を受診し、必要な検査を受けましょう。

⑥口頭で示談交渉を行わない

口頭による示談は、内容が不明瞭で、後から争いになる可能性もあります。

治療・入通院~加害者側の保険会社とのやりとり

事故直後は「大したケガじゃない」と、病院に行く手間を惜しみがちです。しかし、交通事故では、後から痛みが強くなるケースもあります。

事故当日は必ず病院に行き、検査を受けましょう

後日になってしまう場合にも、痛みが出たらすぐに受診してください。受診する際には、いつの交通事故による怪我なのかも伝えてください。

そして、相手方保険会社から連絡がきたら、通院の予定と病院名を伝えましょう。

交通事故の受診は、医師のいる外科もしくは整形外科等の病院であることが必要です。
整骨院や接骨院は、医師の指示による場合でなければ治療とみなされず、治療費が自己負担になる可能性があります。

保険会社とのやりとりの流れ

交通事故で保険会社とのやり取りの流れは以下のとおりです。

  • ①事故の発生を自分の契約している保険会社に連絡する
  • ②相手方保険会社と話し合い治療費の支払いを受けながら怪我の治療をする
  • ③怪我の治療と並行して車の修理に関する交渉を行う
  • ④怪我が完治するか、後遺障害等級が認定されたら相手方保険会社と示談交渉を行う
  • ⑤保険金が支払われる

加害者が任意保険に加入していない場合は、加害者本人とやり取りすることになり、自賠責保険の補償額を超過した場合は、加害者本人に請求することとなります。

症状固定

症状固定とは、これ以上治療を継続しても、ケガの状態が改善しない段階を指します。

症状固定は担当医が診断するものですが、保険会社の独自判断で、「症状固定です」と言われることがあります。これには理由があります。

症状固定までの期間が長いと入通院慰謝料が増えます。
そして、通院期間が長いと後遺障害等級に認定される可能性も高まります。そうなると後遺障害慰謝料なども発生してしまうので、保険会社は、できるだけ費用を押さえるために早く症状固定にしようとするのです。

保険会社に症状固定と言われても、医師からの診断が出るまでは治療が必要であることを伝えましょう。

後遺障害等級認定

医師から症状固定と診断されたら、その時に残っている症状は後遺障害となります。
示談を行う前に、その後遺障害の重さを後遺障害等級の認定申請によって確認しましょう。

等級に認定されると、後遺障害慰謝料などが発生し、その金額は等級の高さによって変わります。
適切な等級を受けるためには、医師に作成してもらう後遺障害診断書の内容が非常に重要ですので、記入漏れがないか確認しましょう。

診断書の内容については専門的ですので、交通事故に精通している弁護士へ確認するのが最善の策です。

後遺障害等級に認定されたら、その通知書や審査で提出した書類などは今後の示談のためにも重要な書類なので必ず保管をして下さい。

後遺障害の等級が認定されなかったら?

後遺障害等級に認定されなかった、もしくは状態に比べて低い等級に認定されてしまったらどうでしょうか。
もしそのような審査結果であれば、異議申立てを行うことで、再度、審査を受ける事が可能です。

異議申立てには、申立書のほかに診断書や検査データ、医師の意見書など初回に提出していない新たな証拠資料が必要です。
そして初回よりも後遺障害について強く主張できる有利なものでなければ審査結果を覆すのは困難です。

異議申立ては申請を行ってから、2~3か月が一般的な目安ですが、事案によっては6カ月以上かかることもあります。

示談交渉開始のタイミング

示談交渉は交通事故による損害が確定し、示談金を計算できるようになった時点で開始するのが一般的でしょう。

「交通事故による損害が確定する」とは、これ以上新たな損害は発生しない状態のことです。
具体的に以下の2つのタイミングがあります。

①怪我が完治したら

怪我が完治したら基本的に新たな損害が発生することはないでしょう。
よって、交通事故による損害が確定し、示談金を計算することができます。

②後遺障害等級認定の結果が出てから

後遺症が残り後遺障害認定をする場合、認定結果が出るまでは、後遺障害慰謝料後遺障害逸失利益の金額を算出することはできません。
認定結果が出れば、基本的に新たな損害は発生しないため、交通事故による損害が確定し、示談金を計算することができます。

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料金について、こちらもご確認ください。
  • ※諸経費20,000円( 税込22,000円 )がかかります。
  • ※死亡・後遺障害等級認定済みまたは認定が見込まれる場合
  • ※事案によっては対応できないこともあります。
  • ※弁護士費用特約を利用する場合、別途の料金体系となります。
  • ※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れは以下のとおりです。

  • ①相手方保険会社に連絡する
  • ②示談書案が送られてくるのでその内容を確認する
  • ③示談交渉開始
  • ④示談交渉成立

示談交渉は当事者同士の話し合いであるため、示談までに要する期間は事案によって様々です。

人身事故の場合は、治療を終了し損害賠償費目に該当するかどうか、相場の基準など示談のために合意を必要とする項目が多く、示談締結まで時間を要します

示談交渉が行き詰まり、平行線になっている場合は弁護士に相談することをお勧めします。

①相手側の保険会社へ連絡する

怪我が完治または後遺障害等級が認定されたら、示談交渉を行うことになります。

保険会社に連絡をして示談交渉を始めます。保険会社側に診断書診療報酬明細書など、事故に関する資料がある場合は、保険会社から取り寄せましょう

また、示談の際に請求したい賠償額の根拠となる資料や領収書がある場合は、保険会社に送付するとよいでしょう。

②示談書案の内容を確認する

治療終了や後遺障害認定結果を伝えると、保険会社から示談の提案書が郵送されます。
示談の提案書が手元に届いたら必ず下記について間違いがないか確認しましょう。

  • ①どんな事故だったかの記載
  • ②双方の過失割合
  • ③損害額
  • ④どちらからどちらにいくらの金額を支払うのか

保険会社によってはなかなか示談の提案書を送ってこないことがあります。

示談が成立しなければ損害賠償が受け取れず、示談締結が遅れるので、郵送がされてこないようであれば、一度担当者に連絡してみましょう。

保険会社から示談書案が届くまでの期間

示談の提案書は、担当者のスピードにもよりますが、連絡から1~2週間で、相手方保険会社から届くのが一般的です。

ただし、場合によっては示談書の到着が遅れることがあります。
その原因として、以下のようなものが考えられます。

  • 相手方保険会社の担当者が多忙である
  • 書類の作成や社内手続きが滞っている
  • 病院等から診断書や診療報酬明細書がとどかない
  • 示談案を作るための資料がそろわない
  • 損害賠償額が高額で社内稟議が必要となっている
  • 被害者と争いのある事項があり、示談の提案書を作成できない事情がある

示談の提案書が届かない場合は、相手方保険会社の担当者に連絡し状況を確認してください。

③示談交渉開始

相手方保険会社から示談案が提示され、内容に納得できない場合は示談交渉が開始します。

まずは、示談案の内容が相場観から正しいのか否かを判断する必要があると思いますので、提示された金額に納得がいかない場合やよくわからない場合は安易に合意せず、弁護士などに相談しましょう。

また、弁護士に依頼して、示談交渉をすることで賠償額の増額ができる可能性も十分あります

示談書の内容に合意できたら示談書を作成します。
示談書に合意し署名・押印したのちは、双方がひっくり返すことはできなくなるので、注意が必要です。

交通事故の示談交渉で何が請求できるか?

損害賠償の内訳 解説
人身事故の場合 治療費 事故によって負った怪我の治療費
休業損害 交通事故の影響により収入が減ったことに対する補償
入通院慰謝料 怪我による入通院をする精神的苦痛に対する補償
後遺障害慰謝料 後遺障害が残る精神的苦痛に対する補償
後遺障害逸失利益 後遺障害を原因とした将来にわたる収入の損失の補償
死亡事故の場合 死亡慰謝料 死亡した本人または家族の精神的苦痛に対する補償
死亡逸失利益 被害者が生存していれば、将来にわたって得ていたはずの収入の補償

各事案によって請求できる内容は条件等で異なりますので、具体的には弁護士へ確認してみましょう。

示談交渉を自分で(被害者が)行う場合の注意点

示談交渉においては、保険会社にリードされてしまうと、加害者側に有利な内容になる可能性があります。
ご自身で交渉を行う際には、まず感情的にならず冷静に話し合う事、すぐに回答せず、一旦検討の時間を置くことなどが大切です。

そして、一度示談してしまうと、その内容は法的拘束力を持つので、内容に不満がある場合には決して合意しないようにして下さい。

とはいえ、交通事故の知識や経験で勝る保険会社相手に、これらを徹底するのは簡単ではありません。
提示内容を検討するにも下調べに多大な時間がかかるなどの負担も発生するので、ある程度覚悟をもって行うことが必要です。

弁護士が示談交渉を行うことで増額する可能性がある

弁護士に交通事故の示談交渉を依頼すると、相手方保険会社の提示金額より示談額を増額できる可能性が高くなります

理由としては、弁護士は弁護士基準で損害額を算定することができるからです。
その他に、以下のような弁護士に依頼するメリットがあります。

  • 損害賠償の請求漏れがなくなる
  • 保険会社との過失割合も交渉できる
  • 保険会社とのやりとりをすべて任せられる

④示談交渉成立

当事者が納得できる示談内容になれば、いよいよ示談交渉の成立です。
保険会社から合意内容を記した示談書が送られてくるので、内容が間違っていないかしっかりと確認したうえで署名し、返送しましょう。

もし、署名後に請求し忘れていた慰謝料があった、という事情が発生しても、示談成立=事件終了ですので、原則として後からの追加請求はできないという事を念頭に置いておきましょう。

示談から支払いまでの期間

示談金が支払われるのは署名した示談書が相手方保険会社に到着し、内容が確認されてから入金手続きになります。

一般的には示談成立からおよそ2週間程度で振込みとなりますので、もしこの期間を連絡なく経過しているようであれば、一度相手方保険会社へ状況確認をしてみましょう。

増額しなければ成功報酬はいただきません

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料金について、こちらもご確認ください。
  • ※諸経費20,000円( 税込22,000円 )がかかります。
  • ※死亡・後遺障害等級認定済みまたは認定が見込まれる場合
  • ※事案によっては対応できないこともあります。
  • ※弁護士費用特約を利用する場合、別途の料金体系となります。
  • ※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。

死亡事故の示談交渉について

死亡事故の場合には葬儀費用を請求できることもあり、一般的には四十九日の法要のあとから示談交渉を開始するケースが多いようです。

しかし、示談交渉をいつ開始するかが決まっているわけではありませんので、早期に交渉を開始することもできます。

死亡事故の場合は、刑事裁判になることも多いのですが、示談成立は加害者に有利な材料となるので、刑事裁判が終わるまで待つのも1つのタイミングと言えます。

示談交渉を行う際に必要な書類

必要書類 入手先や必要となる理由
人身事故 交通事故証明書 自動車安全運転センターの窓口またはホームページから申請します。
事故発生状況報告書 相手方保険会社から取り寄せ、自身で記入します。
怪我の診断書 怪我と事故の因果関係を証明するため、事故日や傷病名をもれなく記載してもらいます。
後遺障害診断書 後遺障害等級認定申請に必要な書類です。相手方保険会社から取り寄せ、医師に記入してもらいます。
休業損害証明書 相手方保険会社から取り寄せ、勤務先に記入してもらいます。
給与明細書、源泉徴収票、確定申告書の控え 休業損害を請求するため、自身の収入を証明します。
交通費、入院雑費などの領収書 相手方保険会社に請求する際の証拠になります。
物損事故 交通事故証明書 自動車安全運転センターの窓口またはホームページから申請します。
車の修理費見積書 相手方保険会社が賠償金の計算に使用します。
事故車の写真 車の破損状況や、事故の規模の証拠になります。

交通事故の示談交渉についてお困りの方は弁護士にご相談ください

交通事故の示談交渉は、怪我が完治した、または後遺障害等級が認定されたタイミングが良いでしょう。
適正額を受け取るためには、治療の段階から示談交渉に向けた材料集めが始まっています。

しかし、被害者の方が治療を受けながら示談交渉のために動くのは負担がかかり、困難なことでしょう。

そこで、弁護士に相談することで状況に応じたアドバイスを受けられます。様々な判断に頭を悩ませることもなくなるので、治療に専念することができます

弁護士は交渉のプロです。きっと、あなたの強い味方となるでしょう。示談交渉をしっかり進めたいと思われたら、私たち弁護士法人ALGにご相談ください。

増額しなければ成功報酬はいただきません

24時間予約受付・年中無休・通話無料

料金について、こちらもご確認ください。
  • ※諸経費20,000円( 税込22,000円 )がかかります。
  • ※死亡・後遺障害等級認定済みまたは認定が見込まれる場合
  • ※事案によっては対応できないこともあります。
  • ※弁護士費用特約を利用する場合、別途の料金体系となります。
  • ※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 :弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates執行役員

保有資格 弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

東京弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ名(司法書士1名を含む)を擁し()、東京、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、神戸、姫路、大阪、福岡、バンコクの11拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。