交通事故によるむちうちの慰謝料はいくら?相場や計算方法

交通事故のむちうちの慰謝料

交通事故で最も多い怪我が「むちうち」です。むちうちとは、衝突・追突・急停車などの交通事故の衝撃で、頭が揺れてむちのように首がしなることから生じる痛みなどの症状を総称したものです。
むちうちは、軽い症状で済む場合もあれば、思いのほか痛みやしびれの症状が継続して辛い思いをされることも多数あります。むちうちでも、慰謝料を請求することが可能です。

慰謝料の計算には3つの基準があり、どの基準を使うかによって受け取れる金額は大きく変わります。
この記事では、むちうちの場合に請求できる慰謝料の計算方法について解説していきます。慰謝料を請求する前にご一読ください。

弁護士基準での請求により約200万円も賠償金を増額できた解決事例
  • 症状:むちうちや肋骨の骨折
  • 等級:後遺障害等級14級9号

弁護士依頼前

0万円

弁護士介入

弁護士依頼後

200万円

200万円の増加

むちうちで請求できる交通事故慰謝料とは

慰謝料は、交通事故による精神的・肉体的な苦痛に対する賠償として支払われるお金です。交通事故でむちうちになった場合には、3種類ある慰謝料のうち、次の2種類を請求できる可能性があります。

入通院慰謝料

交通事故が原因で怪我を負い、入院や通院し、治療を受けなければならなくなった精神的苦痛に対する補償

後遺障害慰謝料

交通事故が原因で後遺障害が残ってしまった精神的苦痛に対する補償

「後遺障害」とは、交通事故による後遺症のなかで一定の条件を満たすものをいいます。ただし、むちうちは目に見える原因(他覚的所見)が見つからず、自覚症状しかない場合も多いので、後遺障害として認められるのは簡単なことではありません。

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料金について、こちらもご確認ください。
  • ※諸経費20,000円( 税込22,000円 )がかかります。
  • ※死亡・後遺障害等級認定済みまたは認定が見込まれる場合
  • ※事案によっては対応できないこともあります。
  • ※弁護士費用特約を利用する場合、別途の料金体系となります。
  • ※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。

むちうちの慰謝料を計算するための3つの基準

算定基準の金額の差

むちうちになった場合にもらえる慰謝料をはじめ、損害賠償金を計算する基準(算定基準)には次の3種類があります。

  • 自賠責基準:
    被害者の損害を最低限補償することを目的とする自賠責保険で適用される基準です。 自賠責基準では、治療費や入通院慰謝料といった、怪我に伴う損害に対して支払われるお金の上限は120万円と決まっています。そのため、120万円を超えた分は加害者が加入する任意保険会社に請求するか、加害者に直接請求することになります。
  • 任意保険基準:
    各任意保険会社がそれぞれ独自に設けた基準で、一般に公開されていません。自賠責基準で算定される金額を少し上回る金額が算定される傾向にあります。
  • 弁護士基準:
    過去の裁判例をもとに設定された基準です。裁判のほか、弁護士に示談交渉を依頼した際に使われます。
    弁護士基準は被害者が本来受け取るべき金額と言え、3つの基準の中で最高額になる基準です。

むちうちの入通院慰謝料の相場と計算方法

利用する算定基準によっても違いますが、入通院慰謝料は、基本的に怪我の治療にかかった入院期間・通院期間を基準に計算します。 下記の表は、むちうちになり3ヶ月間通院した場合の入通院慰謝料を比べたものです。(なお、任意保険基準は保険会社間で統一されていないため省略しています。)

【通院3ヶ月、入院なし、実通院日数30日の場合の入通院慰謝料】
自賠責基準 弁護士基準
25万8000円 53万円

ご覧のとおり、自賠責基準と弁護士基準のどちらを利用するかで、入通院慰謝料の金額は大きく変わってきます。 では、具体的にどのように計算しているのでしょうか?次項より解説します。

自賠責基準の場合

むちうちでは、平均3ヶ月ほどの通院が必要になるケースが多いです。そこで、下記のケースを例にして、実際に入通院慰謝料を計算してみましょう。

【通院3ヶ月、入院なし、実通院日数30日の場合の入通院慰謝料】
このケースでは、

  • ①通院期間=90日(3ヶ月)
  • ②実際に通院した日数の2倍=30日×2=60日

なので、4300円に60日をかけることになります。
したがって、入通院慰謝料は25万8000円となります。

弁護士基準の場合

弁護士基準では、下記の2種類の算定表を使って入通院慰謝料を求めます。別表Ⅰは重傷の場合に、別表Ⅱは軽傷の場合に使います。

弁護士基準の場合 別表Ⅰ 慰謝料算定表: 重傷(別表Ⅰ)
弁護士基準の場合 別表Ⅱ 慰謝料算定表: 軽傷(別表Ⅱ)

下記のケースを例にして、実際に入通院慰謝料を求めてみましょう。

【通院3ヶ月、入院なし、実通院日数30日の場合の入通院慰謝料】 比較的軽傷で、他覚所見のないむちうちの場合は別表Ⅱを使います。 例は入院期間0ヶ月、通院期間3ヶ月の場合なので、横軸の0ヶ月の欄と、縦軸の3ヶ月の欄の重なり合う部分を探します。 今回のケースは、53万円となります。

むちうちの後遺障害慰謝料の相場

後遺障害慰謝料は、後遺障害の等級ごとに目安となる金額が決まっています。(会社ごとに指標が異なる任意保険基準は省略しています。)

【むちうちの後遺障害慰謝料】
後遺障害等級 自賠責基準 弁護士基準
12級13号 94万円 290万円
14級9号 32万円 110万円

このように、自賠責基準と弁護士基準では、金額に3倍ほどの違いがあります。

下表は、むちうちの場合に後遺障害として認定されやすい後遺障害等級12級13号と14級9号の後遺障害慰謝料について、自賠責基準と弁護士基準それぞれの相場を示しています。

むちうちの慰謝料は計算ツールをご活用ください

むちうちになった場合に請求できる可能性がある慰謝料は、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料です。
下記の計算ツールに必要事項を入力すれば、これらの慰謝料を含めた、ご自身がもらえる損害賠償額の目安を簡単に求めることができます。どうぞご活用ください。

むちうちで後遺障害等級が認定されるための条件

むちうち症は、一般的に画像検査など他覚的所見によって医学的に症状が証明できない場合が多く、後遺障害等級の認定が難しいとされています。
そのため、他覚的所見のない、むちうち症状が後遺障害等級認定されるためには、下記の点がポイントとなります。

  • ①むちうち症状が事故により生じたものであること(事故との因果関係があること)
    あまりにも軽い接触事故の場合は因果関係が否定されることがあります。
  • ②事故直後から、適切な期間、適切な日数で、病院に通院し、治療を受けていること
    事故後受診までの期間が空くと因果関係が否定される場合があります。通院日数が短い、少なすぎる場合も軽い症状とみなされてしまう可能性があります。
  • ③事故から一貫して、むちうちの症状が継続していること
    受診時には医師に症状をしっかりと伝えましょう。
  • ④症状が残存し、将来的に回復の見込みがないこと
    後遺障害診断書の記載内容がとても重要です。検査結果に加え、自覚症状、日常生活で困っていることなど、医師にしっかりと記載してもらうようにしましょう。

むちうちの慰謝料を適正な額で受け取るためのポイント

むちうちでもらえる慰謝料を、計算したとおりの適正な金額で受け取るためには、押さえておかなければならないポイントがあります。以下、説明していきます。

正しい通院先・通院頻度で治療を行う

慰謝料の点からすれば、一般的には2~3日に一度、病院に通院すれば十分ですが医師の指示に従い、適切な頻度で通院しましょう。医師の許可を得て、整骨院や接骨院に通う場合でも、月に1~2回は病院に通うようにしましょう。

なお、何ヶ月間も毎日通院してしまうと、過剰診療と判断され、保険会社から治療費の打ち切りや慰謝料を減額される可能性があります。
反対に、通院頻度が少なすぎる場合でも、症状が軽いとみなされてしまうこともあるため、医師の判断に従い、症状に応じて適切な頻度で通院する必要があります。

整形外科と整骨院(接骨院)ではどちらに行くべき?

むちうちの自覚症状を裏付けるための画像検査や神経学的検査は、整形外科などの病院でしか受けられません。また、後遺障害診断書は「医師」でなければ作成できません。そのため、適切な後遺障害慰謝料を受け取るためには、医師がおり、検査環境の整った整形外科に定期的に通院する必要があります。

整骨院や接骨院に通いたい場合は、医師に相談して同意をもらい、加害者側保険会社にその旨を伝えてからにしましょう。その場合にも併せて整形外科には通院しましょう。

症状固定または完治まで治療を続ける

症状固定・完治する前に治療をやめてしまうと、保険会社に「治療の必要のない軽度の怪我だった」と思われてしまったり、事故との因果関係が疑われてしまうなど、慰謝料が減額されてしまう可能性があります。

十分な慰謝料を受け取るには、症状固定または完治するまでしっかりと治療を続けましょう。
また、十分な治療記録がないと、後遺障害等級が認定されにくくなります。むちうちの治療期間の目安は一般的に3~6ヶ月程度だとされているので、この期間を念頭に、医師と相談し継続的に通院することをおすすめします。

保険会社から治療費の打ち切りを打診された場合は?

治療を続ける必要があるかどうかは医師が判断することです。まだ症状が完治していないのに、保険会社から一方的に治療費を打ち切られてしまっても、医師が治療の必要性を認める限りは治療を続けるべきといえます。

保険会社から治療費を打ち切られた場合には、医師が完治または症状固定と診断するまで、健康保険などを利用して経済的な負担を減らしながら治療を続けましょう。自己負担した治療費は、示談交渉の際にまとめて請求できますのでご安心ください。

適切な等級で後遺障害認定を受ける

症状が改善しない場合には、適切な後遺障害等級認定が受けられるように努めることも大切です。なぜなら、認定される等級によって慰謝料の金額は大きく変わるからです。

むちうちの場合、MRIやレントゲンなどの画像検査、神経学的検査などの専門的な検査によって自覚症状を裏づけられるかどうかで、もらえる後遺障害慰謝料の金額に3倍程度の差が出ることもあります。
とはいえ、むちうちでは検査で異常がみられないことも多いので、早い段階から後遺障害等級認定の申請を見据えて、医師に症状について具体的・詳細に伝えておくことが重要です。

むちうちで認定されるには6ヶ月程度の通院期間が必要

むちうちの後遺症について後遺障害等級の認定を受けるためには、一般的に6ヶ月程度通院している必要があるといわれています。

弊所でも、むちうちの案件は多数取り扱っていますが、6ヶ月以上の通院をしているケースでは、多数の後遺障害等級14級を獲得しているものの、6ヶ月未満で後遺障害14級が認められたケースは極めて少数です。この点は具体的な基準が設けられているわけではないのですが、後遺障害等級の認定を行っている自賠責調査事務所の運用の一つとして、「通院期間6ヶ月という基準」があるのではないかと考えられます。

弁護士基準で慰謝料を請求する

適正な慰謝料を受け取りたいなら、弁護士基準で計算した金額で請求しましょう。 弁護士基準は、過去の裁判例を参考に作られ、最も高額な慰謝料が算定されることが多い算定基準です。
弁護士基準で請求するためには弁護士に依頼する必要がありますが、依頼しておけば保険会社との示談交渉を任せられますし、こちらの希望に沿った賠償を受けられる可能性が高まります。

むちうちの慰謝料が減額されることはあるのか?

次のような事情があると、むちうちの慰謝料が減額されてしまう可能性があるので注意が必要です。

  • 通院日数が極端に少ない
    通院頻度が極端に少ない場合には、通院日数の3~3.5倍程度を通院期間の目安にすることがあるので、算定される入通院慰謝料の金額が通常よりも少なくなってしまう可能性があります。
  • 被害者に既往症などがあった(素因減額)
    被害者の体質や身体・心理的な要因が影響して、交通事故による損害が発生・拡大したと考えられる場合には、その要因(素因)を考慮して損害賠償金が減額されることがあります。これを「素因減額」といいます。 例えば、被害者に椎間板ヘルニアの持病があり、事故後に痛みやしびれが悪化したようなケースでは、ある程度損害賠償金が減額される可能性があるでしょう。
  • 被害者にも過失があった(過失相殺)
    被害者にも前方不注視等の過失があったケースなど、加害者だけでなく被害者も交通事故の責任を負う場合、その責任の程度に応じて過失割合が付与されます。そして、支払われる損害賠償金から、付与された過失割合に相当する金額分が差し引かれます。

むちうちで慰謝料以外に請求できるもの

むちうちになった場合、慰謝料以外にも次のような損害の賠償を請求できます。

  • 治療関連費
    入院費用、診察料、投薬料、手術費用、通院交通費、看護料、入院雑費、診断書等の作成費用といった、治療に関連するもろもろの費用です。
  • 休業損害
    交通事故による怪我のせいで働けずに減ってしまった収入・利益のことです。基本的に事故当時に収入のあった人が請求できますが、家事が労働としてみなされる観点から主婦(主夫)にも請求が認められています。
  • 逸失利益
    後遺障害が原因で日々の生活や仕事に支障が生じた結果、減ってしまった収入・利益のことです。こちらも事故当時に収入があった人にしか認められないのが基本です。
  • 物損
    交通事故が原因で壊れた車の修理費用、修理中の代車費用、休車損害、レッカー代など、物に発生した損害も請求できます。

むちうちで慰謝料を請求する流れ

むちうちで慰謝料を請求する流れ

むちうちの慰謝料を請求するには、まず事故後すぐに病院で診察を受けて検査を行い、結果に応じた治療を始めます。そして、怪我が完全に治るか、または症状固定と診断されるまで治療を続け、治療が完全に終わってから、慰謝料の金額等について示談交渉を開始します。 なお、治療終了後に後遺症がみられる場合は、後遺障害等級認定を申請して結果が出てから示談交渉を開始します。 交渉により当事者間で合意できれば示談が成立し、2~3週間程度で慰謝料を含む示談金(損害賠償金)を受け取ることになります。

弁護士に依頼したことでむちうちの慰謝料が約200万円以上増額した事例

【事案の概要】
依頼者が信号待ちをしていたところ、相手方に追突され、むちうちや肋骨の骨折などを負い、治療のため、1ヶ月ほど通院したところ、症状固定の診断を受けました。
依頼者は後遺障害等級申請のため、弁護士法人ALGにご依頼くださいました。

【担当弁護士の活動】
当方弁護士が依頼者の状況を詳しくお聞きしたところ、依頼者は主に接骨院で治療を受けており、整形外科への通院は月に1度程度だったため、医師が作成した診断書には症状に関する十分な記載がありませんでした。

そこで、病院の診療録や接骨院の施術記録を併せて提出し後遺障害等級認定の申請を行ったところ、むちうちの症状について14級9号の認定を受けることができました。

【解決結果】
その結果、慰謝料を約200万円以上増額することができました。

むちうちの慰謝料を適正な金額で受け取るためにも、弁護士に依頼することをおすすめします

むちうちは交通事故の中で最も多い怪我ですが、後遺障害等級が認定されにくい怪我でもあります。
後遺障害等級申請が認定されないと、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益などの損害賠償金を受け取ることができません。

そのため、むちうちの慰謝料を適正な金額で受け取るためにも、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士ならば、後遺障害等級申請を見越した通院のアドバイスや、後遺障害等級申請のお手伝いをすることができます。

また、損害賠償金は「弁護士基準」で算出するため、相手方保険会社が提示する金額より高額になる可能性が高まります。
私たち弁護士法人ALGは交通事故に詳しい弁護士が多数在籍しています。ご相談者様のお心に寄り添いながら、最大限サポートさせていただきます。

増額しなければ成功報酬はいただきません

24時間予約受付・年中無休・通話無料

料金について、こちらもご確認ください。
  • ※諸経費20,000円( 税込22,000円 )がかかります。
  • ※死亡・後遺障害等級認定済みまたは認定が見込まれる場合
  • ※事案によっては対応できないこともあります。
  • ※弁護士費用特約を利用する場合、別途の料金体系となります。
  • ※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 :弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates執行役員

保有資格 弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

東京弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ名(司法書士1名を含む)を擁し()、東京、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、神戸、姫路、大阪、福岡、バンコクの11拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。