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価値観の違いで離婚できる?後悔するケースや慰謝料についても解説

夫婦が「離婚したい」と思う理由には、さまざまなものがありますが、価値観の違いで離婚を考える夫婦は少なくありません。

例えば、お金の使い方や子供の教育方針などの面で「価値観が合わない」と思えば、言い合いに発展することも多くなり、離婚を考えてしまうでしょう。

この記事では、価値観の違いで離婚が認められるのか、慰謝料請求できるか、価値観の違いで離婚後に後悔するケースなどについて解説していきます。ぜひご参考ください。

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夫婦間の価値観の違いとは

価値観とは、物事に対する考え方や重要性の程度のことです。価値観は人それぞれ違うものであり、誰かに強制されるものではありません。そのため、価値観が全く一緒という人はほぼいないでしょう。

夫婦は育ってきた環境や今までの経験、男女の価値観の差など異なる点が多く、少しの価値観の違いでも、耐え切れず離婚を考えるケースが多くあります。

〈夫婦間で価値観の違いが生じやすい例〉

  • 人生設計や子育て ➡子供を持つかどうか、子供の教育方針
  • 金銭感覚 ➡将来に向けて貯蓄をしたいのに使い込んでしまう
  • 家事 ➡共働きにも関わらず、家事や育児は妻の仕事と考えている
  • 宗教 ➡配偶者に対し信仰を押し付ける
  • 衛生面 ➡風呂に入る・入らない、掃除の仕方

このように、価値観が異なると日々の生活が苦しくなり、「離婚したい」と考えてしまうでしょう。
では、価値観の違いで離婚はできるのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。

価値観の違いは離婚理由として認められる?

日本での離婚方法には、①協議離婚、②離婚調停、③離婚裁判の3つの方法があります。
このうち、①、②は基本的に夫婦間の話し合いですので、お互いが離婚に合意できれば理由は何でも構いません。

どちらか一方が離婚に合意できない場合は、③離婚裁判の方法を用いることになります。

離婚裁判では、裁判で離婚が認められる事由である「法定離婚事由」のどれかに該当する離婚理由が必要になるため、価値観の違いだけでは離婚が認められない可能性が高いでしょう。

離婚裁判で離婚するためには「法定離婚事由」が必要

民法は、法的に離婚の認められる理由=法定離婚事由として、次の5つを定めています。

【法定離婚事由 民法第770条1項】

  1. 配偶者に不貞な行為があったとき
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  3. 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  4. 配偶者が強度の精神病に罹り、回復の見込みがないとき
  5. その他、婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

このように、価値観の違いだけでは法定離婚事由に該当しません。もっとも、価値観の違いの内容や程度によっては、⑤婚姻を継続し難い重大な事由に該当すると判断される場合もあります。

〈価値観の違いで、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性のある例〉

  1. 金銭的な価値観の違い
  2. 性に関する価値観の違い
  3. 子供や将来に関する価値観の違い
  4. 宗教的な価値観の違い

では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

①金銭的な価値観の違い

単なる金銭的な価値観の違いにとどまらず、次のような事情がある場合は、悪意の遺棄婚姻を継続し難い重大な事由に該当するとして、離婚が認められる可能性が高いです。

  • 生活費を渡さない
    収入があるのに生活費を渡さない行為は「悪意の遺棄」に該当する可能性があります。
  • ギャンブルによる浪費や散財
    家計に深刻な影響を与えていたり、繰り返し借金をするような場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由」と認められる可能性があります。
  • 異常なまでに厳しく金銭管理をする
    自由に使えるお金が全くないケースでは、「悪意の遺棄」や経済的DVとして「婚姻を継続し難い重大な事由」と認められる可能性があります。

②性に関する価値観の違い

性的な価値観では、とくに性交渉の内容や頻度に関する価値観の違いによって、離婚が認められる可能性があります。

ただし、高齢や病気などを理由に性交渉を拒んでいた場合はセックスレスに該当せず、離婚が認められる可能性は低いでしょう。

夫婦双方の年齢が若く、健康で性交渉を持つことに支障がないにもかかわらず、長期間一方的に拒絶する状態であれば、婚姻関係を続けるのは難しいと判断され、離婚が認められる可能性があります。

また、拒否する相手に性交渉を強要することや、避妊をしてくれないなどの事情は性的DVに該当するおそれがあり、法定離婚や慰謝料請求の対象となります。

③子供や将来に関する価値観の違い

子供や将来に関する価値観の違いも、積み重なると婚姻を継続し難い重大な事由と認められる可能性があります。

例えば、一方は子供を希望しているがもう一方は希望していない場合では、その後の人生設計や仕事のキャリアについて揉めてしまい、婚姻関係が破綻することも考えられます。

また、子供が生まれてからも、一方はのびのび育てたい、もう一方は私立幼稚園を受験させたいといった教育方針の違いや、お互いの仕事のキャリアについての考え方、家事育児の分担方法などについて価値観の違いが積み重なれば、夫婦関係がギスギスしてしまい、修復は難しいでしょう。

④宗教的な価値観の違い

どの宗教を信仰するかは個人の自由であり、宗教の違いだけでは離婚は認められません。ただし、次のような場合は婚姻を継続し難い重大な事由と認められる可能性があります。

  • 宗教活動にのめり込んだ挙句、仕事や家事を全くしなくなった
  • 宗教活動に多額のお金を寄付し、生活に支障を及ぼした
  • 宗教活動のために子供の世話を放棄し、勝手に家を出て行った

価値観の違いで離婚して後悔するケース

価値観の違いから夫婦関係が悪化し、勢いで離婚される方も少なくありません。しかし、離婚は慎重に進めないと後悔してしまうケースもあります。

ここからは、離婚したことを後悔してしまう理由と、そうならないための対処法を見ていきましょう。

  • 養育費や財産分与などの取り決めをせず離婚してしまった
    ➡離婚する前にまず弁護士に相談し、離婚時に取り決めるべき条件を漏れなく取り決めた後、離婚を成立させる
  • 離婚の決断が早すぎた
    ➡離婚したい理由を見直し、別居して婚姻費用を受取りながら、修復できるのか、離婚するしかないのか冷静に考える時間を作る
  • 離婚が子供に与える心理的影響を考えてしまう
    ➡・離婚後も別居親と子供とのコミュニケーションを大切にし、子供の気持ちに寄り添う
     ・離婚後も両親のどちらからも愛されていると実感できるように面会交流を充実させる
  • 経済的に困窮してしまう
    ➡・離婚後の生活費を予測し、離婚時に養育費や財産分与など取り決めをする
     ・離婚前から就職活動をし、収入を確保する
     ・住んでいる地域の公的支援を活用する

価値観の違いによる離婚で慰謝料は請求できる?

離婚の原因が価値観の違いだけであれば、慰謝料の請求は難しいでしょう。
そもそも、慰謝料とは、離婚や相手の不法行為によって生じた精神的苦痛を慰める目的で支払われる賠償金です。

価値観の違いによる離婚は、どちらか一方が悪いということはなく、夫婦が歩み寄れなかった結果であると考えられるため、基本的に慰謝料は請求できません。

離婚慰謝料については、以下のページでも詳しく解説しています。ぜひご参考ください。

解決金が支払われることもある

価値観の違いによる離婚では、慰謝料は発生しませんが、「解決金」が支払われるケースがあります。

解決金とは、離婚に伴って一方が支払う金銭のことです。慰謝料のように法的な条件や根拠はないため、相場や支払い方法などのルールもありません。

ただし、解決金は、離婚時に必ず発生するものではなく、夫婦の話し合いにより任意に支払われるものです。

価値観の違いによる離婚では、どちらかが悪いとは言い切れないため、次のようなときに解決金として金銭のやり取りを行うケースがあります。

  • 一方が離婚を拒否している
  • 離婚に関するお金をまとめるため
  • 扶養的財産分与の方法として

価値観の違いで離婚する場合の流れ

お互いが歩み寄れるようさまざまな努力をしてもなお離婚したい場合、協議離婚→離婚調停→離婚裁判の流れで離婚を進めていきます。

それぞれどのような離婚方法なのか、詳しく見ていきましょう。

協議離婚

協議離婚とは、夫婦の話し合いによって離婚するかどうかを決める方法です。離婚理由は何でも構わないため、価値観の違いによる離婚の場合は、協議離婚での成立を目指しましょう。

また、夫婦の話し合いでは、離婚の可否だけでなく離婚条件についても話し合います。スムーズに話し合いを進めるためにも、「譲れる離婚条件」と「絶対に譲れない離婚条件」をあらかじめ検討しておくとよいでしょう。

離婚や離婚条件について話し合いができたら、「離婚協議書」や「公正証書」を作成し書面にしておくことで、後から「言った・言わない」のトラブルを避けることができます。

協議離婚については、以下のページでも詳しく解説しています。ぜひご参考ください。

離婚調停

夫婦の話し合いでは折り合いがつかない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。
離婚調停とは、家庭裁判所の調停委員を間に挟み、話し合いによる解決を目指す手続きです。

調停委員を介して話し合いを進めるため、相手と顔を合わせることなく冷静に話し合いを進めることができます。

ただし、あくまでも「話し合い」であるため、相手が離婚を拒否している場合は調停不成立となり、離婚ができません。

離婚調停については、以下のページでも詳しく解説しています。ぜひご参考ください。

離婚裁判

調停が不成立で終わると、最終的には離婚裁判を提起することになります。

離婚裁判とは、離婚するかどうかや、離婚条件について裁判官が一切の事情を考慮したうえで判断する手続きのことです。裁判で離婚が認められるには、①法定離婚事由があること、②それを証明する証拠があることが条件となります。

価値観の違いによる離婚の場合、法定離婚事由である「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当することを、証拠をもとに論理的に主張・立証していくことになるでしょう。

離婚裁判は準備する書面や法廷での主張・立証など、精神的負担が大きくなってしまうため、弁護士への相談をおすすめします。

離婚裁判については、以下のページでも詳しく解説しています。ぜひご参考ください。

価値観の違いでスムーズに離婚するためのポイント

価値観の違いを理由として離婚するためには、協議離婚や離婚調停で離婚成立を目指すこと、弁護士に相談・依頼することが重要なカギとなります。

協議離婚や離婚調停で離婚成立を目指す

価値観の違いは法定離婚事由に該当しないとして、裁判では離婚が認められない可能性が高くなります。そのため、離婚理由を問わない協議離婚や離婚調停での成立を目指しましょう。

弁護士に相談・依頼する

弁護士は、依頼者の代理人として相手方と交渉することが可能であり、話し合いで離婚成立までスムーズに進むことが期待できます。

また、万が一裁判に発展したとしても、法律の専門家である弁護士がいれば安心して対応を任せられるでしょう。

価値観の違いで離婚を考えている場合は一度、弁護士にご相談ください。

価値観は育った環境や人生経験などを経て、自分を形成してきたものであり、人それぞれ異なるものです。

お互いが歩み寄っても価値観はすぐに変わるものではないため、一緒にいることがつらくなり、離婚を検討する方も少なくありません。

価値観の違いによる離婚は、協議離婚や離婚調停で成立を目指すことがカギとなります。裁判にまで発展しないようにするためにも、まずは弁護士へご相談ください。

弁護士であれば、どのように離婚を進めていくかご相談者様に寄り添ったアドバイスをするだけでなく、代理人として相手方と交渉することが可能であり、話し合いで離婚が成立する可能性が高まります。

私たち弁護士法人ALGは離婚に詳しい弁護士が多数在籍しております。ご相談者様のご希望に沿えるよう尽力いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。

 

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弁護士法人ALG 弁護士 谷川 聖治
監修 :福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

福岡県弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ名を擁し()、東京、札幌、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、大阪、神戸、姫路、広島、福岡、タイの13拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。