兄弟の中で一人だけ相続放棄できる?注意点や手続きなどを解説

親や兄弟姉妹が亡くなって、自分と自分の兄弟姉妹が法定相続人になったときに、自分だけ相続放棄できるかが気になる方もいらっしゃるでしょう。
相続放棄とは、相続人としての立場を放棄して、相続財産であるプラスの財産もマイナスの財産も相続しないようにする方法です。
この記事では、兄弟姉妹のうち一人だけ相続放棄することについて、デメリットや相続放棄できなくなるケース、相続放棄する際の注意点、手続きの流れ等について解説します。
目次
兄弟姉妹で一人だけ相続放棄することはできる?
相続する兄弟姉妹のうち、一人だけが相続放棄することは可能です。
このとき、事前に他の兄弟姉妹から許可を得る義務はなく、報告する義務もありませんが、トラブルを防ぐために報告することが望ましいでしょう。
一人だけが相続放棄すると、放棄された相続分は他の兄弟姉妹に分配されます。
例えば、長男と二男、三男の3人が法定相続人である相続においては、3人の法定相続分は1/3ずつです。
このとき、長男だけが相続放棄すると、二男と三男の法定相続分は1/2ずつとなります。
相続放棄をするデメリット
相続放棄には、主に次のようなデメリットがあります。
- 相続放棄した後で、高額な相続財産が新たに発見されても相続できない
- 相続放棄したときに占有していた相続財産には、保存義務が発生するおそれがある
- 死亡保険金や死亡退職金の非課税枠が使えない
- 兄弟姉妹の中で一人だけ相続放棄すると、他の相続人に悪影響を与えるおそれがある
相続放棄ができないケースもある
相続人の言動などによって、相続放棄ができなくなるケースもあります。
相続放棄ができなくなる主なケースとして、以下のようなものが挙げられます。
- 相続財産の現金や預貯金などを使い込んでしまった
- 遺産分割協議に参加した
- 相続放棄の期限を過ぎてしまった
- 相続財産である高価な宝石や時計などを持ち帰って金庫等に隠した
- 相続財産である家屋などを解体した
- 相続財産である株式の議決権を行使した
兄弟の中で一人だけ相続放棄する際の注意点
相続放棄は1人でもできるため、他の相続人である兄弟姉妹の同意を得る必要はありません。また、相談や報告を行う義務もありません。
相続放棄する理由が、相続財産に高額の借金が含まれていること等である場合には、相続放棄すると、兄弟姉妹の借金等の取り分が増えてしまいます。
そのため、相続放棄を事後報告すると、借金等を押し付けられたと思われるおそれがあります。
兄弟姉妹の関係悪化やトラブルを防ぐために、相続放棄をする場合には、なるべく事前に報告することが望ましいでしょう。
相続放棄の手続きは兄弟まとめて行うと良い場合もある
相続財産に高額な借金等が含まれており、相続人である兄弟姉妹の全員が相続放棄を希望することが予想される場合には、全員でまとめて手続きすることが望ましいです。
まとめて手続きするメリットとして、主に以下のようなものが挙げられます。
- 相続人の間でトラブルが起こりにくくなる
- 被相続人の戸籍謄本など、共通して必要となる書類が1通で足りる
- 1人の専門家に依頼できるため、相談料や諸経費を抑えられる可能性が高い
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相続放棄の手続きの流れ
相続放棄するときには、必要書類を揃えて、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。
相続放棄の手続きの主な流れは次のとおりです。
- 必要書類を収集して、手数料などを準備する
- 家庭裁判所に申し立てる
- 裁判所から相続放棄照会書が届き、回答書を返送する
- 相続放棄申述受理通知書が届く
証明書の提出が必要な場合には、相続放棄申述受理証明書の発行を家庭裁判所に請求します。
相続放棄の手続きについて詳しく知りたい方は、以下の記事を併せてご覧ください。
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必要書類・費用
相続放棄を申し立てるために、主に必要となる書類と、書類を1通発行してもらうための費用は以下のとおりです。
親が亡くなった場合
- 相続放棄申述書:裁判所のサイトから書式をダウンロードして作成する
- 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本:450円程度
- 被相続人の住民票の除票:300円程度
- 相続放棄する者の戸籍謄本:450円程度
兄弟姉妹が亡くなった場合
- 相続放棄申述書:裁判所のサイトから書式をダウンロードして作成する
- 被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本:1通あたり450円程度
- 被相続人の住民票の除票:300円程度
- 相続放棄する者の戸籍謄本:450円程度
- 被相続人の子と孫が亡くなっている場合、その子と孫が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本:1通あたり450円程度
- 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本:450円程度
相続放棄の期限
相続放棄の期限は、自己のために相続が開始されたことを知ってから3ヶ月以内です。期限を過ぎてしまうと、単純承認が成立するため、基本的には相続放棄できなくなります。
単純承認とは、相続財産を、プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続することです。相続財産に、高額な借金等が含まれているのに単純承認してしまうと、相続人が肩代わりすることになります。
期限後であっても、極めて例外的に相続放棄が認められたケースもあります。しかし、あくまでも例外なので、必ず期限までに間に合わせるようにしましょう。
相続放棄の期限について詳しく知りたい方は、以下の記事を併せてご覧ください。
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相続放棄をする際は兄弟姉妹や他の相続人とのトラブルを回避するためにも弁護士にご相談ください
兄弟姉妹のうち、一人だけでも相続放棄することは可能です。しかし、相続放棄の理由によっては、他の兄弟姉妹とトラブルになるおそれがあります。
トラブルを防ぐためには事前に報告するべきですが、お互いの関係によっては、直接話すのが難しいこともあるでしょう。
兄弟姉妹のうち、自分だけで相続放棄しようと考えている方は、前もって弁護士にご相談ください。
弁護士であれば、相続放棄の手続きのサポートだけでなく、他の兄弟姉妹への報告についてもアドバイスすることができます。
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保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)