限定承認の5つのデメリットは?選択すべきか迷ったら確認を!

この記事でわかること
限定承認とは、相続財産のうちプラスの財産の範囲内に限定してマイナスの財産を相続する方法です。
限定承認すれば、被相続人が高額な借金等を抱えていたとしても、相続人が自分の財産から借金等を返済しなくても良いことが最大のメリットです。
もっとも、限定承認はデメリットが多いため、あまり利用されていません。そのため、限定承認のデメリットについて十分に検討してから申し立てる必要があります。
この記事では、限定承認のデメリットについて解説します。
目次
限定承認の5つのデメリット
限定承認には、主に以下の5つのデメリットがあります。
- 相続人全員で限定承認する必要がある
- 時間と手間がかかる
- 税金がかかる場合がある
- 相続税の減税制度を受けられない
- 債務清算手続きが煩雑
これらのデメリットについて、次項より解説します。
相続人全員で限定承認する必要がある
限定承認は相続人全員で行わなければならないので、全員の意見が一致しなければ限定承認による相続はできません。
そのため、相続人の1人が単純承認している場合には、他の相続人は限定承認することができなくなります。
時間と手間がかかる
限定承認するためには、自己のために相続が開始されたことを知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所に申し立てなければなりません。
限定承認を申し立てたら、相続人は債権者への請求申出の公告を5日以内に行う必要があります。また、相続財産清算人が選任されて清算手続きが行われる等、手続きには時間と手間がかかります。
そのため、限定承認でプラスの財産が残らなかった場合、手間と費用だけがかかったと感じる結果になるかもしれません。
被相続人が債務超過だったことが分かっていれば、相続放棄した方が良いケースが多いです。
税金がかかる場合がある
限定承認を行った場合、相続財産に含まれる不動産等の財産が、被相続人の取得時よりも値上がりしていると、その値上がり分に譲渡所得税がかかります。
これは、税法上、被相続人から相続人に財産を売却したと扱われるからです。そのため、相続人は被相続人の準確定申告を行う必要が生じます。
準確定申告とは、被相続人の生前の所得に関する確定申告です。準確定申告は、被相続人が亡くなってから4ヶ月以内に行わなければなりません。
相続税の減税制度を受けられない
限定承認を行うと、居住用の不動産等が建っている土地について評価額を抑えられる「小規模宅地等の特例」を受けられなくなります。
そのため、マイナスの財産がほとんどなかったケース等では、相続税が高くなってしまうこともあり得ます。
そのため、相続財産調査を十分に行った上で単純承認した方が、相続税を抑えられる可能性があります。
債務清算手続きが煩雑
限定承認を家庭裁判所に受理されたら、被相続人の債務の清算手続きを行わなければなりません。相続財産に含まれるプラスの財産は売却する等して換金し、債務を返済する必要があります。
官報による公告や清算手続き等のために、限定承認の手続きがすべて終わるまでに1年以上かかることもあります。
限定承認をすべき3つのケース
限定承認を行うべきケースとして、主に以下の3つが挙げられます。
- プラスとマイナスの財産がどのくらいあるかわからない
- 実家を残すなど債務があっても相続したい財産がある
- 家業を継ぎたい
これらのケースについて、次項より解説します。
プラスとマイナスの財産がどのくらいあるかわからない
被相続人と疎遠であった等のために、どの程度の借金等を抱えていたのかが分からない場合には、限定承認によって清算した方が安心です。
もしも単純承認を行ってしまうと、後で高額な借金等の存在が判明した場合、基本的にはその借金等を返済しなければなりません。
限定承認する前に、可能な限り相続財産調査を行う必要はありますが、どうしても不安な場合には相続放棄するべきでしょう。
実家を残すなど債務があっても相続したい財産がある
被相続人が明らかに高額な借金等を抱えていた場合であっても、相続財産に思い入れのある実家等が含まれており、どうしても手元に残したい場合には限定承認しましょう。
限定承認によって先買権を行使すれば、専門家による評価額を支払うことによって特定の相続財産を買い取ることができます。
家業を継ぎたい
被相続人が家業を営んでいた場合、借金が多いからといって相続放棄すると、家業のために必要な不動産や株式等の財産も手放すことになってしまいます。
限定承認によって先買権を行使すると、家業の継続に必要な資産を、専門家による評価額で買い取ることによって手放さずに済みます。
また、限定承認によって、被相続人の負債がなくなるので、実質的に債務がない状態で家業を再開することが可能です。
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限定承認の手続き
相続人全員が限定承認の申立てに同意したら、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。
限定承認の申立てでは、主に次のような書類を提出します。
- 限定承認の申述書
- 相続財産目録
- 被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 相続人全員の戸籍謄本
限定承認の手続きについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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限定承認の手続きにかかる費用
限定承認の手続きには、主に以下のような費用がかかります。
- 戸籍謄本等の取得費用:1通あたり450円程度
- 収入印紙:800円
- 郵便切手代:裁判所によって異なる(数百円程度であることが多い)
- 官報への公告費用:数万円程度
- 競売予納金:100万円程度
- 鑑定費用:数十万円程度
限定承認すべきか迷われる場合は弁護士法人ALGへご相談ください!
限定承認を利用するべき状況は少ないため、専門家に相談しても、単純承認や相続放棄を勧められることが多いです。
そこで、限定承認を申し立てるべきであるかについて悩んでいる方は、弁護士にご相談ください。
弁護士であれば、相続財産調査の方法等についてアドバイスできるので、限定承認についての判断をサポートできます。
限定承認の申立てには期限があるので、なるべく早く相談することをおすすめします。
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保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)