相続人不存在とは?相続人がいない場合の遺産や手続きはどうなる?

この記事でわかること
相続人不存在とは、被相続人に相続人が1人もいないことです。相続人がいなくなる理由として、主に以下のようなものが考えられます。
- 法定相続人がいない
- 相続放棄により相続人がいない
- 相続欠格や相続人廃除の結果として相続人がいない
この記事では、相続人がいないと相続財産はどうなるのか、相続人がいないのはどのようなケースか、どのような手続きをするのか、不動産はどうするのか、相続対策はどうすればいいのか等について解説します。
目次
相続人不存在とは?遺産はどうなる?
相続人不存在とは、被相続人に相続人が1人もいないことです。相続人不存在の場合には、遺言書で指定された者や、特別縁故者として認められた者が相続財産を受け取ります。
遺言書がなく、特別縁故者もおらず、相続財産から債権者への返済などを行っても残った場合には、最終的に相続財産は国庫に帰属することになります。
遺言書で指定された人
相続人がいなくても、有効な遺言書が作成されていれば、その内容に従って相続財産は分配されます。
自分に相続人がいないため、亡くなった後の財産の行方が心配な方は、遺言書を作成しておくことがおすすめです。
遺言書について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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特別縁故者
特別縁故者とは、被相続人と特に親しかった者で、相続人がいないときに相続財産の全部または一部を受け取ることのできる者です。
特別縁故者と認められるのは、以下のような者です。
- 被相続人と生計を同じくしていた者(内縁の妻や事実上の養子など)
- 被相続人の療養看護に努めた者(被相続人の生前に献身的に看護した人)
- その他、被相続人と特別の縁故があった者(特別親しくしていた友人、金銭援助を受けていた人など)
特別縁故者になるためには、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てる必要があります。
ただし、相続財産清算人が選任されていないケースでは、自分で相続財産清算人の選任を申し立てなければなりません。
このとき、相続財産が十分でないために、相続財産清算人への報酬が不足するおそれがある場合には、裁判所から、20万~100万円程度の予納金の納付を求められることがあります。
そのため、相続財産清算人の選任の申立てを行うときには、予納金を支払っても問題ないかを十分に検討する必要があります。
国庫に帰属
特別縁故者がいない場合や、いたとしても全財産が分与されなかった場合には、最終的に相続財産は国庫に帰属します。
相続人不存在となるケース
被相続人が相続人不存在となるケースとして、主に以下のようなものが挙げられます。
- 法定相続人がいない
- 相続放棄により相続人がいない
- 相続欠格や相続人廃除の結果として相続人がいない
これらのケースについて、次項より解説します。
法定相続人がいない
法定相続人とは、民法によって定められた、相続財産を相続する権利のある者のことです。法定相続人になる者と相続順位は次のとおりです。
- 配偶者:常に相続人になる
- 子:第1順位
- 直系尊属(両親等):第2順位
- 兄弟姉妹:第3順位
先順位の法定相続人がいる場合、後順位の者は基本的には相続人になりません。
法定相続人について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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相続放棄により相続人がいない
相続放棄とは、相続人としての立場を放棄して、相続財産を一切受け取らない方法です。相続放棄を行うのは、主に次のような場合であることが多いです。
- 相続財産に高額な借金等が含まれており、相続すると肩代わりしなければならない
- 相続人の仲が悪く、相続トラブルに巻き込まれたくない
- 遠方の不動産の管理や処分が難しいので相続したくない
- 家業を継ぐ相続人に、相続財産を集中させたい
相続放棄について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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相続欠格や相続廃除で相続人がいない
相続欠格とは、不当な方法で相続による利益を得ようとした者の相続権を自動的に失わせる制度です。
また、相続人廃除とは、被相続人に対して虐待や重大な侮辱などを行った者について、被相続人の申立てにより相続権を失わせる制度です。
法定相続人がいたとしても、相続欠格や相続人廃除によって相続権を失った場合には、相続人になることができません。
行方不明だけでは相続人不存在とはならない?
相続人が行方不明となっていたとしても、それだけでは相続人不存在にはなりません。相続人の生死が不明である場合には、不在者財産管理人の選任を申し立てます。
また、家出などによって7年以上も行方不明である場合には、失踪宣告を申し立てることによって死亡したものとして扱われます。
大事故や大規模災害によって行方不明である場合には、1年以上行方不明である場合に失踪宣告を申し立てることができます。
失踪宣告の結果として、相続人不存在になることはあり得ます。
相続人不存在の場合の手続き
相続人不存在の場合には、債権者等の利害関係人または検察官の申立てにより、家庭裁判所が相続財産清算人を選任します。
相続財産清算人が選任されると、相続財産の管理や処分を行うことになります。主な手続きの流れは以下のとおりです。
- 相続財産清算人の選任
- 相続人捜索の公告
- 債権者・受遺者に対する申出の公告
- 特別縁故者への財産分与の申立て
この流れについて、次項より解説します。

①相続財産清算人の選任
相続人不存在の場合には、被相続人の債権者や特別縁故者として相続財産を受け取りたい者、または検察官の申立てにより、相続財産清算人が選任されます。
申し立てる裁判所は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
相続財産清算人に選任された者は、相続財産清算人が選任された旨の公告、および相続人に申し出ることを求める旨の公告を併せて行います。
②相続人捜索の公告
相続人に申し出ることを求める旨の公告は、相続財産清算人が選任された旨の公告と併せて、6ヶ月以上の期間に渡って行います。
この公告の期間中に相続人が申し出なければ、相続人不存在が確定します。
③債権者・受遺者に対する申出の公告
相続財産清算人は、被相続人の債権者と受遺者に申し出ることを求める旨の公告を行います。
この公告の期間は2ヶ月であり、相続財産清算人が選任された旨の公告の期間中に行います。
ただし、存在を把握している債権者や受遺者については、申し出を行わなくても弁済等の対象から除外できません。
なお、被相続人の債権者とは、被相続人にお金を貸して、返してもらっていない者や、被相続人が利用したサービスの代金を支払ってもらっていない者等のことです。
また、受遺者とは、被相続人が作成した遺言書によって遺贈を受けた者のことです。
④特別縁故者への財産分与の申し立て
相続財産が残っている場合には、相続人不存在が確定してから3ヶ月以内に申し立てることによって、特別縁故者として分与を受けることが可能です。
特別縁故者は、相続財産の全部または一部を受け取ることができます。
特別縁故者の申立てがない場合には、不動産を被相続人と共有していた者がいたら共有者に持分を与えて、他の相続財産は国庫に帰属します。
また、特別縁故者の申立てがあったとしても、却下された場合には同様の手続きで国庫に帰属します。
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相続人不存在の場合の不動産について
相続人不存在による不動産の登記
相続人不存在の場合には、相続財産は自動的に法人化します。
これに伴って、相続財産に含まれる不動産の登記名義人を相続財産法人に変更する必要が生じます。
氏名変更登記は、相続財産清算人が行いますが、行わずに、不動産を売却することはできません。
不動産を売却後に金銭で国庫に納める
相続財産に含まれる不動産は、基本的に売却されて、金銭に換えた後で国庫に納められます。
他の共有者への持分移転登記
相続財産に不動産の共有持分が含まれている場合、相続人や受遺者がおらず、債権者への返済や特別縁故者への分与の後でも財産が残っていれば、共有持分は共有者に帰属します。
不動産の共有者が、被相続人以外にも複数存在するケースでは、共有持分は、他の共有者の持分に比例して分配されます。
相続人がいない場合の相続対策(遺言書の作成)
相続人がいない場合、自身の財産を、なるべく有効に活用するためには、遺言書を作成することがおすすめです。
何もしないと、相続財産の多くは国庫に帰属してしまう可能性が高いので、遺言書で財産を受け取ってほしい者を指定しておくことが望ましいでしょう。
遺言書を作成する場合には、手続きを行う者を定めておくために、遺言執行者を決めておくことが望ましいです。
遺言執行者には法律の知識等が必要なので、弁護士などを指名する場合も多いです。
遺言書の書き方について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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相続人不存在について不明点等があれば弁護士にご相談ください
相続人不存在となる見通しである場合には、自分の財産がどうなってしまうのか、気になる方がいらっしゃるでしょう。
また、なるべく自分と関係のあった方などに受け取ってもらいたいと考える方もいらっしゃるでしょう。
そこで、相続人不存在となる見通しである方は、遺言書の作成等について弁護士にご相談ください。
弁護士であれば、なるべく希望に沿った遺言書を作成するためのアドバイスをすることができます。
また、遺言書を作成するだけでは、その内容を実現してくれる人がいなくなるおそれがあります。
そこで、遺言執行者についてもぜひご相談ください。
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保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)