相続時、タンス預金は税務署にバレる?相続税対策とするリスクなど

タンス預金とは、金融機関に預けずに、自宅等に保管しているまとまった現金のことをいいます。
しまっている場所が金庫や倉庫、屋根裏部屋などのタンス以外の場所であってもタンス預金と呼びます。
タンス預金が行われる理由として、相続税対策になると考えて、口座から引き出したお金をタンス預金にしてしまうことが挙げられます。
しかし、タンス預金は相続税対策にはならず、リスクを伴うものです。この記事では、タンス預金の相続について解説します。
目次
タンス預金を相続すると税務署にバレる?
タンス預金は、税務署に調べられると発見されやすい財産だといえるでしょう。
被相続人が亡くなって、役場へ死亡届を提出すると、税務署へ通知されて相続税の申告まで追跡されます。
そして、相続税の無申告や過少申告が疑われた場合には、税務署から申告者へ連絡が入ることになります。
タンス預金をしていると疑われやすいのは、主に以下のようなケースです。
- 被相続人の預貯金に多額の出金がある
- 相続税の申告書にミスが多い
- 株式や債券などの金融資産が多い
- 税務署が把握する相続財産と申告額の差が大きい
調査が行われるのは、相続税の申告から1〜2年後であることが多いです。
税務署による相続税の調査方法について、次項より解説します。
国税総合管理(KSK)システムによる把握
国税総合管理(KSK)システムとは、日本国民の税の申告や納税の実績、それ以外の税に関する様々な情報を入力して、一元的に管理しているコンピューターシステムです。
税務署は、このシステムを利用して、国民の財産の情報を収集し、管理しています。
国民のお金の流れを把握しているので、相続税の金額を推測することが可能なのです。
税務署による調査(ヒアリング・実地調査・反面調査)
税務調査では、相続人等への質問や実地調査、反面調査などが行われます。
税務調査における質問では、被相続人や被相続人の配偶者、被相続人の子などについて、職業、収入、毎月の生活費、過去に相続した資産等について確認されます。
また、実地調査では、一般的に被相続人が最後に住んでいた家を調べられます。
調べられる場所はタンスや金庫、引き出しの中だけでなく、洋服のポケットの中や仏壇の中などにも及ぶことが多いです。
被相続人の関係者に対しては、反面調査が行われます。
反面調査では、被相続人の生前の金銭授受について確認されます。
以上の調査で、被相続人とその周辺について徹底的に調べて、タンス預金の存在を突き止めます。
過去10年分の出金記録の調査
税務調査では、被相続人だけでなく、相続人やその家族の口座も確認されます。
口座の名義人の同意を得なくても、銀行や証券会社等から、被相続人や相続人の資産の状況を確認することができるのです。
口座は、基本的に10年分をさかのぼって調査されます。
海外に資産のある方については、海外の資産も調べられることがあります。
調査の結果、用途不明の入出金があれば徹底的に追及されますので、相続財産を被相続人以外の口座に預け替えても把握されることになります。
タンス預金を申告せず相続したらどうなる?
タンス預金もれっきとした相続財産の一部であり、相続したら相続税の申告が必要です。
もしも申告せずに相続したことが発覚したら、タンス預金にかかるはずだった相続税だけでなく、ペナルティに相当する追徴課税が行われるリスクが高いです。
また、故意に高額なタンス預金を隠したケースでは、悪質な脱税だとして刑事罰を科されるおそれもあります。
追徴課税
タンス預金を申告しなかった場合、追徴課税を受けるおそれがあります。
課税されるおそれのある税金を、表にまとめたのでご確認ください。
無申告加算税 |
正当な理由なく無申告の場合に科される税金 ◆本来納付すべき税金が50万円まで:15% ◆本来納付すべき税額が50万円を超える部分:20% |
---|---|
過少申告加算税 |
申告した税額が実際よりも少なかった場合に科される税金 ◆追納する税金が50万円まで:10% ◆追納する税金が50万円を超える部分:15% |
延滞税 |
支払うべき税金を、期限までに納付しなかった場合に科される、利息に相当する税金 ◆納期限の翌日から2ヶ月を経過する日まで:2.4% ◆納期限の翌日から2ヶ月を経過した日以後:8.7% ※税率は2022年1月1日から2025年12月31日まで |
重加算税 |
書類の改ざんや偽造、架空の債務のねつ造等、悪質な脱税の場合に科される税金 ◆過少申告の場合:35% ◆無申告の場合:40% |
刑事罰
タンス預金を申告しなかったことで相続税の脱税となった場合、刑事罰を科されるおそれがあります。
科されるおそれのある刑事罰について、表にまとめたのでご覧ください。
脱税犯 |
虚偽や不正行為などによって相続税を脱税した場合 ◆10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方 |
---|---|
故意の 申告書不提出犯 |
期限内申告書を期限までに提出せず相続税を脱税した場合 ◆5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその両方 |
無申告犯 |
正当な理由なく、期限内申告書を期限内までに提出しなかった場合 ◆1年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
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相続後にタンス預金が見つかった場合の対処法
相続税の申告や納付を終えた後で、新たにタンス預金を発見した場合には、すぐに修正申告しなければなりません。
修正申告したのが相続税の申告期限内であれば、基本的にペナルティはありません。
相続税の申告期限を過ぎてから修正申告すると、ペナルティとして延滞税がかかるおそれがあります。
それでも、税務調査が行われてから申告すると過少申告加算税も追加されるため、少しでも支払いを抑えるために、なるべく早く修正申告するべきです。
なお、相続税について、一般的な時効は申告期限から5年とされています。
ただし、タンス預金があることを知っていながら申告しなかったケース等では、悪質だと判断される確率が高いので、時効は申告期限から7年に延長されるおそれがあります。
相続対策としてのタンス預金のメリット・デメリット
タンス預金をしても、相続税対策にはなりません。
タンス預金をしておくと、他のメリットはあると考えられますが、デメリットもあります。
タンス預金のメリットとデメリットを、次項より解説します。
メリット
タンス預金の主なメリットとして、以下のようなものが挙げられます。
- いつでも使うことができる
- 被相続人の口座が凍結されても困らない
- 口座から引き出す手間や手数料がかからない
- 金融機関が倒産しても影響を受けない
- 自分の財産を把握されにくくなる
デメリット
タンス預金の主なデメリットとして、以下のようなものが挙げられます。
- 盗難に遭うリスクがある
- 災害により消失するリスクがある
- 紛失するリスクがある
- 相続トラブルの原因となるリスクがある
- 相続税の申告から漏れて追徴課税を受けるリスクがある
タンス預金は万が一のための備えのみとし、相続税対策は別の方法をご検討ください。弁護士がアドバイスいたします
タンス預金をすることは、相続税対策にはなりません。
そのため、タンス預金をする目的は、被相続人が亡くなった後の、当面の生活費を工面すること等、万が一の備えに限定するべきでしょう。
相続対策としては、タンス預金ではなく、他の方法を検討することをおすすめします。
もしも、相続税の申告後にタンス預金を発見した場合には、すぐに修正申告しましょう。
合法的で効果的な相続税の節税について相談したい方は、弁護士にご相談ください。
むやみに節税の方法を使っても、新たなトラブルを引き起こすリスクもあります。
相続の専門家として、個別の状況に応じた節税の方法についてご提案いたします。
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保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)