遺言書の効力9つ!有効期間や無効になるケースについて

この記事でわかること
遺言書の効力は、遺言書を作成する被相続人にとっても、相続財産等を遺される相続人にとっても重要なものです。
遺言書が無効になったり、不平等な内容であったりすると、トラブルに発展する原因となります。
また、遺言書の効力がいつから発生するかについて気になる方もいるでしょう。
この記事では、遺言書の効力が絶対的なものか、遺言書の効力が発生する時期、遺言書が無効になるケース等について解説します。
目次
遺言書の効力は絶対か
相続において、遺言書の効力はとても強く、最優先されます。
ただし、効力があるのは法的に定められた様式で記載された遺言書に限定されるため、署名や押印、日付の記載等が欠けている遺言書は無効となります。
法的に有効な遺言書は、基本的にその内容が優先されるため、遺言書の内容に納得していない相続人がいたとしても、遺言書によって指定された方法で相続します。
もっとも、相続人全員が遺言書に納得できない場合には、相続人全員で遺産分割協議を行って、遺言書の指定とは異なる方法で相続を行うことができます。
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遺言書の効力9つ
遺言書では相続方法を指定することができます。遺言書によって指定された相続方法は、法定相続に優先します。
ただし、正しい形式で作成された遺言書であることが、遺言書による指定が有効となるための前提です。
正しい形式とは、署名押印や日付の記載が行われていること、訂正のルールが守られていること等、法律で定められた形式が守られていることです。
効力を有する遺言書の記載として、以下のようなものが挙げられます。
- 遺言執行者の指定
- 誰にどの割合で相続させるか
- 誰に何を相続させるか
- 内縁の妻など法定相続人でない人への遺贈
- 遺産分割方法の指定、遺産分割の禁止
- 相続財産の公平を図るための指定
- 子供の認知
- 相続人の廃除
- 未成年後見人の指定
これらの記載について、次項より解説します。
①遺言執行者の指定
遺言執行者とは、遺言書に書かれた内容を実行するために、必要な手続きをする権限を持った人物です。
遺言書では、相続手続きを行う遺言執行者を指定したり、遺言執行者の指定を第三者に委任したりすることができます。
【遺言執行者が行う具体的な手続き】
財産目録の作成や、預貯金の解約手続き、不動産名義の変更など
②誰にどの割合で相続させるか
遺言書では、各相続人の相続財産の取り分を指定することができます。取り分を指定するときには、法定の相続割合とは異なった下回る取得割合を指定することが可能です。
そのため、特定の相続人に多くの遺産を取得させることもできます。
③誰に何を相続させるか
遺言書によって、どの相続財産を誰に相続させるかを特定することが可能です。
例えば、自宅の建物と土地は被相続人の配偶者に相続させる、といった具体的な指定をすることができます。
誰にどの財産を相続させるかは、相続財産の内容を踏まえて検討しましょう。
また、遺言書によって生命保険金の受取人を変更することも可能です。
ただし、遺言書による受取人の変更は、その遺言内容を保険会社へ通知する必要があります。
保険会社への通知が遅れてしまい、元の受取人に保険金が支払われてしまっても、保険会社に再度の保険金支払いを求めることはできないので注意しましょう。
④内縁の妻など法定相続人でない人への遺贈
遺贈とは、遺言書によって相続財産を贈与することです。内縁の配偶者や孫、世話になった友人等、法定相続人ではない人に財産を遺したいときに利用します。
また、遺贈寄付という方法により、公共団体へ相続財産を遺贈することもできます。
⑤遺産分割方法の指定、遺産分割の禁止
遺言書によって、遺産分割方法を指定できます。遺産分割方法とは、相続財産をそのまま分配する方法や、相続財産を金銭等に換えて分配する方法等です。
また、遺産分割方法を決めることを第三者に委託することも可能です。
さらに、相続開始から5年以内であれば、遺産分割を禁じることができます。相続人の間に感情的な対立があり冷却期間が必要な場合や、相続人に未成年者がいる場合等に用いられます。
⑥相続財産の公平を図るための指定
遺言書によって、担保責任の指定を行うことができます。
例えば、相続した財産が損傷していたり、遺産分割協議のときに想定していたよりも分量が少なかったりして、協議のときには想定できなかった損害を被った相続人は、その損害の賠償を相続分に応じて他の相続人に請求することができます。これを相続人間の担保責任といいます。
しかし、遺言書によって特別な定めが行われていた場合には、担保責任が免除されたり、軽減されたりします。
⑦子供の認知
遺言書によって、自分の子を認知することができます。
例えば、内縁関係の妻など、結婚していない女性との間に生まれた子を認知すれば、その子を相続人にすることが可能です。
ただし、配偶者がいて愛人との間に生まれた子を認知する場合には、配偶者等からの反発が強くなるおそれがあります。
遺言書が破棄されるリスクや、相続トラブルに発展するリスク等が高まることに注意しましょう。
⑧相続人の廃除
遺言書によって、相続人の廃除を行うことができます。
これは、遺言者が生前に、虐待や重大な侮辱を受けた等の理由によって、特定の相続人から相続権をはく奪する制度です。
相続人の廃除は遺言者が生前に家庭裁判所へ申し立てて行うこともできますが、遺言による実行も可能です。
ただし、廃除を遺言書で実現させるためには、遺言執行者の選任が必要になります。
⑨未成年後見人の指定
遺言書によって、未成年後見人を指定することができます。
未成年後見人とは、遺言者が亡くなると親権者がいなくなってしまう未成年者の代理人となり、成人するまでの財産の管理や、監護・教育に対しても責任を負う者です。
未成年後見人は、未成年者にとって重大な役割を担うので、十分に考えて指定しましょう。
そして、遺言書で未成年後見人の指定を行うときには、一緒に未成年後見人を監督する未成年後見監督人も指定するのが一般的です。
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遺言書の法的効力が届かないもの
遺言書は万能ではなく、記載しても効力が及ばない内容があります。例えば、次のような身分行為についての記載をしても、ほとんど無効となります。
- 子や孫等の結婚相手の指定
- 子や孫等を離婚させる旨の指示
- 誰かを自分の養子にする旨の意思表示
これらのような、法的効力を持たない事柄について遺言書で本文に補足したものを付言事項といいます。
付言事項に強制力はないものの、記載する内容によっては、自分の考えを尊重してもらえる可能性が高まります。
付言事項として書かれることの多い内容として、主に以下のようなものが挙げられます。
- 家族への感謝の意思表示
- これからも仲良く暮らしてほしいという考えの表明
- 葬儀の方法等についての指定
遺言書の効力はいつから?有効期間はあるの?
遺言書の効力は、遺言者が亡くなった時から発生します。そして、その効力に期限はありませんのでずっと有効です。
遺言者が亡くなる何十年も前に書いた、古い遺言書であっても効力が生じます。
ただし、遺言者が撤回した場合には遺言書の効力は無くなります。
【ケース別】遺言書の効力|無効になることはある?
遺言書の効力が無効になりそうだと思われる以下のような場合について、実際に無効になるのかを次項より解説します。
- 遺言書を勝手に開封した場合
- 遺言書が複数ある場合
- 認知症の親が遺言書を作成した場合
- 遺留分を侵害している場合
遺言書を勝手に開封した場合
遺言書を勝手に開封したとしても、遺言書としての効力に影響はありません。開封されても正式な遺言書であれば有効です。
もし、誤って開封してしまったとしても、そのことを正直に申告したうえで検認の手続きを行いましょう。
開封したことを隠そうとして遺言書を廃棄すると、相続する権利等を失うリスクがあるので注意しましょう。
なお、遺言書を相続人が勝手に開封すると、行政罰として5万円以下の過料となるおそれがあります。
遺言書が複数ある場合
遺言書が複数作成されても、古い方が必ず無効になるわけではありません。
ただし、新しく作成された遺言書の内容と矛盾する部分については、新しい方に記載された内容が有効となります。
遺言書の種類による優劣はありませんので、それぞれ記載された日付を確認しましょう。
なお、遺言書が有効となるためには日付の記載が不可欠です。日付のない遺言書が作成されていた場合、その遺言書には効力がありません。
認知症の親が遺言書を作成した場合
認知症=遺言書に効力なし、というわけではありません。遺言書が無効となるのは、遺言内容や意義を理解できる程度の意思能力も無かった場合です。
そのため、軽度の認知症であっても、遺言書作成時に意思能力があったと認められるならば、その遺言書は有効です。
しかし、遺言者が認知症の場合には、遺言書の効力について争いになることがあります。
そうなると、作成当時の医療記録や動画などで、遺言能力の証明が必要となります。
認知症を患っている場合には公正証書遺言を検討しても良いでしょう。公証人が意思能力の有無を確認するので、有効になりやすいからです。
ただし、意思能力の判断は公証人ごとで差があり、公正証書遺言であれば有効だと断言できるわけではありません。
遺留分を侵害している場合
遺言書の内容が遺留分を侵害していたとしても遺言書は無効にはなりません。
なぜなら、遺留分は自動的に確保されるものではなく、遺留分を希望する相続人が自ら主張して初めて考慮されるものだからです。
遺留分を主張するかは、遺留分を侵害された相続人の意思次第となります。
遺留分侵害額請求がされた場合には、その範囲において金銭等を支払うことになります。
なお、遺留分侵害額請求を行っても、請求できるのは遺留分に相当する金銭の支払いだけであり、相続財産である不動産等を強制的に取り戻すことはできません。
遺言書の効力についての疑問点は弁護士まで
遺言書は、遺言者の死亡後にその意思を実現させる重要な書類です。有効な遺言書にするためには専門家の目を通すのが最適でしょう。
また、相続人においても、遺言書を発見したときには、その遺言書に書かれている内容は有効なものなのかを確認しなければなりません。
適切に判断するためには専門家に確認する必要があるでしょう。
そこで、遺言書の効力に関して疑問がある場合には、専門家である弁護士へご相談ください。
遺言書を有効にすることや、遺言書の効力を確認して混乱を防ぐためにサポートいたします。
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保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)