【保存版】遺言書の書き方|正しく書ける財産別の例文と20の文例

【保存版】遺言書の書き方|正しく書ける財産別の例文と20の文例

自筆証書遺言とは、財産目録以外の全文を自筆して署名し押印した遺言書です。遺言書には、他に公正証書遺言秘密証書遺言があります。

自筆証書遺言の他の遺言書と比較したメリットは、以下になります。

  • 費用がほとんどかからない点
  • 自分だけで作成できる点
  • 誰にも知られずに作成できる点
  • 証人を連れてくる必要がない点

本記事では遺言書を正しく書くための方法を説明します。

目次

自筆証書遺言の書き方

自筆証書遺言の書き方は民法によって細かく定められており、不備があると無効となるおそれがあります。

守るべき自筆証書遺言の書き方として、主に次のようなものが挙げられます。

  • 財産目録以外の全文を自筆する
  • 誰に何を相続させるか等を具体的に記載する
  • 作成日を手書きで記入する
  • 署名して実印により押印する
  • 訂正する部分は二重線で消して押印し、正しい文言を書き加えて、余白に「○字削除、□字加入」と記載して署名押印する

なお、財産目録はパソコン等によって作成することができます。

遺言書で指定できる事

遺言書では、相続について様々なことを指定できます。
指定できる事項として、主に次のようなものが挙げられます。

  • 相続分の指定(例:相続分について「妻、子供二人にそれぞれ1/3ずつ」とする)
  • 遺贈(法定相続人以外の第三者に財産を渡すことも可能)
  • 遺産分割方法の指定(例:「不動産は妻に、預金は子供に」など)
  • 相続人廃除および相続人廃除の取り消し
  • 認知
  • 遺産分割の禁止
  • 遺言執行者の指定
  • 祭祀承継者の指定
  • 未成年後見人の指定
  • 特別受益の持ち戻しの免除

ただし、遺言書で指定しても、以下のような事項を法的に有効なものにしたり、当事者に強制したりすることはできません。

  • 自身の愛人等の第三者を法定相続人に加える
  • 子供の結婚相手を指定する
  • 自身の財産を相続した人が亡くなったときの相続人等を指定する
  • 自身の債権者が借金の返済を要求できる相続人等を限定する
  • 遺留分侵害額請求を禁止する

遺留分を考慮する

遺留分とは、兄弟姉妹を除く法定相続人に保障されている相続財産の最低限の取り分です。

遺留分を受け取ることができなかった場合、他の相続人等に対して遺留分侵害額請求を行うことにより、遺言書によって侵害された遺留分を取り戻すことができます。

遺留分について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

遺言執行者を指定する

遺言書により、遺言執行者を指定することができます。遺言執行者とは、遺言書の内容を実現するために手続きを行う人です。

遺言執行者を指定する義務はありませんが、遺産分割がスムーズに進められます。

遺言執行者を指定するときの記載例は以下のとおりです。

遺言者は、遺言執行者として次の者を指定する。

東京都新宿区西新宿○丁目○番○号 甲野 太郎 ○○年○○月○○日生

相続人が先に亡くなる場合に備える

相続人になる予定だった人が被相続人よりも先に亡くなる場合があります。このとき、先に亡くなった人が受け取る予定の相続財産は無効となり、相続人全員による遺産分割協議によって分配する必要があります。

しかし、予備的遺言によって、この事態を想定した文言を遺言書に記載しリスク回避することができます。

予備的遺言をするときの記載例は以下のとおりです。

遺言者は、すべての財産を長男 甲野 太郎(○○年○○月○○日生)に相続させる。ただし、甲野 太郎が遺言者の死亡よりも前に亡くなっていた場合には、甲野 太郎の長男である甲野 一郎(○○年○○月○○日生)に相続させる。

【ひな形】標準的な遺言書の例文

ここで、遺言書の全文について例文をご紹介します。

遺言書の全文の例文

【遺産の種類別】組み合わせて使える遺言書の例文

遺言書の例文を、財産の種類別に次項よりご紹介します。

預金について

預金を相続させるときには、銀行名や支店名、口座番号等を記載して、どの預金を相続させるか特定できるようにしましょう。

ただし、預金残高については記載しないようにしましょう。なぜなら、預金残高は変動するので、遺言書の効力等に影響するおそれがあるからです。

なお、「預金残高のうち500万円はAに相続させて、残りがあればBに相続させる」旨の記載等は有効です。

このような記載をした場合には、残高が500万円未満にならないように注意しましょう。

預金の相続人を指定するときの記載例は以下のとおりです。

遺言者は、遺言者が有する次の預金を、妻 甲野 花子(○○年○○月○○日生)に相続させる。

○○銀行○○支店 口座番号○○○○

貯金について

貯金とは、ゆうちょ銀行(郵便局)やJAバンク(農業協同組合)等に預けたお金のことです。

郵便局は、以前は国が運営していましたが、現在では民営化されています。しかし、現在でも貯金できる金額に上限が設けられている等、銀行預金とは異なる扱いをされています。

貯金の相続人を指定するときの記載例は以下のとおりです。

遺言者は、遺言者が有する次の貯金を、長男 甲野 太郎(○○年○○月○○日生)に相続させる。

ゆうちょ銀行 通常貯金 記号○○○○ 番号○○○○

生命保険契約について

生命保険の死亡保険金は基本的に相続財産として扱われませんが、遺言書により受取人を変更することができます。ただし、保険契約者の相続人が受取人の変更を保険会社に知らせる必要があります。

死亡保険金の受取人を指定するときの記載例は以下のとおりです。

遺言者は、次の保険契約に関する死亡保険金の受取人を、長男 甲野 太郎(○○年○○月○○日生)に変更する。

  • 保険証券番号   ○○
  • 保険契約日    ○○年○○月○○日
  • 種類       ○○生命保険
  • 保険期間     ○年
  • 保険金額     ○○万円
  • 保険者      ○○
  • 契約者      ○○
  • 被保険者     ○○

株式について

株式を相続させるときには、証券会社に応じてもらえるように記載することを意識しましょう。どの証券会社にある株式か特定できない記載などでは、名義変更等に支障が生じるおそれがあります。

株式を相続する人を指定するときの記載例は以下のとおりです。

遺言者は、遺言者が有する次の株式を、長男 甲野 太郎(○○年○○月○○日生)に相続させる。

○○株式会社 普通株式 1万株  預託先 ○○証券会社

ゴルフ会員権について

ゴルフ会員権とは、優先的に予約することやプレー代を安くすること等、ゴルフ場で会員だけのサービスを受けるための権利です。

ゴルフ会員権には資産価値があり、バブルの時代等、ゴルフ人気の高いときには価値が高まることもあるため、遺言書に記載しておくべき財産の一つです。

ゴルフ会員権を相続する人を指定するときの記載例は以下のとおりです。

遺言者は、遺言者が有する次のゴルフ会員権を、長男 甲野 太郎(○○年○○月○○日生)に相続させる。

  • 会社名       ○○株式会社
  • ゴルフクラブ名   ○○カントリークラブ
  • 会員番号      ○○
  • 預託金額      ○○万円

特許権について

特許権を相続させるときには、どの特許を相続させるかについて特定できるように、特許番号や出願年月日等を記載しましょう。

特許権を相続する人を指定するときの記載例は以下のとおりです。

遺言者は、次の特許権を、長男 甲野 太郎(○○年○○月○○日生)に相続させる。

  • 特許番号       特許第○○○○号
  • 出願年月日      ○○年○○月○○日
  • 出願番号       ○○‐○○
  • 査定年月日      ○○年○○月○○日
  • 請求項の数      1
  • 発明の名称      ○○○○
  • 登録年月日      ○○年○○月○○日

動産について

動産を相続させるときには、自動車等の登録が必要な動産を除いて相続させる対象が分かりにくいため、必ず特定できるように詳細に記載しましょう。

動産を相続する人を指定するときの記載例は以下のとおりです。

遺言者は、以下の動産を、長男 甲野 太郎(○○年○○月○○日生)に相続させる。

  1. 自動車
    • 登録番号  練馬○○さ○○○○
    • 種  別  普通
    • 用  途  自家用
    • 車  名  ○○
    • 型  式  ○○○○
    • 車台番号  ○○○○
  2. 絵画
    • 作品名   ○○○○
    • 製作者   ○○○○
    • 縦     ○○cm
    • 横     ○○cm
    • 制作年   ○○年

不動産について

不動産は資産価値が高い場合が多いだけでなく、相続登記を行う必要があるため、確実に特定できるように遺言書へ記載することを意識しましょう。

不動産についての記載例について、次項より解説します。

マンションについて

マンションの多くは敷地権の登記が行われているため、登記事項証明書に従って「一棟の建物の表示」や「専有部分の建物の表示」等を遺言書に記載します。

マンションを相続する人を指定するときの記載例は以下のとおりです。

遺言者は、遺言者の有する以下の不動産を長男 甲野 太郎(○○年○○月○○日生)に相続させる。

(一棟の建物の表示)

  • 所   在  東京都新宿区西新宿○丁目○○番地○○
  • 建物の名称  ○○マンション

(専有部分の建物の表示)

  • 家屋番号   ○○番○○
  • 建物の名称  ○○マンション
  • 種  類   居  宅
  • 構  造   鉄筋コンクリート造4階建
  • 床面積    1階部分 ○○㎡/2階部分 ○○㎡/3階部分 ○○㎡/4階部分 ○○㎡

(敷地権の目的たる土地の表示)

  • 符  号   1
  • 所在地番   東京都新宿区西新宿○丁目○○番地○○
  • 地  目   宅  地
  • 地  積   ○○㎡

(敷地権の表示)

  • 土地の符号:1
  • 敷地権の種類:所有権
  • 敷地権の割合:○○○○分の○○

戸建てについて

不動産や建物を相続させる場合には、登記事項証明書に従って正確に記載しましょう。

自宅を配偶者に相続させたい場合であっても、「自宅を妻に相続させる」等の記載では不十分であり、相続トラブルを招くリスクがあるだけでなく、遺言書による相続登記が行えないリスクが高いです。

民法改正によって、2024年4月1日以降に不動産を相続した場合、相続登記の義務が課されることになりました。これは、法改正よりも前の相続についても適用されます。

遺言書による相続登記を滞りなく行うためには、遺言書に不動産と相続人を特定できるように、所在や家屋番号、地目等を正確に記載しておく必要があるので注意しましょう。

戸建てを相続する人を指定するときの記載例は以下のとおりです。

遺言者は、遺言者が有する以下の不動産を長男 甲野 太郎(○○年○○月○○日生)に相続させる。

  1. 建物
    • 所  在 東京都新宿区西新宿○丁目○番地○
    • 家屋番号 ○○番○
    • 種  類 居宅
    • 構  造 木造瓦葺2階建
    • 床面積  1階部分 ○○㎡/2階部分 ○○㎡
  2. 土地
    • 所  在 東京都新宿区西新宿○丁目
    • 地  番 ○○番○
    • 地  目 宅地
    • 地  積 ○○㎡

土地について

不動産を相続させるときに、農地等の土地だけを相続させる場合があります。このようなときであっても、その土地の所在や地番、地目等を記載しましょう。

土地を相続する人を指定するときの記載例は以下のとおりです。

遺言者は、遺言者が有する次の不動産を長男 甲野 太郎(○○年○○月○○日生)に相続させる。

  • 所在    東京都練馬区練馬○丁目
  • 地番    ○○番地
  • 地目    畑
  • 面積    ○○㎡

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【ケース別】遺言書を正しく書ける20の文例

特定の相続人に全財産を相続させる等の遺言書のパターンについて、文例を次項よりご紹介します。

家族への相続や取り分を調整したい場合の文例

妻(夫)へ全ての財産を相続させたい場合(子供がいるケース)

配偶者が被相続人の死後も安心して暮らせるように、子供がいても、あえて配偶者に全財産を相続させる遺言書を作成したいケースもあり得ます。

そのようなときには、財産をすべて配偶者に相続させる旨を遺言書に記載しておきます。このような遺言書は、子供がいたとしても有効となります。

ただし、子供には遺留分があるため、配偶者に対して遺留分侵害額請求が行われてしまうおそれがあります。そこで、付言事項を記載する方法により、配偶者に全財産を相続させる理由を記載します。

付言事項に強制力はないものの、自身の考えを伝えることによってトラブルを防止する効果が期待できます。

子供はいるが、すべての財産を配偶者に相続させたい場合の記載例は以下のとおりです。

遺言者は、遺言者の有する別紙目録記載のすべての財産を、妻 甲野 花子(○○年○○月○○日生)に相続させる。

(付言事項)

花子は昨年に病気をして、週に2回は通院が必要です。なので、私が死んだ後でも医療費の心配が要らないように全財産を遺したいと思います。
太郎(※子供)はまだ健康で十分に稼ぎがあるはずなので、生前に伝えておいたとおり遺留分の請求は行わないでください。

妻(夫)へ全ての財産を相続させたい場合(子供がいないケース)

子供がおらず、被相続人の両親等はすでに亡くなっている場合、遺留分を有する法定相続人はいないことになるため、全財産を配偶者に相続させてもトラブルが発生するリスクは低いです。

ただし、配偶者が自分よりも先に亡くなってしまうことも考えられるため、少しでも親しい人に財産を受け取ってほしいのであれば、なるべくそのようなケースを想定して遺言書を作成しましょう。

子供がいないときに、全財産を配偶者に相続させたい場合の記載例は以下のとおりです。

  1. 遺言者は、すべての財産を妻 甲野 花子(○○年○○月○○日生)に相続させる。
  2. もしも、遺言者より前に甲野 花子が死亡した場合には、すべての財産を甲野 花子の弟 乙野 三郎(○○年○○月○○日生)に遺贈する。

兄弟姉妹に財産を相続させたい場合

兄弟姉妹に遺言書で財産を相続させる場合、その兄弟姉妹が法定相続人である必要があるので、基本的には子供がおらず両親等が亡くなっている必要があります。

もしも子供等がいる場合、基本的には兄弟姉妹に遺贈することになります。
兄弟姉妹以外の法定相続人がいる場合には、遺留分を侵害しないように注意しましょう。

兄弟姉妹が法定相続人である場合の記載例は以下のとおりです。

  1. 遺言者は、金500万円を弟 甲野 二郎(○○年○○月○○日生)に相続させる。
  2. 遺言者は、前項に記載した財産を除いて、すべての財産を妻 甲野 花子(○○年○○月○○日生)に相続させる。

親にも財産を相続させたい場合

重い病気を患ってしまった場合等では、自分が亡くなった後で親が生きているケースがあります。

また、若いうちに遺言書を作成する場合であっても、突発的な事故等により想定よりも早く亡くなってしまうケースもあります。

子供がいない場合等では、親も法定相続人になり遺留分も有するので、トラブルを防ぐためにも忘れずに遺言書に記載しましょう。

なお、子供がいる場合には、基本的に親へ遺贈することになります。

親が法定相続人である場合の記載例は以下のとおりです。

  1. 遺言者は、金500万円を父 甲野 吉郎(○○年○○月○○日生)に相続させる。
  2. 遺言者は、金500万円を母 甲野 月子(○○年○○月○○日生)に相続させる。
  3. 遺言者は、1~2に記載した財産を除いて、すべての財産を妻 甲野 花子(○○年○○月○○日生)に相続させる。

子供同士で相続内容に差をつけたい場合

複数の子供がいる場合、遺言書で相続分に差を設けるケースは珍しくありませんが、大きな差を設けてしまうと兄弟間の争いを引き起こす原因となるおそれがあります。

そこで、付言事項により差を設けた合理的な理由を明記しておきましょう。また、差を設けたとしても、遺留分は侵害しないように注意しましょう。

子供同士で相続内容に差をつけた場合の記載例は以下のとおりです。

  1. 遺言者は、以下の財産を長男 甲野 太郎(○○年○○月○○日生)に相続させる。
    1. ①建物
      • 所  在 東京都新宿区西新宿○丁目○番地○
      • 家屋番号 ○○番○
      • 種  類 居宅
      • 構  造 木造瓦葺2階建
      • 床面積  1階部分 ○○㎡/2階部分 ○○㎡
    2. ②土地
      • 所  在 東京都新宿区西新宿○丁目
      • 地  番 ○○番○
      • 地  目 宅地
      • 地  積 ○○㎡
    3. ③普通預金
      • ○○銀行○○支店 口座番号○○○○
    4. ④貯金
      • ゆうちょ銀行 通常貯金 記号○○○○ 番号○○○○
  2. 遺言者は、以下の財産を二男 甲野 二郎(○○年○○月○○日生)に相続させる。
    1. ①株式
      • ○○株式会社 普通株式 1万株  預託先 ○○証券会社
    2. ②定期預金
      • ○○銀行○○支店 口座番号○○○○
  3. 遺言者は、遺言者が有する現金、その他本遺言に記載のない一切の財産を前記 長男 甲野 太郎に相続させる。

    (付言事項)
    すべての財産をお金に換えると、太郎の相続分は次郎より多くなってしまいますが、私たちの家はそろそろリフォームが必要になるので必要な資金を太郎に遺します。
    私がいなくなっても仲の良い兄弟でいてください。

未成年の子供に財産を相続させたい場合

法定相続人は被相続人の妻と子であり、子が未成年者である場合には、その子は遺産分割協議を有効に行うことができません。

ここで、子の親権者が被相続人の妻であった場合、妻は子の代理人として遺産分割協議を行うことはできません。なぜなら、子の取り分を減らすと妻が得をする利益相反の関係だからです。

未成年者である子と遺産分割協議を行うため、子のために特別代理人を選任しなければなりません。

そこで、遺言書を作成して相続分等を指定しておくことによって、遺産分割協議の必要がなくなるので特別代理人の選任が不要となります。

なお、被相続人が唯一の親権者であった場合等、最後に親権を行っていた者は、通常の場合には遺言により未成年後見人を指定することができます。

未成年後見人を指定する場合の記載例は以下のとおりです。

遺言者は、未成年者である甲野 太郎(○○年○○月○○日生)の未成年後見人として、次の者を指定する。

  • 住  所 東京都新宿区西新宿○丁目○番○号
  • 職  業 弁護士
  • 氏  名 丙野 五郎
  • 生年月日 ○○年○○月○○日生

認知症の妻に成年後見人を選任したい場合

配偶者が認知症である場合に、遺言書によって成年後見人を選任できるという規定はありません。しかし、付言事項等によって希望を伝えることは可能です。

ただし、相続を実現したいのであれば、遺言書によって希望する相続方法を指定できるので、成年後見人を選任してもらう必要はありません。

また、配偶者等から成年後見人の選任を申し立てることが可能なので、遺言書によって選任の希望を伝える必要はありません。

配偶者の連れ子や内縁関係の相手がいる場合の文例

内縁関係のパートナーへ相続させたい場合

内縁の配偶者に相続財産を遺す場合には、内縁の配偶者が法定相続人になれないことから、「相続させる」という文言ではなく「遺贈する」という文言を用います。

なお、兄弟姉妹以外の法定相続人がいる場合には、その法定相続人には遺留分があるため、内縁の配偶者に全財産を遺贈してしまうと遺留分侵害額請求が行われてしまうおそれがあるので注意しましょう。

内縁の配偶者に遺贈する場合の記載例は以下のとおりです。

  1. 遺言者は、以下の財産を内縁の妻 丁野 雪子(○○年○○月○○日生)に遺贈する。
    1. ①建物
      • 所  在 東京都新宿区西新宿○丁目○番地○
      • 家屋番号 ○○番○
      • 種  類 居宅
      • 構  造 木造瓦葺2階建
      • 床面積  1階部分 ○○㎡/2階部分 ○○㎡
    2. ②土地
      • 所  在 東京都新宿区西新宿○丁目
      • 地  番 ○○番○
      • 地  目 宅地
      • 地  積 ○○㎡
    3. ③普通預金

      ○○銀行○○支店 口座番号○○○○

  2. 遺言者は、以下の財産を長男 甲野 太郎(○○年○○月○○日生)に相続させる。
    1. ①株式

      ○○株式会社 普通株式 1万株  預託先 ○○証券会社

    2. ②定期預金

      ○○銀行○○支店 口座番号○○○○

配偶者の連れ子にも相続させたい場合

配偶者の連れ子は、基本的には法定相続人ではないので、「相続させる」という文言ではなく「遺贈する」という文言を用います。

なお、養子縁組することによって、配偶者の連れ子であっても法定相続人にすることができます。

配偶者の連れ子に遺贈する場合の記載例は以下のとおりです。

  1. 遺言者は、以下の財産を妻 甲野 花子(○○年○○月○○日生)に相続させる。
    1. ①建物
      • 所  在 東京都新宿区西新宿○丁目○番地○
      • 家屋番号 ○○番○
      • 種  類 居宅
      • 構  造 木造瓦葺2階建
      • 床面積  1階部分 ○○㎡/2階部分 ○○㎡
    2. ②土地
      • 所  在 東京都新宿区西新宿○丁目
      • 地  番 ○○番○
      • 地  目 宅地
      • 地  積 ○○㎡
  2. 遺言者は、以下の財産を前記 甲野 花子の長男 乙野 太郎(○○年○○月○○日生)に遺贈する。
    1. ①普通預金

      ○○銀行○○支店 口座番号○○○○

    2. ②定期預金

      ○○銀行○○支店 口座番号○○○○

財産を相続させたくない者がいる場合の文例

離婚協議中の配偶者に相続させたくない場合

離婚協議中の配偶者に相続させたくない場合には、離婚を成立させれば法定相続人ではなくなるので問題ありません。

ただし、自身が重大な疾患を抱えており、相手方が協議を引き延ばしている場合等では、離婚が成立する前に相続が発生してしまうおそれがあります。

そこで、遺言書により第三者へ全財産を遺贈する等の方法が考えられます。ただし、配偶者には遺留分があるので、遺留分に相当する財産は相続させることが望ましいでしょう。

離婚協議中の配偶者に、なるべく相続させたくない場合の記載例は以下のとおりです。

  1. 遺言者は、妻 甲野 花子(○○年○○月○○日生)との離婚が成立していない場合には、甲野 花子に金1000万円を相続させる。ただし、離婚が成立している場合には、甲野 花子の相続分はないものとする。
  2. 遺言者は、前項を除くすべての財産を丙野 四郎(○○年○○月○○日生)に遺贈する。

前の配偶者との子に相続させたくない場合

夫婦が離婚しても、前妻との間に生まれた子の相続権は失われません。そのため、前妻の子についても、遺留分に相当する財産は相続させることが望ましいでしょう。

前妻の子に、なるべく相続させたくない場合の記載例は以下のとおりです。

  1. 遺言者は、以下の財産を妻 甲野 松子(○○年○○月○○日生)に相続させる。
    1. ①建物
      • 所  在 東京都新宿区西新宿○丁目○番地○
      • 家屋番号 ○○番○
      • 種  類 居宅
      • 構  造 木造瓦葺2階建
      • 床面積  1階部分 ○○㎡/2階部分 ○○㎡
    2. ②土地
      • 所  在 東京都新宿区西新宿○丁目
      • 地  番 ○○番○
      • 地  目 宅地
      • 地  積 ○○㎡
    3. ③預金

      ○○銀行○○支店 口座番号○○○○

  2. 遺言者は、金500万円を長男 甲野 太郎(○○年○○月○○日生)に相続させる。
  3. 遺言者は、遺言者が有する現金、その他本遺言に記載のない一切の財産を二男 甲野 二郎(○○年○○月○○日生)に相続させる。

事業の承継に関わる遺言書の文例

長男に農業を継がせたい場合

法定相続人に農地を相続させる場合には、農業委員会の許可は必要ありませんが、農業委員会への届出が必要となるため注意しましょう。

また、農機具や備品等の記載が不足するとトラブルの原因となるため、なるべく包括的な記載でカバーすることが望ましいでしょう。

なお、法定相続人ではない人に農地を特定遺贈する場合には、農業委員会の許可が必要となります。

長男に農業を継がせたい場合の記載例は以下のとおりです。

  1. 遺言者は、以下の財産を長男 甲野 太郎(○○年○○月○○日生)に相続させる。
    1. ①農地
      • 所在:  東京都練馬区練馬○丁目
      • 地番:  ○○番○○
      • 地目:  畑
      • 地積:  ○○㎡
    2. ②建物
      • 所  在 東京都新宿区西新宿○丁目○番地○
      • 家屋番号 ○○番○
      • 種  類 居宅
      • 構  造 木造瓦葺2階建
      • 床面積  1階部分 ○○㎡/2階部分 ○○㎡
    3. ③土地
      • 所  在 東京都新宿区西新宿○丁目
      • 地  番 ○○番○
      • 地  目 宅地
      • 地  積 ○○㎡
  2. 遺言者は、以下の財産を二男 甲野 二郎(○○年○○月○○日生)に相続させる。
    1. ①預金

      ○○銀行○○支店 口座番号○○○○

    2. 貯金

      ゆうちょ銀行 通常貯金 記号○○○○ 番号○○○○

  3. 遺言者は、遺言者が有する現金、その他本遺言に記載のない一切の財産を前記 甲野 太郎に相続させる。

事業を継ぐ子と継がない子への財産の分配を指定したい場合

事業を継がせたい子がいる場合には、事業に必要な財産をすべて相続させる必要があります。また、事業を継がない子等についても、遺留分に相当する財産を相続させるようにしましょう。
長男に事業を継がせる場合の記載例は以下のとおりです。

  1. 遺言者は、以下の財産を長男 甲野 太郎(○○年○○月○○日生)に相続させる。
    1. ①建物
      • 所  在 東京都新宿区西新宿○丁目○番地○
      • 家屋番号 ○○番○
      • 種  類 居宅
      • 構  造 木造瓦葺2階建
      • 床面積  1階部分 ○○㎡/2階部分 ○○㎡
    2. ②土地
      • 所  在 東京都新宿区西新宿○丁目
      • 地  番 ○○番○
      • 地  目 宅地
      • 地  積 ○○㎡
    3. ③株式

      ○○株式会社(本店:東京都新宿区西新宿○丁目○番○号)のすべての株式

    4. ④普通預金

      ○○銀行○○支店 口座番号○○○○

  2. 遺言者は、以下の財産を二男 甲野 二郎(○○年○○月○○日生)に遺贈する。
    1. ①普通預金

      ○○銀行○○支店 口座番号○○○○

    2. ②定期預金

      ○○銀行○○支店 口座番号○○○○

相続人以外に財産を相続させる場合の文例

相続人がおらず世話人へ相続させたい場合

法定相続人がいない場合には、遺留分侵害額請求が行われる心配をせずに、全財産を第三者に遺贈することができます。

自分の世話をしてくれた人に遺贈する場合の記載例は以下のとおりです。

遺言者は、すべての財産を、私の世話をしてくれた丙野 梅子(○○年○○月○○日生)に遺贈する。

財産を特定の団体へ寄付したい場合

法定相続人がいない場合には、遺留分侵害額請求が行われる心配をせずに、全財産を特定の団体に遺贈することができます。

特定の団体に遺贈する場合の記載例は以下のとおりです。

遺言者は、すべての財産を、公益財団法人○○(主たる事務所の所在地:東京都新宿区西新宿○丁目○番○号)に遺贈する。

子の配偶者(嫁や婿)へ相続させたい場合

子の配偶者は基本的に法定相続人ではないので、相続財産を遺贈することになります。
なお、養子縁組すれば、子の配偶者であっても法定相続人になります。

子の配偶者に遺贈する場合の記載例は以下のとおりです。

  1. 遺言者は、次項に記載した財産を除いたすべての財産を長男 甲野 太郎(○○年○○月○○日生)に相続させる。
  2. 遺言者は、金300万円を長男 甲野 太郎の妻 甲野 花子(○○年○○月○○日生)に遺贈する。

死後のペットの世話をしてくれる人へ相続させたい場合

ペットを飼っている方は、自身の死後にペットを引き取ってくれる人を見つけておく必要があります。そのペットが新たな場所で幸せに暮らせるように、「負担付遺贈」を行う方法が考えられます。

負担付遺贈を行えば、ペットを引き取った人を金銭的に支援しながら、ペットの幸せな暮らしを応援できます。

ただし、自身が亡くなってしまう前に、ペットを引き取ってくれる人と十分に話し合っておくようにしましょう。

ペットの世話をしてくれる第三者に遺贈する場合の記載例は以下のとおりです。

  1. 遺言者は、すべての財産を、愛犬 甲太郎を引き取ってくれた丙野 四郎(○○年○○月○○日生)に遺贈する。
  2. 前項の遺贈を受ける丙野 四郎は、遺贈を受ける負担として、愛犬 甲太郎が天寿を全うするまで大切に飼育するものとする。また、愛犬 甲太郎が亡くなった場合には、適切な方法で埋葬し供養するものとする。

財産以外のことを記載した遺言書の文例

自分の葬儀等について指示したい場合

葬儀の方法について遺言書で指定したとしても、法的拘束力はありません。そのため、付言事項として希望を伝えることになります。

葬儀の方法等について指示する場合の記載例は以下のとおりです。

(付言事項)

私の葬儀は○○宗の方式によって執り行うようにしてください。また、私の遺骨は、東京都新宿区にある○○宗の○○寺に納骨してください。

死後にして欲しいことを伝える場合

被相続人が趣味で作成した品々等は捨てづらいため、生前に意思表示をしておかなければ遺族等が困ってしまうおそれがあります。

また、被相続人にとっては金銭的な価値の高いことが明らかなコレクション等であっても、遺族にとってはガラクタに見えるケースは珍しくありません。

なるべく家族等には伝えておくべきですが、生前に言い触らすのは気が進まないケースもあると考えられるため、価値のある品については遺言書に明記しておきましょう。

自身の死後における、趣味の品等の扱いについて指示する場合の記載例は以下のとおりです。

(付言事項)

私の生前の趣味であった陶芸で作った壺や器がたくさんありますが、残念ながら満足できるような物は作れませんでした。場所を取ってしまうので、遠慮することなく、すべて処分してください。

債務があることを伝え債務と費用を負担させたい場合の文例

特定の相続人にすべての債務を相続させても、債権者にとって債務は法定相続分に従って分配されたことになります。

そのため、返済を求められた法定相続人は債務の相続人が指定されたと主張できません。

債務の相続人を指定する場合の記載例は以下のとおりです。

  1. 遺言者は、金500万円を二男 甲野 二郎(○○年○○月○○日生)に相続させる。
  2. 遺言者は、前項に挙げた財産以外のすべての財産を長男 甲野 太郎(○○年○○月○○日生)に相続させる。
  3. 遺言者は、前項に定める相続の負担として、すべての債務を長男 甲野 太郎に相続させる。

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遺言書の書き方の例文に関する質問

現金を相続させたい時の遺言書の書き方はどの様にすれば良いでしょうか?

現金を相続させたい場合には、遺言書に「金○○万円を相続させる」等の文言を記載します。

ただし、相続財産に含まれる現金の額は日々変動し、遺言書の指定よりも不足しているケースでは相続財産を売却する必要が生じるおそれがあるため注意しましょう。

財布等にある少額の現金の相続人を明らかにしたい場合などでは、「現金、その他本遺言に記載のない一切の財産」等の文言を記載する方法もあります。

現金を相続する人を指定するときの記載例は以下のとおりです。

遺言者は、金○○万円を、長男 甲野 太郎(○○年○○月○○日生)に相続させる。

遺言書はパソコンで作成しても良いでしょうか?

自筆証書遺言は財産目録以外を自筆しなければならないので、パソコン等を用いて全文を作成することはできません。

秘密証書遺言であれば全文をパソコン等によって作成できますが、作成するために時間も費用もかかってしまうこと等からほとんど作成されていません。

自筆するのが負担だと感じている場合等では、公正証書遺言を作成することをおすすめします。

遺言書の書き方や記載内容についてご不安な方はご相談下さい

近年は、ビットコインなどの暗号資産を保有している方がいる等、保有している財産は不動産や預貯金等だけではなくなりつつあります。

また、自分が遺した財産で社会に貢献したい等、多様な希望を抱いている方々がいます。

しかし、遺言書に誤った記載をしたり、誤解を招くような記載をしたりすると、意図とは異なる結果を招いてしまうおそれがあります。

そこで、より希望を叶えられる可能性の高い遺言書を作成するために、弁護士にご相談ください。

弁護士であれば遺言執行者の職務をスムーズに行えるので、身近に法的な手続きを任せられる人がいない場合には、その点についてもご相談に応じます。

 

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弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治
監修 :福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

福岡県弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ名(司法書士1名を含む)を擁し()、東京、札幌、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、大阪、神戸、姫路、広島、福岡、タイの13拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。