【ハーグ条約】国外への連れ出しを防ぐ制度|出国禁止命令と旅券提出命令

監修
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

ハーグ条約は、国境を越えた子供の連れ去りを防ぎ、元の居住国へ戻すことを目的とした国際的な取り決めです。
日本でもこの条約に基づき、外国から連れてこられた子供を返還するための手続きが行われています。

ただし、手続きの途中で相手方が子供を再び国外へ連れ出してしまうと、せっかくの手続きが水の泡になりかねません。
こうした事態を避けるため、日本のハーグ条約実施法では、「出国禁止命令」や「旅券提出命令」といった特別な制度が設けられています。

この記事では、これらの制度の内容や利用方法について、わかりやすく解説します。

子供の国外への連れ出しを防ぐための制度とは?

日本の裁判所でハーグ条約に基づく返還手続きが行われている間に、子供が相手方によって常居所地国以外の海外へ連れ出されるケースがあります。

このような状況では、日本の裁判所の力が及ばなくなり、子供を取り戻すのが大変難しくなります。こうした事態を防ぐため、ハーグ条約実施法では、「出国禁止命令」と「旅券提出命令」という制度が定められています。

出国禁止命令は、子供を海外へ連れ出すことを禁止する制度です。また、旅券提出命令は、子供のパスポートを外務省に預けるよう命じるものです。

いずれも子供が不当に海外へ連れ出されるのを防ぎ、返還手続きをスムーズに進めるために重要な役割を果たしています。以下で、それぞれの制度について詳しく解説します。

出国禁止命令

出国禁止命令とは、家庭裁判所が子供の海外渡航を一時的に禁止する命令のことです(ハーグ条約実施法122条1項)。この制度は、子供の返還申立ての審理中に、相手方が子供を勝手に国外へ移動させることを防ぐために設けられています。

返還を求める親が家庭裁判所に対して出国禁止命令を申し立てると、裁判所は子供が日本国外に連れ出される危険があるかどうかを慎重に判断します。危険性が認められた場合、命令が出される仕組みです。これにより、航空券を持っていても飛行機に搭乗できず、事実上、子供の海外渡航ができなくなります。

旅券提出命令

旅券提出命令とは、家庭裁判所が子供のパスポートを持っている親に対して、そのパスポートを外務省に提出するよう命じる制度です(ハーグ条約実施法122条2項)。この制度は、パスポートを一時的に外務省で預かることで、海外渡航の手段を制限し、無断で出国される事態を防ぐことを目的としています。

返還を求める親が裁判所に旅券提出命令を申し立て、認められると、子供のパスポートを持っている親は外務省のハーグ条約室に子供のパスポートを提出しなければならなくなります。

その後、外務省のハーグ条約室が子供のパスポートを一時的に保管します。通常は「出国禁止命令」とあわせて発令されます。子供の国外移動を防ぐためのより強力な対策となります。もし命令に従わず、期限内にパスポートを提出しない場合には、20万円以下の過料が科される可能性があります。

出国禁止命令・旅券提出命令を利用する手続き

実際に「出国禁止命令」や「旅券提出命令」を出してもらうためには、家庭裁判所に正式に申し立てる必要があります。申立ての際には、以下のような書類を裁判所に提出します。

  • 申立書:命令を求める理由や背景を記載した書類
  • 家族関係を示す書類:戸籍謄本、婚姻証明書、離婚証明書、出生証明書など
  • 証拠説明書:提出する証拠の内容や目的をまとめた書類
  • 証拠資料:親権や監護権に関する裁判所の決定書、当事者間の合意書、申立人の陳述書、航空券の予約情報、出国の危険性を示すメールやSNSの投稿など

裁判所はこれらの書類をもとに、命令の必要性を慎重に判断します。

申し立てのタイミング

ハーグ条約に基づいて子供の返還申立てを行う際には、「出国禁止命令」や「旅券提出命令」を同時に申し立てることが可能です。

裁判所は申立てを受けると、必要性があると判断した場合にはすぐに命令を出して、子供の出国を防ぎ、安全を守るための対応をしてくれます。

これらの命令を早い段階で申し立てることで、子供の返還手続きがスムーズに進む可能性が高まります。そのため、相手方が出国を考えている可能性が少しでもある場合は、迷わず早めに行動することが大切です。

出国禁止命令・旅券提出命令の失効について

出国禁止命令や旅券提出命令は、子供を元の国に返還するための裁判が確定すると、その効力を失います。また、本人が返還申立てを取り下げた場合や、話し合いによって和解・調停が成立した場合も、命令は無効となります。

このタイミングで、子供の国外への移動制限は解除される仕組みです。

子供の連れ去りを防ぐためにもハーグ条約に詳しい弁護士にご相談ください

お子様が突然海外へ連れ去られるような事態に直面したとき、迷っている時間はありません。
子供の連れ去りを防ぐためには専門的な知識が求められるため、適切なタイミングで対応するには、法律の専門家のサポートが不可欠です。

弁護士法人ALGは、ハーグ条約に関する豊富な経験と専門知識を持ち、緊急性の高いケースにも迅速かつ的確に対応できる体制を整えています。親御さんの不安や焦りに寄り添いながら、最善の方法でお子様の安全を守るために全力でサポートいたします。

子供の連れ去りを防ぐためにも、ぜひ私たちにご相談ください。

まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います。
お気軽にご相談ください。

0120-544-064

通話料無料・24時間予約受付・年中無休

メール相談予約受付

※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます※法律相談は受付予約後となりますので直接弁護士にはお繋ぎできません ※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください

監修

監修 : 弁護士法人ALG&Associates
福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治

保有資格
弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

東京弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフを擁し()、を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。

まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います。
お気軽にご相談ください。

0120-544-064

通話料無料・24時間予約受付・年中無休

メール相談予約受付

※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます※法律相談は受付予約後となりますので直接弁護士にはお繋ぎできません ※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください