いじめを許さない

いじめは教育委員会に相談・報告すべき?流れや対処法などを解説

いじめは教育委員会に相談・報告すべき?流れや対処法などを解説

教育委員会
監修
監修弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates執行役員

子供が学校でいじめ被害に遭った場合、学校側が動いてくれないのであれば教育委員会に相談する方法も有効です。教育委員会は、学校教育に関するさまざまな役割を担っていますが、いじめ問題に関する対応も教育委員会が担う役割のひとつとなっています。

ただし、教育委員会がすべてのいじめを解決してくれるわけではありません。状況によって弁護士への相談も検討しましょう。

この記事では、いじめに対する教育委員会の役割や相談の流れなどについて解説していきます。

いじめは教育委員会に相談・報告すべき?

子供がいじめ被害に遭った場合、まずは学校に相談しますが、学校が適切な対応をしてくれるとは限りません。こうした場合に、いじめを教育委員会に相談するのもひとつの手です。

教育委員会では、いじめの被害に遭ったことや学校の対応などを相談できます。なお、相談は被害に遭った児童・生徒だけでなく、保護者の方も可能です。

いじめ問題に対する教育委員会の役割・対応は、文部科学省のホームページで公開されていますので、ご参考ください。
(参照:文部科学省「学校におけるいじめ問題に関する基本的知識と取組のポイント」)

教育委員会とは

教育委員会とは、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」に基づき、都道府県・市区町村に設置された行政機関で、以下のような役割を担っています。

  • 学校教育の振興
  • 生涯学習、社会教育の振興
  • 芸術文化の振興、文化財の保護
  • スポーツの振興
  • いじめに関する対策・対応

そのため、学校がいじめ問題を適切に対応してくれない場合には、教育委員会に相談すると良いでしょう。
ただし、教育委員会は学校や保護者、どちらの味方でもなく、中立な立場であることを理解しておく必要があります。

公立学校と私立学校で権限が異なる

教育委員会が持つ権限は、公立学校私立学校で異なります。

公立学校

学校の設置・運営は地方自治体が行っており、教育委員会は公立学校に対して強力な権限を有しています。例えば、学校が教育委員会の定める規定に違反した場合は、その変更を命じることができるとされています(学校教育法第14条)。

私立学校

学校の設置・運営は学校法人により行われ、その管理運営について高い独立性が保たれています。そのため、教育委員会は、私立学校に対する権限をほとんど有していません。

公立学校でのいじめ問題については、教育委員会の役割が期待できますが、私立学校では期待できません。私立学校の場合は、学校または各都道府県に設置されている私立学校主管部課に相談しましょう。

いじめ問題に対する教育委員会の役割・対応

いじめ問題で教育委員会に求められていることとして、文部科学省では「学校におけるいじめ問題に関する基本的認識と取組のポイント」を公開しています。その中で、いじめ問題に関する教育委員会の役割・対応についてみていきましょう。

  1. 学校の取組への支援と取組状況の確認 教育委員会は、いじめ問題の解決に向けて各学校の取組を支援する立場にあり、具体的な支援内容は以下のようなものがあります。 ・ 校内研修の講師として指導主事、教育相談の専門家の派遣
    ・ スクールカウンセラーの派遣
    ・ 困難ないじめ問題を抱える学校には担当指導主事などの派遣 また、教育委員会は、いじめ問題に関する学校側の取組状況を確認し、必要な助言・指導を行う役割もあります。
  2. 効果的な教育研修の実施 いじめ問題が発生した場合、教師のいじめ問題に関する対応能力が重要となります。
    教育委員会においては、多くの教師に対して、いじめ問題に関する実践的な教員研修を実施することが求められています。
  3. 組織体制・相談体制の充実 教育委員会や教育センターなどの相談体制の整備や充実、相談時間の延長などによる相談窓口の開設時間の工夫、児童生徒に比較的年齢の近い人を相談相手とするなどいじめ問題の相談体制を充実させることも教育委員会の役割です。
  4. 深刻ないじめへの対応 深刻ないじめを行う加害児童・生徒に対して、出席停止を含む厳しい指導を行うこともあります。また、いじめの被害児童・生徒を守るため、学校の指定変更や区域外就学を認める措置など、柔軟な対応が求められています。
  5. 家庭教育に対する支援 家庭教育を支援するために、さまざまな学習機会や情報提供、ボランティア活動など親子共同体験の機会の充実など被害児童・生徒へのケアも教育委員会の役割です。

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いじめ問題を教育委員会に相談するまでの流れ

いじめ問題を教育委員会に相談するまでの主な流れは以下のとおりです。

  1. 学校への相談
  2. いじめの調査・事実確認
  3. 学校や加害者に対応を求める
  4. 学校の対応に不満がある場合は教育委員会に相談

では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

①学校への相談

いじめの被害を受けた場合、まずは学校に相談しましょう。

学校への相談は、感情的にならず冷静に対応することが重要です。感情的になってしまうと、「いじめの相談」ではなく、「保護者からのクレーム」として扱われてしまう可能性があります。

そのため、学校への相談は落ち着いて、いじめがあったことを報告するとともにいじめの調査を求めましょう。

また、相談の際は、子供からヒアリングしたいじめの状況を時系列に整理し、客観的な証拠がある場合は、学校に提出するとスムーズです。

いじめの証拠例

  • いじめ現場を撮影した写真・動画
  • いじめ現場を録音した音声データ
  • いじめによって壊された物・汚された物
  • 医師の診断書(暴行を受けた場合など)
  • ネットやSNSに書き込まれた誹謗中傷のスクリーンショット(日付や個人名が分かるように)
  • 被害者本人の日記
  • 第三者の証言 など

②いじめの調査・事実確認

保護者からいじめの相談や通報があった場合には、学校側はいじめに関する調査や事実確認を行う義務があります。

いじめ防止対策推進法では、いじめのうち深刻なものをいじめ重大事態と定義し、学校へいじめ重大事態の通報・報告があった場合には調査の開始だけでなく、被害児童・生徒および保護者への報告、いじめへの対処、再発防止措置などを行うことが義務付けられています。

いじめの調査や事実確認の方法は学校設置者に委ねられていますので、まずは学校側の調査を待つことになります。調査の結果は保護者へ報告されるので、調査結果を踏まえて今後の対応を検討することになります。

いじめ防止対策推進法については、以下のページで詳しく解説しています。ご参考ください。

さらに詳しくいじめ防止対策推進法とは?被害者を守る法律と弁護士ができること

③学校や加害者に対応を求める

学校側の調査によりいじめの事実が判明した場合、加害者等や学校側に対して以下のような対応を求めていきます。

  • 謝罪 いじめを見抜けなかった学校側からの謝罪は受けたくないかもしれません。
    しかし、誠意ある謝罪の言葉だけでなく、「なぜいじめが起きたのか」その原因と経緯を具体的に説明してもらい、二度といじめを繰り返さないという決意を表明してもらうことが大切です。
  • 損害賠償請求 加害者や加害者の親、学校設置者に対していじめ(不法行為)に基づく損害賠償を請求できます。
    具体的には、いじめによって被った精神的苦痛(慰謝料)や、怪我を負った場合の治療費や通院費、転校に要した費用などを請求できる場合があります。
  • 再発防止策の検討、実施 いじめの被害を受けた子供が、引き続き同じ学校に在籍するのであれば、いじめの再発防止策が重要です。子供が安心して学校生活を送れるよう、配慮した内容にするためにも弁護士に相談することをおすすめします。

④学校の対応に不満がある場合は教育委員会に相談

学校の対応に不満がある場合は、教育委員会に相談するのも有効な手段です。教育委員会に相談することで、いじめ問題への対応に消極的だった学校側が調査を行うなど、態度を変えることも少なくありません。

教育委員会に相談する手段

  • 電話 各都道府県や市区町村の教育委員会に電話で相談できます。
  • 面談 教育委員会に出向き、担当者と面談して相談することもできます。なお、弁護士に相談して弁護士を通じて教育委員会に相談することも可能です。

詳細は文部科学省のホームページをご覧ください。

教育委員会にいじめを相談しても動いてくれない場合の対処法は?

教育委員会に相談しても動きが遅い、望むような対応をしてくれないといったケースもあります。
そのような場合には、以下の対処法をご検討ください。

  • 文部科学省の相談窓口を利用する
  • 弁護士に相談する

では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

文部科学省の相談窓口を利用する

文部科学省では、いじめなどについて児童・生徒が24時間相談できる24時間子供SOSダイヤルを設置しています。いじめやその他の悩みについて、24時間専門の相談員に相談できる全国共通の電話相談窓口です。いじめの対処法などのアドバイスを求めることが可能ですので、ぜひご活用ください。

24時間子供SOSダイヤル

電話番号:0120-0-78310(通話無料)

また、文部科学省のホームページ「子供のSOSの相談窓口」では、電話相談窓口だけでなく、SNSで相談できる窓口の紹介や地元の相談窓口を探すことができます。ご自身が利用しやすい相談窓口を選択して、いじめに関するお悩みを打ち明けてみましょう。

弁護士に相談する

教育委員会がいじめを相談しても動いてくれない場合は、弁護士に相談すること有効です。弁護士は、いじめ問題の解決に向けて以下のようなサポートができます。

  • 学校への調査・再発防止策などの要求 学校がいじめ問題に対して消極的で、十分な調査や再発防止が行われない場合があります。
    弁護士が入ることで学校側が適切な調査を開始する可能性が高くなるだけでなく、法的な観点から再発防止策について提案できます。
  • 教育委員会への申し入れや対応 学校に対していじめ問題の解決を要求しても適切な対応がされない場合には、教育委員会に対して申し入れを行うことがあります。弁護士が教育委員会に申し入れることで、教育委員会が真摯な対応で学校へ働きかけてくれる可能性が高まります。
  • 学校側・加害者側との交渉 弁護士は代理人として学校側や加害者側との交渉を任せられるため、顔を合わせなくて済むメリットがあります。また、法的観点に沿って冷静に話し合えるため、解決までスムーズに進む可能性が高まります。
  • 法的措置の対応 いじめは、加害者側や学校側に損害賠償を請求したり、加害者等に刑事告訴などの法的措置を検討できる場合があります。弁護士は学校側や加害者側の法的責任の有無を判断し、証拠収集など法的措置のサポートを行うことができます。

いじめを弁護士に相談するメリットについては、以下のページで詳しく解説しています。ご参考ください。

さらに詳しくいじめ被害は弁護士に相談すべき?メリットや費用などを解説

いじめ問題を教育委員会に相談すべきかお悩みの場合は弁護士法人ALGへ

学校がいじめ問題に対し消極的な場合は、教育委員会に相談することもひとつの手です。
しかし、いじめ被害に遭われたお子様のケアが必要な状況において、教育委員会への相談は保護者の方の負担が大きくなってしまいます。

そのため、教育委員会への相談をお考えの場合は、弁護士にご相談ください。
弁護士であれば、教育委員会への申し入れや学校側・加害者側との交渉など、いじめ問題全体をサポートすることが可能です。

私たち弁護士法人ALGは、学校問題やいじめ問題に詳しい弁護士が丁寧にヒアリングし、解決まで尽力いたします。いじめ問題でお悩みの場合は、まずは私たちにご相談ください。

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