いじめは、内容によっては刑法上の犯罪に該当する場合があります。暴力や脅迫、物の破壊といった犯罪行為を伴ういじめを受けた被害者は、加害者等に対して刑事告訴や損害賠償請求などの法的な責任を追及できる可能性があります。
ただし、被害児童・生徒や保護者がこうした手続きを進めるのは大きな負担となるため、刑事告訴等を検討される際は、専門知識を持つ弁護士への相談をおすすめします。
この記事では、犯罪行為に該当するいじめと罪名や、どのような法的責任を追及できるのか等について解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
いじめには、無視や仲間外れ、恐喝や暴力など様々なものがあります。
被害者が暴行を受けて怪我をした、所有物を盗まれた、お金を要求されたなど、被害者の心身や金品に重大な損害を生じさせるいじめについては、刑事事件として扱われ、犯罪として処罰される可能性があります。
いじめの定義については、以下のページで詳しく解説しています。
いじめ防止対策推進法では、いじめを以下のように定義しています。
いじめ防止対策推進法
第2条 この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
加害者等が「いじり」や「遊びの一環」と考えていても、被害者が苦痛を感じていれば、いじめに該当するのが基本です。
一方、“犯罪”とみなされるのは、被害者の心身や金品に重大な損害が生じたケースに限られるため、「いじめは犯罪にならない」と思われることが多いと考えられます。
犯罪行為に該当するいじめと罪名には、以下のようなものがあります。
これらの行為を伴ういじめについては、「犯罪にあたる」と判断され、加害者が刑罰(拘禁刑や罰金)を受ける可能性があります。
暴力行為を伴ういじめについては、暴行罪や傷害罪が成立する可能性があります。
暴行罪と傷害罪の違いは、「被害者に怪我を負わせたかどうか」で判断されます。
暴行罪(刑法第208条)
殴る、蹴る、叩く、髪を引っ張るなどの暴力行為を行ったものの、被害者が怪我を負わなかった場合
➡ 2年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料
傷害罪(刑法第204条)
暴力などによって他人に怪我をさせた場合
➡ 15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
暴力を伴ういじめの対処法や弁護士ができるサポートについては、以下のページで詳しく解説しています。
教科書やノートを隠された場合や、勝手に落書きされた場合、私物を壊された場合等は、器物損壊罪が成立する可能性があります。
器物損壊罪(刑法第261条)
他人の物を損壊・傷害した場合
➡ 3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金もしくは科料
教科書や所持品を盗まれるいじめを受けた場合は、窃盗罪が成立する可能性があります。
「いじめてやろう」という嫌がらせ目的だけでなく、加害者が自分で使うために盗んだ場合も同様です。
窃盗罪(刑法第235条)
他人の財物を窃盗した場合
➡ 10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
加害者等から脅されるいじめを受けた場合は、脅迫罪や恐喝罪、強要罪が成立する可能性があります。
脅迫罪(刑法第222条)
生命、身体、自由、名誉又は財産を傷つけると告知して人を脅迫した場合
➡ 2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
恐喝罪(刑法第249条)
人を脅迫して金銭を巻き上げたり、お金を払わせたりした場合
➡ 10年以下の拘禁刑
強要罪(刑法第223条)
生命、身体、自由、名誉もしくは財産を傷つける旨を告知して脅迫し、または暴行を用いて、人が嫌がることを強要した場合
➡ 3年以下の拘禁刑
不特定または多数の人に伝わる状況で、自身の名誉を傷つけられた場合は、名誉毀損罪や侮辱罪が成立する可能性があります。
インターネットやSNS上でのいじめもこれらに該当します。
名誉毀損罪(刑法第230条)
公然と事実を提示して、他人の名誉を毀損した場合(事実が真実であるか否かを問わない)
➡ 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
侮辱罪(刑法第231条)
事実を適示しなくても、公然と他人を侮辱した場合
➡ 1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料
ネットいじめについては、以下のページで詳しく解説しています。
さらに詳しくネットいじめとは?事例や被害にあった場合の対処法など同意なく体に触れる、服を脱がせる、無理やりわいせつな行為をしたりさせたりする行為は不同意わいせつ罪が成立する可能性があります。
不同意わいせつ罪(刑法第176条)
同意しない意思を形成し、表明しもしくは全うすることが困難な状態にさせまたはその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした場合
➡ 6ヶ月以上10年以下の拘禁刑
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犯罪行為を伴ういじめでは、加害者が未成年であっても逮捕される可能性があります。ただし、処分内容は年齢によって異なります。
加害者が14歳以上の場合、刑事責任を問われることはありますが、未成年の逮捕は非常に稀です。
また、14歳未満は刑法上の責任を負わず、「触法少年」として家庭裁判所の審判対象となるため、逮捕はできません。
次項からは、いじめ加害者の年齢別の対応について詳しく解説します。
加害者等が14歳未満の場合、刑事責任は問われず、逮捕もされません(刑法第41条)。
しかし、重大な犯罪行為に該当する場合は、警察が児童相談所に通告・送致し、一時保護の措置が取られる可能性があります。
家庭裁判所に送致され、少年審判により処分が決定するケースもあります。
処分内容は、保護者による指導強化や保護観察だけでなく、児童自立支援施設や児童養護施設への入所が命じられることも少なくありません。
いじめ行為が極めて悪質で再犯のおそれがあると判断されれば、少年院送致となるケースもあります。
少年院は刑罰を科す場ではなく、教育と更生を目的とする施設です。
14歳未満の加害者は刑事罰を受けませんが、社会復帰に向けた厳しい措置が取られる可能性があります。
加害者等が14歳以上になると、刑法上の責任能力が認められ、犯罪行為を伴ういじめでは逮捕される可能性があります。
逮捕されると自宅や学校に戻れず、警察署の留置所で身柄を拘束され、取調べを受けます。
年齢ごとの処遇
14歳以上16歳未満
事件は家庭裁判所に送致され、少年法に基づき少年審判で処分が決定します。
16歳以上18歳未満
基本的に上記と同様ですが、重大事件では刑事処分が相当と判断され、検察庁に送致される場合があります。
18歳・19歳
特定少年とされ、民法上は成人ですが、刑事事件では少年法が適用されます。家庭裁判所での審判が基本ですが、重大事件では成人と同様に起訴される可能性もあります。
犯罪行為を伴ういじめを受けた場合は、加害者等やその保護者、学校などに対して、以下のような法的責任を追及できます。
大切な子供が犯罪行為に該当するような重大ないじめ被害にあった場合は、法的措置を検討しましょう。
法律に触れるいじめを受けた場合、犯罪として警察に訴えれば、刑事責任を追及できる可能性があります。
主な方法は、次の2つです。
被害届の提出:被害があった事実を警察に知らせる届出
被害届の提出後、警察が「事件性あり」と判断すれば捜査が開始されます。
捜査では、関係者への事情聴取、事件現場での証拠収集、被疑者(加害者)への取調べ等が行われます。
告訴状の提出:加害者を処罰するため警察に捜査を求める届出
告訴状が受理されると、警察は捜査を行い、書類や証拠物を検察官に送付する義務があります(刑事訴訟法第242条)。
そのため、被害届の提出よりも積極的な捜査が期待できます。
ただし、学校を直接刑事告訴することは認められていません。
いじめ被害の刑事告訴については、以下のページで詳しく解説しています。
いじめは、民法上の不法行為(民法第709条)に該当する可能性があるため、加害者側や学校側に対して慰謝料や治療費等の損害賠償を請求できる場合があります。
加害者側に損害賠償請求する場合
いじめの損害賠償責任は、加害者本人が負うのが基本です。
ただし、加害者本人の責任能力の有無によって請求相手が変わります。
学校に損害賠償請求する場合
学校には、児童・生徒が心身ともに安心かつ健全な学校生活を送れるようにする安全配慮義務があります。
教師がいじめに加担した場合や、いじめを知りながら放置した場合は、学校の設置者の安全配慮義務違反を理由に損害賠償請求が可能です。
いじめの損害賠償請求については、以下のページで詳しく解説しています。
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犯罪行為を伴ういじめを受けた場合は、以下の対処法を検討しましょう。
いじめの対処法については、以下のページで詳しく解説しています。
いじめが学校内で発生した場合、まずは学校に相談しましょう。
学校には、いじめ防止対策推進法により次の対応が義務付けられています。
犯罪行為に該当するいじめを受けた場合は、なるべく早く警察に通報・相談しましょう。
直接警察に行くのに抵抗がある場合は、少年相談窓口の利用も有効です。
少年相談窓口とは?
少年相談窓口は、20歳未満の子供や保護者が、いじめや犯罪被害について相談できる警察内の機関です。
公認心理士などの専門職員が心理面の相談に応じ、必要に応じていじめ対応について助言を行います。
事案によっては、家庭裁判所など関係機関への取り次ぎも行われます。
少年相談窓口は各都道府県の警察に窓口があり、公式サイトで電話番号が確認できます。
「いきなり警察に相談するのは不安」という方は活用してみてはいかがでしょうか。
学校でのいじめと警察の介入については、以下のページで詳しく解説しています。
いじめの対応に悩んだときには、次のような相談窓口に相談してみるのもよいでしょう。
犯罪行為に該当するような悪質ないじめを受けた場合は、弁護士へ相談しましょう。
いじめ問題を弁護士に相談すると、以下のようなメリットがあります。
弁護士は、ご依頼者様の個別事情に応じて適切なサポートが可能です。
いじめの問題はおひとりで悩まず、まずは弁護士にご相談ください。
いじめ被害を弁護士に相談するメリットについては、以下のページでも詳しく紹介しています。
いじめは被害者の心身に深刻な影響を与える行為であり、決して許されるものではありません。
特に、犯罪行為を伴う重大なケースでは、被害者や保護者の方の精神的ショックは大きなものとなるでしょう。
大切なお子様がいじめ被害に遭われている場合は、ご家族だけで悩まず弁護士を頼ってください。
弁護士であれば、加害者側や学校側との交渉だけでなく、刑事告訴や損害賠償請求等の対応も安心して任せられます。
私たち弁護士法人ALGは、いじめや学校問題に詳しい弁護士が多数在籍しております。
ご相談者様の思いを優先し、早期解決に向けて尽力しますので、まずは一度お話をお聞かせください。
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監修 : 弁護士 谷川 聖治 / 弁護士法人ALG&Associates執行役員
保有資格弁護士(愛知県弁護士会所属・登録番号:41560)
愛知県弁護士会所属。私たちは、弁護士82名、スタッフ171名(司法書士1名を含む)を擁し(※2021年6月末現在)、東京、札幌、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、神戸、姫路、大阪、広島、福岡、タイの13拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。
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