いじめの認知件数は近年急増しており、文部科学省の資料によると、令和6年度における小・中・高等学校および特別支援学校での認知件数は76万9022件に達し、過去最多を記録しました。
学校で嫌なことがあっても、それが「いじめ」なのか判断するのは難しく、どう対応すべきか悩む方も多いでしょう。
この記事では、
といった点について、いじめの定義をわかりやすく解説します。
目次
いじめ防止対策推進法では、被害を受けた児童・生徒が心身の苦痛を感じるものを「いじめ」と定義しています。
いじめとは? 児童・生徒が一定の人間関係にある他の児童・生徒から心理的または物理的な影響を受け、心身に苦痛を感じている状態を指します。加害者の意図や行為の深刻さに関係なく、被害者が苦痛を感じていればいじめと認定される点が特徴です。
また、いじめ防止対策推進法では、いじめの防止だけでなく、重大事態への対処方法についても規定されています。
いじめの定義は時代とともに変化してきました。以前は「一方的」「継続的」「深刻な」などの条件が重視されていましたが、現在は被害者の主観を尊重し、より広範な行為がいじめと認定されるようになっています。
いじめ防止対策推進法第2条第1項では、いじめを次のように定義しています。
いじめ防止対策推進法
第二条 この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
※児童等:学校に在籍する児童または生徒(同条第3項)
上記の定義によれば、児童・生徒が受けた行為に対して「心身の苦痛を感じるかどうか」がいじめか否かを判断する基準とされています。
加害者や周囲が「遊びのつもりだった」「ふざけていただけ」と認識していても、被害者本人が苦痛を感じていれば、「いじめ」に該当します。
行為の意図や継続性にかかわらず、被害者の主観が重視される点が大きな特徴です。
いじめ防止対策推進法については、以下のページでも詳しく解説しています。併せてご参考ください。
さらに詳しくいじめ防止対策推進法とは?被害者を守る法律と弁護士ができることいじめのうち深刻なものを、いじめ重大事態といい、いじめ防止対策推進法第28条第1項では、次のように定義しています。
たとえば、以下のようなケースがいじめの重大事態に該当します。
いじめの重大事態の発生が疑われる場合、学校側は重大事態について以下の対応が求められています。
学校で行われることの多いいじめとして、次のような例が挙げられます。
上記のようなものに限らず、受けた人が身体的・精神的に苦痛を感じるものは、すべていじめに該当します。
言葉によるいじめとは、本人の体形や見た目に関する冷やかしやからかい、悪口、脅し文句など、精神的な苦痛を与える発言を指します。最初は冗談のつもりでも、徐々にエスカレートし、いじめに発展するケースも少なくありません。
言葉によるいじめは、本人に直接向けられるだけでなく、周りに聞こえるようにわざと発せられる場合もあります。本人が「やめてほしい」「傷つくことを言わないでほしい」と感じていても、周囲に訴えづらく、深刻化するまで気付かれにくい傾向があります。
無視や仲間はずれによるいじめとは、集団が特定の児童・生徒に対して、意図的に関わらない態度をとることを指します。
いじめられている児童・生徒が「そこにいないように」振る舞うもので、被害者はクラスの人やグループから疎外され、孤立感を抱き、深く悩む場合があります。
無視や仲間はずれによるいじめは、被害者に直接的な危害を伴わないため、周囲がいじめと認識しづらい特徴があります。
学校で集団いじめを受けたときの対処法については、以下のページで詳しく解説しています。
さらに詳しく学校で集団いじめを受けたらどうする?4つの対処法や注意点など暴力によるいじめとは、叩く、蹴る、ぶつかる、突き飛ばすなど、身体に直接危害を加える行為を指します。
遊びのふりをして行われる場合や、物を使って強い痛みや怪我を負わせるケースもあります。
いじめが加速すると、力加減を調整し、周囲に気付かれないように危害を加える場合もあります。周囲の人が「遊びの延長」と思っていじめと気付かないまま放置される事態も少なくありません。
暴力によるいじめは、被害者に深刻な精神的・身体的影響を及ぼし、大人になってもトラウマに苦しむケースが多く、非常に悪質性の高い行為といえます。
暴力を伴ういじめを受けたときの対処法については、以下のページで詳しく解説しています。
さらに詳しく暴力を伴ういじめを解決するには?対処法や弁護士ができるサポートなど精神的ないじめとは、嫌な行為や恥ずかしい要求、危険な指示を強要する行為です。
例えば、掃除や片づけを押し付けるケースや、人前で服を脱がせる、脱ぐよう求めるなどの深刻な事例も含まれます。
精神的ないじめは、肉体的な危害ではなく、精神的な負担を与えるため、周りの人が気付きにくく、深刻化しやすい傾向があります。 被害を受けた児童・生徒は、強い不安やうつなどの症状に悩まされる場合もあり、決して見過ごせません。
金品や物に関するいじめとは、金品を要求される、金品や物を隠される・盗まれる・壊される・捨てられるなどの行為を指します。
金品や物に関するいじめは、受けた児童・生徒が経済的に追い詰められる原因となる場合があります。
たとえば、持ち物を壊された場合には買い直しが必要となり、家庭に負担がかかり、経済的ないじめにつながる可能性も否定できません。
金品を要求された児童・生徒が親のお金を盗んで用意するケースもあり、万引きを強要される事態まで発展すれば、罪に問われる危険もあります。
SNSやネットでのいじめとは、SNSやウェブサイトで悪口を書かれたり、インターネット上で個人情報を拡散されたりする行為のことです。
SNSやネットでのいじめの問題点は、顔や名前が分からない相手からいじめを受けることです。
相手が誰だかわからない状態で誹謗中傷されたり、不快な画像を送られたりするため、受けた児童・生徒は非常に強い精神的苦痛を感じるでしょう。
このような行為だけでなく、SNS上で特定の個人を仲間外れにするようないじめもあります。
ネット上の交流やコミュニケーションが欠かせない現代において、SNSやネットでのいじめは特に問題視されています。
SNSいじめについて、詳しくは以下のページで解説しています。
さらに詳しくSNSいじめを受けたらどうする?事例や4つの対処法など詳しく解説CONTACT
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います。
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。 ※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
「いじめ」と「いじり」は似た言葉ですが、意味は大きく異なります。
「いじり」は、親しい関係にある友人同士のからかいや軽い冗談で、お互いが笑いあえるものであることが前提です。
いじる側と受ける側が対等な関係にあり、信頼関係を前提としたものであれば、友好的なコミュニケーションのひとつともいえるでしょう。
「いじり」であっても、受ける側が「いやだな」「つらいな」と精神的苦痛を感じている場合は、いじめに該当します。繰り返されることで、いじられる側を傷つけ、いじめへと発展するケースも少なくありません。
「いじりだから」と軽く受け止めず、受け手の気持ちに寄り添う姿勢が大切です。
いじめの解決には、状況の整理と適切な対応が重要です。具体的には、以下のような対応を検討しましょう。
いじめの内容を記録する
子供がいじめを打ち明けた際は、まず話を丁寧に聞き、安心させましょう。そのうえで、嫌だった行為や発生日時などを整理し、文書として記録しておくことが重要です。
証拠を集める
写真、メッセージ、録音など、客観的な証拠を残すことで、学校や加害者側との対応時に事実を裏付ける材料になります。
学校に調査を依頼する
学校には、いじめの通報があった場合に調査義務があります。記録や証拠をもとに、速やかに調査を求めましょう。
弁護士に相談する
法的な観点から助言を受けることで、対応の選択肢が広がります。代理人として学校と交渉してもらうことも可能で、必要に応じて法的措置も検討できます。
学校のいじめに対する対処法については、以下のページで詳しく解説しています。
さらに詳しく学校のいじめに対する対処法は?解決のポイントなどを解説いじめ問題の相談は、学校だけでなく弁護士も有効な相談先です。
証拠集めのアドバイスをもらえる
いじめの有無に関して争いがある場合は、証拠がなにより重要です。
弁護士への相談・依頼によって、いじめの状況別にどのような証拠が必要なのか、法的な観点からアドバイスを受けられます。
代理人として学校と交渉できる
親と学校側の話し合いでは、どうしても感情的に対立してしまいます。
弁護士であれば、法的観点から冷静に話し合いを進められ、いじめ問題をスムーズに解決できる可能性が高まります。
法的措置をとる場合の手続きなどを対応してもらえる
学校側との話し合いで解決できない場合は、損害賠償請求または刑事告訴などの法的措置を検討するケースもあります。
弁護士に任せることで、手続きを適切に進められ、早期解決が期待できます。
いじめ問題を弁護士に相談するメリットについては、以下のページで詳しく解説しています。
いじめを受けた児童・生徒やその保護者は、加害児童・生徒またはその保護者・学校側に対して法的措置を検討できます。
いじめは不法行為に当たるため、いじめを受けた児童・生徒は、加害児童・生徒に対して、自らが被った損害の賠償を求められます。
損害賠償の対象となるのは、以下のようなものがあります。
ただし、加害児童・生徒がおおむね10~12歳以下の低年齢の場合は、責任能力が認められず、損害賠償責任を負わないと判断されるケースもあります。
責任能力が認められない場合は、加害児童・生徒の保護者に対して監督義務者としての責任を追及します。
いじめの損害賠償請求については、以下のページで詳しく解説しています。
さらに詳しくいじめで損害賠償請求できる?誰に何を請求できるのか・相場など学校側への損害賠償請求が可能なケースもあります。
学校には、児童・生徒が安全に過ごせるよう配慮する安全配慮義務があり、いじめの予防や対応も含まれます。
学校側の不適切な対応によって、いじめが発生・継続したと認められる場合には、被害児童・生徒や保護者は、学校側に対して損害賠償を請求できる可能性があります。
いじめの訴えを放置したり、調査や対応を怠った結果、被害が拡大したケースでは、法的手続きで補償を求める対応も検討しましょう。
いじめの定義は、時代と共に被害児童・生徒に寄り添ったものに変遷しています。
しかし、被害を受けた児童や生徒が「つらい思いをしている」「いじめられている」と声を上げるのはとても勇気のいる行為であり、ひとりで悩んでしまうケースも多いです。
お子様からいじめの被害について相談を受けたら、早期解決のためにもまずは弁護士へご相談ください。
弁護士は学校側との協議を代理し、お子様が健全な学校生活を送れるようサポートいたします。
弁護士法人ALGは、いじめ問題や学校問題に関するご相談を受け付けております。
経験豊富な弁護士がお子様や保護者の方のお気持ちに寄り添い、早期解決に向けて尽力いたします。
いじめ問題でお悩みの場合は、まずは一度私たちにお話をお聞かせください。
CONTACT
まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います。
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。 ※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
監修 : 弁護士 谷川 聖治 / 弁護士法人ALG&Associates執行役員
保有資格弁護士(愛知県弁護士会所属・登録番号:41560)
愛知県弁護士会所属。私たちは、弁護士82名、スタッフ171名(司法書士1名を含む)を擁し(※2021年6月末現在)、東京、札幌、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、神戸、姫路、大阪、広島、福岡、タイの13拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。
プロフィールを見るカテゴリー