いじめは決して許されるものではありません。
しかし、いじめを学校に訴えても対応してくれないケースが多くあるのが実情です。
学校が適切に対応しない場合は、教育委員会や弁護士、警察などに訴えることでスムーズに解決する可能性があります。
この記事では、学校がいじめ問題に対応しないのはなぜなのか、いじめ問題を学校に対応してもらうポイントなどについて解説していきます。
ぜひご参考ください。
目次
いじめの被害を、被害者である児童・生徒やその保護者が学校や教師に訴えても、適切な対応がとられず、泣き寝入りしてしまうケースが多くあります。
その結果、いじめがさらに拡大し続け、被害者がうつ病を発症したり、不登校により教育や学習を受ける権利が侵害されてしまいます。
また、最悪のケースでは被害者が亡くなってしまうこともあります。
このように、いじめは被害者の心身に大きな影響を与えるだけでなく、未来さえも奪ってしまうことになりかねません。
それなのに学校はどうして十分な対応をしようとしないのか、以下の3つが原因として考えられます。
ここからは、上記3つの原因について詳しく解説していきます。
学校がいじめ問題に対応しない理由のひとつ目として、学校の校長の対応に問題があるケースが挙げられます。
学校は、校長をトップとした組織であり、基本的に学校内で起きた問題や出来事にどう対応するかは最終的に校長の判断が尊重されます。
これは、小学校や中学校、高校でも同じです。
もちろん、いじめ問題に対して正面から真摯に対応する校長もいるでしょう。
しかし、中には事なかれ主義でいじめ問題を軽視したり、放置したりする校長も少なくありません。
さらには、いじめがあることは認めつつも、「お互いに原因がある」として、話し合いや謝罪により表面的に解決させてしまうことも多くあります。
結果的に、加害者等は学校の対応を甘く見て、以前よりもさらにいじめが加速・拡大して被害者を追い込んでしまうことも考えられます。
まずは校長がいじめ問題に対してどのような対応をしてくれるのかを見極めることが重要です。
真摯な対応が望めない場合には、早い段階から弁護士など第三者に相談するようにしましょう。
担任の教師に問題があることも、学校が十分に対応しない原因となります。
担任の教師はいじめの現場にいることが多く、被害者からすればいじめを認識している唯一の大人でもあります。
被害者は担任の教師が「いじめに気付いてくれる」「先生が助けてくれる」と信じているでしょう。
しかし、そもそもいじめ問題に気付いていなかったり、気付いていたとしても加害者等に謝らせればそれでいいと思っているケースもあります。
それどころか、担任の教師にいじめを訴えたことを契機に、担任教師から二次被害を受けるというケースも見受けられます。
本来、生徒からの相談窓口として大きな役割を担うのが担任の教師のはずですが、そうでないケースも多くあるのが現状です。
そのため、いじめ問題を解決するためには、校長の場合と同様に、担任の教師がいじめ問題をどのように捉えているのかをしっかりと見極めることが大切です。
学校がいじめ問題に対応しない原因として、いじめ防止対策推進法の理解が不十分であることも考えられます。
いじめ防止対策推進法とは?
児童・生徒の間で起きているいじめの問題に対し、社会全体で向き合い、適切に対処していくための基本的な理念や体制を定めた法律で、2013年9月に施行されました。
しかし、学校が、「いじめ」の定義や「いじめ」が起きた場合に学校や教師がとるべき対応について十分理解していない場合には、適切な対応をとることはできないでしょう。
いじめ被害に遭った場合は、学校側や担任教師が「いじめ防止対策推進法」の内容をきちんと理解しているかを十分に見極める必要があります。
学校にいじめの問題を真摯に対応してもらい解決するためには、事前準備と交渉が必要です。
そのためには、以下のような、学校にいじめ問題を対応してもらうポイントを押さえておきましょう。
では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
いじめの被害について学校に対応してもらうための第一段階として、いじめの事実関係を把握することが重要です。
具体的には、「誰が」「どのような経緯で」「どのようないじめを行ったのか」などいじめの全体像を把握する必要があります。
まずは、子供にいじめについての話を丁寧に聞き、事実関係を正確に把握しましょう。
子供はいじめにより心身に深い傷を負っています。感情的にならず、子供のペースで話を聞くようにしましょう。
また、子供からヒアリングした内容はメモなどに記録しておくことで、学校に伝える際に時系列や相関図などにまとめることができ、より伝えやすくなります。
いじめ問題の解決には、「いじめがあったこと」が分かる客観的な証拠が重要です。こうした証拠を確保していれば、学校側に対して具体的な対応を求めやすくなります。
また、教育委員会や警察に相談した場合にも動いてもらいやすくなるでしょう。
いじめの証拠になり得るものとして、以下のようなものが挙げられます。できる限り証拠を確保しておきましょう。
いじめの証拠例
いじめの証拠が集まらない、どのように証拠を集めたらいいかなどのお悩みは弁護士にご相談ください。
いじめの事実関係を把握し、証拠を収集したら、学校に要望書を提出することをおすすめします。
要望書は、学校に被害状況を詳しく伝えるとともに、解決に向けて対応してほしいことを、学校側に対して正式な文面でお願いするものです。
要望書を提出することで、担任教師の協力を求めることができるだけでなく、担任をはじめ学校側に対応をお願いしたという証拠にもなります。
要望書に書くべき内容
また、弁護士に依頼し、代理人として弁護士名義で書面を提出することで、学校側が適切に対応を検討する可能性が高まります。
学校がいじめ問題に対応しない場合には、以下の対処法を検討しましょう。
では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
学校側がいじめ問題に適切に対応しない場合や、隠ぺいするような場合には、教育委員会に相談することもできます。
教育委員会とは?
主に公立学校における教育を管轄する行政機関です。
各都道府県に総括的な位置づけの教育委員会が設置されているほか、各市区町村にも教育委員会が設置されています。
教育委員会にいじめ被害を報告して事の重大さを認識してもらうことで、学校に対して指導してもらえることがあります。
これまで対応をとらなかった学校側がいじめの調査を開始するなど、何らかの動きが期待できるでしょう。
なお、教育委員会は公立学校に対する指導・監督機関であるため私立学校は教育委員会の管轄外となります。
私立学校でいじめ被害に遭った場合は、学校と所在地の都道府県に相談できます。
いじめが悪質な場合は犯罪行為に該当する場合があります。
犯罪行為に該当するいじめと罪名の一例
こうした犯罪行為を伴ういじめを受けているにも関わらず、学校側が適切に対応しない場合は、警察に相談・通報することで、加害者に対する保護処分や刑事告訴につながる可能性もあります。
いじめを警察に相談すべきケースについては、以下のページで詳しく解説しています。ご参考ください。
学校側が適切にいじめ問題を対応しない場合、弁護士に相談することも有効な手段です。
弁護士は代理人として、以下のようなサポートができます。
学校側の対応に不満や不信感がある場合は、一度弁護士へご相談ください。
いじめ問題を弁護士に相談するメリットについては、以下のページで詳しく解説しています。ご参考ください。 さらに詳しくいじめ被害は弁護士に相談すべき?メリットや費用などを解説
いじめの被害を受けたお子様は心身に深い傷を負ってしまいますが、残念ながら学校側が真摯に対応してくれないケースは数多くあります。
いじめ問題は迅速な対応が求められますので、弁護士へご相談ください。
私たち弁護士法人ALGは、学校問題に詳しい弁護士が多数在籍しております。
ご相談者様のお悩みや苦しみを丁寧にヒアリングし、解決に向けてアドバイスいたします。
また、弁護士は代理人として学校側や加害者側と交渉が可能です。
弁護士が直接学校側に対して働きかけることで、学校側が適切な対応をしてくれることが期待できます。
お子様の明るい未来を取り戻すためにも、いじめ問題や学校への対応は私たちにご相談ください。
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監修 : 弁護士 谷川 聖治 / 弁護士法人ALG&Associates執行役員
保有資格弁護士(愛知県弁護士会所属・登録番号:41560)
愛知県弁護士会所属。私たちは、弁護士82名、スタッフ171名(司法書士1名を含む)を擁し(※2021年6月末現在)、東京、札幌、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、神戸、姫路、大阪、広島、福岡、タイの13拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。
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