いじめを許さない

いじめで不登校になったときの対応は?加害者や学校への法的措置など

いじめで不登校になったときの対応は?加害者や学校への法的措置など

いじめ
監修
監修弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates執行役員

学校でいじめ被害を受けた子供が「学校に行きたくない」と思うのは当然の気持ちです。

しかし、保護者としてはどのように対応すればいいのか、不安や悩みを抱えてしまう方も多いでしょう。

いじめの不登校は非常にデリケートな問題であり、大切な子供にこれ以上の精神的負担をかけないためにも、慎重に対応する必要があります。

この記事では、いじめが原因で不登校になってしまった場合の対応や、加害者等やその保護者に対しての責任追及などについて解説していきます。

ぜひご参考ください。

いじめによる不登校の実態

いじめにより不登校になる件数は、年々増加傾向にあります。

文部科学省の調査によると、全国の小中学校における令和5年度の不登校児童・生徒数は34万6482人でした。

そのうち、いじめに関することが原因で不登校になった児童・生徒は4463人となっています。

一方、令和4年度の同調査では、不登校児童・生徒数は29万9048人で、そのうちいじめが原因で不登校になった児童・生徒数は674人です。

令和5年度の調査では、不登校の理由を複数選択できましたが、令和4年度の調査では不登校の理由を一つしか選択できませんでした。

そのため、このように「いじめ」を原因とする児童・生徒数が少なかったのでしょう。

しかし、いじめの認知件数は年々増えており、いじめを原因とした不登校も増加傾向にあります。

いじめは、被害者に精神的なストレスや学校へ行くことの恐怖心を与えるため、それが原因で不登校となることも考えられます。

いじめが原因で不登校になってしまった場合の対応

子供がいじめを原因として不登校になってしまった場合、どのように対応すべきか悩まれるでしょう。

まずは一度落ち着いて、以下の対応を心がけてください。

  1. 子供の意思を尊重する
  2. 学校に相談する
  3. 専門機関や弁護士に相談する

では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

①子供の意思を尊重する

子供が不登校になってしまうと、「勉強についていけなくなるのではないか」といった不安や焦りから、無理に学校に行くように言ってしまうこともあるでしょう。

しかし、子供が「学校に行きたくない」と言っているのであれば、無理に行かせるようなことはせず、どうしたいのか子供の意思を確認し、尊重してあげることが大切です。

子供も学校に行けないことを悩んでいるはずです。
子供の気持ちに寄り添いながら、子供の意思や状況によっては転校を検討するのも一つの選択肢でしょう。

②学校に相談する

不登校の原因が学校で行われたいじめである場合は、学校に連絡して事実確認や調査を求めましょう。

学校は、いじめ防止対策推進法により、いじめに関する通報があった場合には調査をする義務があります。

子供が安心して学校に通えるように、いじめついてしっかりと事実確認や調査を依頼しましょう。

その際、不登校による学習の遅れも心配になりますので、学習機会の確保についても相談しておくとよいでしょう。

また、学校に相談しても解決の糸口が見えてこなかったり、学校との関係がこじれてしまったりすることもあります。

こうした場合には、早期解決のためにも専門家である弁護士にご相談ください。

いじめによる不登校は「重大事態」として扱われる

不登校は、いじめ重大事態に該当する可能性があります。

いじめ防止対策推進法では、いじめのうち深刻なものを「いじめ重大事態」と位置付け、以下のように定義しています。

(いじめ防止対策推進法第28条第1項)

  • いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認められたとき。
  • いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。

学校側がいじめ重大事態の発生を認めた場合、学校側には重大事態の調査の開始、児童・生徒および保護者への報告、いじめ重大事態への対処、再発防止措置などを行うことが義務付けられています(同法第28条~32条)。

子供がいじめにより不登校になった場合は、学校へ調査の依頼をすることが大切です。

③専門機関や弁護士に相談する

いじめが原因の不登校は、被害者である子供の精神的ケアやきめ細やかなサポートが重要であり、保護者の方だけでは対応が難しい場合もあります。

学校へ行かない子供を責めたり、焦って無理やり学校に連れて行ってもいじめの問題は解決しません。

それだけでなく、保護者の精神的負担も大きくなることが予想されます。

いじめによる不登校は保護者の方だけで悩まず、以下のような専門機関にご相談ください。

スクールカウンセラー

子供の人権110番:法務省https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken112.html
電話番号:0120-007-110
受付時間:月~金曜日、8時半~17時15分
※メールやLINEでも相談可能

24時間子供SOSダイヤル:文部科学省https://www.mext.go.jp/ijime/detail/dial.htm
電話番号:0120-0-78310
受付時間:24時間

チャイルドライン:チャイルドライン支援センターhttps://childline.or.jp/tel/
電話番号:0120-99-7777
受付時間:午後4時~午後9時

また、学校問題やいじめ問題に詳しい弁護士への相談も有効です。

弁護士であれば法的な観点からアドバイスを受けられるでしょう。

学校側や加害者に対してできる法的措置

いじめが原因で不登校になった場合、学校側および加害者等、その保護者に対して法的責任を追及することができます。

具体的には、学校や加害者に損害賠償請求をする民事訴訟と、犯罪行為について処罰を求める刑事告訴などがあります。

ここからは、学校側への法的措置加害者およびその保護者への法的措置について詳しく見ていきましょう。

学校側への法的措置

学校側は、児童・生徒が安心かつ健全な学校生活を送れるよう安全配慮義務を負っており、いじめの防止・対策を講じる義務があります。

学校側がこのような義務に違反している場合は、学校側に損害賠償請求できる可能性があります。

具体的には以下のような場合に学校側に安全配慮義務違反が認められる可能性があります。

  • いじめの兆候や報告があったのに放置した
  • 十分な調査や指導も行わず、いじめを放置したことで被害が拡大・長期化した
  • 加害生徒の暴力や金銭要求など把握しながら具体的な対策を取らなかった

このように学校側がいじめを把握していたにもかかわらず、具体的な対策を講じなかったことにより被害生徒が不登校になったような場合には、学校側に損害賠償請求することを検討しましょう。

加害者およびその保護者への法的措置

いじめは法律上の不法行為であるため、被害者は加害者に対して損害賠償を請求できます。

ただし、加害者本人が自分の行った行動の責任について理解できない場合には、責任能力なしと判断されて加害者本人に損害賠償を請求できないこともあります。

何歳であれば責任能力が備わるのか、明確な定めはありませんが、おおむね10歳~12歳で備わるものと考えられています。

このように、加害者本人に損害賠償を請求できない場合は、加害者の保護者に対して監督義務者の責任に基づく損害賠償を請求するのが一般的です。

また、いじめが以下のように悪質な場合、犯罪行為に該当する可能性があり、刑事責任を問うこともできます。

  • 暴力(怪我を負わなかった場合も含む)➡暴行罪、傷害罪
  • 金品のカツアゲ➡恐喝罪、強盗罪
  • 万引きの強要➡強要罪
  • 持ち物を摂取する➡窃盗罪
  • 性的行為の強要➡強制わいせつ罪、強制性交等罪、不同意性交等罪
  • ネットでの誹謗中傷➡名誉棄損罪、侮辱罪

いじめによる不登校への文部科学省の対応

いじめによる不登校への対応として、文部科学省は「不登校・いじめ緊急対策パッケージ」を公表しました。

不登校・いじめ緊急対策パッケージでは、不登校の児童・生徒が安心して学べる場所を提供し、心のSOSを早期発見することを目的とし、主に以下の支援を行っています。

①不登校の児童・生徒すべての学びの場の確保

  • 落ち着いた空間で学習・生活できる環境を学校内に設置するため、校内教育支援センター(スペシャルサポートルーム等)未設置校への設置促進
  • 学校内外で支援が受けられていない児童生徒がオンラインで自宅等から学べるよう、教育支援センターのICT環境整備
  • どこにもつながっていない児童生徒に支援を届けるため、自治体の体制を強化することを目的とした、教育支援センターのアウトリーチ機能など、総合的拠点機能の強化

②心の小さなSOSの早期発見

  • アプリ等による、困難を抱える児童生徒の支援や専門家の支援を活用した心や体調の変化の早期発見・早期支援を目的とした、「心の健康観察」の推進
  • 1人1台端末を活用した、子供のSOS相談窓口の集約・周知
  • より課題を抱える重点配置校へのスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置充実

③情報発信の強化

  • 学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校。以下同じ。)設置ノウハウや課題の共有のための全国会議を開催するとともに、設置経験者を自治体に派遣し相談・助言が受けられる制度の創設
  • 各教育委員会において作成した地域の相談支援機関等に関する情報の文部科学省HPでの一括発信

いじめを原因とした不登校で弁護士ができるサポート

いじめが原因で子供が不登校になってしまった場合、弁護士へご相談ください。
弁護士は以下のようなサポートが可能です。

  • 加害者側や学校側への対応を任せられる
  • 学校へいじめの事実確認や調査を求めることができる
  • 学習機会を確保するために学校側と協議を行うことができる
  • 民事訴訟や刑事告訴などの対応を任せられる
  • 損害賠償請求に必要な証拠のアドバイスをもらえる
  • いじめ再発防止策を提案できる

このほかにも、ご相談者様の個別事情によって様々なサポートが期待できます。

いじめによる不登校の悩みは弁護士法人ALGにご相談ください

いじめによってお子様が不登校になった場合、保護者として加害者側や学校側に「責任を追及したい」と思われるのは当然のお気持ちです。

しかし、お子様の心のケアをしながら、責任を追及するのは、大きな精神的負担がかかってしまいます。

いじめによる不登校のお悩みは、弁護士にご相談ください。

弁護士であればご相談者様の状況に応じた対応を検討し、学校に対して適切な対応や学習機会の確保を求めることができます。

また、加害者側への法的措置も任せることが可能です。

私たち弁護士法人ALGは、いじめ問題や学校問題に詳しい弁護士が多数在籍しております。

いじめによる不登校は、被害に遭ったお子様や保護者様だけで悩まず、私たちにご相談ください。

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