いじめを許さない

教師によるいじめの対処法は?事例や5つの方法を弁護士が解説

教師によるいじめの対処法は?事例や5つの方法を弁護士が解説

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監修
監修弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates執行役員

教師は本来、いじめを受けた児童・生徒を守る立場にあります。
しかし、教師という立場にありながら、児童・生徒に対していじめを行うケースも少なくありません。

教師からいじめを受けた場合は、学校や教育委員会の相談窓口、警察、弁護士などに早めに相談する必要があります。

この記事では、教師によるいじめのパターンや事例、教師によるいじめを受けた場合の対処法などについて解説していきます。ぜひご参考になさってください。

教師によるいじめのパターン・事例

教師は生徒・児童を守る立場にありながら、児童・生徒に対しいじめを行う場合があります。

教師によるいじめのパターンとしては、以下のようなものがあります。

  • 体罰
  • 恫喝・侮辱的な言動
  • 集団無視の呼びかけ
  • 特定の児童に対する嫌がらせ
  • 服装・髪型への指導

では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

体罰

教師が児童・生徒の身体に対し、直接的または間接的に肉体的苦痛を与えるものを体罰といいます。

学校教育法第11条では、「体罰を加えることはできない」と明記しており、法律上の禁止行為に当たります。

体罰の具体例

  • 授業中に立ち歩いている生徒を注意したが従わないため押し倒したところ、生徒が骨折した
  • 部活動の試合で負けた生徒に対して頬を複数回叩いた
  • 放課後居残り学習をさせている児童が便意を訴えたのにトイレに行かせなかった など

体罰の事例

高校の男子バレーボール部顧問である男性教諭が、部活の指導において、部員生徒の髪をつかんで引きずり、顔面にボールをぶつけるなどしたことから、警察は男性教諭を暴行容疑で逮捕しました。

恫喝・侮辱的な言動

児童・生徒に対して容姿や勉強の出来・不出来などに関して恫喝したり、侮辱的な言動をしたりする教師も存在します。

他の生徒の前で、特定の生徒を公然と侮辱することは、名誉棄損罪(刑法第230条)や侮辱罪(刑法第231条)に該当する場合もあります。

恫喝・侮辱的な言動の具体例

  • 「進学できなくしてやる」「お前の人生を終わらせてやる」と暴言を吐く
  • 「生きている価値がない」「親の顔が見てみたい」と人格否定をする
  • 机をたたく、大声で怒鳴る など

恫喝・侮辱的な言動の事例

県立高校の男性教諭が、生徒に対して「お前は必要とされていない」などと恫喝・罵倒した直後に、生徒が校舎から飛び降りて骨折する事故が発生しました。

この事件について、裁判所は県に220万円の損害賠償を命じました。

集団無視の呼びかけ

教師が児童・生徒に対して、特定の児童・生徒を集団で無視するよう呼びかけるケースもあります。
生徒同士のいじめを排除すべき立場にある教師が、率先していじめを呼びかけるなど言語道断です。

集団無視の呼びかけの具体例

  • 「〇〇(生徒名)はクラスの空気を悪くしている。みんな無視しよう」とあからさまな呼びかけをする
  • 「〇〇がいなくなったらクラスが静かになるのにね」と仲間外れ・孤立を促す など

集団無視の呼びかけの事例

市立小学校において、男性教師が特定の児童に対する集団無視を呼びかけ、問題となりました。

この問題については、市教育委員会が記者会見を開いて謝罪し、報告書をまとめています。

特定の児童に対する嫌がらせ

教師が個人的に気に入らない児童・生徒に対して嫌がらせをするケースもあります。教師としての資質を欠く行為のみならず、生徒・児童の心身に大きな影響を与える可能性があるでしょう。

特定の児童に対する嫌がらせの具体例

  • 授業中に特定の児童だけを当てない、あるいは常に無視する
  • 同じルールでも特定の児童だけを厳しく罰する
  • 他の児童の前で恥をかかせるような叱り方をする など

特定の児童に対する嫌がらせの事例

市立小学校の教師が児童4人に対してプリントを配布しない、給食を少量にしか盛り付けないなどの差別的な行為をして問題となりました。

市教育委員会は当該教師を懲戒免職処分としました。

服装・髪型への指導

特に高等学校では、学校によってさまざまな校則があります。

教師としては「校則を守らせる」気持ちで指導に当たっていても、不適切な指導により児童・生徒が精神的苦痛を負う場合があります。

服装・髪型への指導の具体例

  • 「くせ毛は不良の象徴だ。縮毛矯正しろ」
    ⇒地毛やルーツのある生徒を理解せず、矯正を強要する
  • 「男のくせに紙が長いのは気持ち悪い」「女の子は清楚じゃなきゃ」
    ⇒個人的な価値観を押し付ける指導をする など

服装・髪型への指導の事例

生徒が通う学校では、校則で染髪や脱色が禁止されていたため、入学前に母親が生まれつき茶色い髪であることを説明し、配慮を求めました。

しかし、生徒は何度も黒染めを強要され、「髪を黒くしないなら、学校に来る必要はない」と不登校に追い込まれました。

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教師によるいじめを受けた場合の5つの対処法

教師からいじめを受けた児童・生徒がひとりで立ち向かうことは、かなりの勇気や意思が必要です。
また、教師に逆らったことでいじめが加速するなど、さまざまリスクもあります。

教師からのいじめ被害は、速やかに以下の対処法を検討しましょう。

  1. 学校にクレームを入れる
  2. 教育委員会に相談する
  3. いじめの相談窓口を利用する
  4. 警察に被害届を出す
  5. 弁護士に相談する

いじめの対処法については、以下のページで詳しく解説しています。 さらに詳しく学校のいじめに対する対処法は?解決のポイントなどを解説

①学校にクレームを入れる

学校側が教師によるいじめを認識していない場合には、学校にクレームを入れることも有効です。
学校が教師のいじめについてクレームを聞き入れてくれれば、教師に対する指導や処分がなされ、状況の改善が期待できます。

ただし、学校側がクレームをなかったことにすることも想定されます。その場合には、別の専門機関への相談を検討しましょう。

②教育委員会に相談する

国立や公立学校であれば、教育委員会に対して、学校の指導や監督を求めることができます。
学校にクレームを入れても対応されない場合は、教育委員会に相談してみましょう。

教育委員会によって教師のいじめが認められ、懲戒処分などが行われた場合には、問題の解決が期待できます。

一方で、私立学校の場合には、教育委員会による指導や監督が十分に及ばないこともあります。私立学校で教師によるいじめ被害を受けた場合は、文部科学省の教育相談の利用を検討しましょう。

③いじめの相談窓口を利用する

教師によるいじめを受けると学校そのものが信用できなくなってしまうでしょう。どのように対応すべきか悩まれる場合には、以下の相談窓口も利用してみてください。

また、窓口とのやりとりは証拠として記録に残しておきましょう。

④警察に被害届を出す

教師からのいじめが、以下のような犯罪行為に当たる場合は、速やかに警察へ相談しましょう。

  • 殴る・蹴るなどの暴力行為:暴行罪・傷害罪
  • 脅して言うことを聞かせる:脅迫罪、恐喝罪、強要罪
  • 侮辱・誹謗中傷する:侮辱罪、名誉棄損罪
  • 不同意わいせつ罪

その際、被害の事実を裏付ける客観的な証拠があれば、警察が迅速に動いてくれる可能性があります。

証拠の具体例

  • いじめ現場を撮影した写真・動画
  • いじめ現場を録音した音声データ
  • 医師の診断書(怪我をした場合など)
  • 被害者本人の日記
  • 第三者の証言 など

証拠を集める際は、いじめ加害者である教師に証拠を集めていることを悟られないようにすることが大切です。

いじめの警察への相談や、犯罪行為を伴ういじめについては、以下のページで詳しく解説しています。 さらに詳しくいじめは犯罪にならないの?法律で裁けない?被害者がとれる対処法

⑤弁護士に相談する

教師によるいじめにより精神的苦痛を受けた場合や、怪我を負った場合、転校を余儀なくされた場合などは、教師や学校に対して損害賠償を請求することも検討できます。

いじめを行った教師やそれを見過ごしていた学校側に何らかの訴えを起こす場合には、弁護士に相談することでスムーズに進められるでしょう。

教師によるいじめで弁護士がサポートできること

  • 教師や学校側とのやり取りを任せられる
  • 示談交渉や民事訴訟、刑事告訴などの対応を任せられる
  • 損害賠償請求に必要な証拠に関するアドバイスをもらえる
  • 学校に対する適切な調査や報告書作成の働きかけができる

教師からいじめを受けている児童・生徒や保護者の方は、ひとりで抱え込む必要はありません。すぐに弁護士へご相談ください。

いじめ問題を弁護士に相談・依頼するメリットについては、以下のページで詳しく解説しています。 さらに詳しくいじめ被害は弁護士に相談すべき?メリットや費用などを解説

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教師によるいじめは法律で禁止されている?

教師によるいじめは学校教育法いじめ防止対策推進法により、以下のように定められています。

学校教育法

学校教育法第11条では、「体罰を加えることはできない」と明確に定められています。よって、教師は教育上必要がある場合でも、児童・生徒に叩く・蹴るなどの体罰を与えることは禁止されています。

いじめ防止対策推進法

いじめ防止対策推進法第2条では、いじめを受けた本人が心身の苦痛を感じるものは、幅広くいじめに該当すると定義しており、教師によるいじめも例外ではありません。

教師の行為により精神的苦痛を受けた場合はいじめとなり、法律上の不法行為とみなされます。

教師によるいじめ被害に遭われたら弁護士法人ALGにご相談ください

本来児童・生徒の味方となり、手本となるべき教師からいじめを受けた場合、精神的苦痛が大きくなるだけでなく、学校を信用できなくなることが予想されます。

教師によるいじめ被害は、弁護士へ相談することで、解決につながる可能性があります。

私たち弁護士法人ALGは学校問題に詳しい弁護士が、ご相談者様の代理人として教師や学校側と交渉したり、教師の処分を求めるサポートを精力的に行っていきます。

大切なお子様がいじめ被害を受けたとき、保護者の方のきめ細やかなサポートが必要です。弁護士であれば、教師や学校側との対応を任せられるため、お子様のケアに集中できるでしょう。

教師によるいじめは、私たちにお話をお聞かせください。

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