いじめ被害の中には、暴力を伴う悪質ないじめもあります。
暴力はケガを負ってしまうだけでなく、後遺症が残ったり、最悪の場合、死亡に至ってしまう事態になりかねません。
暴力を伴ういじめ被害を受けている場合は、学校のほかに警察や弁護士などにも相談し、連携して対応すべきでしょう。
この記事では、暴力を伴ういじめの例や、暴力を伴ういじめを受けた場合にすべきことなどについて解説していきます。ぜひご参考ください。
目次
暴力によるいじめは、叩く・ぶつかる・殴る・蹴るなど、被害者に直接危害を加える悪質な行為です。
令和4年度の文部科学省による児童生徒の問題行動などに関する調査では、暴力を伴ういじめの件数が以下のとおり集計されています。
| 小学校 | 中学校 | 高等学校 | 特別支援学校 | 合計 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 国立 | 1090件 | 88件 | 1件 | 38件 | 1217件 |
| 公立 | 14万0036件 | 1万5506件 | 957件 | 672件 | 15万7171件 |
| 私立 | 577件 | 319件 | 347件 | 2件 | 1245件 |
| 合計 | 14万1703件 (88.7%) |
1万5913件 (9.9%) |
1305件 (0.8%) |
712件 (0.4%) |
15万9633件 |
| 小学校 | 中学校 | 高等学校 | 特別支援学校 | 合計 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 国立 | 378件 | 34件 | 0件 | 7件 | 419件 |
| 公立 | 3万6836件 | 6019件 | 352件 | 156件 | 4万3363件 |
| 私立 | 156件 | 128件 | 115件 | 0件 | 399件 |
| 合計 | 3万7370件 (84.5%) |
6181件 (13.9%) |
467件 (1.0%) |
163件 (0.36%) |
4万4181件 |
上記の表からも、暴力によるいじめは小学生が最も多いことが分かります。
周囲から見ると「遊びの一環」や「遊びの延長」だけに見えることもありますが、いじめが発展すると、周りに気付かれないように力加減をして危害を加えるケースもあり、注意が必要です。
暴力を伴ういじめの具体例として、以下のようなものが挙げられます。
暴力によるいじめは、被害者の身体・精神に大きな危害を与えるものです。
大人になってもトラウマに悩まされるケースもあり、非常に悪質性が高いといえるでしょう。
暴力を伴ういじめを受けたらまずは以下の点を確認し、対応しましょう。
では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
子供が暴力を伴ういじめを受けたら、まずはケガの有無や程度を確認します。
このとき、「すぐ治るだろう」と自己判断せず、ケガを見つけたら病院を受診し、診断書を発行してもらいましょう。
また、子供が眠れなくなったり、不安が強く出ているようなケースでは、必要に応じて診療内科や精神科を受診し、多方面から子供のケアをしてあげましょう。
子供がいじめられただけでなく、ケガを負った場合、保護者の方の怒りや悲しみは計り知れないものです。
しかし、感情に任せて性急な対応をしてしまうと、かえって解決が遠のいてしまうこともあります。
暴力を伴ういじめを適切かつ早急に解決するためには、子供とよく話し合ったうえで、子供の意見を尊重することが大切です。
いじめによって暴力を受けた場合は、その証拠を残しておくことが大切です。
証拠は加害者側からいじめの事実を否定された場合や損害賠償請求や刑事告訴など責任を追及したい場合に必要となります。
具体的な証拠には、ケガの写真や医師の診断書、被害者本人の日記、第三者の証言などがあります。
また、加害者等といじめの内容がわかるようなやり取りをした履歴や、暴力を受けた様子が分かる音声や映像があると有力な証拠となります。
証拠の具体例
暴力を伴ういじめを受けた場合は、学校へ連絡・相談しましょう。いじめ問題を解決に導くためには学校の協力が必要不可欠です。
その際、学校側とより良い関係で調査が進められるよう、以下の点に注意して相談しましょう。
学校に相談する際のポイント
いじめ防止対策推進法第23条2項では、学校にいじめの相談があった場合、学校側にはいじめの事実の有無の確認を行うための措置を講ずる義務があると定めています。
そのため、学校に連絡する際はいじめがあったことの他に、いじめについて調査を求めることが大切です。
いじめの内容が暴行、傷害、脅迫、恐喝など、犯罪行為に該当する場合は、警察に相談しましょう。
警察に「被害届」や「告訴状」を提出することで、加害者等の刑事責任の追及ができる場合があります。
しかし、いじめの被害を受けた子供は心の傷を負っています。
保護者の方はまず、子供のケアが最優先であり、こうした手続きを準備することは精神的負担がかかってしまうでしょう。
そのため、子供がいじめの被害に遭った場合は弁護士にご相談ください。
弁護士であれば、証拠収集や学校側・加害者側との交渉、損害賠償請求や刑事告訴など、法的観点から幅広く対応することが可能です。
暴力によるいじめ被害を受けた場合は、弁護士へご相談ください。
弁護士は法的観点から、以下のようなサポートが可能です。
では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
弁護士は依頼者の代理人として加害者側や学校側とやり取り(交渉)することが可能です。
もちろん、加害者側や学校側とのやり取りは保護者の方でも可能です。
しかし、自分の子供をいじめていた加害者側や、いじめに気付けなかった学校側と直接やり取りするのは、冷静な話し合いが難しくなるだけでなく、大きな精神的負担がかかってしまいます。
その点、弁護士に加害者側や学校側とのやり取りを任せれば、顔を合わせなくて済むだけでなく、法的観点に沿って話し合うことで、解決までスムーズに進む可能性が期待できます。
また、学校側に対して早急ないじめ問題への調査の働きかけや、再発防止策の提案が可能です。
弁護士は、損害賠償請求の交渉や訴訟の手続きなどにも対応できます。
いじめは民法上の不法行為であり、被害者がいじめにより被った損害は加害者側に請求することができます。
暴力を伴ういじめは、慰謝料だけでなく、ケガの治療費や通院にかかる費用など、請求できる項目が多岐にわたります。
また、暴力によって負ったケガが後遺症として残ってしまった場合は、損害賠償金が高額になる可能性もあります。
弁護士であれば、交渉や訴訟手続きのサポートだけでなく、法的知識や過去の判例に基づき、適切な損害賠償金を漏れなく請求していきます。
暴力を伴ういじめは、暴行罪や傷害罪、恐喝罪などの罪が成立するケースがあります。
犯罪行為を伴ういじめに遭った場合は、被害者又はその法定代理人は、検察官や司法警察員に対して刑事告訴をすることができます。
しかしながら、犯罪行為を伴ういじめについて捜査してもらうには複雑な手続きが必要です。弁護士であれば、刑事告訴の手続きや対応を任せられます。
また、加害者側から示談交渉を持ち掛けられた場合の対応も任せることが可能です。
大切なお子様が暴力によるいじめを受けていると知った場合、すぐにでも学校側や加害者側に訴えを起こしたいというのは、当然のお気持ちです。
しかし、暴力を伴ういじめを解決に導くためには、警察や弁護士との連携が重要です。適切に対応するためにも、私たち弁護士法人ALGにご相談ください。
私たちは学校問題やいじめ問題に詳しい弁護士が多数在籍しております。
ご相談者様のご希望に沿った解決となるよう加害者側や学校側との交渉や、損害賠償請求、刑事告訴などについてサポートしていきます。
お子様の明るい未来のためにも、いじめ問題はお一人で悩まず、まずは一度私たちにお話をお聞かせください。
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監修 : 弁護士 谷川 聖治 / 弁護士法人ALG&Associates執行役員
保有資格弁護士(愛知県弁護士会所属・登録番号:41560)
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