任意整理のメリット・デメリットを解説!どんな人に向いている?


任意整理は、裁判所を介さずに債権者と直接交渉することで借金の減額を図る手続きです。
債務整理手続きのなかでも、比較的手続きが簡易で生活への影響が少ないのがメリットですが、一方ですべての人に任意整理が向いているとは言えず、デメリットもあります
この記事では、借金がなかなか減らず任意整理するべきか悩まれている方に向けて、任意整理のメリット・デメリットを解説していきます。
債務整理手続きのなかでも任意整理が向いている人と向かない人の特徴もお伝えしていくので、ぜひ参考になさってください。
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任意整理とは
任意整理とは、債権者と直接交渉して借金の減額を図る手続きです。
借金問題の解決方法である債務整理のひとつで、裁判所を介さず行えるというのが、ほかの手続きと大きく異なります。
債権者との交渉で利息のカットや返済期間の延長について和解が成立すれば、毎月の返済負担が軽減し、借金の総額を減らすことができます。
借金の大幅な減額には至りませんが、債務整理の手続きのなかでも比較的簡易でリスクも小さいことから、借金に悩んでいる方の多くが任意整理を選択しています。
とはいえ、誰でも任意整理が行えるわけではなく、手続きを行うにあたってはいくつかの条件があります。
任意整理のメリット
債務整理手続きのなかでも多くの方が利用している任意整理には、次のようなメリットがあります。
- 利息がカットされ、返済額を減額できる
- 完済の見通しが立つ
- 債権者からの督促が止まる
- 会社や家族に知られるリスクが低い
- 財産を手放さずに済む
これらのメリットについて、次項で詳しくみていきましょう。
①利息がカットされ、返額を減額できる
任意整理の最大のメリットは、利息のカットによって借金の返済額が減額できる可能性があることです。
任意整理では、交渉次第で将来利息・経過利息・遅延損害金をカットできる可能性があり、これによって元金のみの返済となれば返済額の減額につながります。
将来利息 | ・債権者との和解が成立してから借金を完済するまでに発生する利息 |
---|---|
経過利息 | ・最後に借金を返済した日から債権者との和解が成立するまでに発生した、未払いとなっている利息 |
遅延損害金 |
・借金の返済が遅れたことで発生するお金 ・遅滞利息や遅延利息とも呼ばれる |
※利息や遅延損害金は必ずカットできるとは限りません
②完済の見通しが立つ
任意整理を行うにあたり、利息のカットとあわせて返済期間を見直すことで完済の見通しが立てられるようになります。
任意整理を検討されている方のなかには「毎月、利息分しか払えなくて完済の目途が立たない」とお困りの方も多いです。
任意整理では一般的に、「利息がカットされた元金を3年(最長5年)で分割返済する」という内容で和解交渉がまとまることが多いので、完済の見通しが立つほか、毎月の返済の負担軽減にもつながります。
③債権者からの督促が止まる
弁護士などの専門家へ任意整理を依頼すると、債権者からの督促を一時的に止めることができます。
これは、専門家から債権者に受任通知が送付されるためです。
受任通知を受けた債権者は以降、直接債務者と連絡を取ることが法律上禁じられているので、受任通知が送付されて一週間ほどすると、債権者からの督促や取り立てがストップします。
また、任意整理手続きが完了するまでは、債権者とのやり取りも専門家に一任できるので、不安やストレスから解放されます。
④会社や家族に知られるリスクが低い
任意整理はほかの債務整理手続きと比較して、会社や家族に知られるリスクが低いです。
その理由として、次の2つが挙げられます。
-
官報に掲載されない
官報とは、裁判所での決定事項などが掲載されている、国が発行する広報誌です。
裁判所を介する個人再生や自己破産では、住所や氏名が官報に掲載されるのに対し、任意整理は裁判所を介さない手続きなので、官報に掲載されて周囲に知られることがありません。 - 会社や家族の協力が得られなくても手続きが行える ほかの債務整理手続きでは、裁判所へ提出する資料のなかに会社や家族の協力が必要なものもありますが、任意整理ではその必要がないので、周囲に知られるリスクは低いです。
弁護士に、「周囲に知られたくない」と伝えておくことで、郵便やメールなど配慮した対応をしてもらうことも可能です。
⑤財産を手放さずに済む
任意整理は、債務整理したい債権者を選んで手続きができるので、財産を手放さずに済みます。
ほかの債務整理手続きでは債務整理したい債権者を選べないので、ローンの返済が残っている車や持ち家は基本的に手放すことになります。
一方、債務整理では、自動車ローンや住宅ローンを任意整理の対象から外すことで、車や持ち家を手放さずに済みます。
また、自己破産のように高額な財産が回収されることもありません。
債務整理したい債権者を選べるので、保証人がついた債務を対象から外すことで、保証人への影響を回避することも可能です。
任意整理のデメリット
債務整理手続きのなかでも比較的リスクの少ない任意整理ですが、次のようなデメリットがあります。
- ブラックリストに掲載される
- 借金の元金は減額されない
- 交渉に応じてもらえないケースもある
- 保証人に返済請求がいく可能性がある
任意整理したことを後悔しないためにも、これらのデメリットについて次項で詳しくみていきましょう。
①ブラックリストに掲載される
任意整理をすると、債務整理したことが事故情報として信用情報機関(JICC・CIC・KSC)に掲載される、いわゆるブラックリストに載ることになります。
ブラックリストに載っている期間は次のような制限が生じます。
- クレジットカードの新規作成・利用ができない
- ローンやキャッシングなどの新たな借入れができない
- 家族や友人の保証人になれない
- 携帯電話やスマホを分割払いで購入できない
- 賃貸契約ができない など
ブラックリストに掲載されるのはいつまで?
借金を完済した日から5年が経過するとブラックリストから事故情報が削除されます。
情報が削除されたかどうかは、信用情報機関に開示請求することで確認することができます。
②借金の元金は減額されない
任意整理で減額できる可能性があるのは将来利息や遅延損害金なので、借金が大幅に減額されるわけではありません。
個人再生のように元金が大幅に減額されることも、自己破産のように借金の返済義務が免除されることもないので、任意整理しても基本的には元金の返済義務は残ります。
利息が減額される分、返済総額は減りますが、元金が完済できるまで3~5年かけて毎月返済し続ける必要があるので、利息のカットや返済期間の延長だけでは完済できそうにない場合は、ほかの債務整理手続きも検討しましょう。
③交渉に応じてもらえないケースもある
任意整理を行うためには債権者の合意が必要ですが、そもそも交渉に応じてもらえないケースもあります。
次のいずれかに該当するケースでは、交渉に応じてもらえない可能性が高いです。
- 取引期間が短い場合
- 借入れ後すぐに滞納している場合
- 一度も返済実績がない、あるいは返済実績がほとんどない場合
- 収入がない、あるいは収入が少ない場合
このほか、債権者の方針で任意整理に応じないケースや、弁護士による交渉でなければ対応してもらえないケースもあるので、任意整理を成功させるためには自力で債権者と交渉するのではなく、債務整理に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。
④保証人に返済請求がいく可能性がある
保証人のついた債務を任意整理の対象とした場合、債権者から保証人へ返済請求がいく可能性があります。
任意整理によって債務者が分割返済することになっても、保証人が一括返済を迫られる可能性もあります。
任意整理によって保証人に迷惑をかけないためには、「保証人と連名で任意整理を行う」、「保証人のついた債務は任意整理の対象から外す」などの対策が大切です。
任意整理が向いている人と向かない人の特徴
向いている人の特徴
任意整理に向いているのは、借金が比較的少額で、一定の収入がある人です。
とくに、次のいずれかに該当する人は任意整理によるメリットが大きいので、債務整理手続きのなかでも任意整理を優先的に検討してみましょう。
- 借金の総額が年収の3分の1を超えている人
- 安定した収入があって、借金の元金を3~5年程度で完済が見込める人
- 車や持ち家などの財産を残したまま債務整理をしたい人
- 債務整理をすることで保証人に迷惑をかけたくない人
- 周囲に知られずに債務整理をしたい人
- 複数の借入れがある人
- 毎月の返済で生活が苦しく、返済が遅れそうな人
- すでに滞納している借金がある人 など
向かない人の特徴
次のいずれかに該当する人は、任意整理をしても効果がほとんどなかったり、そもそも任意整理ができなかったりして任意整理に向かないと考えられます。
- 借金の総額が大きく、3~5年程度では完済の目途が立たない人
- 元金を3~5年以内に完済できるだけの収入が見込めない人
- 安定した収入がなく、継続して返済できない人
- 取引期間が短かったり、借入れ後すぐ滞納したりして、返済の実績がほとんどない人
- 奨学金や住宅ローンなど、もともと金利の低い借入れをしている人
- すでに給料や財産を差し押さえられている人 など
任意整理が向かない人は、自己破産や個人再生といった、任意整理以外の債務整理手続きを検討しましょう。
自己破産や個人再生がどのような手続きかお知りになりたい方は、以下ページをご参考ください。
任意整理を弁護士に相談・依頼するメリット
任意整理の交渉を任せることができる
任意整理を弁護士に依頼すると、債権者との和解交渉を任せることができます。
任意整理で利息カットや返済期間の延長により借金を減額できるかは、交渉次第です。
弁護士が知識や経験に基づいて交渉することにより、将来利息だけでなく、経過利息や遅延損害金の減額が実現したり、過払い金の返還が受けられたりして、より有利な条件で和解できる可能性が高まります。
もし任意整理で和解できなかった場合は、個人再生や自己破産に移行することも検討しなければなりませんが、弁護士であれば任意整理以外の債務整理手続きについても適切なアドバイス、サポートが可能です。
無理のない返済計画を立てることができる
任意整理を弁護士に相談・依頼することで、無理のない返済計画を立てることができます。
実現が不可能な返済計画は、任意整理が失敗する原因となりかねません。
ご自身の収入や借金の状況について弁護士としっかり相談しながら、無理のない返済計画を立てることで、債権者も和解に応じやすくなり、任意整理の手続きをスムーズに進めることができます。
手続きの時間や手間がかからない
任意整理を弁護士に相談・依頼することで、手続きにかかる時間や手間などの負担軽減につながります。
任意整理手続きでは、債権者との和解交渉のほかにも、債権者に対する取引履歴の開示請求や、過払い金・元金の残高を確認するための引き直し計算など、さまざまな手順を踏まなければなりません。
任意整理は専門知識がなければ難しい手続きが多いため、自力で行おうとするとどうしても時間がかかってしまいます。
弁護士に依頼すると煩雑な手続きを全て任せることができるので、労力面や精神面で負担を感じずに任意理整理を進めることができます。
任意整理すべきかお悩みなら、債務整理に詳しい弁護士にご相談ください
任意整理は、比較的簡易な手続きで借金の軽減を目指すことができます。
ほかの債務整理手続きに比べてリスクが小さいとはいえ、デメリットがゼロというわけではありません。
任意整理で失敗しないためには、どのようなメリット・デメリットがあるのかを知っておくことが大切です。
任意整理するべきか悩まれている方は、一度弁護士法人ALGまでご相談ください。
まずは、現在どのようなことでお困りなのかを丁寧に伺い、そもそも任意整理を行うべきか、任意整理をするのであればどのようなことに注意すべきかをアドバイスいたします。
任意整理以外の債務整理手続きをサポートすることもできますので、まずはお気軽にお問合せください。
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監修:弁護士 谷川 聖治 / 弁護士法人ALG&Associates福岡法律事務所 所長

監修:弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 所長
保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)
福岡県弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ 名を擁し()、東京、を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。