ギャンブルによる借金でも個人再生できる?手続き中の注意点なども解説

ギャンブルによる借金でも個人再生できる?手続き中の注意点なども解説

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監修
監修弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates福岡法律事務所 所長 弁護士

「ギャンブルに夢中になって、いつの間にか自力で返済しきれないほどの借金を抱えていた」
このような問題に悩まれている方も少なくないでしょう。

借金の原因が問われない“個人再生”なら、ギャンブルによる借金でも大幅に減額できる可能性があります。

本記事では、ギャンブルによる借金でも個人再生できるかどうかを、個人再生の手続き中にギャンブルをしてしまったときの対処法にも触れつつ解説していきます。

ギャンブルによる借金でも個人再生はできる?

ギャンブルによる借金でも個人再生ができます。

個人再生の手続きでは自己破産のように借金の原因について制限がないので、次に挙げる個人再生の開始要件を満たしていれば、借金の原因がギャンブルであるという理由で申立てが却下されることはありません。

個人再生の開始要件

  • 住宅ローンを除いた債務総額が5000万円以下であること
  • 将来にわたり継続的に収入を得る見込みがあること
  • 債務者に支払い不能の生ずるおそれがあること
  • 給料などの安定した収入があり、その変動幅が小さいこと
    (給与所得者等再生の場合)
  • 過去7年以内に個人再生や自己破産、ハードシップ免責を申し立てていないこと
    (給与所得者等再生の場合)

個人再生の利用条件については以下ページで詳しく解説していますので、ご参考ください。

さらに詳しく個人再生とは|メリット・デメリットや手続きの流れ、費用など

個人再生の不認可事由とは

個人再生の不認可事由とは、再生計画が裁判所に認可されない条件のことです。

ギャンブルによる借金は、自己破産による免責が認められない“免責不許可事由”に該当しますが、個人再生における “不認可事由”には当てはまらないので、手続きが廃止されたり不認可となったりする心配もありません。

再生計画が不認可となる条件については、民事再生法で次のように定められています。

【民事再生法 第174条2項】
裁判所は、次の各号のいずれかに該当する場合には、再生計画不認可の決定をする。

  • 再生手続又は再生計画が法律の規定に違反し、かつ、その不備を補正することができないものであるとき。ただし、再生手続が法律の規定に違反する場合において、当該違反の程度が軽微であるときは、この限りでない。
  • 再生計画が遂行される見込みがないとき。
  • 再生計画の決議が不正の方法によって成立するに至ったとき。
  • 再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するとき。

上記のほか、個人再生の手続きの種類(小規模個人再生・給与所得者等再生)ごとの不認可事由もありますが、いずれも借金の原因が問われることはありません。

個人再生で重視されるのは、再生計画通りに返済を継続できるかどうかなので、返済の見通しが立たない場合や誠実さに欠ける場合には、再生計画が認可されない可能性があります。

個人再生が認められないケースとは

開始要件を満たしていない場合再生計画の不認可事由に該当する場合のほかにも、次に挙げるケースのいずれかに該当する場合は、借金の原因がギャンブルかどうかにかかわらず個人再生が認められない可能性があります。

個人再生の申立棄却事由に該当する場合
次のいずれかに該当すると、個人再生を申し立てても裁判所から棄却されてしまいます。

  • 費用の予納がないとき
  • 破産手続が進行していて、破産手続によることが債権者に利益があると考えられたとき
  • 再生計画案の作成・可決・認可の見込みがないことが明らかであるとき
  • 不当な目的で申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき

再生計画案が認められない場合
返済能力に問題がある、返済額が収入に見合っていないなど、計画の内容が実現可能ではなかったり、返済額が法律で定められた弁済額を下回っているなど、計画の内容に問題があったりすると、そもそも再生計画を認可してもらうことができません。

手続きの対応に問題があった場合
再生計画の提出期限を守らない、財産を隠し持っていた、特定の債権者だけに返済をしていたなど、個人再生の手続きでの対応に問題があると、裁判所の判断で手続きが廃止または取り消しになる可能性があります。

手続き中および手続き後の浪費が多い場合
個人再生の手続き中や手続き後に、ギャンブルを続けていたり新たな借入れをしたりして過剰に浪費をしていると、手続きが廃止または取り消しになる可能性があります。

ギャンブルの借金で自己破産よりも個人再生が適しているケース

ギャンブルによる借金は、免責不許可事由に該当するため自己破産が認められないのが基本ですが、裁判所の裁量によっては自己破産が認められる可能性はあります(=裁量免責)。

これを踏まえて、ギャンブルによる借金で借金が免除される自己破産よりも個人再生が適している3つのケースを紹介します。

  • ギャンブルによる借金の金額が大きい場合
  • 家や自動車などの財産を手放したくない場合
  • 自己破産で職業制限を受ける仕事をしている場合

ギャンブルによる借金の金額が大きい場合

ギャンブルによる借金の金額が大きい場合は、自己破産よりも個人再生の方が借金問題の早期解決につながりやすいです。

債務整理の方法のうち減額効果が大きいのは、借金が免除される自己破産です。

ただし、自己破産では基本的にギャンブルによる借金は免責不許可事由に該当します。

裁判所の裁量で免責が認められることがありますが、そのためには、通常、裁判所が免責を認めるべきかどうかの調査を行うために管財事件の手続きに進むので、時間や費用の負担が大きくなります。

一方、個人再生では、大幅に減額してもらった残りの借金を3~5年かけて分割返済する必要があるものの、自己破産よりも時間や費用をかけずに手続きが行えます。

そのため、借金の主な原因がギャンブルである場合には、借金の原因が問われずに手続きが行える個人再生の方が適していると考えられます。

家や自動車などの財産を手放したくない場合

家や自動車などの財産を手放したくない場合は、自己破産よりも個人再生の方が適しています。

自己破産をすると、破産者名義の家や車など、一定の価値がある高額な財産は処分・換価されて債権者へ分配されてしまいます。

これに対して個人再生は、完済している自動車や高額な財産は処分する必要がないので手元に残すことができます。

ローン返済中の家がある場合には、住宅資金特別条項(=住宅ローン特則)を利用することで家を手放さずに借金を整理することもできます。

自己破産で職業制限を受ける仕事をしている場合

自己破産で職業制限を受ける仕事をしている場合は、職業制限を受けない個人再生が適しています。

自己破産で制限を受ける職業

  • 弁護士・司法書士・弁理士・税理士・公認会計士などの士業
  • 公証人・公正取引委員会・教育委員会などの一部の公務員
  • 警備員
  • 生命保険の募集人
  • 宅地建物取引士
  • 不動産鑑定士
  • 古物商 など

これらの職業の方は、自己破産をすると手続きが完了するまでの間は収入が減ったりなくなったりする可能性があるため、個人再生の方が適しているといえます。

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個人再生の手続き依頼中にギャンブルをしたらどうなる?

個人再生の手続きの依頼中にギャンブルをしてしまうと、印象が悪くなって手続きに不利な影響を及ぼすおそれがあります。

個人再生の手続き前や手続き中にギャンブルをしていたことを隠そうとしても、裁判所に提出する家計収支表や通帳、クレジットカード・銀行口座の履歴からいずれバレてしまいます。

ギャンブルをしていたことを隠していて、裁判所の指摘によって発覚した場合、再生計画が不認可になったり認可が取り消されたりして個人再生ができなくなる可能性があります。

仮に個人再生が認められたとしても返済額が増額される可能性もあるので、注意しなければなりません。

手続きが取り下げ・不認可になる可能性がある

個人再生の手続きの依頼中にギャンブルをしてしまうと、再生計画が不認可となったり、認可が取り消されたりして、個人再生の失敗につながるおそれがあります。

依頼中にギャンブルをしたり、ギャンブルをしたことを隠そうとしたりすると、「再生計画案が適切に履行される見込みがない」、「反省していない」とみなされて、再生計画が不認可となる可能性があります。

また、裁判所によって再生計画の認可決定が取り消されてしまうこともあります。

再生計画が取り消されると、せっかく減額された借金が元に戻ってしまい、元々の借金額をそのまま返済しなければならなくなります。

返済額が増額する可能性がある

手続きの依頼中にギャンブルをしてしまうと、仮に個人再生が認められたとしても返済額が増額する可能性もあります。

個人再生では、債務者が保有する財産の清算価値をもとに返済額が決定されることがあります。

依頼中にギャンブルによって財産を減らした場合、その減少額も清算価値に加味して返済計画を立てる必要が出てきます。

せっかく実現可能な返済計画を立てたのに、依頼中のギャンブルによって返済額が増えてしまうと個人再生の失敗につながるおそれもあるので、依頼中のギャンブルは避けましょう。

個人再生中にギャンブルをしてしまった場合の対処法

個人再生の手続きの依頼中にギャンブルをしてしまったら、すぐに依頼している弁護士に相談しましょう。
弁護士はご依頼者様の心強い味方です。

ギャンブルを隠さずに打ち明けていただくことで、再生計画案の認可が得られるように今後の対応を検討することができます。

ギャンブルをしていたことは、裁判所にいずれバレてしまいます。

依頼中のギャンブルを隠してしまうと、弁護士のサポートが行き届かなくなって再生計画案の認可が得られなくなるリスクが高くなります。

正直に申告し、反省の姿勢を示すことで、不利な状況を回避できる可能性がありますので、早めに弁護士に相談して今後の対応についてしっかり相談しましょう。

ギャンブルによる借金でお困りの方は債務整理に詳しい弁護士にご相談ください。

ギャンブルによる借金がふくらんで返済が困難になった場合、個人再生で問題を解決できる可能性があります。

個人再生を行うにあたっては民事再生法などの専門的な知識が必要となるため、手続きをスムーズに進めるためにも弁護士に相談することをおすすめします。

状況に応じた債務整理の方法の提案や、手続きにあたって注意すべきことのアドバイスが受けられます。

ギャンブルによる借金でお困りの方は、一度弁護士法人ALGまでご相談ください。

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監修:弁護士 谷川 聖治 / 弁護士法人ALG&Associates福岡法律事務所 所長

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