個人再生したら家賃滞納はどうなる?住み続けるための対処法や注意点

個人再生したら家賃滞納はどうなる?住み続けるための対処法や注意点

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監修
監修弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates福岡法律事務所 所長 弁護士

家賃を滞納している状態でも、個人再生の申立ては可能です。
ただし、貸主を債権者として扱う必要があるので、滞納による契約解除退去のリスクには注意しなければなりません。

個人再生すること自体が契約解除や退去の理由になるわけではないので、適切な対応をとることで手続き後も問題なく住み続けられる可能性もあります。

そこで今回は、個人再生を検討している方に向けて、滞納している家賃はどうなるのか、手続き後も住み続けるためにはどうすればよいのか、対処法や注意点を解説していきます。

個人再生したら滞納している家賃はどうなる?

滞納している家賃も、銀行や消費者金融からの借り入れと同様に個人再生の対象となる「再生債権」として扱われるため、再生計画に基づいて減額された後、残りを分割返済していくことになります。

そもそも個人再生とは?

個人再生とは、裁判所を介して借金の大幅な減額を目指す手続きです。
裁判所に認められると、住宅などの財産を手放さずに借金を元金ごと1/5~1/10程度まで大幅に減額できて、残りを3年、最大5年で分割返済していきます。

どれくらい減額できるかは、個人再生前に滞納していた家賃を含めた借金総額に応じて決まります

たとえば、滞納家賃が20万円、そのほかの借金が200万円だった場合、借金総額220万円は100万円に減額されます(※)。

このケースでの減額率は約55%なので、滞納家賃20万円は個人再生によって約9万円まで減額できることになります。

※実際の減額率は裁判所の判断や、財産・収入の状況によって異なります

家賃を滞納している場合は退去を求められる可能性がある

家賃を滞納している場合、契約違反を理由に貸主から契約解除や強制退去を求められる可能性があります。

家賃の滞納が直ちに契約解除や強制退去につながるわけではなく、1~2ヶ月程度の滞納であれば、事情を説明することで貸主も柔軟に対応してくれることが多いです。

ですが、3ヶ月以上の滞納が続き、貸主からの督促にも応じなければ、契約解除や強制退去となるリスクが高まります

とはいえ、多くのケースで家賃の支払期限を過ぎた時点で貸主から督促が始まりますし、契約内容によっては滞納日数に応じた高利率の遅延損害金が発生するため、家賃の滞納は放置せず、迅速かつ誠実な対応が重要です。

個人再生後は滞納家賃の支払いは原則NG

個人再生の手続開始決定後は、滞納している家賃を支払うことは禁止されます。
これは、裁判所を介する個人再生では「債権者平等の原則」が適用されるため、すべての債権者を平等に扱う必要があるためです。

契約解除や強制退去を回避するために、滞納家賃のみを優先して支払うことは偏頗弁済とみなされ、ほかの債権者の利益を損なうとして裁判所から再生計画が認められない可能性があります。

再生計画で定めた以外の方法で弁済してしまうと、個人再生が失敗に終わってしまうリスクがあるので、滞納家賃についても特別扱いすることなく、ほかの借金と同様に扱う必要があります。

水道光熱費の滞納は支払っても良い?

個人再生において、水道光熱費の滞納分は「いつの未払い分か」によって扱いが異なります。

個人再生の手続開始決定前6ヶ月以内の未払い分であれば、民法上の一般の先取特権が認められ、再生債権ではなく、再生手続では減額されない「一般優先債権」として扱われるため、偏頗弁済には当たらず、支払っても問題ありません。

一方、手続開始決定前6ヶ月以前の未払い分については「再生債権」に当たるため、滞納家賃と同様に勝手に支払ってしまうと偏頗弁済とみなされるため注意が必要です。

とはいえ、手続開始決定後は、個人再生を申し立てる前の未払いを理由に電気・ガス・水道などのライフラインの供給停止はできないとされているため、個人再生をしても安心して利用を継続できます。

家賃滞納がある場合の対処法

個人再生により滞納している家賃の一部は支払いが免除され、家賃を全額受け取れなくなった貸主は、滞納を理由に契約解除や強制退去を求められる可能性があります。

だからといって偏頗弁済をしてしまうと、個人再生そのものが失敗してほかの借金も減額できなくなってしまいます。

そこで、家賃の滞納がある場合に偏頗弁済をせずに個人再生後も住み続ける対処法として、個人再生の申立て前に滞納家賃を支払う第三者弁済といった方法が考えられます。
それぞれの対処法について詳しくみていきましょう。

個人再生の申立て前に滞納家賃を支払う

個人再生を申し立てる前に、任意で滞納家賃を支払うことで契約解除や強制退去を回避できる可能性があります。

個人再生の手続きでは通帳の提示が求められるため、手続開始決定後にこっそり滞納家賃を支払ったとしても、裁判所に通帳の記録から偏頗弁済が把握されます。

一方、個人再生の申立て前であれば、滞納家賃を優先的に支払ったとしても偏頗弁済には当たらず、法的な制限もありません

ただし、弁護士と委任契約を締結した後に自己判断で滞納家賃だけを支払うと、偏頗弁済とみなされる可能性が非常に高くなるため注意しましょう。

第三者弁済(家族・親族による支払い)

個人再生を申し立てる前に、自力での滞納家賃の支払いが難しい場合には、家族や親族に代わりに支払ってもらう「第三者弁済」という対処法があります。

個人再生すること自体が契約解除や強制退去の理由となるわけではないので、貸主と話し合って、家族や親族の援助で滞納家賃を支払う旨の交渉をすることで、個人再生後もそのまま住み続けられる可能性があります

なお、第三者弁済では、家族や親族による「援助」であることが大切です。
家族や親族に滞納家賃を支払ってもらい、あとからお金を返すことは新たな借金とみなされる可能性があるためです。

保証会社がついている場合

保証会社がついている場合も、個人再生の申立て前に滞納家賃を支払うか、第三者弁済によって滞納状態を解消してから個人再生を行うべきです

保証会社がついている場合、家賃の滞納が発生すると保証会社が「代位弁済」を行って借主に代わって貸主に家賃を支払います。

しかし、家賃の滞納が続けば、保証会社から家主に対して、賃貸契約の解除や借主を退去させるよう要求されることもあるので、督促を無視せず、適切に対処することが大切です。

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家賃を滞納したまま個人再生をする場合の注意点

連帯保証人に影響が出る

家賃を滞納した状態のまま個人再生をすると、連帯保証人に法的な返済義務が生じます。

個人再生による減額効果は個人再生をした本人のみに及ぶため、連帯保証人の債務は減額されません。
そのため、家賃を滞納したまま個人再生をすると、連帯保証人に対して滞納分が一括請求されるおそれがあります

賃貸契約の連帯保証人は家族や親族など身近な人であることが多いため、迷惑をかけないためにも、個人再生を申し立てる前に滞納状態を解消しておくようにしましょう。

個人再生後も毎月の家賃の支払いは必要

個人再生を申し立てる前に滞納していた家賃は、「再生債権」として減額の対象になります。

一方、個人再生を申し立てた後に発生した家賃は、「共益債権」として扱われるので、個人再生をしても減額されず、毎月きちんと支払いを続ける必要があります

共益債権とは?
共益債権とは、個人再生をしても減額されずに、そのまま支払わなければならないお金のことです。
家賃や水道光熱費、個人再生手続きに必要な費用など、支払いがストップすると生活や手続きに支障がでるものが共益債権となります。

個人再生後の支払いが滞ると再生計画案が取り消される可能性がある

個人再生後に、個人再生申し立て前の滞納家賃(=再生債権)の支払いが滞ると、再生計画案が取り消される可能性があります。

民事再生法では、個人再生後に再生計画の履行が滞った場合、再生債権者の申立てによって裁判所は再生計画の取り消しを決定することができると定められています(民事再生法第189条)。

個人再生後に滞納家賃の支払いが1回遅れただけであれば、事情を考慮して待ってもらえるケースもありますが、支払いが滞った場合の対応については債権者次第なので、できる限り再生計画通りに支払いを継続しましょう。

再生計画案が取り消されてしまうと、滞納家賃だけでなく、ほかの借金の減額も取り消されて元に戻ってしまいます

万が一、再生計画の履行が難しくなった場合にはすぐに弁護士や債権者に連絡し、再生計画を見直したり、ハードシップ免責や自己破産を検討するなどの対応が必要です。

家賃滞納がある場合の個人再生は弁護士にご相談ください

滞納がある状態で個人再生を検討している場合、契約解除や退去のリスクを考慮した慎重な対応が求められます。
おひとりで悩み続けるよりも、早めに弁護士に相談することで生活を立て直す道筋がみえてくるでしょう。

弁護士法人ALGでは、借金にお悩みの方の状況を詳しく伺ったうえで、「手続き後も住み続けたい」、「保証人に迷惑をかけたくない」といったご要望に沿った解決策を提案・アドバイスいたします

ご依頼いただいた際には、受任通知の送付をもって督促や返済がストップし、これまで返済に充てていた分を家賃の支払いに充てつつ、落ち着いて手続きに向き合えるようになりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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