個人再生の認可決定後の流れは?取り消しのリスク・対応策など
個人再生は、裁判所による再生計画の認可決定が「確定」すると、いよいよ返済が開始されます。
これで一安心と胸をなで下ろしたいところですが、認可決定後でも取り消しになるケースがあるため油断は禁物です。
本記事では個人再生の認可決定後の流れに着目して、認可決定後の行動に関する疑問にも触れつつ、取り消しのリスクや対応策について解説していきます。
目次
個人再生の認可決定とは
個人再生における「認可決定」とは、債務者が作成・提出した「再生計画案」を裁判所が審査し、「法的に有効である」と認める決定のことです。
この認可決定が「確定」すると再生計画に法的効力が発生し、債務の減額や分割払いが可能になります。
認可決定を得るためには、再生計画案の内容がキーポイントになります。
「債務をどの程度減額してもらい、残った債務をどのように分割して返済するのか」を明確にして、民事再生法の規定に従って、収入に見合った実現的な完済プランを立てることが大切です。
個人再生認可決定後の流れ
認可決定後から完済までの流れは、次のとおりです。
- 認可決定の確定
- 返済開始
- 完済
裁判所が再生計画を認めた後、約1ヶ月で「確定」となり、個人再生の手続きは完了します。認可決定が確定した後は、再生計画に従って返済を開始し、計画通りに完済できたら残りの債務の支払義務は免除されます。
認可決定までの個人再生手続きの流れについてお知りになりたい方は、以下のページをご参考ください。
さらに詳しく個人再生の流れを解説!期間やスムーズに進めるポイントなど認可決定後は「確定」で手続きが終了する
裁判所が再生計画を認める「認可決定」が出された後、約1ヶ月でその決定が「確定」し、個人再生の手続きは完了します。
具体的な流れは次のとおりです。
- 裁判所による再生計画の認可決定
⇩ (約2週間後) - 官報に公告される
⇩ (約2週間後) - 認可決定の確定
官報に掲載された後、2週間以内に債権者から異議(即時抗告)がなければ、認可決定は確定します。
確定したかどうかを確認したい場合は、裁判所に電話で問い合わせることができ、希望すれば「再生計画認可決定確定証明書」を発行してもらうことも可能です。
認可決定が確定した後は、通常その翌月から返済が始まりますので、返済の準備を整えておきましょう。
認可決定が確定した翌月から返済スタート
再生計画の認可決定が確定した翌月から、再生計画に従って返済を開始します。
(例:10月に認可決定が確定 ➡ 翌月11月から返済開始)
返済期間は通常3年、特別な事情が認められる場合は最大5年です。
返済方法は「毎月払い」や「3ヶ月ごと」など計画により異なりますが、基本的には銀行振込となるので、払い忘れのないように注意しましょう。
計画通りに完済できれば、残りの債務の支払義務は免除されます。
個人再生認可決定後にできることや注意点
FXやギャンブルはしてもいい?
再生計画の認可決定後にFXやギャンブルを行うことは、法律上は問題ありません。
再生計画に沿って返済を続けている限り、FXやギャンブルを行ったからといって、ただちに再生計画が取り消されることはありませんのでご安心ください。
ただし、FXやギャンブルが原因で返済が滞ると、再生計画が取り消されてしまう可能性があるので注意しましょう。
とくに、認可決定後のギャンブルは新たな借金を抱える原因になりかねないため、再生計画に従って確実に完済を目指すためにも、個人再生後はギャンブルや浪費は控えることが賢明です。
以下のページでは、ギャンブルによる借金でも個人再生できるかどうかや、手続き中にギャンブルをしてしまった場合の対処法について解説しています。 あわせてご参考ください。
さらに詳しくギャンブルによる借金でも個人再生できる?手続き中の注意点なども解説車を購入することはできる?
再生計画の認可決定後に車を購入することは可能です。
認可決定後であれば、法律上問題はなく、再生計画に影響することも基本的にはありません。
とはいえ、個人再生をするとブラックリストに載るため、信用情報に事故情報が登録されている間(5~7年程度)は審査に通らなくなるのでローンを組むことが難しくなります。
現金で一括購入すれば審査が必要ないので、認可決定後であっても車を購入することができます。
また、ブラックリストに載っていないご家族名義でローンを組んで車を購入することも可能です。
お金の借り入れはできる?
再生計画が認可決定された後、一定期間は新たにお金を借り入れることが難しくなります。
個人再生をするとブラックリストに載るため、信用情報に事故情報が登録されている間は新たなローンと同様に審査が通らなくなって新規の借り入れも難しくなります。
もっとも、信用情報を審査に活用しない業者からはお金を借り入れることが可能な場合があります。
万が一借り入れができた場合、再生計画が取り消されることは基本的にありません。
ですが、「個人再生後でも、すぐにお金を貸します」という業者はいわゆる「闇金(ヤミ金)」である可能性が高く、高金利や悪質な取り立てによって新たな借金問題を抱える原因にもなりかねませんので、個人再生後はこれ以上借金をしないように努力することが大切です。
個人再生の認可決定後に取り消しになることはある?
認可決定後であっても再生計画が取り消される可能性はあります。
民事再生法では、再生計画が取り消しになる事由について次のように定めています。
- 再生計画に沿って返済ができなかった場合
- 再生計画が不正な方法で成立した場合
裁判所から出された認可決定は絶対的なものではないので、認可決定後の行動には注意しなければなりません。
以下、再生計画が取り消しになる2つの事由と、再生計画が取り消されるとどうなるのかについて、それぞれ詳しく解説していきます。
再生計画に沿って返済ができなかった場合
再生計画に従った返済が滞ってしまうと、債権者からの申立てによって裁判所が認可決定を取り消すことがあります。
「うっかり返済が遅れてしまった」など、1度の滞納だけでただちに認可決定が取り消しになるわけではありませんが、正当な理由なく滞納が続いたり、滞納が何度も繰り返されたりすると取り消しになる可能性が高まります。
再生計画が不正な方法で成立した場合
虚偽の申告などの不正な方法で再生計画が成立していたことが発覚した場合、債権者の申立てによって裁判所が認可決定を取り消すことがあります。
不正な方法とみなされるのは、次のようなケースです。
- 詐欺や強迫などの違法な手段を使って債権者の同意を得た場合
- 財産を隠していた場合
- 一部の債権者を申告しなかった場合
- 収入を過少申告していた場合
など、虚偽申告や財産隠しは「再生計画の不認可事由」でもあるため、不正行為が発覚すると認可後であっても取り消されてしまいます。
再生計画が取り消されるとどうなる?
再生計画が裁判所によって取り消されると、これまで認められていた「借金の減額」や「分割払い」の条件はすべて無効になります。
つまり、元の借金の金額に戻ってしまい、遅延損害金なども加えた一括請求を受ける可能性があります。支払えない場合には、給与や財産が差し押さえられるなど、強制執行のリスクも出てきます。
また、信用情報に登録されている「事故情報」の回復時期も延びてしまい、今後のローンやクレジットカードの利用に影響することもあります。
せっかく認可された再生計画が無効になってしまうと、生活への負担が大きくなるため、計画通りの返済を続けることがとても大切です。
個人再生の認可決定後に支払いが難しくなった場合の対応
認可決定後に、予期せぬ事情によって再生計画通りの支払いが難しくなった場合でも、次のような方法で対応することができます。
- 返済計画の変更の申立てをする
- 自己破産を検討する
- ハードシップ免責を申し立てる
支払えないからと放置してしまうと再生計画が取り消されるおそれもあるので、ご自身に合った方法で対応することが大切です。
返済計画の変更の申立てをする
認可決定後に、やむを得ない事情により当初の計画通り支払いができなくなった場合は、「返済計画の変更」の申立てが可能です。
ただし、返済計画の変更には、やむを得ない特別な事情があって、再生計画の実行が著しく困難な場合という厳格な要件が定められています。
ここでいう「やむを得ない特別な事情」とは、計画を決定した時点では予測できず、債務者自身ではコントロールできない事情を指します。
<例>
- 勤務先の事情で減給・転職を余儀なくされて収入が減少した場合
- 債務者本人の病気や怪我により仕事を続けられなくなった場合
- 扶養家族の病気や怪我により予想外の支出があった場合 など
返済計画の変更が認められると、再生計画で定めた返済期限を2年間に限り延長することができて、1回あたりの支払額が減らせます。
自己破産を検討する
認可決定後、再生計画通りの支払いが継続できず、返済計画の変更も認められない場合は、「自己破産」を検討することになります。
裁判所に自己破産を申し立てて免責の許可が得られると、すべての債務の支払いが免除されます。
個人再生で再生計画の認可決定がされた後でも自己破産することが可能で、個人再生の手続き後に残った債務についても支払いを免除してもらうことが可能です。
とはいえ、自己破産では生活に最低限必要な財産を除き、高額な財産は処分されたり、手続き中は一定の職業・資格が制限されたりして、多くのデメリットを伴います。
支払いが難しくなったからといって、すぐに自己破産を選ぶのは危険です。後悔しないためにも、慎重に判断しましょう。
自己破産の手続きや生活への影響についてお知りになりたい方は、以下のページをご参考ください。
さらに詳しく自己破産とは|流れや費用、生活への影響などをわかりやすく解説ハードシップ免責を申し立てる
認可決定後にやむを得ない事情で支払いの継続が困難になった場合、「ハードシップ免責を申し立てる」という選択肢もあります。
- ハードシップ免責とは?
ハードシップ免責とは、再生計画通りに支払いをしていたものの、やむを得ない事情で支払いの継続が困難になった場合に、残りの債務の支払義務を免除してもらえる制度です。
民事再生法に基づく救済措置で、厳格な要件を満たす必要があります。
<ハードシップ免責の要件>
- 債務者自身に責任のない事情により、返済計画通りの支払いが極めて困難になったこと
- 再生計画で定めた弁済額の4分の3以上の返済を終えていること
- ハードシップ免責の決定が、債権者の一般の利益に反しないこと
- 再生計画の変更が極めて困難であること
要件をすべて満たしていればハードシップ免責が利用できて、残った債務の支払義務を免除してもらえます。
個人再生の認可決定後に関するQ&A
個人再生の認可決定後に通帳の提出は必要?
再生計画の認可決定後に通帳の提出を求められることは通常ありません。
ただし、次のようなケースでは認可決定後に例外的に通帳の提出を求められる可能性があります。
<認可決定後に通帳の提出を求められるケース>
- 認可決定後に、財産隠しや偏頗弁済など不審点が発覚した場合
- 再生計画の履行に疑義が生じた場合
- 一部の裁判所で実施されている「履行テスト」で再度確認が必要になった場合 など
通帳の提出に応じないと再生計画が取り消されるリスクがあるので、提出を求められた際は素直に応じましょう。
個人再生の認可決定後に一括返済はできる?
再生計画の認可決定後に昇給や遺産相続によって資金に余裕が出てきた場合に、残った債務を一括返済することは可能です。
ただし、一部の債権者のみに一括返済する行為は「債権者平等の原則」というルールに反することになるので、必ずすべての債権者に対して平等に返済しなければなりません。
また、認可決定後に一括返済する場合、債権者の同意が必要になります。
一括返済によって債権者側にデメリットは生じないので拒否されることはほとんどありませんが、認可決定からあまり日が経っていないと財産隠しを疑われるリスクがあるので、タイミングには注意しましょう。
個人再生の認可決定後の不安やトラブルは弁護士にご相談ください
個人再生の手続きにおいて再生計画が認可決定された後も、取り消しなどのリスクを意識した計画的な支払いを継続することが重要です。
万が一、認可決定後に計画通りの支払いが難しいと感じたり、実際に滞納してしまった場合には、放置せずに早めに弁護士へご相談ください。
早期対応により、「自己破産」のほか、「再生計画の変更」や「ハードシップ免責」などの選択肢から、個別の状況に応じた最適な解決策を弁護士が検討・提案し、サポートが可能になります。
個人再生や借金に関する不安やトラブルは、おひとりで抱え込まず、ぜひお早めに弁護士法人ALGまでお気軽にご相談ください。
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監修:弁護士 谷川 聖治 / 弁護士法人ALG&Associates福岡法律事務所 所長
監修:弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 所長
保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)
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