
コラム
更新日: 2024年9月4日
雇用契約
監修弁護士 川村 励 弁護士法人ALG&Associates バンコクオフィス 所長タイの雇用契約
雇用契約には2人の当事者が存在します。一方の当事者は賃金の支払責任を負う「雇用主」といいます。相手方は「従業員」といいます。従業員は、雇用主と合意した期間、雇用主の指示通りに雇用主のために働くことに同意します。
雇用契約では一般的に、従業員は知識、能力、経験、スキル、専門知識の故に雇用契約の本質です。従業員の業務のための適切な技量は、雇用主のニーズに従って、品質と数量に関して様々な結果を生みます。
更に、雇用契約では、当事者は職務記述書に関して合意することができます。
従業員の証明書、責任、職位、義務、賃金、支払時期、支払方法、試用期間、雇用期間、勤務日、勤務場所、勤務地または勤務場所の変更条件、雇用終了の条件、付随業務に関する条件、時間外労働、業績評価、従業員による業務の知的財産権、秘密保持義務、競業避止義務も明確にすることができます。
しかし、大半の労働者は雇われているため、従業員である契約当事者は雇用主より交渉力が弱いことがよくあります。すなわち、以下の通り、従業員はしばしば雇用主により搾取されます。
それ故、雇用に関しては、労働条件を定義し、従業員を保護する多くの関連法があります。雇用契約の条件は、当事者が法律条項の区別または放棄に合意できない場合、従業員の権利と雇用主の義務を決定します。
それ故、雇用主は従業員を雇う前に、自分の義務を十分に知るために労働保護法を学ぶべきです。
無期(期間の定めのない)雇用契約
無期雇用契約は今日、最も一般的な雇用関係です。従業員は雇用期間の定めなく雇用されます。
無期雇用契約には予定された満了日がなく、契約条件に基づき雇用契約が終了します。条件は以下の通りです。
- 従業員の辞職
- 合法的な解雇
- 従業員の定年退職
2017年8月31日に国王官報において公表された「労働保護法No.6, B.E. 2017」では第6条により、「労働保護法 B.E. 2541」の第118/1条として以下の点が追加されました。
- 雇用主と従業員が合意した定年退職または雇用主が定めた定年退職は、雇用の終了とみなされる。
- 定年退職の合意もしくは日程がない場合または60歳を超えた際の定年退職の合意もしくは日程がある場合、60歳以上の従業員は、雇用主に対して退職の意向を表明する権利を有し、意向表明日から30日後に退職は有効となる。雇用主は退職する従業員に対して退職金を支払うものとする。
同法が適用される際、従業員が定年退職する予定かあるか否かおよび定年退職の時期に関して、雇用主には選択肢があります。何故なら、定年退職は、雇用主が退職金を支払わなければならない雇用の終了とみなされるからです。
定年退職日が設定されていない場合、従業員は60歳で定年退職するとみなされます。それ故、雇用主は、従業員が60歳になって定年退職するまで、従業員を雇用し続けなければなりません。
雇用終了の場合、雇用主は退職金を支払わなければなりません。
事業の永久閉鎖
無期雇用の従業員は、健康保険制度、定年退職パッケージ、休暇、病気休暇、その他の給付等の会社の福利厚生を受ける資格を有します。
無期雇用契約は、より強い従業員の権利と雇用主の義務を伴います。すなわち、雇用を終了する際の「合理的な(妥当な)通知」に対する権利です。
ほとんどの国は期間の定めのない雇用契約を支持しています。合法的な解雇に関する従業員に有利な法律の作成に関して特に注意が払われています。
有期(期間の定めのある)雇用契約
従業員は、明確な雇用開始日と終了日に関する完全情報を記載した有期雇用契約を締結し、契約期間中、従業員としての完全な恩恵を受け取ります。
契約終了時、会社は、有期雇用契約の更新または延長を選択することができます。
しかし、その選択には慎重さが必要ですので、多くの国では有期雇用契約の更新可能回数に依然として制限を設けています。契約の総期間もしくは更新回数またはその両方に対する制限です。
これらの有期契約の国際的な制限は、契約形態において過去に発生した悪用から国民を保護することを目的としています。
長期雇用の確保や福利厚生に関して不確定な状況に従業員を置く伝統的な短期労働サイクルで会社組織を構成することが不可能であることも保証します。
また、有期契約の制限は、適法な契約終了プロセスが雇用主と従業員が合意した終了日に発生することを確実にします。
契約更新回数が最大に達した後、または、有期契約の許可される全期間の満了後、会社は従業員を無期契約の従業員として再分類しなければなりません。
要するに、有期契約の主な特徴は以下の通りです。
- 終了日のある一時的な契約期間
- 具体的な仕事量、プロジェクト、業務範囲
- 従業員が福利厚生を受ける資格の認証
- 労働時間の概要および有期契約従業員に対する時間外労働の要求の制限
- 明確な契約終了手続き
- 一般的には、1年超3年以下の雇用期間の契約(例外あり)
タイにおける雇用契約書の作成義務
雇用契約に関して、最高裁判所判決No. 1983/2564は、雇用契約の意味および契約を生じさせる状況を次の通り説明しました。
民法および商法の第575条ならびに労働保護法 B.E. 2541によれば、第5条は、雇用契約が書面のみで行わなければならないことを定めていない。雇用を申し出る意向が表明され、それへの回答が正しい場合に雇用契約は可能である。
一方の当事者が働くことに同意し、相手方が労働期間中の業務に対して賃金または報酬を支払うことに同意する。
本事案では、原告が被告である人事部門のマネージャーに対して求職申し込みを行い、希望する給与を明確にしているように思われる。
雇用契約において表明すべき事項
雇用契約は雇用主と従業員との契約です。雇用契約で雇用主と従業員の権利と義務を定めて合意します。
雇用主
雇用主は、合意した通りに従業員が働いた全期間に関して従業員に賃金を支払わなければなりません。
従業員
従業員は、雇用主のために働きます。更に、従業員は、雇用主の利益を守るために誠実でなければなりません。すなわち、従業員は、会社の貸借対照表、顧客、価格に関する情報を公表してはならず、競合他社で働いてはなりません。
たとえ雇用契約が書面で合意されていない場合でも、雇用主は従業員に対して業務を支援するよう許可できます。
たとえ雇用契約が締結されていない場合でも、既に「雇用契約」が存在するとみなされます。
更に、雇用契約は「黙示的に」成立する場合があります。換言すれば、たとえ合意や書面での契約がない場合でも、雇用主が雇用のために従業員を受け入れ、賃金を支払う用意がある状況下では雇用契約が成立する場合があります。
業務を開始する前に、当事者は雇用に関して合意すべきです。
法により、雇用主は以下の義務を負います。
- 1カ月以内に書面による雇用契約の作成。合意通り業務を開始後、雇用契約書を2部作成。
- 雇用契約書への署名。
- 従業員に対する雇用契約書の付与および従業員による雇用契約書の熟読・検討・署名。
- 両当事者が雇用契約書に署名後、各当事者が当該雇用契約書の各1通を保持する。
雇用契約の内容
- 契約当事者の氏名と住所は、雇用主と従業員の氏名と住所です。
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雇用期間と開始時期を明記しなければなりません。以下はその例です。
業務開始日が2019年7月1日で、雇用期間が2年または3年の場合、「雇用期間は2019年7月1日から2022年6月30日まで」のように、雇用期間を明記しなければなりません。 -
就労場所:
従業員が複数の場所で就労しなければならない場合、従業員が別の施設でも就労しなければならないことを記載しなければなりません。 -
業務の性質:
従業員が行わなければならない業務の性質を幅広く明記しなければなりません。
例:従業員の業務:ウェイトレス - 賃金レートには、大都市に居住する場合の追加金、自動車の割増金、賞与等の従業員が受け取る様々な追加金が含まれます。また、賃金の支払時期が毎月末または毎月15日であることを明記しなければなりません。
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就労期間:
1日当たりの労働時間、1週間当たりの労働時間
例:週30時間、週4日勤務 -
年次休暇:
従業員が毎年受け取る年間休暇日数を法に従って明記しなければなりません。 -
契約の終了および契約終了時の事前通知期間:
雇用主または従業員による雇用契約の終了に関して明記しなければなりません。
例:雇用主は従業員に対して契約終了の30日前に書面で通知しなければならない。
時間外労働賃金等、上記以外にも合意する場合があります。例えば、病気に関する合意、従業員が順守しなければならない規則(他者のための業務の禁止、複数の場所での同時就労、会社の秘密を保持する義務等)です。
雇用契約書を作成する言語
雇用契約書に使用される言語は雇用主と従業員のニーズ次第です。一般的に、雇用契約はタイ語または英語で書かれます。しかし、雇用主と従業員が別の言語を使用することに合意すれば、当該言語で雇用契約書を作成することができます。
契約書はどの言語で書いても構いませんが、「本契約は[国名]の法律に準拠する」という文言を記載しなければなりません。
詳細に書きたい場合、「本契約に関して紛争が生じた場合、[国名]の裁判所が裁定しなければならない」と明記しなければなりません。
内定通知書による雇用条件の明確化
将来の雇用主は求職者に対して、当該求職者を受け入れる意向を表明した雇用内定通知書を発行します。当該通知書には、求職者が検討できるよう、職位、報酬、福利厚生、給付金、賞与、雇用期間等の雇用条件を明記しなければなりません。
求職者は当該通知書を承諾し、雇用主のために業務を開始します。
実行
雇用内定通知書を作成するためには、その作成者-雇用主自身または当該雇用主の人事部マネージャー等の代理人-は、以下の内容を明記すべきです。
- 雇用主が受け入れる意向の求職者の身元の詳細。例:求職者の氏名と住所。
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雇用の詳細。例:雇用の性質、職位、報酬、福利厚生、給付金、賞与、雇用期間、就労日、就労場所、労働日数と労働時間、休日と休暇、試用期間。
面接等において雇用の詳細が口頭で協議され合意された場合、雇用の詳細は当該合意された詳細に従うべきです。
誠意とビジネス上のエチケットを示すために、または、変更の必要性がある場合には、その理由を通知すべきです。同様に、求職者のニーズも通知すべきです。 -
追加の雇用条件(もしあれば):
将来の雇用主が追加の資格や補足資料を必要とする場合、求職者は、医師の診断書、学歴証明書、追加職歴、職を承諾する前に雇用主が要求する追加の講座や研修への参加等の条件を満たした場合にのみ、採用されます。 -
回答期間の決定(もしあれば):
将来の雇用主は、雇用条件の変更(求職者の雇用内定取り消しを含む)を行う場合があります。
更に、求職者は、雇用内定通知書に従って将来の雇用主が提案した雇用条件に従って働くことに同意する承諾書に署名すべきです。雇用と詳細条件の証拠を提供し、雇用主と従業員の役割、義務、関係性を理解するためです。
雇用契約の終了に関するタイの規則
解雇通知は、雇用主と解雇対象の従業員との雇用契約を終了する意向を表明した雇用主が発行する書面です。雇用契約が書面で締結されたか否かは問いません。
以下の場合に、雇用主は雇用契約を終了するために解雇通知を使用することができます。
- 日頃から欠陥のある業務を行ったり、雇用主の業務に関する規則、規程、告知、命令等に反する行為を故意に行う従業員を雇用主が解雇したい場合。
- 雇用主に損害を与える業務または行為を行う従業員を雇用主が解雇したい場合。
雇用主の業務に関する規則、規程、通知、命令等に従業員が重大でない違反(例:遅刻)を犯したこと、重大ではない一般的な事項について成績が悪いもしくは欠陥業務を行ったこと、または、雇用主に対して損害を与えたことを根拠に雇用主が雇用契約を終了する場合、雇用主は従業員に対して、当該行為や業績を改善または是正する機会を与える警告書を作成して、当該改善や是正のための指針や日程を含む訓戒を行う場合があります。
雇用主は当該従業員の解雇を検討する前にこの訓戒を行います。
無期雇用契約の場合
- いずれかの当事者は相手方に対して少なくとも3カ月前までに書面で通知することにより、雇用契約を終了することができます。
- 雇用主が雇用契約を直ちに終了する場合、従業員に対して前払い賃金を支払わなければなりません。
- 雇用主が従業員の雇用を終了する場合、雇用主は従業員に対して、1998年労働保護法の第118条に従って退職金を支払わなければなりません。
しかし、雇用契約が終了する場合、雇用主は必ずしも退職金を支払う必要はありません。雇用主が従業員に対して退職金を支払う必要のない場合は以下の通りです。
- 従業員が不誠実に職務を遂行した場合(雇用主に対する故意の刑事犯罪を含む)。
- 従業員が故意に雇用主に損害を与えた場合。
- 従業員が過失により雇用主に重大な損害を与えた場合。
- 従業員が就業規則またはその他規程に違反した場合で、雇用主の命令が適法かつ公正であり、雇用主が従業員に対して既に警告書を出している場合(雇用主が重大な警告を必要としない場合は除く)(警告書の有効期間は、従業員が違反を犯した日から1年間以内とする)。
- 従業員が正当な理由なく3日連続(休日があるか否かを問わない)で職務を放棄した場合。
- 従業員が判決に基づく懲役等の法定刑罰を受けた場(過失行為または些細な行為は除く)。
有期雇用契約の場合
この場合、雇用契約は事前通知なしに雇用契約の期間の満了時に終了します。その理由を述べることも必要です。
さもなければ、それは違法で、雇用主自身の利益を失う可能性があります。この記事の読者が知る必要のあることは以下の通りです。
- 雇用主が雇用契約を終了する場合で、雇用主が雇用契約終了通知で理由を明記しない場合、雇用主は、退職金を支払うことなく第119条で定めた根拠を用いることができません。この制限は、契約終了事前通知に代わる報酬と損害賠償請求に関する訴訟をしない退職金請求に関してのみです。
- 雇用主が理由を示して雇用契約を終了する場合、雇用主は従業員に対して退職金を支払う義務を負いません。
試用期間中の解雇の場合
試用期間中の業務に関して、1998年労働保護法(2008年に修正)第17条2項では、試用契約は無期雇用契約とみなされると定めています。無期雇用契約の終了には事前通知を行わなければならないと法律は定めています。
それ故、たとえ使用期間が特定の期間であっても、事前通知が必要です。
しかし、法律は試用契約が無期雇用契約であると定めていますが、試用契約を禁止していませんので、試用雇用契約を締結することができます。
雇用期間に関して、契約には様々な条件があります。業績評価が不合格の場合、雇用契約を終了することができます。これを契約に明記すれば、雇用主は試用期間中に従業員を解雇することができます。
但し、解雇理由は従業員にとって公正なものでなければなりません。個人的な理由やいじめによる解雇はできません。解雇理由は業務の責任により関連したものにすべきです。
しかし、雇用契約を終了する際、雇用主は従業員に対して、最終賃金期間に関する事前通知を書面で行わなければなりません。次の賃金支払期間に関して当該契約終了を有効にするためにです。
換言すれば、1つの支払期間を完了するための通知を行います。または、直ちに契約終了したい場合には、雇用主は従業員に対して、当該通知に代わって賃金を支払わなければなりません。
それ故、企業は試用期間中に従業員を解雇することができます。例えば、賃金が毎月末に支払われる場合、当月末までに通知を行わなければなりません。従業員は退職する前に翌月末まで引き続き働きます。
タイにおける雇用契約と委託契約の違い
業務委託契約、製造契約、設計契約、建設契約等の委託契約は、一方の当事者が雇用主(サービス利用者、サービス受領者、雇用主等、契約によって呼称は異なります)であり、相手方が契約者(サービス提供者、請負人等、契約によって呼称は異なります)である契約の一種です。
両当事者で合意した範囲内で契約者が行った業務の見返りとして、雇用主は契約者に対して報酬(サービス料、謝礼、建設費等、契約によって呼称は異なります)を支払うことに同意します。
雇用が労働か委託かを判断する際、雇用主は、以下を検討基準として使うことができます。
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業務の達成(仕事の完成)を重視するか否か:
委託契約の主な目標は業務を成功させることです。すなわち、契約者は、雇用主が指定した業務の性質、様式、資格、時期、基準に従って仕事を完成させる自由を有します。報酬を計算する際は、両当事者で合意した「仕事の完成」が契約者の報酬を決定する変数としてしばしば使用されます。 -
監督権限があるか否か:
雇用契約では、雇用主は従業員を監督する絶対的な権限を有します。換言すれば、雇用主は従業員に対して他の仕事を割り当てたり、従業員の職務範囲と責任を変更することができます。雇用主は、雇用主が指定した日時に仕事をするよう従業員に要求し、違反した場合には従業員に対して訓戒や懲戒処分を行う権限を有します。 -
業務を行う人の種類:
一般的に雇用契約において、従業員は「自然人」のみでなれければなりません。他方、委託契約では、契約者には「自然人」および「法人」(例:会社、登録パートナーシップ)の両方がなれます。
委託契約は仕事の成果を重視するので、一般的に、労働日数や労働時間は雇用の本質ではありません。契約者は自由に自分の時間を管理し、日程通りに受託業務を行うことができます。
雇用契約と委託契約を区分する基準
雇用主は「労働者の雇用」と「労働の雇用」の区別を考慮することができます。それ故、以下の通り、雇用主は、雇用主と契約者の権利、義務、制限、法的責任等の違いの結果を考慮することができます。
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業務報酬の決定:
委託契約では、両当事者は、業務の量と質を考慮して両者に受け入れ可能な報酬で合意することができます。しかし、雇用契約の場合、雇用主は従業員に対して、賃金委員会が決定したスキル基準に従った最低賃金または賃金レート以上の報酬を支払わなければなりません。 -
業務用のツール、資料、設備、携行品:
雇用契約では、従業員は、業務用のツール、資料、設備、携行品の調達に責任を負いません。
一方、委託契約の場合、契約者は、それらの調達と費用に責任を負わなければなりません。 -
業務の達成(仕事の完成)を重視した労働日数と労働時間:
委託契約では、一般的に、労働日数と労働時間は雇用の本質ではありません。契約者は自由に自分の時間を管理し、日程通りに受託業務を行うことができます。
一方、雇用契約では、雇用主は労働日数、労働時間、休日、休暇日を設定して、従業員に指図する権限を有します。週当たり6日を超える労働の禁止等、労働保護法を順守して設定します。 -
契約の主題事項:
雇用契約では、知識、能力、経験、スキル、専門知識等の従業員の資格は常に、雇用契約の本質であるとみなされます。雇用主は業務に適した従業員を割り当てます。
一方、委託契約では、契約者の資格が重要である場合とない場合があります。雇用主が契約者の資格を重要と考えない場合、雇用主は、契約者が自分のために下請け業者を雇うことを禁止しません。 -
雇用の悪用における第三者に対する責任:
正式な雇用中の行為の結果として従業員が他者に損害を与えた場合、雇用主は当該犠牲者に対して当該従業員と連帯して責任を負います。
一方、委託契約の場合、雇用主は、契約者の行為に起因する損害に関して責任を負いません。何故なら、契約者は業務を行う際に自由に裁量権を行使できるからです。雇用主は契約者の決定を管理できませんし、当該決定を知りません。但し、雇用主が契約者に対して命令を順守するよう要求した結果として損害が発生し違反を引き起こした場合、または、委託業務にふさわしい品質、基準、知識、能力を有しない契約者を雇用主が選択し起用し、損害を引き起こした場合は除きます。
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タイにおける雇用契約の手続きは、契約当事者の合意内容にもよりますが、複雑ではありません。
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