コラム

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更新日: 2024年8月28日

タイの製造業について

監修弁護士 川村 励 弁護士法人ALG&Associates バンコクオフィス 所長

タイの国内総生産(GDP)に対する製造業が占める割合は過去10年で変動はあるものの、製造業はタイ経済の主要な原動力のひとつであり、2021年の生産高は約4.4兆バーツでした。

他の重要セクターと比較しても、製造業はタイ経済に大きな効果をもたらしています。

2022年、タイ日本商工会議所はタイにおける投資動向調査の結果を発表し、機械・製造業への投資が40%増加するとの見通しを示しました。商務大臣は、2021年を通じて、外国人によるタイ国内企業への投資を承認し、570の個人または法人が合計825億100万バーツを投資しました。

これにより、タイ人の雇用機会が5,450件創出されました。タイで事業活動を行う外国人投資家のトップは日本で163法人(全体の28.6%)、投資額は232億6,000万バーツでした。

さらに、業種別に分析すると、外資が投資する業種のトップは製造業でした。

タイが日本の投資家から大きな注目を集めていることは明らかです。しかし、日本の投資家は、言葉の壁や関連法規などの課題に直面しています。

本稿では、タイで製造業に参入することを検討されている方々のために、基礎的な情報を提供することを目的としています。

タイの製造業の特徴と今後のトレンド

タイは、強固なインフラと広範な産業技術力に支えられ、ASEAN域内の重要な製造拠点として際立った地位を誇っています。タイの主な製造業は、自動車、特に自動車部品、エレクトロニクス、バイオプラスチックなどです。

インフラが整備されているタイは、ASEAN域内の製造業の主要な生産拠点としての地位を確立してきました。さまざまな製造業のニーズに応えるため、専用の工業団地が開発され、施設やリソースを広範に提供しています。

タイの製造業は、ハイテク化と自動化への移行を進めており、その過程で、最先端技術を導入し、生産性と効率を高めようとしています。この動きは、優秀な製造国家として、先頭に居続けるというタイの決意を表しています。

今後、タイの製造業は世界的な貿易センターとしての極めて重要な役割を維持すると予想されます。戦略的な地理的位置と競争力のある製造能力を活かして、タイは今後も国際的な企業を惹きつけ、世界貿易の重要なゲートウェイとしての役割を果たすでしょう。

製造拠点としてのタイ

タイは、その戦略的な立地に加え、堅調な経済と整備されたインフラにより、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域の有力なプレーヤーとしての地位を確立してきました。

タイはASEANのハブとなることで、経済統合と経済連携の促進に重要な役割を果たすことが期待されています。このビジョンは、タイにおける経済回廊(economic corridor)の創設と開発を通じて実現されようとしています。

経済回廊とは、立地の戦略性、インフラ、資源を活用して、経済成長と発展を促すことを目的とした経済特区ことを指します。タイは、地域の結びつきを強化し、国内およびASEAN地域全体の貿易と投資を促進するため、経済回廊の創設に力を入れてきました。

タイの重要な経済回廊のひとつが東部経済回廊(EEC)です。タイ東部に位置するEECは、チョンブリ、ラヨーン、チャチュンサオの3県にまたがっています。

EECの目的は、この地域を先端産業、技術革新、高付加価値サービスの主要拠点へ変革させることにあります。自動車、エレクトロニクス、ロボット工学、航空宇宙、バイオ化学などの産業における外国直接投資(FDI)の誘致に重点を置いています。

EECはまた、物流の効率化とアクセスを向上させるため、交通網、港湾、工業団地などのインフラ整備にも力を入れています。

EECのほかにも、タイには北部経済回廊、南部経済回廊、東北部経済回廊などがあります。各経済回廊は、それぞれの地域が持つ独自の強みや資源を活用し、特定の産業における競争力を高めるために戦略的に設計されています。

これらの回廊はタイ全体の経済発展に貢献し、ASEAN地域の貿易・投資のゲートウェイとしてタイを位置づけています。

さらに、タイのインフラ整備と経済連携に対する積極的な取り組みは、一帯一路構想(BRI)やASEAN Master Plan on Connectivity(AMPC)といった地域構想への参加にも反映されています。

これらの構想は、物的インフラを強化し、デジタル・コネクティビティを促進し、国境を越えた商品、サービス、人のシームレスな移動を促進することを目的としています。

タイは、これらの構想に積極的に取り組むことで、ASEAN域内のハブとしての役割をさらに強固なものとし、東南アジアのみならず世界の経済を繋ぐことを考えています。

タイにおける日本の製造業

日本企業のタイ進出は、自動車、オートバイ、電気機器部品、電子部品など、主に製造業が中心となっており、特に「自動車・オートバイ」と「電気・電子部品」産業において、タイで大きな存在感を示しています。

日系自動車メーカーのタイにおける生産拠点の設立は、1962年までさかのぼります。この時期、タイ政府は自動車産業を奨励分野に指定し、外国からの投資を奨励し、自動車製造業の成長を促しました。

政府によるこの積極的な取組みは、タイの潜在性と良好なビジネス環境を認識した日本の自動車メーカーを惹きつけました。

生産コストの低さ、熟練労働者の雇用のしやすさ、支援的な規制の枠組み、他のアジア市場への物理的な近さ等の要因に後押しされ、日本企業はタイが製造業の進出先として魅力があることを認識しました。

こうした企業の進出により、タイの産業発展、技術進歩、輸出能力が大きく成長しています。

タイに進出している日系製造業は、長年にわたり、現地のサプライヤーやメーカーと強力な提携関係や協力関係を築いてきました。これにより、強固なサプライチェーン・エコシステムが構築され、製造業のハブとしてのタイの地位がさらに向上しました。

さらに、日本企業からタイ企業への技術、ノウハウ、専門知識の移転は、地場産業の発展とタイ経済の成長を促進してきました。

日本の製造業がタイに進出したことは、日本とタイ双方に経済的利益をもたらしただけでなく、文化交流を促進し、両国間の結びつきを強めてきました。

日系メーカーがタイに継続的に進出し、投資してきたことは、製造業における日本とタイの長年にわたる充実したビジネス関係を象徴しています。

タイの製造分野へ進出するあたり適用される外資規制

外国人事業法(Foreign Business Act)は、タイ国内における外国資本の制限を定めています。この法律は、タイ国内で会社を設立しようとする外国人に対する制限を課すことを目的としており、外国人による投資に関する法的枠組みとして不可欠な要素です。

同法は、包括的な法規範として、タイ国内における外国企業の設立と運営に対して適用されることで、国益を守りつつ、外国企業の事業活動を促進する環境を整備しています。

製造業は、投資、機械や技術の導入、多くの雇用機会の提供を通じて国内経済に貢献しているため、政府の支援により外国人事業法の対象外となっています。

タイ国内に製造施設を設立する場合、通常の事務所の設立とは異なり、長期的な稼働が必要となります。

そのため、会社が完全な所有権を持つことで、日本企業がタイで事業活動を行うことが相当と考えられます。

「製造業」の範囲と注意すべき点

「製造業」とは、機械を用いて、原料や半製品から完成品を製作する事業所という定義がなされています。タイで製造業を展開する場合、以下に示すような、慎重な検討が必要となる側面があります。

  • 有償のアフターサービス:タイの製造業では、顧客満足度を維持し、製品の品質を向上させるために、修理保証、技術サポート、スペアパーツの供給などの、有償のアフターサービスを提供する必要があります。
  • OEM生産:OEM(相手先ブランドによる生産)は、タイの製造業において重要な役割を占めています。多くの企業がOEMに従事しており、他社が提供した設計や仕様に基づいて製品を製造しています。
  • 受注生産:タイの製造業では、顧客からの注文に基づくカスタマイズ製造を行うケースも多くあります。この場合、効率的な生産計画、カスタマイズ能力、遅れのない納品を通じて、顧客を満足させる必要があります。
  • 基本的な組み立てや加工: タイの製造業の中には、様々なサプライヤーから調達した部品やコンポーネントを用いて基本的な組み立てや加工などに従事するところもあります。この場合、部品やコンポーネントの取り付けや、基本的な加工ステップの実行など、単純な組立工程を行うことが多くあります。

また、特に以下のような場合、タイでの事業が外資規制の影響を受ける可能性があることに注意が必要です。

  • タイ企業が設計過程に関与せずに製品の製造に従事する場合、その企業は「サービス業」に分類される可能性があります。その結果、サービスの提供を中心業務とした企業に適用される外資規制の対象となる可能性があります。
  • タイ企業が製品の企画・設計を行いつつ、製造過程を外部委託する場合、「小売業」または「卸売業」に分類される可能性があります。この場合、当該業種に関連する外資規制の対象となる可能性があります。

タイの製造現場へ進出する場合の課題と解決策

タイの製造現場へ進出する場合、さまざまな課題に対して慎重な検討が必要となります。まず、法規制を遵守し、許可要件を満たすためには、徹底的な調査を行い、法的な助言を受け、現地当局との強力な関係を構築する必要があります。

次に、文化や言語の違いについては、文化研修への投資、現地の人材の採用、現地の商習慣を理解するコンサルタントとの提携によって対処が可能です。

さらに、サプライチェーン・マネジメントに関する課題に対しては、現地のサプライヤーに対するデューデリジェンスを実施し、輸送網を最適化し、効果的な在庫管理システムを導入することにより軽減することができます。

熟練労働者が必要な場合には、労働力開発プログラムに投資し、現地の教育機関と協力することが効果的です。

競合相手に差をつけるためには、製品やサービスを差別化し、登録や秘密保持契約を通じて知的財産権を保護することが重要です。

最後に、地域の経済や政治情勢に関する情報を常に入手し、事業戦略に柔軟性を保たせることで、経済や政治の変動や変化が生じた場合にもそれらを乗り切ることができます。

人材確保に関する問題

タイは少子化による高齢化が進んでおり、社会格差も大きくなりつつあります。そのため、英語を流暢に話すことができる国民は相対的に少なく、タイ語に加えて英語が公用目的で幅広く使われているものの、会話の中では多く使われていません。

また、タイ人が日本企業と仕事を行いたい場合、日本語を聞く、話す、書く、読む能力を有していると、非常に有利となります。

しかし、多くのタイ人は個人的には日本との結びつきを強く感じていないため、就職活動時を除いて、日本語を勉強する意欲を欠いています。

さらに、現在の文化的嗜好として、伝統的な職務で長期間働くことが敬遠されています。人材紹介会社を利用することで、こうした課題に対処し、特定のポジションに適した候補者を効率的に見つけることができます。

人材開発に関する問題

タイに限らずどこの国でも、人々は、正当な報酬を得ていると感じられれば勤勉に働きます。

企業が社員に対して熱心に働いてもらいたいのであれば、快適な職場環境を整え、良好な人間関係を育み、社員のニーズに共感することが不可欠です。

不当な圧力や束縛を与えることなく、会社が何を期待しているのかを効果的に周知することで、社員は最大限の能力を発揮することができます。

タイに進出する日本企業においてよく見られる問題として、その必要性を考えることなく、日本の価値観や信念をタイ人社員に押し付けようとすることがあります。

それぞれの社会や国には独自の特徴や歴史があることを理解することが重要です。ある国では通用する考え方が、別の国では通用しないこともあります。

したがって、社員が組織に順応する責任はあるのはもちろんですが、同時に、雇用主側も社員の考え方を理解し、受け入れることで、組織を持続させる責任を有します。

社内セミナーやワークショップを開催することで、目的意識や方向性を共有することができ、社員が自分の目標と会社の目標を一致させることができます。

どの組織も有能で熟練した人材を求める一方で、社員は理解力のある理性的なリーダーを求めます。リーダーシップを発揮しつつ、社員たちを理解することの均衡を図ることが必要です。

リーダーシップを発揮することと、労使双方が共感することの間に、調和のとれた均衡を見出すことが極めて重要なのです。

人件費に関する課題

雇用主の立場から見ると、タイにおける最低賃金の引き上げが人件費に直結し、結果として企業経営に影響を与えることは言うまでもありません。

しかし、最低賃金は雇用主自身だけでなく、労働者の生活にも影響を与えるため、雇用主は法律を遵守する責任があります。

タイでは、最低賃金が必ずしも一般個人の生活費と相関関係があるとは限りません。したがって、社会的状況における生活費の上昇に歩調を合わせるため、最低賃金の調整が必要です。

雇用主は自分の組織に合った、熟練した人材を求める一方、労働者も能力に見合った適正な報酬を望みます。

社員の能力開発は、両者が積極的に新しい知識や進歩を求め、組織の成長に貢献するための、共有の責任となります。

工場用地の確保に関する課題

製造工場の設立または用地選択も、外国人が投資する際に十分な考慮を要する事項です。この場合、そのメーカーがどの程度の期間投資を行うかについても考慮すべきです。

長期的な事業運営を目的とするのであれば、土地を購入して工場を建設した方が、生産設備の毎月の賃貸料が不要となり、費用対効果が高くなる可能性があります。

また、工業団地はインフラが整備されており、電気や水の安定供給が確保されています。工業団地では、クレーン設置の自由度も高く、特定の操業ニーズに対応できます。

一方、長期的な土地所有が必要でない短期投資の場合、工場を借りて操業することも有効な選択肢となります。初期投資が少なく、必要に応じて工場を簡単に移転することができます。

さらに、適切な建物や施設がすぐに利用できる場合は、準備期間を大幅に短縮することができます。

全体として、土地を購入して工場を建設するか、賃貸して操業するかを決定するのは、各組織の具体的な希望や要件に依存します。

どちらの選択肢にも利点があり、どちらのアプローチが組織の目標や目的に最も合致するかを慎重に見極める必要があります。

外国人による土地所有

タイでは、土地法により外国企業の土地所有が制限されています。具体的には、(1)外国人が登記資本金の49%以上を保有する会社、または、(2)外国人が株主の過半数(個人数ベース)を占める会社は、土地の所有が禁止されています。

ただし、この規則には一定の例外があります。タイ投資委員会(BOI)の支援を受けている企業や、タイ工業団地公社(IEAT)の認可を受けた工業団地に所在する企業は、外国人投資比率に関係なく、土地の所有を許可される場合があります。

これらの例外は、外資を奨励し、タイの経済発展を促進するために設けられたものです。タイでの土地所有を検討している外国企業にとって、例外措置を受ける資格があるかを慎重に見極めた上で、土地法、BOI、IEATが定める規制を遵守することが重要です。

機械や設備に関する問題

機械設備の現地調達の課題も存在します。日本から輸入することも可能ですが、タイでの輸入・通関手続きは複雑で時間がかかることに注意が必要です。その結果、タイ投資委員会(BOI)の承認取得が遅れ、優遇税制を受けられなくなる可能性があります。

また、機械設備のメンテナンスや故障により、操業停止につながる問題も考える必要があります。この問題を軽減するためには、メンテナンススタッフやオペレーターに総合的な教育を施し、設備の背後にある技術を深く理解させることが重要です。

さらに、現地でのメンテナンスのニーズに迅速に対応できる、熟練した人材を育成することで、操業の中断を最小限に抑えることが望まれます。

教育の提供や技能開発を重視することで、企業は機械や設備を効果的に管理する能力を高め、生産性を最適化し、現地での円滑な操業を維持することができます。

原材料確保に関する問題

状況によっては、原材料の現地調達は、調達難や潜在的な品質問題などの問題を孕む可能性があります。特に金属製品製造業などでは顕著であります。日本とタイで原材料の規格が異なるためです。

日本から原材料を輸入することもひとつの解決策です。しかし、この方法では、複雑な輸入手続きや通関手続きなど、機械設備の輸入と同様の問題に直面する可能性があることに注意が必要です。

その結果、タイ投資委員会(BOI)による優遇税制の適用など、必要な認可の取得に遅れが生じる可能性があります。

こうした障害を克服し、高品質の原材料を確実に供給するためには、効果的な戦略を確立することが不可欠です。具体的には、日本国内にある、要求する基準を一貫して満たすことのできるほどに信頼感の高いサプライヤーとの強固な関係を確立することです。

徹底的なデューデリジェンスを実施し、サプライヤーが品質と信頼を提供できるかを確認することが必要です。

さらに、サプライヤーとの明確なコミュニケーション・チャンネルと仕様を確立し、品質要件と規格の相互理解を確保することが極めて重要です。これにより、受け取る原材料に誤解や不一致が生じるのを防ぐことができます。

潜在的な品質問題を軽減するためには、生産工程で厳格な品質管理対策を実施することが重要です。これには、受入時の原材料の徹底的な検査の実施、品質検査プロトコルの実施、生産段階を綿密に監視し、逸脱や問題を速やかに特定・修正することなどが含まれます。

また、サプライヤーとの明確なコミュニケーション・チャンネルを確立し、仕様書を作成することで、品質要件と規格の相互理解を確実にすることが重要です。これにより、原材料に生じる誤解や不一致を防ぐことができます。

潜在的な品質問題を軽減するためには、生産工程で厳格な品質管理対策を実施することが重要です。

具体的には、受入時の原材料の徹底的な検査の実施、品質試験プロトコルの実施、生産段階での綿密な監視を実施することで、理解の不一致や問題を迅速に特定し、修正することが可能となります。

さらに、現地スタッフの研修と育成に投資することで、原材料の評価と管理に関する専門知識の習得を行うことができます。

社員が必要なスキルや知識を身につけることで、原材料の品質を効果的に評価し、生産工程への適合性について、十分な情報に基づいた意思決定を行うことが可能となります。

全体として、原材料の現地調達における課題は存在するものの、信頼できるサプライヤーからの調達、徹底した品質管理の実施、現地の人材育成への投資といった積極策を通じて、こうした課題を軽減し、製造業務に必要な高品質の原材料の安定供給を確保することができます。

製造品質に関する問題

品質向上の基本は、不具合を正確に把握し、適切な対策を講じることにあります。しかし、タイではそれが対処し難い課題として認識されがちです。これに対処するためには、組織内の士気を高め、強い品質文化を確立することに注力することが極めて重要です。

効果的なアプローチのひとつは、各工程の品質基準を明確に定義し、周知徹底することです。具体的には、検査時に何を見るべきかについての詳細な指示を出し、何をもって欠陥とするかについての明確な概要を提示すること等です。

どのレベルの品質が求められているのかについて、共通認識を確立することで、社員は生産工程における異常や問題点を効果的に発見し、対処することができます。

全社員が定義された品質基準に精通し、品質の維持・向上における各自の役割を理解できるよう、定期的な研修・教育プログラムを実施する必要があります。

具体的には、ワークショップやセミナーの実施や、欠陥の特定と対処に関する社員のスキルを向上させるための実地トレーニングセッション等があります。

さらに、社員たちが支え合い協力し合える職場環境を作ることも、品質向上には欠かせません。

社員たちに開かれたコミュニケーション・チャネルを通じた、フィードバックや提案の機会を設けることで、品質改善プロセスにおける帰属意識と参加意識を育むことができます。

社員が、批判を恐れずに欠陥を報告し、改善を提案する権限を与えられていると感じるべきです。

品質データの取得と分析のための強固なシステムを導入することも重要です。具体的には、欠陥を追跡し記録する、根本原因を分析する、適切な是正措置と予防措置を実施する等です。

データを収集・分析することで、傾向とパターンを特定し、再発する問題に先手を打って対処し、継続的に品質を向上させることができます。

加えて、継続的に改善する社内文化を醸成することも不可欠です。社員に品質問題の特定と解決策の提案を促し、その中身を評価し、報酬を与えることで、社員が品質改善の取り組みに積極的に参加する動機付けとなります。

定期的に品質評価会議を実施することで、課題について話し合い、ベストプラクティスを共有し、革新的な解決策を共同で行うことが可能となります。

タイでは、品質文化の改善には、明確な品質基準の定義と伝達、総合的な研修の実施、協力的な職場環境の醸成、効果的なデータ分析システムの導入、継続的改善の文化の促進が必要です。

品質を第一に考え、あらゆるレベルの社員を巻き込むことで、組織は、欠陥の特定、対策の実施、製品およびプロセス全体の品質の大幅な改善を推進することができます。

現地拠点の運営に関する問題

現地拠点で効率的な事業運営を行う場合、収益性の達成、雇用機会の育成、設備投資の促進において極めて重要です。人材への投資が不十分であれば、企業の成長は妨げられ、全体的な業績の低下につながります。

これらの課題に対処するためには、明確なビジョンを確立し、明確な方針を定め、それを全社員へ効果的に周知することが不可欠です。これにより、組織内の一人ひとりが組織全体の目標や目的を理解し、その達成に向けて努力することができるようになります。

さらに、日本の本社からの支援は、現地拠点での事業運営を成功させる上で極めて重要な役割を果たします。この支援では、必要なリソース、専門知識、指導を提供することで、業務上の障害を克服し、効率性と収益性を最大化することが求められます。

要約すると、現地拠点の運営を上手に進めるには、会社のビジョンと方針を明確にし、それを社員と共有し、日本の本社からの支援を得ることが重要です。これらの手法を通じて、収益が持続的に向上す、雇用機会が増加し、設備投資が強化され、組織全体の成長と成功につながります。

日本の本社と現地事務所との間での連携

日本の本社が現地拠点で起きる問題の解決に関与する場合、現地部門の負担増加に繋がります。その結果、現地での問題解決に遅れが生じます。

本社からの問い合わせ対応の増加、現地での営業訪問の増加、その他関連業務などにより、仕事量が増加します。

このプロセスを効率化するためには、現地拠点のバックアップ体制と同様のサポート体制を、本社側でも整備することが重要です。

これにより、バランスの取れた責任分担が確保され、現地拠点は中核業務に集中できる一方、本社は関連事項を独自に処理することができます。

この方法を導入することで、現地拠点の問題解決効率が向上し、業務全体の円滑化につながります。

タイにおける洪水リスク対策

タイは洪水のリスクに直面しており、洪水により、空港や高速道路の封鎖につながる政治的混乱など、さまざまな悪影響が発生する可能性もあります。その結果、輸送や物流に大きな支障が生じます。

さらに、工場などの建物や機械、設備への潜在的な被害、道路交通の全体的な混乱も懸念されます。

こうしたリスクを効果的に軽減するため、タイで事業を展開する組織が強固な事業継続計画を策定し、定期的に見直すことが不可欠です。これらの計画は特に、緊急事態に対応し、企業の全体的なリスク対応能力を高めるものでなければなりません。

総合的な事業継続計画を実施することで、組織は潜在的な脆弱性を事前に特定して対処することができ、洪水発生時に迅速かつ効果的な対処が可能となります。

具体的には、代替輸送ルートの確立、バックアップ通信システムの整備、必要に応じて業務を移転するための緊急時対応計画の策定等があります。

これらの計画を定期的に見直し検証することは、その有効性を確保し、変化するリスクに適応させるために極めて重要です。地方当局および利害関係者との協力により、洪水への備えと対応を強化するための貴重なアドバイスやリソースを受け取ることができます。

事業継続計画の策定と見直しを重要視することで、タイの組織は資産をより適切に保護し、洪水発生時にも業務を維持し、顧客、そしてより広範な地域社会への影響を軽減することができます。

地元企業との連携

タイの製造業に進出する際、現地企業との業務・資本提携は極めて重要な手法です。

このような提携を通じて、現地のさまざまなシステム、ノウハウ、現地の専門知識を活用できる機会をもたらし、企業がタイ市場で強力な足場を築き、成長を促進し、タイにおけるさまざまな機会を活用することを可能にします。

合意契約締結の必要性

業務提携を結ぶ場合、包括的な契約書の締結が不可欠です。契約書を交わすことで、各組織の権利、義務、期待する内容について明確に理解することが可能になります。この契約上の枠組みは、提携関係の堅固な基盤となり、発生しうるリスクを軽減するのに役立ちます。

契約を締結する上で必要なことの1つは、合意した条件を定義し、それを実行できるようにすることです。綿密に作成された契約書には、各当事者の役割、責任、貢献内容など、業務提携の範囲が規定されています。

契約書には、契約の期間、財務面での取り決め、知的財産権、機密保持条項、紛争解決メカニズム、その他業務提携に関する重要な事項が明記されます。

これにより、両当事者が業務提携の諸条件について共通の理解を持つことができ、誤解や紛争が生じる可能性を低減させることができます。

さらに、契約書を交わさないことによるリスクも軽視できません。明確かつ強制力のある契約ではない場合、双方の期待、成果物、所有権に関する意見の相違や対立が生じる可能性が高くなります。

口頭での合意や非公式な理解は、不確実性、説明責任の欠如、紛争解決の困難につながる可能性があります。このような状況では、自らの利益を守り、法的救済を求めることが困難になり、経済的損失、関係の悪化、評判の低下を招く可能性があります。

書面で契約を交わすことで、当事者間で強固な法的枠組みが確立され、確実性、権利の保護、透明性が担保されます。

これにより、当事者たちが同じ見解を持ち、信頼を育み、より健全で長期的なビジネス関係を促進することができます。

さらに、契約違反や意見の相違が発生した場合、綿密に文書化された契約書は、紛争を解決し、提携の中断を最小限に抑えるための貴重な参照元として機能します。

包括的な契約書の締結は、業務提携を確立する上で極めて重要です。契約書は、権利、責任、期待を明確にするための正式な枠組みを提供します。

リスクを軽減し、提携関係を明確に理解することで、書面による契約は透明性、説明責任、そして提携事業の長期的な成功を促進します。

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