2023.9.20
1.最新法律アップデート
2.最新法令要約
3.重要判例・ルーリング
Topics1 最新法律アップデート
官報に掲載された最新のビジネス関連法律は、以下の通りです。
所轄官庁 | 題名 | 通達日 | 適用日 | |
---|---|---|---|---|
1 | 歳入局 | 歳入局長通達 主題:石油所得税に関する法律に定める税還付申請書の書式及び申請場所について | 2023/8/10 | 2023/8/10 |
2 | 歳入局 | 歳入局長通達 主題:締約国の税務当局間における金融口座情報の自動交換における基準、手続き、条件及び形式について | 2023/8/10 | 2023/8/11 |
3 | 歳入局 | 財務省通達 主題:税務当局間における金融口座情報の自動交換制度の締約国一覧 | 2023/8/10 | 2023/8/11 |
4 | 歳入局 | 仏歴2566(2023)年税務に関する国際間協定に基づく情報交換の手続きに定める省令 | 2023/8/15 | 2023/8/16 |
5 | 歳入局 | 仏歴2566(2023)年歳入法典に基づき発布する勅令(第768号) 主題:教育期間に対する寄付を対象とする所得税の免除措置 | 2023/8/15 | 2023/8/16 |
6 | 歳入局 | 仏歴2566(2023)年歳入法典に基づき発布する勅令(第769号) 主題:LNG Receiving Terminal ( 第2 )プロジェクトへの出資に伴う物品の販売又は文書の作成によって発生する所得税、付加価値税、特定事業税及び印紙税の免除について | 2023/8/15 | 2023/8/16 |
7 | 歳入局 | 仏歴2566(2023)年歳入法典に基づき発布する勅令(第770号) 主題:計量学開発基金、公共高熱システム開発基金、科学技術開発基金及び科学、研究及び革命促進基金に対する寄付を対象とする所得税の免税措置 | 2023/8/15 | 2023/8/16 |
8 | 歳入局 | 仏歴2566(2023)年歳入法典に基づき発布する勅令(第771号) 主題:タイ赤十字協会及び公衆衛生基金に対する寄付を対象とする所得税の免除措置 | 2023/8/15 | 2023/8/16 |
9 | 歳入局 | 仏歴2566(2023)年歳入法典に基づき発布する勅令(第772号) 主題:タイ国家スポーツ協会、県立スポーツ委員会、県立スポーツ協会及び名称において「タイ国家」という文言を使用しているスポーツ協会、タイ国家スポーツ協会法に基づき設立されたタイ国家スポーツ開発基金に対する電子寄付を対象とする所得税免除措置 | 2023/8/15 | 2023/8/16 |
10 | 歳入局 | 仏歴2566(2023)年歳入法典に基づき発布する勅令(第773号) 主題:電気自動車又は電動二輪車の使用促進措置に基づき政府から取得した支援金を対象とする所得税の免除措置 | 2023/8/15 | 2023/8/16 |
11 | 歳入局 | 仏歴2566(2023)年歳入法典に基づき発布する勅令(第774号) 主題:元受刑者の雇用を対象とする所得税免除措置 | 2023/8/15 | 2023/8/16 |
12 | 歳入局 | 仏歴2566(2023)年歳入法典に基づき発布する勅令(第775号) 主題:タイ証券取引所に登録された外国の証券の権利証書に関する取引を対象とする所得税の減免措置 | 2023/8/15 | 2023/8/16 |
13 | 歳入局 | 仏歴2566(2023)年歳入法典に基づき発布する勅令(第776号) 主題:自動システム(Automation)への投資奨励に伴う税務措置 | 2023/8/15 | 2023/8/16 |
14 | 歳入局 | 仏歴2566(2023)年歳入法典に基づき発布する勅令(第777号) 主題:STEM高技能人材雇用を対象とする所得税免除措置 | 2023/8/15 | 2023/8/16 |
15 | 歳入局 | 仏歴2566(2023)年歳入法典に基づき発布する勅令(第778号) 主題:従業員をSTEM高技能人材へ教育することを促進するための所得税免除措置 | 2023/8/15 | 2023/8/16 |
16 | 歳入局 | 仏歴2566(2023)年歳入法典に基づき発布する勅令(第779号) 主題:デジタルトークン取引に伴う所得税及び付加価値税の免除措置 | 2023/8/15 | 2023/8/16 |
※調査対象は、歳入局、投資委員会(BOI)、関税局、財務省、タイ工業団地公団(IEAT)、入国管理局、労働省、商務省、内務省(ビジネス関連のみ)、タイ中銀、デジタル経済社会省を範囲としております。
Topics2 最新法令要約
1.税務に関する国際間協定に基づく情報交換に関する省令
2023年8月16日より、税務に関する国際間協定に基づく情報交換に関して定める省令が適用されました。同省令は、税務目的の国際間協定を順守するための情報交換に関する仏歴2566(2023)年緊急勅令に規定する、タイ国内における金融機関の口座情報報告義務者の義務に関する基準及び手続を定めるものであり、タイにおける非居住者である外国人の口座情報の報告を目的とするものとなっております。
同省令の内容の要旨は、次の通りです。
- 報告義務者
- 一般の口座情報調査
- 個人の口座情報調査
- 法人の口座情報調査
- 顧客情報調査のための特別な基準
- 一般総則
同省令は、税務目的の国際間協定を順守するための情報交換に関する仏歴2566(2023)年緊急勅令に基づき発布されたものです。
2.税務当局間での口座情報の自動交換における形式
歳入局は、税務当局間での多国間協定に基づく金融口座情報の自動交換における基準及び手続に関して定める歳入局長通達を発布しました。同通達の内容によれば、報告義務者は、以下の口座名義人の情報を報告する旨が定められています。
- 個人の場合:名前、住所、居住地国、税籍登録番号、生年月日及び出生地。
- 法人の場合:法人の名称、所在地、居住地国及び法人の税籍登録番号のほか、法人における権限者各々の名前、住所、居住地国及び生年月日。
- 口座番号、又は口座番号がない場合はこれに代わるもの。
- 報告義務者の名前及び担当者番号。
- 口座の預金残高、又は損害保険又は生命保険の場合は、暦年の年末又は年間に解約した場合はその解約日時点の現金価値又は償還額。
- 年間に資産口座から生じた利息、配当金又はその他の所得で、口座に入金又は返金されたもの、又は口座と関連するもの。
これらの報告は、歳入局のウェブサイト上の共通報告基準(CRS : Common Reporting Standard)に基づく金融口座報告システムにログインして行うものとされています。
Topics3 重要判例・ルーリング
1.賃金減額の合意及び黙示的な雇用条件の不利益変更
(最高裁判例第3017/2561号)
一般的には、従業員の賃金減額、福利厚生の減少、降格などは、雇用条件を従業員の不利となる方向に変更するものであることから、従業員からの合意を得ることが必要である。労働者保護法では、合意の形式は規定されていないので、労使間で書面又はその他の方法、若しくは黙示的に合意することができる。
従業員が雇用条件の変更に合意した場合は、その変更された雇用条件が法的効力を有することとなる。
しかしながら、当該雇用条件が、労働関係法に定める要求事項によって生じたものである場合は、雇用者は従業員各人から合意を得ることはできないが、変更の場合は同法に定める手続き及び過程に従って行わなければならない。
黙示的な賃金減額の合意が成立しているかどうかについては、従業員が、実際の賃金を下回る金額によって支給された賃金に対して、その減額された期間に亘って反対する旨の主張をしていなかったり、雇用者が従業員の職務の変更を常に行っており、各年における昇給率の計算が、その減額後の福利厚生や賃金ベースに基づいて行われていたが反対しなかった場合も、労使間で当該雇用条件の変更が黙示的に合意されたものと見做され、当該賃金減額も合法なものとされるほか、雇用契約違反ともならないと解される。
2.解雇又は自主退職となる事案なのか?
(特別控訴裁判所判例第312/2564号)
原則的には、雇用者は従業員の解雇の際には、事前通告に代わる賃金、解雇補償金を当該従業員に対して支給する義務を負う。一方、従業員が自主的に民商法典第386条によって退職する場合は、上記の金銭を雇用者が支給する義務を負う事案とはならない。
本件は、従業員側が違反行為を伴わずに解雇(自主退職を強制された)されたとして事前通告に代わる補償金、解雇補償金及び不当解雇に対する損害賠償を請求する訴えであった。雇用者側は従業員が自主的に退職した旨、反論していた。中央労働裁判所が審理したところ、本件事実関係によれば、従業員が主張するように雇用者に退職を強制、脅迫された事実もなく、自主的に退職したので、解雇とはならない、よって上記補償金及び損害賠償金の支給義務は発生しない。
3.解雇に該当する事案か否か
(最高裁判例第622-623/2564号)
労働者保護法第118条第2項に定める解雇とは、雇用者が従業員に対して業務を継続させない又は賃金を支払わない行為を意味する。
本件は、解雇に該当する事案であるかが論点となったものである。その内容によれば、雇用者が「賃金を払えるのは今月が最後かもしれない、来月は払えないであろう。働き続けたい人は構わないが無給となる、いられないのであれば転職すればいい。店舗の家賃が払えなければ営業は今月末までかもしれない。」と発言したものである。これらの発言は単なる将来の予想であり、雇用者が絶対に勤務させない又は賃金を支払わないことを断言しているわけではないので、解雇には該当しないと解される。