ニューズレター

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2024.6.25

2024年6月における法律アップデート
外国人事業法違反の摘発事件が増えています、東部経済回廊特別ビザ(EEC Visa)の閣議承認、e-Tax & e-Receiptシステムの導入、歳入法典第90/5条に定める法人代表者の刑事罰

Topic 1. 最新法律アップデート。

官報に掲載された最新のビジネス関連法律は、以下の通りです。

所轄官庁 題名 通達日 適用日
1 財務省 付加価値税に関する財務省通達(第816号)
主題:公共慈善機関または団体、診療所及び教育機関について、第482番の財団の名称を、「パンダ及び他の野生動物のための基金」に変更。
2024年4月23日官報掲載 2024年1月23日
2 財務省 仏歴2567(2024)年報告義務者の地位証明書の申請及び発行に関する省令(第2号) 2024年6月5日官報掲載 2024年6月17日以内に手続きを行うこと。
3 財務省 仏歴2567(2024)年所得税の減免に関して規定する歳入法典に基づく勅令(第783号)
主題:特別開発区域を支援するための税務対策
2024年6月5日官報掲載 2024年6月6日
4 財務省 仏歴2567(2024)年所得税の減免に関して規定する歳入法典に基づく勅令(第784号)
主題:特別経済区域外における潜在的事業と同区域内の事業間での共同促進措置
2024年6月5日官報掲載 2024年6月6日
5 財務省 仏歴2567(2024)年免税に関して規定する歳入法典に基づく勅令(第785号)
主題:特別経済区域内の事業における監視カメラの設置を支援するための税務措置
2024年6月5日官報掲載 2024年6月6日
6 財務省 仏歴2567(2024)年免税に関して規定する歳入法典に基づく勅令(第786号)
主題:特別経済区域内の事業における資産への資本的支出促進のための税務対策
2024年6月5日官報掲載 2024年6月6日
7 財務省 仏歴2567(2024)年免税に関して規定する歳入法典に基づく勅令(第787号)
主題:ターゲット産業に従事しており、且つ特別経済開発区域内における新規の中小企業(SME)支援のための所得税免除措置
2024年6月5日官報掲載 2024年6月6日
8 投資委員会(BOI) 投資委員会解説
主題:投資委員会通達第15/2565号に定める機械の更新及び自動システムの導入による能率向上の場合における産業高度化措置(Smart and Sustainable Industry)の奨励恩典申請について
2024年6月13日 2024年6月13日
9 投資委員会(BOI) 投資委員会解説
主題:投資委員会通達第15/2565号に基づく、デジタル技術の能率向上の場合における産業高度化措置(Smart and Sustainable Industry)の奨励恩典申請について
2024年6月13日 2024年6月13日
10 投資委員会(BOI) 投資委員会解説
主題:投資委員会通達第15/2565号に基づく、インダストリー4.0への進化における能率向上の場合における産業高度化措置(Smart and Sustainable Industry)の奨励恩典申請について
2024年6月13日 2024年6月13日
11 投資委員会(BOI) 投資委員会解説
主題:投資委員会通達第15/2565号に基づく、Bグループ事業への投資奨励を申請する新規投資事業用の製造又は役務に使用する自動システム及びロボットの導入産業産業強化の場合における産業高度化措置(Smart and Sustainable Industry)の奨励恩典申請について
2024年6月13日 2024年6月13日
12 投資委員会(BOI) 投資委員会解説
主題:投資委員会通達第15/2565号に基づくBグループ事業への投資奨励を申請する新規事業における、インダストリー4.0への産業強化の場合における、産業高度化措置(Smart and Sustainable Industry)の奨励恩典申請について
2024年6月13日 2024年6月13日

トピックス・ニュース

1.外国人事業法違反の摘発事件が増えています。

最近、外国人事業法違反の件で、警察から呼び出しを受けている事案が増えています。昨年の総選挙により政権交代した後、タイ経済警察が外国人事業法違反に関する捜査に力を入れていることが背景にあります。

外国人事業法違反に関しては、3年以下の懲役、10万~100万バーツの罰金、又はその併科画科されるおそれがあるほか、裁判所の命令により外国人事業法違反となっている事業の停止命令、この命令違反期間にわたり1日当たり1万~5万バーツの罰金に科されるおそれもあります。

外国人事業法違反に該当してしまう場合としては、以下の場合が多いです。

(1) 増資や株主の資本構成の変更により、外資に変わっていた
(2) 受注製造やオフィスのサブリースなど、一見、外国人事業法で規制されていないと思われる事業を遂行している
(3) 外資でBOIやIEAT内で外国人事業法により規制される事業を行っているが、必要な手続きを履行していない
(4) 外資でBOIの事業許可を得ているが、BOI事業の範囲外で外国事業法により規制される事業を遂行していた
(5) 外国人事業法の適用を回避するため、タイ人個人を名義株主としている

外国人事業法の違反は、知らず知らずのうちに違反している事案もあります。タイ子会社の事業について、弁護士などにタイ事業会社が外資規制法に違反していないか、チェックしてもらう必要がありそうです。

2.東部経済回廊特別ビザ(EEC Visa)の閣議承認

タイ政府は、東部経済回廊特別ビザ(EEC Visa)を発給することを閣議決定しました。

同ビザは、有能且つターゲット産業のためにタイ国内で就労する外国人の便宜を図ることを目的としたものです。
同ビザの発給を受けるには、以下の資格を満たしていることが求められております。

  1. 事業者又は他の個人と、事業者の利益のために業務を遂行する旨が規定されている雇用契約を締結していること。
  2. 入国管理法に定める入国禁止対象者ではないこと。
  3. 事業者から資格証明を受けるていること。
  4. EEC Visaは、以下の4種類に分類される。
    4.1 スペシャリスト(Specialist “S”):ターゲット産業又は関連する事業の開発及び向上において利益となる知識、技能を有すること。
    4.2 経営者(エグゼクティブ)(Executive “E”):事業のおける意思決定権限を有する経営責任者であること。
    4.3 プロフェッショナル(Professional “P”) : 特別ターゲット産業に関連する分野における業務経験を有すること。
    4.4 上記の配偶者又は扶養家族(Other “O”):上記のスペシャリスト、エグゼクティブ又はプロフェッショナルの配偶者又は扶養家族であること。
    EECビザは、最高10年までの有効期間が付与されるほか、雇用契約を有するスペシャリスト、エグゼクティブ及びプロフェッショナルは、個人所得税が一律17%となります。

3.e-Tax & e-Receiptシステムの導入

e-Tax & e-Receipt システムは、電子データと形式によるデジタル署名(Digital Signature)の記載が必須な税額票、略式税額票、貸方表、借方表並びに領収書の作成に対応するものです。同書類は、商品の購入者又は役務の利用者に対して発行し、翌月の15日以内に歳入局に提出する義務があります。E-Tax & Receipt システムの利用に当たっては、国家電子証明書発行機構(NRCA)及び電子取引開発事務局(EDTA)の認可に基づく電子証明書(Electronic Certificate)を有しており、且つよい内部統制制度を有する付加価値税(VAT)登録事業者である個人又は法人がこれを利用を申請する権利を有します。また、信頼性を有する手続きによって電子税額票を作成及び受領者に対して発行しているほか、過去に電子税額票の使用を承認された又は審査中の登録事業者ではないことが条件となります。

e-Tax Invoice & e-Receipt システムによって発行できる電子書類は、税額票をオンラインの形式に移行できるのみならず、略式税額票、貸方表、借方表及び領収書などの他の書類を発行することが認められています。

e-Tax & Receipt システムの機能は、以下の通りです。

  1. XML 又はその他デジタル署名の形式によって電子書類を作成
  2. 商品の購入者又は役務の利用者に引き渡す。
  3. 以下の3つの方法によって歳入局に提出
    3.1 Web Upload : XMLフォーマットの書類を、ウエブサイト(etax.rd.go.th)経由で歳入局に提出する。
    3.2 Service provider : 歳入局が認可するサービスプロバイダーによる電子データの送信サービスの利用。
    3.3 Host to Host : 大量のデータ送信(月当たり50万通以上)で、且つ大企業税務管理部門(LTO)の管轄下にある登録事業者が対象。

4.歳入法典第90/5条に定める法人代表者の刑事罰

通常、法人が違法行為を行った場合は、法律に定める罰則規定に基づき処罰されることになっていますが、歳入法典第90/5条では、法人の代表者が法人と連帯して刑事上の責任を負う規定となっております。

また、仏歴2560(2017)年法人代表者による刑事上の責任に関する法律の改正法に基き改正された歳入法典第90/5条では、「本章に定める違反行為を行った者が法人である場合、当該法人による違反行為が、取締役又は管理人(マネージャ―)又は当該法人の経営責任者の命令若しくは行為によって生じたものであるとき、又はその者が命令又は遂行義務を有しており、命令又は遂行を怠ったことによって、当該法人が違反行為を行うこととなった場合、その者は、当該違反行為を定める規定に基づき、処罰されるものとする。」と規定されています。

この点、改正前は、法人が違反行為の疑いをかけられた場合は法人責任者は直ちに責任を負うこととなっておりましたが、改正後は、少なくとも法人責任者が自らの権限行使や任務懈怠により違反行為が生じたことについて証明がされない限り、刑事責任を負わなくてよいようになっております。

とはいえ、すなわち担当係官との交渉中においては、証明自体は検察官に送付された後に問題となる議論であるとして、実際の実務では罰金の支払って和解することを求められることが多いと思われます。従って、実務的には係官との交渉が重要となります。

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