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最新判例・ルーリング(労務・税務) 労務:賃金減額の有効性、景気低迷を理由とした解雇等 税務:発注書に対する印紙税課税、労働者の不正による損害の損金性等

賃金の減額について黙示の合意が認められた事例
(最高裁判所判例第3017/2561号)

雇用者である被告は、原告の賃金の減額と職位の変更を行い、複数年が経過している。原告は勤務期間に亘って、本件賃金減額に関して反論をしたことがなければ、労働基準監督官にも苦情を申し立てなかったことから、第2地方労働裁判所は、被告が証言するように、雇用者と従業員間で適切な職位の変更及び給与が合意されたものであると認定した。

景気の低迷を理由とした解雇が、裁判所で不当解雇と判示された事例
(特別控訴裁判所判例1308/2565号)

被告は、被告の事業が経済の低迷及びコロナウイルスの影響を受けて、自動車ローンの融資額が減少したことを理由として原告を解雇した。当該融資額の減少に伴って原告の業務量が減少したことから、の解雇が必要となったが、被告は解雇候補者を選抜する基準を設けていないほか、勤務日又は勤務時間の減少などといった適切かつ公正な解決措置を講じていなかった。

重要な論点は、被告は赤字とはなっておらず、単に利益が減少しただけのもので、毎年の賞与を支給し、従業員の給与の減額をしたことがなかった。これは、被告に財政的な流動性があることが示されている。従って、原告の解雇は不当解雇であるものと見做される。

不当解雇であるか否かの判断は、仏歴2522(1979)年労働裁判設置及び労働訴訟法第49条の規定を勘案したところ、法律ではどのような解雇が、不当解雇に該当するかの基準が定められていない。従って、労働裁判所は、証拠及び承認の勘案及び雇用者の解雇理由の有無、及び当該解雇理由が解雇するに十分であるかについて、広義な裁量によって審理することができる。

仲裁制度の利用による労働争議の解決
(特別控訴裁判所判例第1230/2561号)

労使間で発生した紛争は仲裁制度の利用による解決を行うことが合意された雇用契約において、労働者保護法に基づく労働紛争が発生した場合は仲裁によって解決する旨の規定は、これを適用することは可能であり、雇用者及び労働者は雇用契約に基づく権利によって発生した紛争に限って互いに紛争を解決することを希望するものと見做される。

従って、労働者が労働裁判設置及び労働訴訟法に基づく権利の行使となる不当解雇による損害賠償請求することは、雇用契約に基づく権利に関して訴えているものではない。従って、労働者は仲裁制度を行使することなく、労働裁判所に提訴することができる。

勤務能率を考慮した報酬設定:賃金又は福利厚生?
(最高裁判所判決要旨第8093/2560号)

能率を持った勤務、良い品行、業務上の誤謬の減少及び従業員の士気向上を促すための報酬の支給は、労働の対価の支給に該当せず、賃金とはならない。例えば、キャッシャー担当従業員の業務効率の向上を促進するために、キャッシャー担当従業員の着席料を支給することは、社会保険法第5条に定める労働対価に該当しない。従って、賃金の支払とはならない。

税務ルーリング

発注書に対する印紙税納付の有無
(最高裁判所判決要旨第5874/2563号)

原告はコンプレッサー部品の製造業を営んでおり、原告の会社株主であるS社の定める金型に基づいて製造を行っている。原告がコンプレッサーの部品を製造してS社に引き渡す際、原告は書類において納品の内容を納品書として記載し、発注書に基づく納品である旨も記載している、この行為から、原告の事業は売買ではなく、請負製造業であることがうかがえる。

歳入法典上、文書とは、法律の規定に基づいて印紙税を納付又は印紙を貼りつけるべき文書を意味している。S社が原告に対して発行した文書には、同社の従業員が発注欄に署名しているのに対して、原告の従業員が請負人として署名していない。これにより、当該文書は、書面により作成した請負の証拠に過ぎないものであり、歳入法典第103条及び第104条に基づき印紙税課税文書となる原告とS社間の請負契約とはならない。

不良債権の償却基準と、人事、経理及び従業員の不正の関係性
2012年4月28日付歳入局ルーリング第0802/5209号

労働者が会社の財産を横領し、告訴されて最後まで終結した。当該財産が返還されなかった場合は、補償のない事業に起因する損害であり、事業による不良債権とはならない。会社は歳入法典第65条の3(12)によって禁ぜられることなく、損金算入することができる。従って、このような事象が発生した場合は、会社は不良債権の償却に関する省令第374号の代わりに、歳入法典第65条の3(12)を適用しなければならない。

常温機能付きトラックによる運送サービス提供における、付加価値税(VAT)の取り扱いについて。
2024年1月8日付歳入局ルーリング0702/88号

質問:
陸運局は次の通達を発布した。1.仏歴2562(2019)年トラックによる運送サービスの水準の認定(Qマーク基準)、2.仏歴2562(2019)年常温機能付きトラックによる農産物及び食品運送サービスにおける水準の認定(Q Cold Chain 基準)及び、3.仏歴2562(2019)年常温機能付きトラックによる農産物及び食品運送サービスにおける水準認定における、基準及び標章。上記の3通の通達は、常温機能付きトラックによる運送における車両及び行程に関する性格及び基準を定めたものである。

A氏は、冷凍食品の運送に従事するために、B社と事業協同契約を締結した。上記の3通の通達が発布されたことにより、A氏は、車両の寸法、運送時の保温、温度記録機器の取り付けなど、法律に遵守すべき義務が課された。これはたとえ請負契約に上記のような規定がなくても、A氏は上記の通達を遵守する義務が生ずる。

A氏は、常温機能付きのトラックによる運送において、運送者は陸運局の定める各々の通達に遵守しなければならない。これは水準に定められる運送者の通常の義務の履行であるものと見做される。A氏は、自分の貨物運送サービス提供は付加価値税(VAT)の納付義務が課されるかについて質問した。

ルーリング:
A氏が主張する3通の陸運局通達は、任意のQMark and Q Cold Chain 基準の認定申請に関する通達である。同通達は、トラックによる貨物の運送サービス提供者が基準の認定を受ける旨を規定したのみであり、運送サービスを提供する企業は運送サービスとして受けるものではない。

A氏が常温機能付きトラックで冷凍食品をB社の定める通りに各支店へ運送する業務の請負であり。A氏は運送サービス以外にも他の義務も有する。

  • 運送において、プラスチックの容器及び損傷した又は返品された商品の受取り。
  • 商品の損傷又は紛失が生じた場合はA氏の責任となる。
  • A氏が、受取署名がされた納品書又は返品書を、B社の定める期限以内に提出的ない場合は、1枚につき100バーツの罰金が科される。

これにより。上記の義務及び責任は、運送以外の他のサービスに該当する。従って、当該サービスは民商法典第587条に定める請負解約に該当するため、歳入法典第77/1条(10)及び第77/2条(1)に定める付加価値税(VAT)納付義務を負う。

地域事業本部に勤務する外国人の個人所得税申告について。
2023年2月1日付歳入局ルーリング第ゴーコー0702/540号

質問:
A氏は、地域事業本部(以下、「ROH」と呼称する。)で勤務する外国人であり、課税所得を表示した個人所得税申告書(PND.95)を提出した。その後A氏は再度個人所得税申告書(PND.91)を再度提出した。A氏は過納した税金の還付申請をすることができるかについて質問している。

ルーリング:
ROHで勤務するA氏が、課税所得の15%を源泉徴収されており、当該所得を所得税計算に算入することの免除恩典を行使したが、その後源泉徴収された税金の還付申請又は税額控除のために歳入法典第48条(1)に基づいて個人所得税申告書(PND.91)によって当該所得を算入する場合、A氏は仏歴2545(2002)年所得税の減免に関して規定する歳入法典に定める勅令第5条の定めるところにより、これを行う権利を有する。

執筆弁護士

弁護士法人ALG&Associates
バンコクオフィス 所長 弁護士
川村 励 プロフィールはこちら