2025.12.23
2025年11月における法律アップデート
改正労働者保護法の施行開始、
社会保険料計算対象賃金の増加
Topic 1 最新法律アップデート
官報に掲載された最新のビジネス関連法律は、以下の通りです。
| 所轄官庁 | 題名 | 通達日 | 適用日 | |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 財務省 | 職員の選任に関する財務省通達(第82号) 主題:歳入法典に定める査定官吏の選任 |
2025年10月15日 | 2025年7月26日 |
| 2 | 財務省 | トップアップ課税に関する歳入局長通達(第1号) 主題:一般に認められる会計基準を有する国名一覧 |
2025年10月21日 | 2025年1月1日 |
| 3 | 財務省 | トップアップ課税に関する歳入局長通達(第2号) 主題:(トップアップ税法の)適用対象とはならない還付申請が可能な配当金課税について |
2025年10月21日 | 2025年10月21日 |
| 4 | 財務省 | トップアップ課税に関する歳入局長通達(第3号) 主題:複数の所在地を有する法人又は特別な性質を有する法人の所在国の判定について |
2025年10月21日 | 2025年1月1日 |
| 5 | 財務省 | 財務省通達 主題:災害区域における納税義務者に対する申告納税期限の延期 |
2025年10月27日 | 2025年11月6日 |
| 6 | 関税局 | 財務省通達 主題:タイ―カンボジア国境区域における非常事態により影響を受けた区域における申告納税期限の延期について |
2025年10月27日 | 2025年11月13日 |
| 7 | 関税局 | 職員の選任に関する財務省通達(第82号) 主題:歳入法典に定める査定官吏の選任 |
2025年10月25日 | 2025年7月26日 |
| 8 | 投資委員会(BOI) | 首相庁通達 主題:高い潜在力を有する外国人をタイに誘致することによる経済及び投資促進委員会の委員の選任 |
2025年10月22日 | 2025年10月22日 |
| 9 | 投資委員会(BOI) | 首相庁命令第381/2568号 主題:国家電気自動車方針委員会の委員の選任 |
2025年10月22日 | 2025年10月22日 |
| 10 | 投資委員会(BOI) | 首相庁通達第382/2568号 主題:高度な半導体及び電子産業方針委員会の委員の選任 |
2025年10月22日 | 2025年10月22日 |
※調査対象は、歳入局、投資委員会(BOI)、関税局、財務省、タイ工業団地公団(IEAT)、入国管理局、労働省、労働福祉保護委員会、商務省、国防省、農業・協同組合省、運輸省、天然資源・環境省、エネルギー省、工業省、内務省(ビジネス関連のみ)、タイ中銀、デジタル経済社会省を範囲としております。
Topic 2 トピックス・ニュース
1.改正労働者保護法の官報掲載(仏歴2568(2025)年労働者保護法(第9号))
先月号にてご案内いたしました労働者保護法改正案が、2025年11月9日付で官報に掲載されました。これをもって同法は、仏歴2568(2025)年労働者保護法(第9号)として、12月7日より正式に適用されることとなります。
改正の内容は、政府機関や国営の組織に対する労働者保護法の適用、出産休暇日数の拡大、育児休暇の新設が主なものとなっております。改正前後の条文を比較すると、以下の通りです。
| 旧 | 新 |
|---|---|
| 新規追加 | 第4/1条中央政府組織、地方政府組織、国営企業労使関係法に基づく国営企業、公的機関、該当の法律に基づく政府の組織が、人材派遣契約に基づいて個人を雇用しており、通常の労働時間に比例して日給、月給又はその他の方法に賃金を支給し、且つ当該期間がその個人の勤務を監督、管理している場合、その雇用している機関は当該労総者に対して支給する業務の対価、週休日、祝祭休日、年次有給休暇、病気休暇、出産休暇、勤務日時及び休憩時間は労働者保護法に定める便益を下回ってはならない。その際、省令に定める基準及び条件によるものとする。 機関、雇用主である機関の職員と、被雇用者である個人の間において、前項の権利及び義務に関して生じた紛争事件は、労働裁判所の管轄とする。 |
| 第41条妊娠している女性従業員は、1回の妊娠につき、98日間の出産休暇又は勅令で定める日数による出産休暇を取得する権利を有する。 | 第41条妊娠している女性従業員は、1回の妊娠につき、120日間の出産休暇又は勅令で定める日数による出産休暇を取得する権利を有する。 |
| 新規追加 | 第41条第4項第1項に規定する出産休暇を行使した女性従業員は、新生児が合併症のリスクが伴う疾病、身体障害を負っている場合は、世話のために継続して15日を上限とした休暇を取得することができる。但し、休暇の際には現代医師からの診断書を提示しなければならない。 |
| 新規追加 | 第41/1条労働者は、出産した配偶者の育児支援のため、1回の妊娠につい15日を上限とした休暇を取得する権利を有する。但し、出産日から90日以内に権利を行使しなければならない。 |
| 第59条雇用者は、第41条に基づき出産休暇を取得した妊娠した女性従業員に対して、勤務日と同額の賃金を、45日間分支給するものとする。 | 第59条雇用者は、第41条に基づき出産休暇を取得した妊娠した女性従業員に対して、その休暇期間中、60日又は勅令に定める日数分の賃金を支給するものとする。 |
| 新規追加 | 第59/1条雇用者は、第41/1条第4項に定める休暇を取得した労働者に対して、その休暇期間において勤務日における賃金の50%の金額を支給するものとする。第59/2条雇用者は、第41/1条に定める休暇を取得した労働者に対して、15日間を上限として、その休暇期間において通常勤務日の賃金を支給しなければならない。 |
| 第115/1条第139条に基づく労働監督官の職務遂行に資するため、労働者を10名以上雇用する雇用者は、毎年の1月以内に局長又は局長から委任された者に対し雇用形態及び作業環境に関する申告書を提出しなければならない。労働監督官は、毎年の12月以内に雇用者に対して局長の所定する書式を送付するものとする。 | 第115/1条第139条に定める労働監督官の職務遂行に資するため、労働者を10名以上雇用する雇用者は、毎年の1月以内に局長又は局長から委任された者に対して雇用形態及び作業環境に関する申告書を提出しなければならない。提出は、局長が通達して定める基準によるものとする。 |
2.社会保険料算定基礎賃金額の増加
社会保険事務局は、社会保険料算定基礎となる賃金の最高額を増加する旨の省令(仏歴2533(1990)年社会保険法第33条に定める被保険者の拠出金計算基礎となる賃金の最低額及び最高額を定める省令)を発布しました。同省令に定める増加は2026年1月1日から開始されます。同省令の内容は、以下の通りです。
| 旧 | 新 |
|---|---|
| 社会保険法第33条に定める被保険者一名当たりの保険料計算基礎となる賃金は、月額1,650バーツから、15,000バーツまでとする。 | 第3条社会保障法第33条に基づく被保険者一人当たりの保険料算定の基礎となる最低賃金額および最高賃金額は、次の各号に掲げるところによるものとする。 (1)2026年1月1日から2028年12月31日まで 月額1,650バーツ以上17,500バーツ以下 (2)2029年1月1日から2031年12月31日まで 月額1,650バーツ以上20,000バーツ以下 (3)2032年1月1日以降 月額1,650バーツ以上23,000バーツ以下 |
現行の料率は、1995年から約30年間運用されてきましたが、現在の経済状況に適応させることを目的として、本省令を発布して社会保険料算定基礎賃金額の引き上げを行うこととなりました。尚、上記の条文に記載の様に、段階的に引き上げられる体裁となっております。


