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労働審判制度の解決金の相場は?決め方や減額について

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監修 | 弁護士 家永 勲 弁護士法人ALG&Associates 執行役員

労働審判の解決金は、事案によって争点や深刻度も異なるため、明確に存在するわけではありません。

厚生労働省が発表した統計によると、解決金の中央値は150万円となっていますが、あくまでデータですので、すべての事案の目安になるわけではありません。

しかし、解決金がどのような事情を考慮して総合判断されるのかについてはスキーム化されているといえます。

本稿では労働審判で多く扱われる事案ごとの解決金の考え方や解決金減額のポイントなどについて解説します。

労働審判における解決金の相場とは?

労働審判における解決金とは、労使トラブルを終局させるために支払う金銭をいいます。

解決金は事案の深刻度や当時の給与水準などによって大きく異なるため、明確な相場はありませんが、目安として令和4年度の厚生労働省による統計データ値などを下表に記載していますのでご参考下さい。

労働審判の類型 解決金の相場
不当解雇 中央値は4.7ヶ月分となっていますが、解雇の正当性によって大きく変動するとされています。
解雇の正当性がある場合には、月額賃金0~3ヶ月分程度、解雇の正当性に争いがあるもしくは不当解雇の場合には、月額賃金6~18ヶ月分程度となることもあります。
残業代 約100万円が中央値ですが、分布としては50万円未満が最も多くなっています。
パワハラ パワハラの慰謝料相場は50~200万円とされることがありますが、これらは裁判による金額です。
一般的に訴訟に比べると労働審判の解決金は低くなる傾向があるため、相場観は上記の金額よりもやや低額の水準になると考えられます。

不当解雇の解決金

不当解雇を争う事案では、解雇が有効であるかどうかが解決金の多寡に最も大きく影響します。
従業員からの請求の内訳は、以下の内容が一般的です。

  • 解雇期間中に支払われるべき賃金(バックペイ)
  • 慰謝料

解雇理由に正当性があっても、紛争の長期化を避けるため、会社が低額の解決金を支払うこともあります。
不当解雇である場合には、バックペイの支払いが解決金の主な内訳となります。

ただし、解雇に至る経緯に嫌がらせや違法性の高い解雇などの事案では、高額の慰謝料を含めた解決金となるケースもあります。

また、従業員側が本心から職場復帰したいと明言している場合に、退職してもらうのであれば、納得してもらうために解決金を高めに設定することもあります。

残業代の解決金

残業代の解決金では、未払い残業代の金額が大部分を占めることになります。
解決金の額は労働基準法で定められた残業代の計算によって金額を算出することになります。

しかし、請求する残業時間が労働時間に該当するか、固定残業代が充当されているのか等に労使間で認識の差があることも多いので、残業代の計算は会社側でも必ず精査しましょう。
そのほか、遅延損害金も解決金に含まれることがあります。

遅延損害金は本来支払うべき時期から未払い期間が長く続くほど高額となるため、残業の時期によっては、解決金が大きく膨らむ要因となるおそれがあります。

パワハラの解決金

パワハラの解決金の主な請求項目は慰謝料となります。以下のようなポイントを総合的に判断して解決金額が判断されます。

  • パワハラの内容・回数・期間
  • パワハラの証拠の有無
  • パワハラによる被害内容
  • 会社の職場環境配慮義務違反など

暴力を伴うパワハラや、執拗に繰り返す、長期に亘るなど悪質性の高い事案では、慰謝料金額が高くなるため、解決金も高額となります。

また、証拠の有無はパワハラの事実認定に繋がるため、証拠の内容によっても解決金は変わります。

パワハラによる精神疾患発症を理由とした慰謝料を請求されるケースもありますが、その場合は因果関係が立証されるかが金額に影響します。

また、パワハラの事実を知りながら会社が放置していたのであれば、会社の責任が強く問われることになり、解決金は高額化する傾向があります。

解決金の金額の決め方

解決金は、双方が折り合える金額が着地点となるため、事案ごとに金額の多寡は異なります。

しかし、会社としては、解決金の許容範囲をある程度事前に考えておく必要はあるでしょう。
解決金の金額決定には、以下の3点について検討しておきましょう。

月給を基準として決める

月給を基準として、解決金額を〇〇月分とするケースもあり、特に解雇関連の事案に多く見られます。

対象従業員の月給を確認し、何ヶ月分であれば支払えるのかあらかじめ社内で検討しておきましょう。

この際、従業員がすぐに応じるかはわからないので、金額の想定には、ある程度幅を持たせておく必要があります。

会社と労働者の責任の割合で決める

事案の損害額や慰謝料=解決金と必ずしもなるわけではありません。
総額に対して、トラブルに関する労使双方の責任割合から解決金を決めることも双方の納得が得られやすいでしょう。

予想される総額に対して、どの程度までであれば解決金を提示できるかを検討し、責任の程度を主張するとよいでしょう。

この場合にも金額の想定には幅を持たせておく必要があるので、例えば100:0であっても支払うのかなど、会社の資金力も踏まえて考えておきます。

解雇期間中の賃金を支払う

解雇事案では、解雇期間中の賃金=解決金となるケースもあります。
この場合には、従業員側に損がないため納得が得られやすく、会社も金額の想定がしやすいといった利点があります。

ただし、解雇から時間が経っている場合には総額が大きくなりやすいといった懸念もあります。
事案によっては労働審判での解決を見送る検討も必要になるでしょう。

労働審判の解決金を減額できるのか?

労働審判の解決金は、適切に主張立証を行うことで請求額から減額できる可能性があります。

解決金をできるだけ抑えるには、会社に不利な主張があれば適切に反論し、且つ従業員の非について証拠を基に主張するというのが定石といえます。
以降で減額の方法について解説していきます。

解決金の交渉を弁護士に依頼する

専門家である弁護士に依頼することで、法的に適切な主張が可能となり、審理を有利に進められる可能性があります。

労働審判の経験が豊富な弁護士であれば、ポイントを抑えた理論展開や、証拠の精査などのアドバイスを受けることができるので、減額の可能性を高めることができます。

また、弁護士が代理人となることで、相手方へ訴訟まで見据えたプレッシャーを与えることができますので、解決金が多少低額であっても従業員側が応じる可能性が高まります。

弁護士費用については事案の難易度や事務所ごとの設定によるので、費用の確認も含めてまずは相談してみるとよいでしょう。

労働者側にも責任があることを主張する

申立書には、従業員側が不利になるような内容は記載されていません。
もし、トラブル発生の経緯に従業員の責任や落ち度があれば、会社が答弁書等できちんと主張していく必要があります。

有効な証拠を準備し、従業員の非を主張立証できれば解決金額を低く抑えられる可能性がありますので、適切に対応するようにしましょう。

たとえば、問題行動が原因で解雇となった事案であれば、その問題行動の頻度や態様、会社の注意指導の内容などを記録化しておくと、従業員側の責任の証拠とすることができます。

労働者保護の必要性が薄いことを主張する

労働法における「労働者」であっても、保護の必要性は一律ではありません。
すべての事案で適用されるわけではありませんが、通常、正社員と非正規雇用労働者では、その保護の必要性に差があるとされています。

また、本採用後と試用期間中といった事情によっても保護の必要性は異なってくるでしょう。
このような事情を加味した主張をすることによって解決金を抑えられる可能性があります。

労働審判での解決金の支払いについては一度弁護士にご相談下さい。

労働審判の解決金は、金額によっては会社に大きなダメージとなるおそれがあります。
しかし、適切に反論し立証できれば解決金を減額できる可能性はあります。

労働審判は短期間で終結する制度ですので、反論を早い段階で行わなければその可能性もついえてしまいます。
労働審判の解決金額についての対応に不安があれば弁護士へご相談ください。

弁護士法人ALGでは、労働審判の経験をもつ弁護士が多数在籍していますので、貴社のお悩みの手助けをすることができます。
労働審判に不安があれば、まずはお気軽にご連絡ください。

この記事の監修

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弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 執行役員

保有資格
弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

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