監修医学博士 弁護士 金﨑 浩之弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 弁護士
患者は被告診療所で胃炎または胃潰瘍の診断の下に薬の処方を受けていました。胃炎または胃潰瘍が遷延していたことから、患者は胃内部の状態を肉眼的に観察するために上部消化管内視鏡検査を受けました。同検査において、医師は生検検体を採取して病理検査に出しましたが、病理医は非癌か癌かの判断に窮するとして「消炎後に再検をお願いします。」とコメントしました。ところが、医師は約7年間に亘って一度も再検査を行うことはありませんでした。患者は同検査の約7年後に胃癌、ステージⅣと診断され、胃癌により死亡しました。
弁護士は、調査の結果、有責であるの判断に至り、訴訟を提起しました。
本件の争点は、注意義務違反、因果関係(特にその前提としての機序、つまり当初の病変と宿主を死に致した病変の同一性の有無)、損害額でした。
当初の病変と宿主を死に致した病変との同一性については、弁護士は証拠に基づき当初の病変が宿主を死に致した病変となる経過(成長に伴い分化度が低いものが増える)を論証したうえで、被告が提出した医学意見書の見解を医学的な論証に欠けるとして弾劾しました。
因果関係に関するものを含め、被告が提出した医学意見書の見解を適切に弾劾したことにより、裁判所も認容前提での和解を被告側に呈示することとなり、4000万円という高額での訴訟上の和解が成立しました。
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