心窩部痛を主訴に救急科を受診した患者について、CT検査画像上、尿管結石のみでなく総胆管結石及び胆管拡張の所見があったにも拘らず、医師が尿管結石が心窩部痛の原因であると判断し、翌日の泌尿器科受診を指示して帰宅させたところ、翌日に総胆管結石による急性閉塞性化膿性胆管炎（AOSC）からの敗血症により患者が死亡したことについて、4000万円の和解が成立した事例

事案の概要

患者は心窩部痛を主訴に相手方病院救急科を受診しました。担当した医師は、CT画像上、尿管結石のみでなく総胆管結石及び胆管拡張の所見があったにも拘らず、尿管結石による心窩部痛と判断し、翌日に泌尿器科を受診するよう指示して患者を帰宅させました。

翌日、患者が泌尿器科を受診したところ、担当した医師は、追加検査を行うことなく、前日のCT画像から尿管結石と判断し、総胆管結石等には言及することなく1週間後の再診を予定して患者を帰宅させました。患者は帰宅後の夜、急変して敗血症により死亡しました。

弁護士の方針・対応

弁護士は、証拠保全によって相手方病院のカルテを入手し、それを基に調査したところ、有責との判断に至りました。弁護士は訴訟をすることも視野に入れ、まず相手方と交渉することとしました。

相手方に対し損害賠償請求通知書を送付したところ、相手方からは一定額を支払うとの回答がありました。しかし、その額は満足がいくものではありませんでした。

結果

訴訟も視野に入れていましたが、訴訟で敗訴するリスクも考え、交渉を積み重ねることで訴訟の負担を軽減することができ、最終的には相手方の提示額の2倍を超える4000万円という満足のいく額での和解を成立させることができました。