監修医学博士 弁護士 金﨑 浩之弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 弁護士
生まれた赤ちゃんの頭に、こぶのような膨らみができた場合には、頭血腫である可能性があります。
頭血腫であれば、多くの場合では自然に治ります。しかし、ある状況においては、治療が必要となることもあります。この記事では、頭血腫の症状や原因、赤ちゃんへの影響、治療等について解説します。
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頭血腫とは、赤ちゃんの頭に生じることのある、内出血によるこぶのことです。生まれてすぐは目立たず、生後数日経ってから膨らんでくることが多いです。
1000人の赤ちゃんのうち、2人から5人程度で発生するようです。吸引分娩や鉗子分娩によって生まれた赤ちゃんには、できる確率が上がると言われています。
赤ちゃんの頭血腫は、できた頃はぷよぷよとした柔らかい感触であることが多く、その後は硬くなってから消えることが多いです。また、大きさは、生後1~2日程度で膨らみはじめて、目で見て分かる程度になります。
頭血腫は、赤ちゃんの側頭部にできることが多いですが、吸引分娩では吸引した部位にできやすい等、前頭部や後頭部にできることもあります。
なお、頭血腫を押すと赤ちゃんが痛がるおそれがあるので、なるべく触れないのが望ましいでしょう。
赤ちゃんの頭血腫の主な原因は、出産時に産道で頭を圧迫されること等です。頭にかかる圧力で、頭蓋骨を覆っている骨膜や、血管が損傷すること等によって出血し、頭血腫が生じます。
また、吸引分娩や鉗子分娩の場合には、頭を圧迫するため頭血腫が発生しやすいです。なお、頭部に与えるダメージを抑えるために、吸引分娩や鉗子分娩は児頭が十分に下がってから行う必要があり、ガイドライン上、吸引分娩を試みる回数は5回以内とされています。
他にも、帝王切開や骨盤位(逆子)であっても、頭血腫が生じるケースがあります。
赤ちゃんの頭血腫は、ほとんどの場合では頭蓋骨の外側に生じる出血なので、赤ちゃんの脳に悪影響を及ぼすリスクはとても低いです。ただし、レアケースですが、筋膜が傷ついてしまった場合には、大量に出血するリスクがあります。
赤ちゃんの頭血腫は、治療が必要となることはほとんどありません。早ければ、生後1ヶ月~2ヶ月程度で吸収されて消えます。
吸収されても、こぶの縁のあたりが硬くなって残ること等がありますが、血液が吸収された跡が骨になって残るものであり、数ヶ月から数年程度でなくなることが多いため手術等は不要です。
こぶに針を刺して血腫を除去する等の治療は、感染症のリスク等があるため、やってはいけないことだとされています。
しかし、頭血腫の出血が多いと、赤ちゃんのビリルビン値が高くなって黄疸を増強するケースがあります。ビリルビン値が高いままでは、脳神経に障害を与えるおそれがあるため、光線療法や交換輸血等の治療によってビリルビン値を下げる必要があります。
頭血腫に関する医療過誤として考えられるのは、帽状腱膜下血腫を頭血腫だと誤診してしまうことです。
頭血腫であれば、ビリルビン値が上がりすぎなければ、特に治療する必要のないケースがほとんどです。しかし、帽状腱膜下血腫は、出血が多いと貧血や出血性ショック等を引き起こすおそれがあります。
帽状腱膜下血腫についても、大量に出血していなければ積極的な治療をせず、経過観察のみで済むこともありますが、大量出血している場合には輸血等が必要となります。
なお、頭血腫は頭蓋骨のつなぎ目(縫合)を越えて生じることはありませんが、帽状腱膜下血腫はつなぎ目を越えて生じます。
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