妊婦の貧血について|症状や治療法、胎児への影響などを解説

代表執行役員 弁護士 金﨑 浩之

監修医学博士 弁護士 金﨑 浩之弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 弁護士

妊娠中は貧血になりやすい身体になっています。これは、お腹の中の赤ちゃんに鉄分などを与えていることや、母親の血液量が増えて薄まりやすくなること等が影響しています。

血液が薄まると血栓ができにくくなるというメリットもありますが、貧血を起こしやすくなる点に注意しなければなりません。

この記事では、妊婦が貧血になりやすい理由や貧血の種類、貧血の症状、貧血によって生じるリスクなどについて解説します。

妊婦が貧血になりやすい理由

貧血とは、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンが減ってしまった状態のことです。ヘモグロビンは鉄を含んだたんぱく質であり、酸素を運ぶために重要な働きをしています。

妊娠中の母親は、お腹の中の赤ちゃんに、鉄分を優先的に送ります。また、血液量が増え、赤血球も増加しますが、血しょうと呼ばれる血液の水分が多くなるため血液が薄まり、貧血になりやすいです。

すべての妊婦のうち、20%程度が貧血になると言われており、特に妊娠中期や妊娠後期には貧血が起こりやすくなります。

妊婦貧血の種類

鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血とは、体内に貯蔵されている鉄分が不足することによって生じる貧血です。日本では、貧血の多くは鉄欠乏性貧血だと言われています。

女性には月経があるため、鉄欠乏性貧血になりやすいことが知られています。さらに、妊娠中にはお腹の中の赤ちゃんに鉄分を送るため、鉄分が不足しやすくなっています。

妊娠中には意識的に鉄分を摂取しなければなりません。動物性の鉄分は吸収されやすいため、肉類の摂取が有効ですが、栄養バランスを考えて、野菜などの摂取も行うようにしましょう。

食事だけでは鉄分が不足する場合、鉄剤で補うなどの処置が必要です。

葉酸欠乏性貧血

葉酸欠乏性貧血とは、葉酸(ビタミンB9)やビタミンB12が不足することによって生じる貧血です。葉酸が不足すると、赤血球の元が正常に作られなくなって、母親が貧血になってしまうだけでなく、お腹の中にいる赤ちゃんにも先天性疾患が生じるおそれがあります。

葉酸は、野菜や肉類など多くの食材に含まれていますが、加熱や水洗いによって失われやすく、不足しがちな栄養素です。また、妊娠中はつわりの影響で食事ができないこともあるため、ますます不足することになります。

食事だけでは葉酸が足りない場合には、サプリメントで補う必要があります。

妊婦の貧血の症状

貧血が軽度である場合、母親には主に次のような症状が出ます。

  • 疲労
  • 脱力
  • 立ちくらみ

貧血が重度になると、母親に、主に以下のような症状が出ます。

  • 脈拍が速くなる、遅くなる
  • 失神する
  • 極度の疲労や息切れ

また、貧血が重度になると、お腹の中の赤ちゃんにも悪影響を及ぼすおそれがあります。

妊婦が貧血になることによって生じるリスク

妊娠中に貧血になってしまうと、主に以下のような悪影響が生じるおそれがあります。

  • 赤ちゃんが大きく育たなくなる
  • 切迫早産になってしまう
  • 母親の失神等による転倒事故
  • 出産後の体力の回復に時間がかかる

胎児への影響は?

妊娠中に貧血になってしまうと、お腹の中の赤ちゃんにも次のような悪影響が生じて、赤ちゃんが通常よりも小さく生まれてしまうおそれがあります。

  • 発育が遅れてしまい、なかなか大きくならない
  • 予定よりも早く生まれてしまう

赤ちゃんが小さく生まれてしまうと、主に以下のようなリスクを引き起こすおそれがあります。

  • 肺が未発達となり、自力での呼吸が難しくなる
  • 脳室内出血や脳性麻痺になる
  • 未熟児網膜症となる
  • 低血糖になる

妊婦貧血の検査方法と基準値

成人女性の貧血は、一般的に以下のような基準に従い、血液検査によって診断します。

ヘモグロビン値(Hb値) ヘマトクリット値(Ht値)
妊娠をしていないとき 12.0g/dl未満 36%未満
妊娠初期・後期 11.0g/dl未満 33%未満
妊娠中期 10.5g/dl未満 32%未満

妊娠している母親は、妊娠していない成人女性よりも低い基準で診断されます。また、妊娠の時期によって、数値の基準は変わります。

妊婦貧血の治療方法

貧血の妊婦を治療する方法として、貧血になっている原因に応じて、鉄分や葉酸が含まれている食材を積極的に食べる方法が考えられます。それでも貧血が改善しない場合には、鉄剤や葉酸の飲み薬で補います。

吐き気がする等、口から鉄分等を摂取するのが難しい場合もあるため、注射や点滴によって補う方法もあります。

重度の貧血である場合は、輸血を行うこともあります。

妊婦の貧血に関して医療過誤が疑われる場合

妊婦が出産のために亡くなる原因の代表的なものとして、分娩時の大量出血が挙げられます。このような出血を産科危機的出血と言います。

出産時には、血液を固めて出血を防ぐための因子が大量に消費されてしまうことがあり、大量出血となるおそれがあります。そのため、輸液や輸血、血液凝固因子の補充などを行わなければなりません。

産科危機的出血に対応することが困難な医療機関では、すぐに対応可能な医療機関へ転送する等の対応が必要です。

大量出血に対応することや、対応が難しい場合に転送すること等が遅れた場合には、医療過誤として損害賠償請求の対象になる可能性があります。

弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 医学博士 弁護士 金﨑 浩之
監修:医学博士 弁護士 金﨑 浩之弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員
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