臍帯トラブルとは?症状や治療方法、赤ちゃんへの影響について

代表執行役員 弁護士 金﨑 浩之

監修医学博士 弁護士 金﨑 浩之弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 弁護士

妊娠中、臍帯(へその尾)にトラブルが起こることがあります。トラブルが発生したときには、赤ちゃんへの影響を抑えるための備えが必要です。

この記事では、臍帯のトラブルについて、種類と症状、分娩方法、発生するおそれのある後遺症などについて解説します。

臍帯トラブルとは

臍帯とは「へその緒」のことであり、赤ちゃんと母親をつないで、必要な栄養や酸素などを赤ちゃんに届ける役割を担っています。

赤ちゃんが母親のお腹の中で動けるように、臍帯は細長くなっています。そのため、様々なトラブルが起こってしまうことがあります。

トラブルが起こると、死産になるリスクや、赤ちゃんに後遺症が発生するリスクがあるため、検査で臍帯の状態を十分に確認し、必要な対応をとらなければなりません。

臍帯トラブルの種類|症状と治療法

臍帯には、以下のようなトラブルが起こりやすくなっています。

  • 臍帯脱出
  • 臍帯巻絡
  • 臍帯結節
  • 臍帯付着部異常
  • 臍帯過捻転

臍帯脱出

臍帯脱出とは、出産時に臍帯が赤ちゃんより先に出てしまうことです。臍帯脱出が起きると、臍帯が赤ちゃんと子宮の壁に挟まれ圧迫されるため、臍帯の血流が止まってしまいます。血流が止まると、十分な酸素が届けられず、赤ちゃんが酸素不足になり、障害が残ったり、最悪の場合には亡くなってしまうこともあります。

臍帯脱出の原因としては以下のようなものが挙げられます。

  • 赤ちゃんの身体が逆子や横向きなどになっている
  • 赤ちゃんの頭が小さい
  • 臍帯が長すぎる
  • 多胎妊娠である など

臍帯脱出の診断方法として、出産時に臍帯が先に出てきたことを確認する方法や、心拍数が突然低下したことから予測する方法などがあります。

臍帯脱出がおきてしまうと胎児機能不全となるため、緊急帝王切開による出産へ切り替えられ、速やかな娩出が試みられます。

臍帯巻絡

臍帯巻絡とは、臍帯が赤ちゃんに巻きついてしまう状態です。赤ちゃんへの影響がないことも多いですが、分娩中は臍帯が圧迫されることで、赤ちゃんの心拍数が一過性に低下したり、分娩に時間がかかるといった影響が生じてしまうおそれがあります。

臍帯巻絡の原因は、赤ちゃんの動きが活発であることや、臍帯が長すぎることなどです。妊娠中は臍帯が新たに巻いたり外れたりと変化することもあるため、診断するのは妊娠の末期であり、超音波検査などによって臍帯が巻きついていることを確認します。

分娩時は、胎児心拍数を確認しながら、異常があれば吸引分娩や鉗子分娩、帝王切開等によって娩出させます。

臍帯結節

臍帯結節とは、臍帯に結び目やこぶができている状態です。完全に結び目が出来ている状態を「真結節」、こぶの状態を「偽結節」といいます。問題なく経過することも多いですが、固い結び目の場合には臍帯の血流が止まって心拍数を低下させてしまうなどの影響があります。

臍帯結節の原因は、赤ちゃんが玉結びをするように動いてしまうことや臍帯が長いことなどです。診断することは難しく、問題なく出生し娩出後にはじめて気づくこともあります。

赤ちゃんが母親のお腹の中にいる状態で、臍帯結節を解くことはできないため、赤ちゃんに異常が生じた場合には帝王切開などによって出産させます。

臍帯付着部異常

臍帯付着部異常とは、臍帯が胎盤の端に付いたり(辺縁付着)、胎盤から外れて卵膜に付いたり(卵膜付着)してしまう状態です。辺縁付着は大きな問題にはなりにくいですが、卵膜付着は、臍帯の血管が圧迫されやすくなり、赤ちゃんの心拍の異常や成長の遅れといった異常を引き起こすおそれがあります。

誰でも発症するリスクがあり、予防する方法はありません。妊娠16週前後になると胎盤ができあがり、卵膜付着を超音波検査で診断することが出来るとされます。

医師が、経腟分娩に臨むのは危険だと判断した場合には、帝王切開による出産となるケースがあります。

臍帯過捻転

臍帯過捻転とは、臍帯が捻じれすぎてしまい、血流が滞ってしまう状態です。赤ちゃんに十分な血液が供給されなくなると、酸素や栄養が届かなくなり、成長の遅れにつながることもあります。

臍帯過捻転の原因は、母親のお腹の中で赤ちゃんが動きすぎることや臍帯の異常と考えられています。

超音波検査によって臍帯過捻転と診断されることもありますが、確定診断は難しいケースが多いです。予防することはできず、赤ちゃんが母親のお腹の中にいると治療も困難であるため、赤ちゃんに異常が生じないかを観察することが対処法となります。

臍帯トラブルがある場合の分娩方法

臍帯トラブルがあったとしても、経腟分娩が可能なケースは多いです。臍帯トラブルのうち、臍帯巻絡は赤ちゃんの3人に1人程度の割合で発生しており、珍しいことではありません。何重にも巻きついて分娩が進まなくなるケース等でなければ、経腟分娩が可能とされます。

他の臍帯トラブルについても、経腟分娩が可能なケースが多く、生まれてから臍帯トラブルの存在が発覚するケースもあります。

しかし、胎児心拍数が低下した場合や、分娩がまったく進まなくなってしまった場合などでは、帝王切開による出産が検討されます。

臍帯トラブルによる赤ちゃんの後遺症について

臍帯トラブルが発生しても、問題なく出産に至ることもあります。一方で、臍帯トラブルが原因で赤ちゃんへの血流が滞り、酸素を届けられなくなってしまい、赤ちゃんが低酸素となるおそれがあります。低酸素になると、赤ちゃんに脳性麻痺などの後遺症が発生するリスクがあります。

また、低酸素が悪化すると、死産になってしまうこともあります。

臍帯トラブルへの処置に関して医療過誤が疑われる場合

臍帯トラブルが赤ちゃんの後遺症や死産につながる確率が高いとは言えないものの、トラブルへの対処が適切でなければ医療過誤につながります。超音波検査等によって臍帯トラブルを発見できるケースは多くないため、胎児心拍数の確認等によって、赤ちゃんの異常を早期に発見することが重要となります。

また、臍帯トラブルによって赤ちゃんが危険な状態に陥っていることが明らかになった場合、帝王切開などによって、なるべく早く出産させる必要があります。帝王切開などを行うまでの時間は、医療機関の規模により異なるため、一定の目安は設けられていません。しかし、医療機関の規模に応じて求められる水準よりも大幅に遅れてしまうと、医療過誤と判断される確率は高まるでしょう。

臍帯トラブルへの処置に関する医療過誤の裁判例

臍帯トラブルへの処置によって医療過誤が認められた裁判例について、以下でご紹介します。

横浜地方裁判所川崎支部 平成元年6月30日判決 昭58(ワ)451号

本件は、破水した母親に陣痛促進剤を投与し、二度の吸引分娩を試みたものの出産させることができず、帝王切開により出産させたところ赤ちゃんに臍帯が3回巻きついており、その後赤ちゃんは脳性麻痺と診断されて、身体障害者二級と認定された事案です。

出産当時(昭和54年)の医療水準では、臍帯巻絡について出産前に確実な判断をすることはできず、また、分娩監視装置も十分に普及していませんでした。

1回目の吸引分娩後、赤ちゃんの心拍が急激に低下し、さらに回復までに1分程度かかっていたことから直ちに帝王切開に切り換えるべきところ、2回目の吸引分娩が行われ、赤ちゃんの心拍数がさらに低下し、回復までに時間を要する状態となったことから、2回目の吸引分娩が胎児機能不全や赤ちゃんの頭蓋内出血、その後の脳性麻痺の原因であると認めました。

また、臍帯巻絡を診断することは難しかったものの、当時の技術でも疑うことは可能であり、他の原因がないのに分娩が進まないときには臍帯巻絡を疑うべきであるから、1回目の吸引分娩が失敗した段階で2回目も同じ結果になることは容易に予測できたため、直ちに帝王切開に切り換えるべきであったと裁判所は指摘し、2回目の吸引分娩を行わずに帝王切開を実施するべき病院の注意義務違反を認めました。

そして、病院側の注意義務違反と赤ちゃんの脳性麻痺との因果関係も認めて、赤ちゃんの逸失利益やリハビリ費用、慰謝料、弁護士費用等として、合計約4898万円の請求を認容しました。

弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 医学博士 弁護士 金﨑 浩之
監修:医学博士 弁護士 金﨑 浩之弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員
保有資格医学博士・弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:29382)
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