銀行ローンも任意整理できる!メリットや注意点について弁護士が解説

銀行ローンも任意整理できる!メリットや注意点について弁護士が解説

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監修
監修弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates福岡法律事務所 所長 弁護士

債務整理を検討されている方のなかには「低金利の銀行ローンは任意整理できない」と思われている方も多いのではないでしょうか。

つい借りすぎてしまった銀行ローンも、任意整理で返済の負担を軽減できる可能性があります。

ただし、口座凍結や任意整理した銀行からは新たな借り入れができなくなるなど、注意すべきリスクもあるので、銀行ローンを任意整理する場合のメリットや、デメリット・注意点について、本記事でしっかり確認していきましょう。

銀行ローンは任意整理できる?

銀行ローンも任意整理が可能です。

消費者金融よりも低金利で、借り入れできる金額の上限が定められる裁量規制が適用されないことから、「銀行で借金をしすぎた」という方も少なくありません。

このように銀行ローンの返済でお困りの場合も、任意整理で将来利息のカットや返済期間の延長が実現すれば、返済の負担を軽減できる可能性があります。

銀行ローンのなかでも、消費者金融と同じように銀行が利用限度額の範囲内で繰り返し貸し付けを無担保で行う銀行カードローンは、多くの銀行やカードローンの保証会社が任意整理の交渉に応じてくれる傾向にあるので、問題なく任意整理できる可能性が高いです。

担保権付きの銀行ローンは任意整理できないケースもある

銀行からの借り入れのなかでも、担保権付きの銀行ローンは任意整理が難しくなります。

担保権付きの銀行ローンとは?

担保権付きの銀行ローンとは、住宅ローン不動産担保ローンなどを指します。

借り入れの際に不動産などの特定の資産を担保として差し出す必要があるローンのことで、担保権付きローンや有担保ローンと呼ばれることがあります。

担保権付きの銀行ローンは、担保を売却すれば債権を回収することができるので、債権者が交渉に応じる必要がないと判断して任意整理できない可能性があるのです。

また、担保権付きの銀行ローンを任意整理すると、担保権が実行されて競売にかけられてしまい、資産を維持することができなくなってしまうため、担保権付きの銀行ローンは任意整理の対象から除外する必要があります。

※担保権付きの銀行ローンは任意整理に応じてもらえない可能性があることと、資産を失いたくない場合は任意整理の対象から外す必要があることを踏まえ、以降は「無担保の銀行ローン」を想定して解説していきます。

銀行ローンを任意整理するメリット

銀行ローンを任意整理すると、次のようなメリットがあります。

  1. 将来利息をカットできる
  2. 返済期間を延長できる
  3. 差し押さえを回避することができる
  4. 多くの銀行が応じてくれる

将来利息をカットできる

銀行ローンも、任意整理で将来利息をカットしてもらうことによって、借金の返済総額を減らせる可能性があります。

銀行ローンの金利は消費者金融よりも低めに設定されているとはいえ、任意整理の交渉で将来利息をカットすることができれば、今後支払う利息がすべて免除されるので借金の返済総額が減額できますし、元金のみを返済すればよくなるので毎月の返済の負担軽減にもつながります。

どのくらい将来利息をカットできるのか、具体例を用いてみていきましょう。

借入金額50万円・金利14.5%・返済期間5年の銀行カードローンを任意整理した場合

借入金額 50万円
借入金利(年率) 14.5%
毎月の返済額 1万1764円
返済期間 5年(60ヶ月)
返済総額 70万5810円
利息総額 20万5810円

この銀行カードローンを1年(12回)返済した後に任意整理して、将来利息カットと48回払いで和解できた場合、次のようになります。

  任意整理前 任意整理後
返済残高 56万4642円 42万6574円
返済期間 4年(48ヶ月) 4年(48ヶ月)
毎月の返済額 1万1764円 約8900円
元金残高 42万6574円 42万6574円
利息 13万8068円 0円

任意整理によって将来利息が免除されるため、返済総額は約13万円、月々の返済額は約2000円軽減されます。

返済期間を延長できる

銀行ローンも、任意整理で返済期間を延長できると、毎月の返済額が減って完済の見通しが立てられるようになります。

任意整理によって延長できる返済期間は通常3年ですが、交渉次第で最長5年程度まで延長できることもあります。

銀行ローンの返済期間はもともと長く設定されていることが多いので、5年を超える返済期間が残っている場合は任意整理しても経済的メリットはあまり期待できません。

ですが、残り2年で完済が難しいようなケースでは、任意整理の交渉で返済期間を3年から5年に延長することができれば、毎月の返済額が減って無理なく完済が目指せるようになります。

差し押さえを回避することができる

銀行ローンの返済が滞りそうになったとき、任意整理することで差し押さえを回避することができます。

返済できなくなった銀行ローンを放置すると、債権者によって裁判を起こされて財産が差し押さえられてしまうリスクがあります。

すでに差し押さえが行われている場合、任意整理をしても差し押さえを解除することは基本的にできません。

裁判を起こされる前であれば任意整理の交渉が可能で、成立した和解内容に従って返済していけば財産を差し押さえられる心配はありません。

多くの銀行が応じてくれる

任意整理の交渉に応じてくれる銀行が多いことも、メリットのひとつです。

任意整理の交渉に応じてくれるかどうかは、債権者の意向次第です。

消費者金融やクレジットカード会社と比べて、銀行は経営の基盤が安定していて、未払いが続くよりも任意整理による計画的な返済を好む傾向にあることから、多くの銀行が任意整理の交渉に応じてくれます。

計画通りに返済が見込める場合は任意整理で和解が成立しやすいので、「銀行ローンは低金利だから返済の負担軽減は期待できない」と諦める前に、任意整理を検討している銀行が債務整理に対してどのような姿勢をとっているのか、一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。

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銀行ローンを任意整理する際の注意点やデメリット

銀行ローンを任意整理する場合、次のような注意点・デメリットがあります。

  1. 銀行口座が一時凍結される
  2. 返済額があまり減らない場合がある
  3. 保証会社が債権者になる
  4. 住宅ローンが一括請求される
  5. 新たな借り入れができなくなる

消費者金融やクレジットカード会社の借り入れを任意整理する際の注意点・デメリットとは異なる部分も多いので、それぞれ詳しくみていきましょう。

銀行口座が一時凍結される

任意整理の対象とした銀行の預金口座は、任意整理を申し入れた時点で一時的に凍結されてしまいます。

任意整理を申し入れた銀行は、口座を凍結し、預金を引き出せないようにしたうえで、預金とローンの残高を相殺して債権の回収を図ります。

凍結された口座は、通常1~3ヶ月程度で解除されますが、凍結されている間は引き落としや入金もできなくなるため、次に挙げるような対処法を講じる必要があります。

対処法

  • あらかじめ預金をすべて引き出しておく
  • 給与や年金の振込口座を別の銀行口座に変更しておく
  • 公共料金などの引き落とし口座または支払方法を変更しておく

返済額があまり減らない場合がある

銀行ローンの場合、任意整理しても返済額があまり減らない場合があります。

任意整理では、将来利息のカットや返済期間の延長によって返済の負担軽減を図ります。

消費者金融と比べて銀行ローンはもともとの金利が低く設定されていることが多いので、将来利息がカットできても返済額の大幅な減額は期待できない場合があるのです。

また、銀行ローンはもともとの返済期間が5年以上に設定されている場合も多く、その場合は任意整理しても返済期間の延長が認められないばかりか、かえって返済期間が圧縮されて、返済総額は減っても毎月の返済額が増えてしまうケースもあるので注意が必要です。

保証会社が債権者になる

銀行ローンを任意整理すると、保証会社が債権者になる場合があります。

銀行カードローンには保証会社が設定されていることが多く、任意整理の通知を受けた銀行から代位弁済の請求を受けて保証会社が債務者に代わって返済を行います。

代位弁済後は保証会社が債権者となりますが、任意整理の交渉に応じてもらえない場合があります。

保証会社は銀行と同じグループの消費者金融会社やクレジットカード会社であることが多く、たとえば、三菱UFJ銀行であれば「アコム」、三井住友銀行であれば「SMBCコンシューマーファイナンス」が保証会社になっています。

銀行ローン以外にその保証会社からの借り入れやクレジットカードのキャッシングがある場合、それらも一緒に任意整理することになります。

銀行ローンの任意整理を検討している場合は、保証会社がどこで、任意整理にどのような姿勢をとっているかを確認しておくことが大切です。

住宅ローンが一括請求される

銀行ローンを任意整理する場合、同じ銀行を利用している住宅ローンは一括請求されます。

たとえば、同じ銀行でカードローンと住宅ローンを利用している場合、カードローンだけを任意整理することは基本的にできないので、カードローンだけでなく、一緒に住宅ローンも任意整理の対象となってしまいます。

住宅ローンが任意整理の対象となった場合、契約で定められた期限まで返済を待ってもらえる“期限の利益”が失われてしまうため、ローンの残高を一括で返済しなければならなくなります。

住宅ローンの一括請求を避けるためには、住宅ローンを組んでいる銀行のローンを任意整理の対象から外すか、 個人再生の“住宅ローン特則”を利用しましょう。

新たな借り入れができなくなる

銀行ローンを任意整理すると、その銀行や同じグループの消費者金融・クレジット会社からは新たな借り入れができなくなる可能性が高いです。

任意整理をすると、信用情報機関に事故情報が登録されます(=ブラックリストに載る)。

事故情報は任意整理後に借金を完済してから5年で削除されるので、それ以降はほかの銀行や消費者金融からの借り入れが可能になります。

ただし、任意整理をした銀行やそのグループ会社では、社内に事故情報が残り続ける(=社内ブラック)ため、将来的にも新たな借り入れができなくなることが多いので注意しましょう。

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任意整理中に銀行ローンを組むことはできる?

任意整理中は、カードローンを含めた銀行ローンを組むことはできません。

任意整理の手続きを開始すると、信用情報機関に債務整理をしたことが事故情報として登録されます(=ブラックリストに載る)。

事故情報が登録されている間は審査が通りにくくなるため、任意整理中に銀行ローンを組むことが難しくなるのです。

もっとも、タイミングによっては銀行ローンを利用できてしまうことがあります。

そのような場合でも、任意整理中に銀行ローンを組んでしまうと、任意整理ができなくなる可能性があるだけでなく、個人再生や自己破産が必要となった場合に不利な結果を招くおそれもあります。

任意整理中にどうしても銀行ローンを組まなければならない事情ができた場合は、任意整理手続きを依頼した弁護士に早めに相談しましょう。

銀行ローンの任意整理は弁護士にご相談ください

低金利であることや安心感から、つい銀行から借り入れしすぎてしまう方も少なくありません。

銀行ローンの任意整理をお考えの方は、弁護士に相談してみることをおすすめします。

任意整理でどれくらい返済負担が軽減できそうか、口座凍結や保証会社が債権者になるなどの問題点・デメリットにどう対応すればよいのか、あらかじめアドバイスが受けられると安心です。

弁護士に相談した結果、「任意整理するメリットがある」と感じられたら、そのまま弁護士に依頼することも可能です。

弁護士に依頼すると、債権者との交渉を任せられるほかに、督促・取り立てがストップするというメリットもあります。

銀行ローンの返済にお困りの方は、一度弁護士法人ALGまでお気軽にご相談ください。

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監修:弁護士 谷川 聖治 / 弁護士法人ALG&Associates福岡法律事務所 所長

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