奨学金は個人再生できる?保証人への影響や他の解決方法などを解説

奨学金は個人再生できる?保証人への影響や他の解決方法などを解説

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監修
監修弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates福岡法律事務所 所長 弁護士

社会に出ても思ったように収入を得られず、奨学金の返済に悩む人が増えています。

奨学金の返済が困難になったときは、個人再生によって奨学金の返済額を大幅に減らすという解決方法があります。

ただし、奨学金を個人再生すると連帯保証人や保証人に多大な影響を与えるため、慎重に手続きを行う必要があります。

本記事では、奨学金の返済が困難になった場合の個人再生について、保証人への影響や手続きの注意点に触れながら解説していきたいと思います。

個人再生以外の解決方法も紹介しますので、ぜひ参考になさってください。

奨学金は個人再生できる?

返済が困難になった奨学金も、個人再生できます。

奨学金には、返済義務のない給付型と、返済義務のある貸与型の2種類があります。

このうち、貸与型の奨学金は、後から返済しなければならないため、銀行や消費者金融からの借り入れと同じように「借金」として扱われ、個人再生の対象になります

個人再生を行うことで、奨学金を含む借金を5分の1~10分の1程度まで減額することが可能です。

個人再生すると返済義務は最大9割減額される

個人再生では、借金総額に応じて5分の1~10分の1程度まで返済義務が減額されます

個人再生における最低弁済額/民事再生法第231条 第2項 第3号、第4号

借金総額(住宅ローンを除く) 最低返済額
100万円未満 借金全額
100万円以上500万円以下 100万円
500万円超1500万円未満 借金額の1/5
1500万円以上3000万円以下 300万円
3000万円超5000万円以下 借金額の1/10

このように個人再生の最低弁済額が法律で定められていて、最低100万円の返済義務があるものの、借金総額が5000万円までの範囲であれば、最大で8~9割程度の減額が可能になります

  • 例)奨学金を含む借金総額が500万円の場合

    奨学金を含む借金総額が500万円の場合、個人再生後の返済額は100万円となり、再生計画通りに完済できれば、残りの400万円については返済が免除されます。

    ただし、高額な財産を所有している場合は、清算価値保障の原則(所有財産を上回る金額を弁済しなければならないという原則)により返済額が増額される可能性があります。

    さらに、給与所得者等再生を利用した場合は、「可処分所得の2年分」を返済しなければならないため、「小規模個人再生」を利用した場合よりも返済額が大きくなる傾向があり、必ずしも返済義務が8~9割減額されるとは限らない点に注意しましょう。

奨学金を個人再生する場合に保証人に生じる影響

奨学金を借りる際には、返済が困難になった場合に備えて、多くのケースで人的保証もしくは機関保証のいずれかを選択する必要があります。

人的保証 人的保証とは、奨学金の返済が滞った場合に、借りた本人に代わって返済義務を負う連帯保証人および保証人の2名を選任する制度です。
機関保証 機関保証とは、保証料を支払うことで、保証機関が連帯保証人となってくれる制度です。

個人再生によって奨学金の返済額が減額された場合、その減額効果が及ぶのは個人再生をした本人のみです。

そのため、人的保証を選択している場合、連帯保証人や保証人になっている親族が減額された分の返済義務を負うことになるため注意しなければなりません。

連帯保証人は全額の返済義務を負う

連帯保証人は、奨学金を借りた本人と同一の債務を負います。

そのため、奨学金を借りた本人が返済できなくなった場合に、連帯保証人は残りの全額について返済義務を負うことになります

  • 例)未返済の奨学金500万円を個人再生した場合

    未返済の奨学金500万円を、個人再生により本人が100万円支払う再生計画となった場合、連帯保証人は残りの400万円について全額の返済義務を負います

保証人の返済義務は2分の1までに限定される

保証人は、連帯保証人とは異なり分別の利益が適用されるので、返済義務が2分の1に限定されます

分別の利益とは?分別の利益とは、保証人が複数いる場合に、それぞれの保証人が、債務額を保証人の数で割り振った金額のみ負担すれば良いとする権利のことです。

奨学金では連帯保証人と保証人の2名を選任するので、奨学金を借りた本人が返済できなくなった場合、保証人は残りの半額についてのみ返済義務を負います

  • 例)未返済の奨学金500万円を個人再生した場合

    未返済の奨学金500万円を、個人再生により本人が100万円支払う再生計画となった場合、残りの400万円のうち、保証人は2分の1の200万円についてのみ返済義務を負います

機関保証なら返済義務は本人のみ

機関保証を選択している場合、返済義務が生じるのは奨学金を借りた本人のみで、保証人への影響を心配する必要はありません

機関保証の場合、奨学金を借りた本人が返済できなくなると、本人に代わって保証機関が一括で返済をすることになります。

これを代位弁済といって、以降は保証機関が債権者となって個人再生の手続きが問題なく進められます。

そのため、人的保証を選択した場合と異なり、奨学金を個人再生しても親族に迷惑をかけることはありません

奨学金を個人再生する際の注意点

個人再生を利用するには条件がある

個人再生は、「奨学金の返済が難しい」というだけでは手続きを利用できません。
個人再生を利用するには、次のような条件を満たしている必要があります。

個人再生の利用条件

  • 安定した収入があること
  • 奨学金を含む借金総額が、住宅ローンを除いて5000万円以下であること
  • 債権者の過半数以上の不同意がないこと(小規模個人再生の場合)
  • 給与またはこれに類する定期収入の見込みがあって、その変動幅が小さいこと(給与所得者等再生の場合)
  • 過去7年以内に自己破産や給与所得者等再生を行っていないこと(給与所得者等再生の場合)

個人再生の手続き後も返済を続ける必要があることから、このように厳しい条件が設けられています。

なお、個人再生を利用するための必要条件については、以下のページでより詳しく解説していますので、あわせてご参考ください。

さらに詳しく個人再生の要件とは?利用するための必要条件をわかりやすく解説

奨学金を個人再生から外すことはできない

「保証人に迷惑がかかるなら、奨学金を個人再生の対象から外したい」
このように考える方は少なくありません。

ですが、裁判所を介して手続きを行う個人再生では、債権者平等の原則が適用されるため、すべての債権者を対象とし、平等に扱わなければなりません。

したがって、奨学金を個人再生の対象から除外することは認められないのです。

万が一、奨学金を隠して個人再生の手続きを行ってしまうと、個人再生が失敗してしまうおそれがあるため注意しましょう。

保証人にバレずに個人再生することはできない

奨学金を個人再生すると、連帯保証人や保証人に対して一括請求が行われるため、家族や親族にバレずに手続きを行うことは非常に困難です

奨学金の連帯保証人は「父母」、保証人は「4親等以内の親族」というように条件が定められていて、奨学金に関しては身近な家族・親族が関与しているケースがほとんどです。

そのため、個人再生によって債権者から一括請求が行われることにより、結果的に連帯保証人や保証人である家族・親族に事情がバレてしまうのです。

むしろ、事前になんの説明もなく個人再生を行ってしまうと、連帯保証人や保証人になっている家族・親族に予期せぬ負担や迷惑をかけてしまうリスクがあります。

したがって、奨学金を個人再生したいと考えている場合は、保証人となっている家族・親族に対して事前に相談し、理解を得ることが重要です。

個人再生が失敗するケースもある

奨学金を個人再生する場合、手続きが失敗するケースもあります。
たとえば、「返済能力に問題があると判断された」、「清算価値保障の原則に違反している」などのケースです。

また、個人再生の手続きには小規模個人再生給与所得者等再生の2種類があって、それぞれ特有の失敗ケースもありますので、詳しくみていきましょう。

小規模個人再生の場合

小規模個人再生の場合、再生計画に反対する債権者が半数以上いると手続きが失敗してしまいます

小規模個人再生では、債権者に対して再生計画の賛否を問う書面決議が行われます。

書面決議において、「債権者総数の半数以上」または「債権総額の半数を超える債権額を持つ債権者」から不同意の意見が出されると、再生計画案が否決され、個人再生手続きが打ち切られます

実際のところ、奨学金の債権者である日本学生支援機構(JASSO)や、その保証機関である日本国際教育支援協会は、規定に沿った返済計画であれば不同意の意見を出さない傾向にあります。

とはいえ、奨学金以外の借入先が不同意の意見を出して個人再生が失敗する可能性もゼロではないのでほかの選択肢もふまえて慎重に検討しましょう。

給与所得者等再生の場合

給与所得者等再生の場合、再生計画の返済額が「可処分所得の2年分」を下回っていると手続きが失敗することがあります

  • 可処分所得とは?

    可処分所得とは、収入総額から、税金や最低限の生活費などを差し引いて、自由に使える金額のことです。

給与所得者等再生では、「最低弁済額」、「清算価値総額」、「可処分所得の2年分」のうち、いずれか高額な方が弁済額となります

年収が多い方や扶養者が少ない方は可処分所得が高額になる傾向があって、小規模個人再生よりも弁済額が大きくなる可能性があります。

返済額が可処分所得の2年分を下回っていると再生計画が認められません

仮に再生計画が認められたとしても、月々の返済額が大きく、途中で返済が苦しくなって個人再生が失敗する可能性もあるので注意しましょう

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個人再生以外に検討できる奨学金の解決方法

奨学金の返済が困難になったときの解決方法は、個人再生以外にも次のような選択肢があります。

  • 奨学金の救済制度を利用する
  • 任意整理をする
  • 分割払いの交渉を行う
  • 保証人も債務整理をする

連帯保証人や保証人に迷惑をかけたくない場合、個人再生しか選択肢がないものの連帯保証人や保証人も返済が難しい場合は、こうした解決方法も積極的に検討しましょう。

①奨学金の救済制度を利用する

日本学生支援機構では、奨学金の返済が困難な方のために、月々の返済を減らしたり、返済を一時的に待ってもらえたりする救済措置を用意しています。

減額返還制度 災害・傷病・経済困難などの事情で奨学金の返還が困難な場合に、月々の返済額を減額して返済を続ける制度です。
適用期間の上限は通算15年です。
返還期限猶予制度 災害・傷病・経済困難・失業などの事情で奨学金の返済が困難になった場合に、返済を一時的に停止して期限を先送りにできる制度です。
適用期間の上限は通算10年です。
返還免除制度 奨学金を借りた本人が亡くなったり、精神・身体に障害が生じたりして奨学金の返済ができなくなった場合に、残っている奨学金の全部または一部の返済が免除される制度です。
猶予年限特例制度(所得連動返還型無利子奨学金制度) 特定の奨学生を対象に、卒業後に一定の収入を得るまでの間、返済期限を待ってもらえる特例の制度です。
適用期間の上限はありません。
対象者
平成29年度以降に猶予年限特例付を貸与された方、または、平成24~28年度に所得連動返還型無利子奨学金を貸与された方

個人再生とは異なり、これらの救済措置を利用しても信用情報に事故情報が登録されないため、連帯保証人や保証人に迷惑をかけることもなく、自力で奨学金が返済できるようになります

②任意整理をする

奨学金以外にも借金がある場合は、任意整理も選択肢のひとつです。

任意整理は裁判所を介さない手続きなので債権者平等の原則が適用されず、手続きの対象とする債務を選ぶことができます。
そのため、奨学金を除外してほかの借金のみを任意整理することが可能です。

奨学金以外の借金を任意整理して月々の返済の負担が減れば、奨学金の連帯保証人や保証人に負担をかけずに、奨学金の返済を継続できる可能性があります。

③分割払いの交渉を行う

個人再生が避けられない場合、連帯保証人や保証人に一括請求されます
一括で返済できないときは、連帯保証人や保証人が、奨学金の債権者に対して分割払いの交渉を行うことが可能です。

実際、日本学生支援機構は保証人からの分割返済の交渉に応じてくれるケースが多いです。

交渉次第では、奨学金を借りた本人がこれまで返済していたときと同じ条件で分割払いが可能になる場合もあります。

無理して一括請求に応じるのではなく、まずは債権者に対して分割払いの交渉を行うことをおすすめします。

④保証人も債務整理をする

債権者に分割払いの交渉を拒まれた場合や、分割払いでも奨学金を返済できない場合には、連帯保証人や保証人にも債務整理を検討してもらわなければなりません

任意整理・個人再生・自己破産の中から、連帯保証人や保証人の状況に応じた方法を選択してもらいましょう。

債務整理は、対応が早いほど選択肢が広がり、よりリスクの少ない方法で解決が図れますので、個人再生の手続きをはじめる前に、連帯保証人や保証人に事情を説明し、相談しておくことが重要です。

奨学金の個人再生をお考えの方は弁護士法人ALGにご相談ください

奨学金の返済が思うように進まないと、貯蓄や結婚など、将来への不安も大きくなります。

個人再生は、奨学金の問題を解決するための選択肢のひとつですが、保証人への影響など注意すべきことも多くあります。

奨学金の個人再生をお考えの方は、まずは一度弁護士法人ALGまでご相談ください。

保証人への影響や、個人再生メリット・デメリットをふまえて、本当に個人再生が適しているのか、ほかの解決方法はないのかを、お一人おひとりのお悩みに寄り添いながら、弁護士がアドバイスやサポートいたします。

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監修:弁護士 谷川 聖治 / 弁護士法人ALG&Associates福岡法律事務所 所長

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