セクハラ(セクシャルハラスメント)の種類とは?定義や具体例を解説

監修
監修弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates執行役員

何気ない会話や軽い冗談でも、相手の感じ方によっては深い傷を残す場合があります。近年は働き方の変化やコミュニケーション手段の拡大により、セクハラの形態も複雑化し、判断が難しくなっています。

本記事では、代表的なセクハラの種類や具体例、被害に遭った際の適切な対応などについて、わかりやすく解説します。

セクハラの定義

セクハラは、相手に性的な不快感を与える言動を幅広く指し、性的ないやがらせ全般が含まれます。

多くの方は「身体への接触」を思い浮かべますが、実際は言葉づかいや視線・私的なメッセージ、性的な噂を流す行為までさまざまです。

職場におけるセクハラの定義

男女雇用機会均等法第11条では、次のような行為がセクハラに該当するとされています。

  • 性的な言動に対し、拒否・容認などの対応を理由に労働者へ不利益が及ぶ行為
  • 性的な言動によって就業の環境が乱れ、働きにくい状態に追い込む行為

この定義は、上司と部下だけでなく、同僚、さらには取引先・顧客からの言動も対象です。行為者の意図に関わらず、受け手が「性的で不快」と感じればセクハラに該当する可能性が高く、早期の対応が重要です。

どこからが「セクハラ」かの判断基準

どこからがセクハラに当たるのか、明確な線引きはありません。ただ、男女雇用機会均等法の定義を踏まえると、次のような点が判断材料になります。

セクハラに該当し得る判断基準

  • 相手の意に反した性的な言動かどうか
  • その言動によって不快感・屈辱感・精神的負担が生じたか
  • 立場の違いにより、拒否しにくい状況を利用していないか
  • 業務に支障が出るほど、職場環境が乱されていないか

行為者がどう考えていたかではなく、受け手がどう感じたかが重視されます。感受性には個人差があるため、同じ言動でも別の人には深い苦痛を与える場面があります。

セクハラの判断基準について、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

さらに詳しくどこからがセクハラになる?発言一覧や対処法を弁護士が解説

セクハラの種類と言動例

セクハラは大きく4種類に分類され、それぞれ特徴が異なります。特に職場では、上司と部下の関係性や組織内の力関係が影響しやすく、対価型環境型の被害が多い傾向があります。

  • 対価型セクハラ:性的な誘いを断った結果、評価の引き下げ・配置転換など不利益が生じる行為

  • 環境型セクハラ:性的発言や不必要な接触などで職場環境が悪化し、業務への集中を妨げる行為

  • 制裁型セクハラ:相手の拒絶に腹を立て、無視・嫌がらせといった報復的な言動に及ぶ行為

  • 妄想型セクハラ:相手が自分に好意を持っていると勝手に決めつけ、思い込みに基づく接近や発言を繰り返す行為

①対価型セクハラ

対価型セクハラは、労働者が望まない性的な言動を拒否・抵抗した際に、降格・減給・契約更新の拒否・昇進や昇格からの排除といった不利益を受けるセクハラです。

加害者は、事業主や上司、先輩、取引先担当者など、優位な立場を利用して性的な言動を強いる点が特徴です。

対価型セクハラの具体例

  • 上司が部下へ性的関係を求め、断られたため不利な部署へ異動させた
  • 外出中に事業主が身体へ触れ、抵抗したことで降格させられた
  • 続く性的発言に対し苦情を述べたところ、プロジェクトから外された
  • 内定先の担当者に性交渉を迫られ、拒否した結果として内定を取り消された
  • 昇進・昇格の条件として性交渉を求められた

対価型セクハラについて、下記ページでも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

さらに詳しく対価型セクシャルハラスメントとは?具体例とともに詳しく解説

②環境型セクハラ

環境型セクハラは、労働者の望まない性的な言動によって職場環境が不快な状態となり、集中力の低下や就業意欲の減退など、業務遂行に看過できない支障が生じるセクハラです。

性的な言動を行う側が「軽い冗談」「コミュニケーションの一つ」と思い込み、自覚がないまま悪影響を与えているケースも少なくありません。

環境型セクハラの具体例

  • 何度も抗議しているにもかかわらず、事務所内にヌードポスターが貼られ続け、働く意欲が落ちていく
  • 「結婚はまだ?」と繰り返し尋ねられ、職場に居づらくなる
  • パソコン操作の指導時に上司が突然手を重ねてきて動揺し、仕事が手につかない
  • 上司が腰に手を回したり髪を触ったりしてきて、避けるために常に様子をうかがう必要があり集中できない
  • 飲み会で抱きつかれキスを強要され、恐怖で職場に足が向かなくなる

環境型セクハラについて、下記ページでも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

さらに詳しく環境型セクシャルハラスメントとは?定義や事例をわかりやすく解説

③制裁型セクハラ

制裁型セクハラは、加害者が持つ性差別的な価値観をもとに、価値観から外れる者を押さえつけるような発言や態度が見られるセクハラです。

直接身体に触れる行為がなくても、見下すような冷たい態度となって表れやすい点が特徴で、受け手に強い委縮や不安を与える場合があります。

制裁型セクハラの具体例

  • 男性上司が、女性部下に対して、「女はお茶汲みだけしてればいいんだ」などといった発言をする
  • 子育て中の従業員に、「時短勤務はいいよな」といった発言をする
  • 面接時に面接の応募者に「どうして子供がいるのに仕事をしたいのか?子供が可哀そうではないか?」といった質問をする
  • 女性上司から「男のくせにだらしない」といった発言が繰り返される

制裁型セクハラについて、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

さらに詳しく制裁型セクシャルハラスメントとは?具体例や慰謝料請求について

④妄想型セクハラ

妄想型セクハラは、相手が自分に好意を持っていると一方的に思い込み、誤った認識を前提に接近や発言を繰り返すセクハラです。

加害者は行動の問題性を自覚していない場合が多く、本人の中では「好意への反応」だと誤解していることもあります。そのため、被害者は突然の接触や過剰なアプローチに困惑し、強いストレスを抱えやすくなります。

妄想型セクハラの具体例

  • 両想いだと勘違いし、昼夜問わずメールやSNSを送り続ける
  • 休日にもかかわらず、食事やデートへ何度も誘ってくる
  • 毎朝の服装やメイクを細かく評価し続け、距離を縮めようとする
  • 関係が深まっていると誤信して高価な品を繰り返し渡す

妄想型セクハラについて、下記ページでも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

さらに詳しく妄想型セクシャルハラスメントとは?行為例や被害に遭った時の対応

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多様化するセクハラの種類

セクハラは、男女間の対人トラブルに限定されず、コミュニケーション手段や働き方の変化に伴って形が大きく広がっています。

多様化するセクハラの例

  • メールSNSなど文字でのセクハラ

    LINEやSNSでの過度な私的メッセージ、深夜の連絡、性的内容の送信など、相手が読まざるを得ない環境を利用したセクハラが増えています。

  • 同性間でのセクハラ

    異性愛前提の発言、性的指向や性自認に対する無配慮な質問、身体的接触などが該当します。

  • 男性への逆セクハラ

    女性から男性への性的な発言や身体的接触、プライベートへの踏み込みなどもセクハラとして成立します。

  • 就活セクハラ

    面接やOB・OG訪問、インターンの場で、採用側の立場を利用したセクハラが問題になっています。

セクハラ被害を受けた場合の対処法

セクハラの被害を受けたと感じたら、ひとりで抱え込まず早めに相談することが大切です。職場での出来事であれば、まずは会社の相談窓口や人事担当者へ状況を伝える方法があります。

社内で相談しにくい場合や解決が進まないときは、次のような外部窓口の利用も可能です。

  • 労働基準監督署
  • 都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)
  • 人権ホットライン
  • 厚生労働省 ハラスメント悩み相談室
  • 労働組合・ユニオン など

状況が悪化している、加害者が上司で相談しづらい、会社が動いてくれないといったケースでは、弁護士への相談がおすすめです。

弁護士であれば、事実関係の整理、会社への申し入れ、慰謝料請求の可否などを法的観点から明確にアドバイスすることが可能です。

代理人として交渉を任せれば、被害者が加害者と直接やり取りする負担を避けられる点も大きなメリットでしょう。

セクハラの相談先については、下記ページでも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

さらに詳しくセクハラはどこに相談できる?12の窓口と相談前に行うべき準備

セクハラ被害を受けたら慰謝料請求が可能

セクハラにより精神的苦痛を受けた場合、加害者に対して慰謝料請求が可能です。職場で起きたセクハラであれば、加害者本人だけでなく、使用者責任を根拠として会社にも請求できる場合があります。

慰謝料額は、セクハラを受けた頻度や期間、言動の内容、悪質性などを総合的に考慮して算定されます。適切な慰謝料の請求を検討されている方は、弁護士に相談して進めることをおすすめします。

慰謝料請求を弁護士に相談するメリット

セクハラ被害による慰謝料請求を検討している方は、できるだけ有利に進めたいのであれば弁護士へ相談する方法が有効です。

慰謝料請求を弁護士に相談するメリットには、次のような点が挙げられます。

  • セクハラ被害を受けている事実を示す証拠収集についてアドバイスがもらえる
  • セクハラ加害者や会社との慰謝料請求の交渉や裁判を任せられるので精神的負担が軽減できる
  • 適正な慰謝料を請求できる可能性が高まる(相手方に言いくるめられない)

女性弁護士がセクハラ被害者に寄り添って対応いたします。まずはご相談ください。

一口に「セクハラ」といっても、その種類は多岐にわたり、時代とともに評価基準も変化しています。

ご自身が受けている言動がセクハラにあてはまるのか判断に迷う方も多いでしょう。そのようなときは、まずは弁護士にご相談ください。

弁護士は、現在の被害状況を丁寧に伺い、セクハラに該当するか、証拠の収集方法といった具体的なアドバイスを行います。さらに、代理人として加害者や会社との交渉、裁判手続きまで幅広い対応が可能です。

弁護士法人ALGには、セクハラ問題への対応実績が豊富な女性弁護士が多数在籍しております。話しにくい内容でも、プライバシーに配慮しながらお伺いし、被害者の方に寄り添って対応いたします。

お一人で悩まず、まずは弁護士法人ALGにお問い合せください。

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