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1.最新法律アップデート
2.トピックス・ニュース
3.最新法令要約
4.重要判例・ルーリング

最新法律アップデート

官報に掲載された最新のビジネス関連法律は、以下の通りです。

所轄官庁 題名 通達日 適用日
歳入局 歳入局命令第ポー161/2566号(主題:歳入法典第161条第2項に定める所得税の納付について) 2023/9/15 2024/1/1
歳入局 仏歴2566(2023)年付加価値税(VAT)の減額に関して定める勅令(VATの7%課税の据え置きについて) 2023/9/16 2024/10/1
歳入局 歳入局長通達(第437号)(主題:元受刑者の雇用に係る費用を対象とする所得税免除に関する基準、手続き及び条件) 2023/10/6 2023/8/16
歳入局 歳入局長通達(第51号)(主題:電子寄付システムによるスポーツ支援寄付金を対象とする所得税、付加価値税、特定事業税及び印紙税免除に関する基準、手続き及び条件について。) 2023/10/6 2023/1/1
歳入局 歳入局長通達(第438号)(主題:個人所得税の源泉徴収申告書の書式について) 2023/9/21 2023/9/21
歳入局 歳入局長通達(第252号)(主題:歳入法典第82/5条(6)に定める付加価値税計算において控除が認められない仕入税額について) 2023/9/22 2023/9/22
歳入局 歳入局長通達(第289号)(主題:技術及びイノベーション研究開発者名簿) 2023/10/3 2023/6/7
歳入局 歳入局通達(主題:代理会計事務所となるための資格、基準、手続き及び条件) 2023/10/18 2023/9/13
財務省 係官の選任に関する財務省通達(第76号)(主題:歳入法典に定める査定官吏の選任について) 2023/10/17 2023/9/14
労働福祉保護局 労働技能開発振興委員会通達(主題:労働技能開発基金からの融資限度額及び返済について)(第12号) 2023/10/11 2023/9/1~2024/8/31
労働福祉保護局 労働技能開発振興委員会通達(主題:労働技能開発基金からの融資限度額及び返済について)(第13号) 2023/10/11 2023/7/16~2024/7/15までの融資申込を対象として適用
保健省 仏歴2566(2023)年薬草製品委員会通達(主題:薬草製品の効能、服用方法、品質、安全性表示の基準及び手続について) 2023/9/15 2023/10/19
保健省 国家疾病管理委員会通達(主題:免疫力証明書の発行について) 2023/10/12 2023/11/11
運輸省 仏歴2566(2023)年陸路運送法に基づく車両登録及び自動車税に関する手続きを定める陸路運送局通達(第9号) 2023/10/10 2023/10/11
運輸省 仏歴2566(2023)年自動車に関する法律に定める登録及び自動車税に関する手続きを定める陸路運送局通達(第3号) 2023/10/10 2023/10/11
エネルギー省 エネルギー事業局通達(主題:事故によって液体ガス輸送管が損傷した場合の対処に関する基準及び手続について) 2023/10/10 2023/10/11
エネルギー省 仏歴2566(2023)年エネルギー事業監督委員会通達(第2号)(主題:エネルギー事業許可証の種類及び有効期限について) 2023/10/12 2023/10/13

※調査対象は、歳入局、投資委員会(BOI)、関税局、財務省、タイ工業団地公団(IEAT)、入国管理局、労働省、労働福祉保護委員会、商務省、国防省、農業・協同組合省、運輸省、天然資源・環境省、エネルギー省、工業省、内務省(ビジネス関連のみ)、タイ中銀、デジタル経済社会省を範囲としております。

トピックス・ニュース

1.公開株式会社の登記手続きの電子化

商務省産業開発局は、公開株式会社の登記手続きの電子化を開始しました。これにより、事業上のコスト削減に繋がるほか、公開株式会社登記手続きの手段がさらに一つ増加することとなります。当該媒体は、e-PCLシステムと称しており、設立、登記事項の変更、解散、手数料の支払い、登記簿謄本、登記証明書の取得などの公開株式会社の登記に関するサービスを提供するものであります。そのほかにも電子領収書の発行、さらに登記を申請する取締役はDBD e-PCLモバイルアプリケーションによって電子署名をすることが可能となります。登記申請書類についても、システム上で記入及びアップロードすることが可能なものとなっております。

2.タイ長期居住者ビザ(Long-term Resident Visa : LTRビザと税務恩典)

投資委員会(BOI)は、一定の外国人を誘致するために長期居住者ビザを導入しました。対象の外国人及び当該ビザの取得者に対する税務恩典は、以下の通りです。

(1)高度専門職:個人所得税率を、35%から17%に減額。
(2)富裕層、外国からの定年退職者又はタイ居住リモートワーク専門家:歳入法典第40条に定める所得又は外国に所在する資産に起因する所得で、タイ国内に持込んだものに対する個人所得税の免除。

最新法令要約

1.歳入法典第41条第2項に定める所得に対する所得税について

歳入局は、歳入局命令第ポー161/2566号(主題:歳入法典第41号第2項に定める所得税の納付)を発布しました。その内容によれば、当該年度において歳入法典第41条第2項に規定するタイ国外における職務又は事業活動、又はタイ国外に所在する資産に起因する課税所得を有しており、且つ当該所得をタイ国内に持ち込み、当該年度におけるタイの滞在期間が暦年で180日に至る所得者は、当該年度において歳入法典第48条に定める所得税を納付する義務を定めるものであります。本命令は、2024年1月1日以降にタイ国内に持込まれた所得を対象として適用されるものとなります。

歳入法典第41条 歳入局命令第ポー161/2556号

第40条に規定する所得のうち、タイ国外における職務若しくは事業活動又はタイ国外に所在する資産に起因する所得を有する者は、所得税を納付しなければならない
ある課税年度において1回又は数回にわたるタイ国の滞在期間が180日に至る者はタイの居住者と認めるものとする。

歳入法典第41条第2項に規定するタイ国外における職務又は事業活動、又は資産に起因する所得を有しており、どの課税年度にタイ国内に持込まれたかにかかわらず、歳入法典第48条に基づき、当該所得に対する所得税を納付する義務を負うものとする。

2.高度技能人材育成を奨励する税務措置の適用期間を2025年まで延長

従業員の科学・技術・工学・数学分野(STEM)の専門的な研修の奨励措置適用期間を2025年まで延長することとなりました。当該措置は、従業員の科学・技術・工学・数学分野における研修訓練に支出した費用で、2023年1月~2025年12月31日までの期間中に支出したものを対象として、その支出額の150%による金額の損金算入が認められるものであります。本措置は、以下の条件を満たしていることが求められます。

  1. 研修のカリキュラムは、政府公認であること。
  2. 他の税務上の恩典を行使していないこと。

重要判例・ルーリング

1.国外所得に対する課税における個人所得税の論点(2023年5月8日付歳入局ルーリング第ゴーコー0702/2478号)

会社が幹部社員又は従業員に対してタイ国内における職務に起因して給与及び各種福利厚生をタイ国における幹部社員又は従業員の銀行口座に振り込むことによって支給した際、当該所得は歳入法典第41条第1項及び第56条に規定するタイ国内における所得又はタイ国内における雇用者の事業に起因して得る所得であり、所得の支払者である会社は歳入法典第50条(1)に従って源泉徴収義務を有する。

外国子会社が、当該子会社の取締役となっていることに起因する報酬を各国の規定に従って同様の職位又は同業の賃金率に基づいて支給しており、当該外国子会社は、会社の業務に関与せず、会社の利益に供しておらず、且つ会社は外国に勤務する幹部社員又は従業員に対して報酬を支給する義務を有していない場合、当該報酬は歳入法典第41条第2項に基づくタイ国外の職務に起因して得る所得とされる。当該幹部又は従業員が外国子会社で勤務しており、当該所得をその発生した課税年度内にタイ国内に持込んでいなければ、個人所得税の納税義務を有しない。

2.偽造の医療診断書を行使した従業員の解雇(最高裁判例第2334/2553号)

病気休暇の取得を目的として偽造又は改竄された医療診断書を雇用者に提出することは、雇用者に対して意図的に刑事犯罪を犯す行為であり、この行為によって雇用者に損害をもたらすものである。雇用者は労働者保護法第119条(1)の規定により解雇補償金を支給せずに解雇することができるほか、医療診断書の偽造は、刑法第264条の規定に定める犯罪行為であり、以後に雇用者が刑事告発しておらず、懲役刑を受刑していなかったとしても、雇用者に対して直接犯罪を犯したことから解雇補償金の支給を要さずに解雇することができる。

3.重大な過失を犯した医療人材の解雇(最高裁判例第4469/2545号)

医療技術者である従業員は、医師の診断及び患者の治療に供するために、血液検査結果の確認、大便又は尿の化学的検査を重要な職務としている。当該職務は医師による正確な診断及び治療を行うためである。しかし当該従業員が血液検査を間違えたことによって患者の再検査を行って正確な検査結果を出さなければならなくなった。この行為は、過失行為であり、職務怠慢によって医師の不備な診断が伴うほか、病院の評判に著しく損害をもたらすものである。従って従業員の行為は雇用者に対して重大な被害を与え、さらに正確且つ誠実な職務に対して相応しくない行為である。そのため、雇用者は労働者保護法第119条(3)の定めるところにより、解雇補償金を支給することなく解雇することができる。また、民商法典第583条に定める事前通告に代わる賃金の支給を要しない。

執筆弁護士

弁護士法人ALG&Associates
バンコクオフィス 所長 弁護士
川村 励 プロフィールはこちら