個人再生と民事再生の違いとは?対象者や手続きなどを徹底比較
債務整理の方法のなかでも、個人再生と民事再生はよく混同されがちです。
個人再生と民事再生は、どちらも破産を回避しつつ、裁判所を介して経済状況の立て直しを図る法的手続きですが、対象者や手続きの複雑さ、費用などに違いがあります。
この記事では、個人再生と民事再生の違いについて、対象者や手続きなどを比較しながら解説していきたいと思います。
個人再生と民事再生のどちらを選ぶべきか悩まれている方は、ぜひ参考になさってください。
目次
個人再生と民事再生の違い
個人再生は、民事再生手続きのひとつで、民事再生法に基づく法的手続きです。
もともと会社再建を目的とした民事再生を、個人向けに簡略化したものが個人再生です。
個人再生とは? 個人再生とは、経済的な困難に直面した個人が、裁判所を通して借金を元金ごと1/5~1/10程度まで大幅に減額してもらい、残りを3年(最大5年)で分割返済していく債務整理手続きです。 小規模個人再生と給与所得者等再生という2種類の手続きがあります。
民事再生とは? 民事再生とは、経済的な困難に直面した法人や個人が、裁判所を介して債権者の同意を得ることにより、破産を回避しつつ事業を再建して、債務を返済していく債務整理手続きです。
個人再生と民事再生には、「対象者」「債務額の上限」「手続きの複雑さ」「費用」「債権者の同意」「個人再生委員・監督委員の選任」の6つの違いがあります。
個人再生や民事再生の手続きについて詳しくお知りになりたい方は、以下のページもご覧ください。
さらに詳しく個人再生とは|メリット・デメリットや手続きの流れ、費用など さらに詳しく民事再生とは?メリット・デメリットや手続きの流れをわかりやすく解説①対象者
個人再生は個人だけが利用できますが、民事再生は個人・法人を問わず利用することができます。
| 個人再生 | 民事再生 | |
|---|---|---|
| 対象者 | 個人のみ | すべての法人・個人 |
ここでいう「個人」とは、勤務先から給与を受け取っている給与所得者のほか、運送業や小売業などの事業を個人で営んでいる個人事業主も含まれます。
給与所得者が借金の返済に行き詰まったり、個人事業主が売掛金の支払いを滞らせてしまったりした場合、経済的に厳しい状況に陥ります。
こうしたときは、「個人再生」または「民事再生」という法的手続きを利用して、生活や事業の再建を目指すことが可能です。
②債務額の上限
個人再生には「住宅ローンを除く債務総額が5000万円以下」という債務の上限がありますが、民事再生にはこのような債務の上限はありません。
| 個人再生 | 民事再生 | |
|---|---|---|
| 債務の上限 | 5000万円以下 (住宅ローンを除く) |
なし |
個人が抱える債務が5000万円を超えるようなケースでは、個人再生ではなく民事再生や自己破産を利用することになります。
「個人再生を利用するための必要条件」について詳しくお知りになりたい方は、以下のページをご覧ください。
さらに詳しく個人再生の要件とは?利用するための必要条件をわかりやすく解説③手続きの複雑さ
個人再生は民事再生の手続きを簡略化したものなので、民事再生よりも手続きが簡易になっています。
これに対して民事再生は、関係者が多いことから手続きが複雑になっています。
| 個人再生 | 民事再生 | |
|---|---|---|
| 債権額の確定方法 | 手続内で確定されるのみで、確定判決と同等の効力は与えられない | 債権調査規定に従って確定され、再生債権者表に記載されると、確定判決と同等の効力が認められる |
| 再生計画案の決議方法 | 書面による決議 (給与所得者等再生では、決議は行われず意見聴取のみ) |
債権者会議での決議 または 書面による決議 |
| 監督委員の有無 | 監督委員は選任されないが、個人再生委員が選任されて、裁判所から指定された職務のみを行うことがある | 監督委員が選任されて、手続き全般の監督職務を行う |
④費用
| 個人再生 | 民事再生 | |
|---|---|---|
| 費用相場 | 50万~80万円程度 | 数百万~数千万円 |
個人再生の場合、数万~数十万円程度の裁判所費用と弁護士費用を合わせて約50万~80万円の費用がかかります。
一方で民事再生の場合は、数百万単位の裁判所費用に加えて、さらに数百万単位の弁護士費用も必要です。
民事再生は手続きが複雑で、必ず選任される監督委員の報酬も費用に含まれることから、個人再生よりも費用が高額になります。
費用面で比較すると、個人再生は負担が少なく、債務整理を通じて生活再建を目指す個人にとって現実的な選択肢となるケースが多いです。
⑤債権者の同意
再生計画案の認可について、個人再生の小規模個人再生と民事再生では、債権者の過半数および債権額の2分の1以上の債権者の同意が必要です。
なお、個人再生では手続きを簡略化するために“みなし届出”という制度が設けられています。
決議の際に届け出をしなかった債権者は「同意した」とみなされるのに対し、民事再生では届け出をしなかった債権者は「同意しなかった」とみなされます。
| 個人再生 | 民事再生 | |
|---|---|---|
| 再生計画案の決議方法 | 書面による決議 (給与所得者等再生では、決議は行われず意見聴取のみ) |
債権者会議での決議 または 書面による決議 |
| 債権者の同意 | 債権者の過半数または債権額の2分の1以上が不同意だと、再生計画案は認可されない (給与所得者等再生の場合は同意が不要) |
債権者の過半数および債権額の2分の1以上の同意がないと、再生計画案は認可されない |
| 届け出がない場合 | 再生計画案に賛成であるとみなされる | 再生計画案に反対であるとみなされる |
小規模個人再生の場合、不同意が多数でない限り再生計画案は認可されますが、民事再生の場合は過半数以上の同意が必要になります。
⑥個人再生委員・監督委員の選任
個人再生では、裁判所の判断によって「個人再生委員」が選任されるケースがあります。
個人再生委員とは、個人再生の手続きを円滑に進めるために管理・監督する役割を担う弁護士のことです。
裁判所の運用によって異なりますが、弁護士が代理人となっていないケースで選任されることが多いです。
主に、申立人(債務者)の財産や収入の調査や、再生計画案の適正性を判断するなど、裁判所から指定された職務のみを行います。
これに対して、民事再生では必ず「監督委員」が選任されます。
監督委員とは、民事再生の手続き全般を管理・監督する役割を担う弁護士のことです。
限定的な職務に従事する個人再生委員に対して、監督委員は職務の範囲が広く、手続き全体に関与するという違いがあります。
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個人再生と民事再生どちらを選ぶべき?
個人再生と民事再生のどちらを選ぶべきかは、債務総額や手続きの目的によって異なります。
債務総額が5000万円以下であれば、まずは個人再生を検討しましょう。
債務総額が5000万円を超えている場合や、事業の再建が目的の場合は民事再生が適しています。
個人再生が向いているケース
個人再生は、民事再生と比べて手続きが簡易で、費用を抑えつつ経済状況の再生が図れます。
そのため、次のいずれかに当てはまる方は、まずは個人再生を検討しましょう。
- 債務総額が5000万円以下の場合
- 借金の返済が苦しくなった給与所得者や個人事業主の場合
- ローン返済中のマイホームを手放さずに債務整理をしたい場合 など
民事再生が向いているケース
民事再生は主に、経済的な困難に陥った会社が利用することを想定した規定になっています。
そのため、次のいずれかに当てはまる方は、民事再生をすることで前向きな経済状況の立て直しが図れる可能性があります。
- 債務総額が5000万円を超えている場合
- 支払不能や債務超過のおそれがある会社経営者の場合
- 破産を回避して事業を継続したい場合 など
個人で民事再生手続きをするデメリット
個人が民事再生手続きを行う場合、個人再生と比べて手続きや費用の負担が大きいというデメリットがあります。
民事再生は企業の再建を前提とした手続きなので、裁判所費用も弁護士費用も数百万円規模になることが少なくありません。
債権者集会など、複雑な手続きの対応も必要です。
債務総額が5000万円を超えていなければ、個人が民事再生を利用するのは難しく、認可のハードルも高くなります。
個人の民事再生手続きは費用や手続き面で大きなリスクがあるため、個人再生を選択するのが一般的です。
個人再生と民事再生で迷われている方は弁護士法人ALGにご相談ください
個人の方でも利用しやすいように手続きを簡略化したものが個人再生です。
民事再生は関係者が多いことを想定して、手続きが複雑になっているため、多くの方は個人再生を利用されます。ただし、なかには民事再生が適しているケースや、任意整理や自己破産が向いているケースもあります。
借金や収入の状況、手続きの目的によって、最適な債務整理の方法はさまざまです。
ご自身に合った借金問題の解決方法を知るためにも、個人再生や民事再生の手続きを検討されている方は、まずは弁護士法人ALGまでご相談ください。
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監修:弁護士 谷川 聖治 / 弁護士法人ALG&Associates福岡法律事務所 所長
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