セクハラにより仕事を辞めたい方に知ってほしい退職前にすべきことや注意点
職場でのセクハラがきっかけで、退職を考える方や仕事を続けられなくなった方は少なくありません。
精神的な負担が積み重なると、勤務を続けるのが難しくなる人も多く、深刻な問題として多くの相談が寄せられています。
本記事では、セクハラ被害に遭い、退職を検討されている方、退職を余儀なくされた方に向けて、必要な準備やポイントをわかりやすく解説します。
目次
セクハラ被害が原因で退職を考えるケースは多い
職場でのセクハラ(セクシュアルハラスメント)とは、相手の望まない性的な言動をいいます。
加害者にセクハラをしたという意図があったかどうかにかかわらず、被害者が精神的な苦痛を感じたらセクハラに当たる可能性があります。
被害者と加害者に業務上の関わりがあれば、セクハラをされた時間や場所が業務時間外、職場外でも職場でのセクハラに含まれます。
しかし、被害者にとって望まない性的な言動をされたことが、そのままセクハラに当たるとは限りません。そこで、セクハラの判断ポイントについて説明します。
【セクハラの判断ポイント】
- 性的な内容を含む言葉・行為があるか
- 被害者と加害者の間に業務上の関わりがあるか
- 被害者等の就労環境へ悪影響を及ぼしていないか
近年、このような行為によって強いストレスを抱え、「仕事を続けられない」「退職したい」と感じる方が増えています。
つらい状況にあるのに、相談先を頼ることができず、ひとりで抱え込み、職場内で孤立してしまうケースも少なくありません。
さらには、職場から適切な対応を取られずに、時間が経つにつれ、心身の負担が大きくなり、最終的に退職を選ばざるを得ない状況へ追い込まれることもあります。
職場でのセクハラ例
過去の事例でも、職場でさまざまな種類のセクハラが発生しています。
よく知られているのは言葉によるセクハラや身体に触るといった直接的な行為です。
また、その他にも、加害者の態度や物の扱いといった直接的ではない行為も問題とされ、このような行為はセクハラではないと見過ごされることも少なくありません。
【職場でのセクハラ具体例】
- 食事やデートを何度も迫られる
- 断った後も執拗に連絡を取ろうとする
- 肩や腰へ不必要な接触をされる
- パソコンの壁紙にグラビアアイドルのビキニ写真を設定し、周囲へ意図的に見えるようにする
- 性的な冗談・からかいを繰り返す
- 社内チャットやメールで性的な画像や動画を共有する
- 身に覚えのない噂を広める
どこからがセクハラに該当するのかについては、下記ページで詳しく解説していますので、ご覧ください。
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セクハラで退職をする前に被害者がすべきこと
セクハラで退職をする前に被害者がすべきことは、具体的に次の3つが挙げられます。
- セクハラの証拠を確保する
- 会社の窓口や労働基準監督署などへ相談する
- 慰謝料請求など法的措置をとる
セクハラの証拠を確保する
セクハラ被害について各相談先に相談する際には、加害者からのセクハラがあったかどうかを判断するための証拠が必要であり、この証拠がないと相談先から適切な助言を受けられない可能性があります。
さらには、加害者や会社に対して法的措置をする場合にも、セクハラがあったという確実な証拠がなければ、セクハラがあったという事実すら判断されず、法的措置ができないおそれがあります。
このようなことが起きないようにするためにも、ご自身でできる限りセクハラがあったという証拠を集めることが重要です。
また、セクハラの有効な証拠は、退職してからでは集めにくくなるため、就労中から証拠を確保しておく必要があります。
具体的には、次のようなものが証拠となると考えられます。
- セクハラ行為を撮影した写真データ、動画データ
- セクハラ発言のあるメールやLINEなどのやりとり
- セクハラの内容・日時・場所などを詳細に記載した日記やメモ
- セクハラ行為を目撃した第三者の証言
- 会社や警察に相談した際の相談記録
- セクハラによってうつ病やPTSDなどの精神疾患を発症した場合は、医師が作成した診断書 など
セクハラの有効な証拠については、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
会社の窓口や労働基準監督署などへ相談する
セクハラ被害は、社内窓口や労働基準監督署などへ相談すると、問題が改善され、退職を避けられる可能性があります。
社内機関窓口への相談を通じて状況が客観的に把握され、会社が適切な対策を取るきっかけにもなります。また、外部への相談も有効です。
労働基準監督署や労働局は労働問題に詳しく、事案に応じて会社へ助言や指導を行います。行政からの働きかけは一定の強制力をもち、企業側が真剣に対応する後押しになります。
第三者に相談することで状況が動き出し、退職という選択を避けられるケースも少なくありません。職場に居づらさを感じても、一度専門機関への相談を検討してみましょう。
セクハラ被害の相談先については、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
慰謝料請求など法的措置をとる
【民事上の法的措置の例】
セクハラ被害によって強い精神的苦痛を受け、結果として退職せざるを得なかった場合、加害者に対して慰謝料請求をすることができます。
また、会社に対しても加害者によるセクハラを理由に安全注意義務違反や使用者責任の追及などの法的措置を検討できます。
これらは証拠がそろっていれば、裁判を通じた慰謝料請求が可能です。裁判以外の方法として、迅速な解決を目指す場合は労働審判を利用できます。
この労働審判手続きは、通常3回以内の期日で進むため、比較的早い段階で結論を得やすい手続きです。
【刑事上の法的措置の例~重大な被害の場合~】
さらに、セクハラの範囲を超えた身体への接触や暴行など重大な加害行為が被害の内容に含まれる場合、刑事事件として扱われるケースがあります。該当し得る罪名には、次のようなものがあります。
- 不同意わいせつ罪
- 不同意性交等罪
- 傷害罪・暴行罪
被害者が、退職前に法的措置を開始すれば、会社側も放置していた問題に向き合うことになり、職場内での再発防止策をとり、職場環境の改善も見込めます。
以上のような手段がありますが、弁護士による無料相談やセクハラ被害の慰謝料請求をお考えの際には、下記の各ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
セクハラを受けたことを理由に退職する際の注意点
退職の形式には、会社都合退職と自己都合退職の2種類があります。
セクハラが原因で退職する場合は、会社都合退職として扱ってもらい、失業手当を受給するかたちが望ましいといえます。このような退職方法であれば、心身を労りながら、無理のない転職活動ができるためです。
会社都合退職は、自己都合退職よりも失業保険給付の条件が以下の観点から有利です。
例えば、会社都合退職であれば1ヶ月の給付制限期間がなく、給付開始が早い上、給付日数も長めに設定されています。
給付日数が増えるほど、再就職した場合に支給される再就職手当にも影響するため、経済面でもメリットがあります。
会社が自己都合退職として処理しても、セクハラが原因で退職した事実を示す証拠をハローワークへ提出すれば、会社都合退職として扱われる場合があります。
セクハラが原因の退職に関するQ&A
セクハラについて会社に相談したら退職を余儀なくされました。会社を訴えることはできますか?
会社を訴えることは可能です。
セクハラを会社に相談したにもかかわらず、結果として退職へ追い込まれるなど不利益な扱いを受けた場合、会社の対応が不当だとして退職したことを無効と主張して裁判所に訴えることができます。
会社から退職をはっきりとすすめられておらず、精神的に追い詰められ、自ら退職を申し出たケースでも同様です。このように実質的に退職を強要されたような状態であれば、退職の無効や休業損害、慰謝料請求などを会社に求めることが考えられます。
会社の責任を問う手続きとしては、裁判や労働審判といった方法があります。ただし、いずれの方法も法律の専門的知識が必要となるため、弁護士に相談して進めることをおすすめします。
セクハラが原因でうつ病になり退職しました。退職後でも労災申請や慰謝料請求は可能ですか?
退職後であっても、労災申請や慰謝料請求は可能です。
労災を申請する際は、申請書に必要事項を記入し、セクハラが原因でうつ病を発症したとわかる医師の診断書など、セクハラの認定に必要な資料を添えて労働基準監督署へ提出します。
申請書には会社の記載欄がありますが、協力が得られない場合は空欄のまま提出でき、労基署へその旨を相談すれば受理してもらえます。 ただし、労災保険では慰謝料を請求できません。
慰謝料を求める場合は別途、セクハラ加害者に対して損害賠償請求を行うほか、被害を防げなかった会社に対して安全配慮義務違反や使用者責任を理由に損害賠償請求する方法があります。
いずれの手段も、退職後でも手続は可能なため、早めに証拠を整理し、弁護士へ相談することが重要です。
セクハラ加害者に退職を要求することはできますか?
軽微なセクハラ行為だけでは、加害者に退職を求める対応は難しいとされています。状況によっては、「違法な退職強要だ」と加害者から会社が指摘されるおそれもあります。
一方、不同意わいせつ罪や不同意性交等罪に該当するような、悪質かつ強度な身体的接触を伴うセクハラ行為があった場合は、会社に対して加害者の退職を求められる可能性があります。
ただし、退職を要求する際は、会社がセクハラの事実関係を正しく調査し、慎重に判断されることになります。
セクハラ被害により退職したいと思ったときは弁護士にご相談ください
セクハラ被害が原因で退職を考えている方、退職せざるを得なかった方は、早めに弁護士へご相談ください。
退職へ追い込まれるほどの深刻なセクハラ被害では、慰謝料請求だけでなく、退職に至ったことによる逸失利益(セクハラ行為がなければ仕事を続けることができ、引き続き給料をもらえたであろう差額分)の請求が認められるケースがあります。
また、職場でのセクハラ被害が原因でうつ病や適応障害など精神疾患を発症し、そのまま退職に至った場合には、労災申請が可能となることもあります。
さらに、セクハラ行為が悪質の場合には、被害届や告訴によって加害者に刑事処分が下される可能性もあります。
弁護士に現在の状況や受けた被害をお話しいただければ、法的な選択肢を整理し、誰に対してどのような対応が可能か丁寧にアドバイスいたします。
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