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労働者の在宅勤務(Work From Home)に関して 定める労働者保護法の改正、 土地―建物4種類に対する2023年度の固定資産税15%軽減、 外国人観光客からの入国料の徴収(150~300バーツ)について、 サイバーセキュリティー緊急勅令の適用、 電子システム経由で源泉税を納付する事業者に対する 源泉税率の軽減措置、 モバイルバンキングを利用して5万バーツ以上の 送金を行う場合の顔スキャンによる身元認証

労働者の在宅勤務(Work From Home)に関して定める労働者保護法の改正

2023年3月19日、在宅勤務に関して定める労働者保護法が官報へ掲載されました。2023年4月18日より適用されます。改正された労働者保護法は、労働者がすべての業務を自宅、居所又はその他の場所に持ち帰って行うことを可能とするものです。

在宅勤務を行う際は以下の条件が必要となります。

①会社と労働者間で在宅勤務を導入することの合意。

②合意に当たっては、当該合意書の内容に、勤務日時、休憩時間、残業時間及び通常勤務開始及び終了時間 、休暇、 業務及び雇用者の監督の範囲のほか、在宅勤務において必要な費用負担及び器具を定めること。

③労働者に、通常勤務時間終了後における雇用者との連絡を拒否する権利を付与すること。

在宅勤務は、会社の義務ではありませんので、導入に当たっては上記条件を考慮して慎重に検討する必要があります。

土地―建物4種類に対する2023年度の固定資産税15%軽減

官報において、仏歴2566(2023)年、一定の種類の土地及び建物を対象とする勅令が発表されました。その内容によれば、次の4つの種類の目的で利用する土地及び建物、即ち、(1)農業目的、(2)住居目的、(3)農業及び住居以外の目的による利用、(4)遊休又は利用していないものを対象として、算定された税額から15%軽減するものです。税率の上限は、0.15~3%までとされています。

外国人観光客からの入国料の徴収(150 ~ 300バーツ)について

2023年2月14日、内閣はタイに入国する外国人観光客から入国手数料を徴収することを承認しました。入国手数料は、2023年6月1日から適用されます。料率は空路での入国の場合は、1回の入国につき、1人300バーツであり、陸路又は水路における入国の場合は、1回の入国につき、1人150バーツとなっています。

ただし、タイでの労働許可証を保有している方は入国手数料が免除されますので、今後はタイ入国の際に労働許可証を提示できるようにしておくことが望ましいと思われます。

サイバーセキュリティー緊急勅令の適用

サイバーセキュリティー緊急勅令が2023年3月17日に施行されました。

サイバー犯罪による被害者は、オンライン又は書面で警察に対して届出をすることが可能となります。警察は当該サイバー被害者の損害を止めるために銀行に連絡して直ちに一時的に取引停止をさせることができます。さらに、サイバー犯罪に悪用する目的で銀行口座の開設又はSIMカードを開設した場合は、5年以下の懲役又は50万バーツ以下の罰金に処されることになります。

電子システム経由で源泉税を納付する事業者に対する源泉税率の軽減措置

2023年3月10日付財務省令第389号では、電子システムによって源泉税を納付する事業者に対して、2023年1月1日~2025年12月31日までの課税所得を対象として源泉税率が1%に軽減されます。

5万バーツ以上のオンラインバンキングによる銀行送金の際の、顔スキャンの義務化

タイ中央銀行は、金融上のサイバーリスクに対処するため、利用者の生体認証(Biometrics)データの技術を採用した身元認証による対策を発表しました。利用者は、2023年6月以降、金融機関のアプリケーション経由による口座開設又はモバイルバンキング経由での5万バーツ以上の送金又は取引限度額の変更などの際には顔スキャンによる生体認証が義務付けられる見込みです(予定)。

執筆弁護士

弁護士法人ALG&Associates
バンコクオフィス 所長 弁護士
川村 励 プロフィールはこちら