2023.6.20
1.今月の法律アップデート
2.投資委員会通達第ポー4/2565号に基づく恩典の対象外とする業種の改訂
3.2023年度における土地及び建物税の15%軽減
4.実際の支払額から追加で損金算入ができる費用について
5.労働者の契約期間内の退職禁止を定める雇用契約について
Topics1 2023年5月の法律アップデート
2023年5月に官報に掲載されたビジネス関連法律は、以下の通りです。
所轄官庁 | 法令名 | 通達日 | 適用日 |
---|---|---|---|
歳入局 | 歳入局通達 主題:タイムスタンプの押印による税額票の作成、提出又は保管について。 | 2023/5/12 | 2023/6/1 |
※調査対象は、歳入局、投資委員会(BOI)、関税局、財務省、タイ工業団地公団(IEAT)、入国管理局、労働省、商務省、内務省(ビジネス関連のみ)、タイ中銀、デジタル経済社会省を範囲としております。
Topics2 投資委員会通達第ポー4/2565号に基づく恩典の対象外とする業種の改訂
投資委員会は、一部の業種について、①機械の更新及び自動システムの導入による効率化措置に基づく恩典の対象外の業種について改訂し、さらに、②同措置に基づく恩典申請時に投資奨励恩典が認められたが、機械及び自動システムの導入による効率化措置(自動システム又はロボットを導入しない場合)に基づく恩典の対象外とする業種の改訂をする旨の通達を発布しました。その内容は、以下に分類されます。
①機械の更新又は自動システムの導入による効率化措置(自動システム又はロボットを導入した場合)、製造又はサービスにおいて自動システム及びロボットを導入することによる工業レベルの向上措置、インダストリー4.0向上による効率化措置及びインダストリー4.0向上措置に基づく恩典の対象外の事業。
2.2.2.2 健康リハビリテーションセンター事業 | 3.6 一般自動車製造業 | 3.7 原付自転車製造業 ( 排気量 248CC 以上を除く ) |
---|---|---|
3.8 電気自動車製造業 Battery Electric Vehicle (BEV) |
5.24.2 セメント製造業 | 5.4.10 金属切断事業 |
8.3.3 コーワーキングスペース事業 | 10.1.1 貿易投資支援事務所 (TISO) | 10.1.2 国際ビジネスセンター (IBC) |
10.1.3 国際部品調達事務所 (IPO) |
②同措置に基づく恩典申請時に投資奨励恩典が認められたが、機械及び自動システムの導入による効率化措置(自動システム又はロボットを導入しない場合)に基づく恩典の対象外の業種
3.7 原付自転車製造業 ( 排気量 248CC 以上を除く ) |
3.8 電気自動車、Plug-in Hybrid Electric Vehicle (PHEV), Hybrid Electric Vehicle (HEV) 及び B グループの事業 BEV プラットフォーム ( 電気自動車、 Plug-in Hybrid Electric Vehicle (PHEV), Hybrid Electric Vehicle (HEV) のみ ) |
B グループの事業 |
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Topics3 2023年度における土地及び建物税の15%軽減
官報は仏歴2566(2023)年一定の種別の土地及び建物税の減額に関して定める勅令(第3号)を発布しました。同勅令に基づき、2023年度における土地及び建物税が2023年3月20日以降、15%軽減されています。従って、2023年6月が納付期限である2023年度の土地及び建物税が、算出された税額の15%の率によって減額されるものです。
軽減の対象は、以下の通りとなります。
- 事業に使用する土地及び建物、例えば、理髪店、工場、ビル、事務所は、納付すべき税額に対して15%減額。
- 既に税額の50%が減額された土地及び建物、例えば、発電所やダムなどは、当該50%減額された税額に対してさらに15%の減額が認められる。
- 90%による減税が認められている土地及び建物、例えば、動物園、遊園地、スポーツ場については、本勅令に基づく減税は得られない。
Topics4 実際の支払額から追加で損金算入ができる費用について
毎年5月以降、法人税申告を行う会社が多いと思います。
そこで、実際に支払った経費からさらに追加して損金算入できる経費を、以下にまとめました。
追加控除率 | 損金として認められる費用 |
---|---|
150% | 人材育成費用 |
100% |
|
50% |
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25% | 分解可能プラスチック製品の購入に係る費用 |
2% |
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1 ‒ 2 % |
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Topics5 労働者の契約期間内の退職禁止を定める雇用契約について
雇用契約で、労働者の契約期間内の退職が禁止されており、労働者が契約に違反した場合は労働者は違約金を雇用者に対して支払うことを承諾する旨の規定の有効性が争われた事例について、最高裁は、これは契約不履行による損害賠償若しくは罰金と呼ばれる金銭を事前に定めたものに過ぎないと判示し、裁判所により賠償額ないし罰金を妥当な額に減額する裁量権を有するが、民商法典において倍賞額ないし罰金を全額免除する権限を定める条文がないことから、裁判所には、当該損害賠償を禁ずる権限を有しないとして、当該規定も有効である旨判示しています(最高裁判所第7620/2559号)。