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最新判例・ルーリング:(労務)不当解雇に関する判例

不当解雇による損害賠償金(最高裁判判例第202/2564号)

不当解雇による損害賠償の金額は、労働裁判所が、労働裁判設立法第49条に基づき解雇時の労働者の年齢、勤務期間及び解雇理由を考慮して裁量により決定される。

勤務期間は、その解雇された雇用者との勤務期間のみを数えるものとする。裁判所は他の雇用者との勤務期間を合算することはできない。

売上成績が基準値に達しない被雇用者の解雇は、不当解雇となるか。
(特別控訴裁判所判例第1873/2565号)

原告の不動産売上成績がノルマ未達であることについて、この原因がその時期にタイ中央銀行が適用した通達に基づく金融機関による住宅ローン融資の規制によるものであり、顧客の大半は住宅の購入において金融機関の住宅ローンの申し込みにかかわることから、被告及び他の不動産業者による不動産販売に対して一般的に影響が及ぶものである。売り上げが未達の理由は被告が主張するような原告の業務上の能率又は複数回に亘る業務ミスによるものではない。被告は被雇用者の制御範囲外の外部的要因を考慮せずに原告の勤務成績に対する不満を理由として解雇することについて、特別控訴裁判所の審議の上、不当解雇であるものと判断した。

人事スタッフが、偽造の成績証明書を提出して入社した従業員を告訴
(刑事裁判所判例第202/2564号)

被告は「成績証明書」と近似した種類及び寸法の用紙を使用して、数字及び自分が高校を卒業した旨の文章を記載して、当該書類の証明のために学校の登録職員及び校長の署名を記入していた。これにより被告は公文書である書類を偽造して、意図的にこれが本物であると他者を信じさせた行為である。被告の行為は、刑法第264号及び第265号に定める違法行為となる。

その後被告は入社応募のために当該偽造した書類を人事スタッフに提出したので、虚偽の資料を使用したこととなる。被告はその実際にその学校に通学及び卒業していないことから、被告の行為は刑法第268号に定める違法行為に該当する。

※ALG解説:偽造した書類を会社に提出して入社したことが判明した場合、そのような行為は犯罪となるため、解雇補償金を要しない解雇(日本でいうところの懲戒解雇)が可能となります。

執筆弁護士

弁護士法人ALG&Associates
バンコクオフィス 所長 弁護士
川村 励 プロフィールはこちら