赤ちゃんのチアノーゼ|顔色・手足の症状や原因について

代表執行役員 弁護士 金﨑 浩之

監修医学博士 弁護士 金﨑 浩之弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 弁護士

赤ちゃんの手足が青ざめているように見えたら、何らかの異変ではないかと心配になる方もいるでしょう。これは、生まれたばかりの赤ちゃんには珍しくない現象であり、一時的であれば多くの場合において問題ありません。

しかし、唇や顔の広い範囲が青ざめている場合等では、赤ちゃんに異変があったのではないかと疑う必要のあるケースもあります。この記事では、赤ちゃんのチアノーゼの症状や原因、起こった場合の対処法等について解説します。

チアノーゼとは?

チアノーゼとは、血液中の酸素不足によって、唇や指先等の部位が青紫色になることです。これは、血液中の酸素と結びついたヘモグロビンが減って、色が変わることによって起こります。

生まれたばかりの赤ちゃんは、血液中のヘモグロビンが多く、酸素と結びついていないヘモグロビンが増えやすいことから、チアノーゼを起こしやすいと言われています。

赤ちゃんのチアノーゼは、時間が経てば自然に治ることが多いですが、傷病等によって引き起こされている場合には医療機関の受診が必要となります。

2種類のチアノーゼの違い

チアノーゼには、主に以下の2種類があります。

中心性チアノーゼ

体の中心部に位置する顔・唇・体幹にあたる部位に現れるチアノーゼです。一時的な要因による場合もありますが、呼吸器や循環器等の疾患によって生じているケースでは治療が必要となります。

末梢性チアノーゼ

手足の指先など末端の局所の血流が一時的に阻害されて現れるチアノーゼです。寒さや緊張によって生じることが多いので、身体を温めたり緊張から解放されたりすれば治る場合が多いです。

赤ちゃんのチアノーゼの症状

赤ちゃんのチアノーゼの症状は、多くが末梢性チアノーゼであり一時的なものです。そのため、時間が経ったら治るチアノーゼであれば、異常を伴っているケースは少ないでしょう。心配であれば、鼻水を取ってあげる等すると回復しやすくなります。

ただし、時間が経っても回復しない場合や長時間泣いていた等の明確な理由がない場合、中心性チアノーゼが起こっている場合等では、赤ちゃんの感染症などを疑う必要があります。

危険な場合の見分け方

赤ちゃんのチアノーゼで特に危険なのは、顔のような身体の中心に近い部位が、広い範囲で青ざめている状態です。広範囲のチアノーゼについては、異変が疑われるため医療機関を受診するべきであるケースもあります。

赤ちゃんのチアノーゼの原因

赤ちゃんのチアノーゼの原因として、主に以下のようなものが挙げられます。

一時的なチアノーゼの原因

  • 泣きすぎて酸素不足になった
  • 鼻づまりを起こした
  • 身体が冷えた

常時続くチアノーゼの原因

  • 心臓や血管など、循環器に異常がある
  • 肺など、呼吸器に異常がある
  • 感染症に罹患している

赤ちゃんにチアノーゼが起こった場合の対処法

赤ちゃんに末梢性チアノーゼが起こったときには、自宅ですぐにできることとして、鼻水を取ることを検討しましょう。

また、泣きすぎた直後であれば、少し待つことや、泣いた原因を解消するためにおむつを替えたり、母乳やミルクを与えたりして対応しましょう。赤ちゃんの身体が冷えている場合には、温めることも必要です。

しかし、チアノーゼが長時間に及ぶ場合や、中心性チアノーゼが起こっている場合等では、原因を明らかにするために医療機関を受診する必要があります。

病院における対処

病院等の医療機関では、チアノーゼを解消するための気道確保や酸素投与といった処置が行われることがあります。また、チアノーゼの原因が分からない場合には、血液の酸素濃度や貧血の有無の検査等を行います。

もしも重篤な原因があることが疑われる場合には、超音波検査やレントゲン検査、CT検査等を行うケースもあります。

医師には、チアノーゼが起こったときの状況について、なるべく詳しく説明する必要があります。また、チアノーゼの有無にかかわらず、普段から体重の増減や、母乳やミルクの飲み方について十分に観察しておくのが望ましいでしょう。

赤ちゃんのチアノーゼに関する医療過誤の判例

【平10(ワ)2090号、浦和地方裁判所 平成12年10月13日判決】

本件は、被告病院で生まれた赤ちゃんの体温が低下し、唇にチアノーゼが表出していたところ、全身状態を確認されず毛布をかけられ、その後に全身蒼白となって、臍帯(へその緒)の切断面からの出血による貧血状態だと診断されて死亡した事案です。

裁判所は、赤ちゃんの臍帯が通常より太く、臍帯クリップを止めるのに困難を伴ったことや、結紮糸による方法は緩むリスクがあり、被告病院の医師らもそのリスクを認識していたこと等から、結紮糸が緩むリスクを認識しながら早期に出血を発見する体制を整えていなかったことに過失を認めました。

なお、赤ちゃんには無呼吸発作等を警告するベビーセンスというシステムが使用されていましたが、ベビーセンスは乳幼児突然死症候群の早期発見を目的としたシステムであり、これによって適切な管理を行っていたとする被告側の主張は採用されませんでした。

さらに、臍帯切断面以外に出血部位はなかったこと等から、被告側の過失によって赤ちゃんに出血が生じ、その出血と赤ちゃんの死亡との因果関係を認定しました。

そして、赤ちゃんの逸失利益およそ2258万円や両親の付添看護費360万円等、合計およそ5235万円の請求を認容しました。

弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 医学博士 弁護士 金﨑 浩之
監修:医学博士 弁護士 金﨑 浩之弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員
保有資格医学博士・弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:29382)
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