債務整理とは?種類やメリット・デメリットなどをわかりやすく解説

債務整理とは?種類やメリット・デメリットなどをわかりやすく解説

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監修
監修弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates福岡法律事務所 所長 弁護士
  • 「月々の借金返済で生活が苦しい」
  • 「収入が減って借金返済が難しくなった」

このような借金の問題を抱えていらっしゃる方は、【債務整理】をすることで、借金の悩みを解決できる可能性があります。
債務整理の方法はいくつか種類があって、借金を減らせるメリットがある一方で様々なデメリットもあります。

この記事では、借金問題を解決するための手続き【債務整理】について、その仕組みやメリット・デメリットを解説していきます。
ご自身に適した債務整理の方法を知るために、ぜひ参考になさってください。

債務整理とは

債務整理とは、無理なく借金を返済できるように“債務”を整理する手続きのことです。

ここでいう債務とは、借金を返済する義務のことを指し、債務整理の対象となる債務には次のようなものが含まれます。

債務整理の対象となる債務

  • ギャンブルや浪費による借入れ
  • キャッシングやリボ払いなどの、クレジットカードを利用した借入れ
  • 住宅ローン、マイカーローン、教育ローン
  • 奨学金
  • 個人からの借入れ など

債務整理は法律で認められた合法的な手続きです。交渉や裁判所への申立てによって、借金を減らしたり返済期間を延長したりすることができます。

債務整理の種類とその違い

債務整理とは

個人が借金を整理したいときに利用できる債務整理にはいくつか種類がありますが、主な方法は次の3種類です。

  • 任意整理
  • 個人再生
  • 自己破産
債務整理の種類別の特徴比較表
任意整理 個人再生 自己破産
借金への効果 利息・遅延損害金の免除 借金を1/5程度まで減額 借金がゼロになる
裁判所での手続き 不要 必要 必要
返済期間 3年〜5年で分割払い 3年~5年で分割払い 返済不要
保証人への影響 なし
(債権者の選択が可能)
保証人へ一括請求 保証人へ一括請求
再度借り入れできるまでの期間
ブラックリストの掲載期間)
5年 5年〜7年程度 5年〜7年程度
官報への掲載 掲載されない 掲載される 掲載される
手続き中の資格・職業制限 なし なし あり
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任意整理

任意整理

任意整理とは、利息のカットや返済期間の延長などを、借入先(債権者)と交渉して、毎月の返済負担の軽減を図る方法です。
一般的には、「将来利息や遅延損害金をゼロにして、返済期間を3~5年程度延長する」という内容で和解を目指します。

和解が成立した場合、借入先(債権者)との間で契約書を取り交わし、その内容に従って返済していくことになります。
借金が比較的少額で、一定の収入がある方におすすめの方法です。

    任意整理の特徴

  • 大幅な減額は見込めないが、毎月の返済の負担を軽減することができる
  • 裁判所を介さずに手続きできるため、家族や会社に知られにくい
  • 整理する借金を選択できるので、財産や保証人に対する影響を抑えられる
  • 過払い金が発生していると、元金の減額も可能になる
  • 借入先(債権者)の合意が必要で、和解できないケースもある

個人再生

個人再生

個人再生とは、借金返済が困難であることを裁判所に認めてもらい、大幅に減額してもらった借金を3~5年で分割返済していく方法です。

一定の条件を満たせば自宅などの財産を残せるので、財産を残したまま借金を大幅に減額したい方におすすめの方法です。

    個人再生の特徴

  • 裁判所の関与により、元金を5分の1から10分の1程度まで大幅に減額できる
    (最低でも100万円の返済義務は残る)
  • 整理する借金を選択できず、すべての借金が対象になる
  • 条件を満たせば自宅などの財産を残せる
  • 利用できる条件が法律で明確に定められている
  • 一定の期間と費用が必要になる

自己破産

自己破産

自己破産とは、自身の収入や財産では借金が返済できないことを裁判所に認めてもらい、すべての借金の返済義務を免除してもらう方法です。

高額な財産は手放すことになりますが、裁判所から免責の許可が下りれば、どれだけ高額の借金であってもゼロになります。

多額の借金や借入先が複数ある方、借金返済の見込みがまったくない方におすすめの方法です。

    自己破産の特徴

  • 税金や損害賠償金などの非免責債権以外のすべての借金がゼロになる
  • 無職の方や生活保護受給中の方でも利用できる
  • 生活に必要な一定の財産を除き、高額な財産は手放すことになる
  • 自己破産の手続き中は一定の資格や職業が制限される
  • 一定の期間と費用が必要になる

債務整理のメリット

債務整理のすべての方法に共通して、次のようなメリットがあります。

  • 借金の減額・免除ができる
  • 督促や取り立てが一時的にストップされる

それぞれのメリットについて、次項で詳しくみていきましょう。

借金の減額・免除ができる

債務整理をすることで、利息や元金を減額・免除できます。
減額幅は債務整理の種類によって異なりますが、どの方法でも借金返済の負担を軽減することができます。

  • 任意整理:減額幅は大きくないものの、返済期間が延長されることで毎月の返済額を減らせます
  • 個人再生:財産を残したまま、借金を元金ごと大幅に減額することができます
  • 自己破産:裁判所から免責の許可が下りれば、どれだけ高額の借金であってもゼロになります

督促や取り立てが一時的にストップされる

債務整理を弁護士や司法書士に依頼し、受任通知が送付されると、督促や取り立てを止めることができます。

受任通知とは?

受任通知とは、弁護士や司法書士が代理人となって債務整理を行うことを伝える書面のことで、依頼した当日~翌日には債権者へ送付されます。

受任通知を受けた債権者は、以降の取り立て行為を法律で一切禁じられていることから、督促や取り立てが止まります。

受任通知が送付されたときから債務整理の手続きが終了するまでの間は、督促や取り立てだけでなく、借金返済もストップするので、不安やストレスを感じることなく、生活を立て直しながら、債務整理の費用や借金返済の費用を貯めることができます。

債務整理のデメリット

債務整理のすべての方法に共通して、次のようなデメリットがあります。

  • 信用情報(ブラックリスト)に登録される
  • 保証人に影響が及ぶ

また、弁護士や司法書士に債務整理を依頼すると費用がかかるといったデメリットもあります。
以下、信用情報(ブラックリスト)に登録されるとどうなるのか、保証人にどのような影響が及ぶのか、詳しくみていきましょう。

信用情報(ブラックリスト)に登録される

債務整理をするとすべての方法において信用情報機関に、債務整理したことが事故情報として一定期間登録されます(ブラックリストに載る)。

情報が登録されている期間中は、クレジットカードの作成・利用ができない、ローンが組めないなどの制限が生じます。

信用情報機関と債務整理でブラックリストに載る期間

信用情報機関とは、クレジットカードやローンなどの契約や利用に関する情報(信用情報)を収集・管理する機関で、次の3種類があります。

  • JICC(株式会社日本信用情報機構):主に消費者金融系の信用情報
  • CIC(株式会社シーアイシー):主にクレジットカードや消費者ローンの信用情報
  • KSC(全国銀行個人情報センター):主に銀行系のローンの信用情報
信用情報機関 任意整理 個人再生 自己破産
JICC 完済日から5年 完済日から5年 免責確定日から5年
CIC 完済日から5年 完済日から5年 破産手続開始決定日から
5年
KSC 完済日から5年 次のいずれか遅い方
・完済日から5年
・手続開始決定日から7年
破産手続開始決定日から
7年

※借入れのタイミングなどによって掲載期間は異なる場合があります

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保証人に影響が及ぶ

債務整理をすると、保証人に対して借入先(債権者)から請求が行きます。
債務整理の手続きによって債務が減額・免除されても、保証人に対する返済義務までは免責されないためです

とくに、個人再生や自己破産では、保証人に対して債務を代わりに支払うよう一括請求が行われることが多いので、注意しなければなりません。

なお、整理する債務を選択できる任意整理では、保証人が付いた借金を任意整理の対象から外すことで、保証人に影響が及ぶというデメリットを回避できます。

債務整理したらどうなる?生活への影響は?

債務整理をすると借金を減らせますが、方法によっては財産を手放すことになったり、銀行口座が凍結されたり、生命保険が解約になるなど、生活に影響が生じる可能性があります。
また、ブラックリストに載っている期間は次のような制限が生じます

  • クレジットカードの新規作成、利用ができない
  • ローンやキャッシングなどの新たな借入れができない
  • 奨学金など、家族や友人の保証人になれない
  • 携帯電話やスマホを分割払いで購入できない
  • 賃貸契約ができない
  • 資格や職業の制限を受ける(自己破産の場合) など

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債務整理の手続きと流れ

債務整理の流れ

任意整理・個人再生・自己破産で手続きは異なりますが、債務整理手続きの基本的な流れは、次のとおりです。

  • ①弁護士や司法書士に相談・依頼する

    まずは弁護士や司法書士に状況を相談し、ご自身に適した債務整理の方法を検討します。
    債務整理を依頼することが決まったら、委任契約を締結します。

  • ②受任通知が債権者に送付される

    委任契約を締結した当日~翌日には、借入先(債権者)に受任通知と取引履歴の開示請求書が送付され、督促や取り立て、月々の返済が一時的にストップします。

  • ③借金額の確定や引き直し計算が行われる

    開示された取引履歴をもとに借金の総額が精査されます。利息の再計算を行う“引き直し計算”も行い、過払い金が発生している場合には返還を求めるための請求書を借入先(債権者)に送付します。

  • ④債権者との交渉や裁判所での手続きが行われる

    委任契約のとおり、ご自身に適した方法で債務整理の手続きが進められます。

  • ⑤免責許可が下りる、または返済の再開

    交渉や裁判所での手続きが終わった後は、新たな契約に従って返済を再開します。
    自己破産では、裁判所から免責の許可が下りれば借金の返済義務がなくなります。

債務整理の手続きにかかる期間

債務整理の手続きにかかる期間は、手続きの種類や債権者との交渉状況などによって異なりますが、3ヶ月~1年程度かかることが多いです

債務整理の種類ごとの一般的な期間の目安は次のとおりです。

任意整理 3~6ヶ月程度
個人再生 1年~1年半程度
自己破産 6ヶ月~1年程度

債務整理にかかる費用の相場

債務整理には裁判所の手続きにかかる費用のほか、専門家に相談・依頼するための費用が必要になります。

債務整理の費用相場は、任意整理だと1社あたり最低5万円程度、個人再生や自己破産では最低50万円程度といわれていて、具体的には次のようになります。

任意整理 5万~15万円程度(債権者1社あたり)
個人再生 50万~80万円程度
自己破産 50万〜130万円程度

※借金の額や依頼する弁護士、司法書士によって具体的な金額は異なります

債務整理はどこに相談すればいい?

債務整理の主な相談先は次のとおりです。

  • 日本クレジットカウンセリング協会
  • 全国銀行協会
  • 日本賃金業協会
  • 日本弁護士連合会
  • 日本司法書士会連合会
  • 日本司法支援センター(法テラス) など

債務整理は個人で行うことも可能ですが、弁護士や司法書士に依頼するのが一般的です。

認定司法書士

認定司法書士に依頼すると、弁護士に依頼するよりも費用を抑えられることがあります。
ただし、認定司法書士に依頼できるのは1社あたり元金140万円以下の任意整理に限ります。
個人再生や自己破産については書類作成のみサポートを依頼できます。

弁護士

弁護士は、債務整理についてどの方法でも制限なく代理人となることができます。
弁護士に依頼すると、最適な債務整理の方法を提案してくれる、専門知識に基づき交渉・手続きを進めてもらえるといったメリットがあります。

収入や資産が少ない場合は、法テラスを利用して、立て替えてもらった費用を分割払いで返済するという方法もあります。

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債務整理に関するQ&A

債務整理したことは家族や会社にバレる?

基本的に、債務整理をしたことはご家族や会社にバレることはありません。

ただし、次のようなきっかけでご家族や会社に債務整理したことがバレてしまう可能性はあるため注意が必要です。

  • ご家族や会社の関係者が保証人になっている場合に、保証人に返済の請求が届く
  • 債務整理に関する書類を見られた
  • 債権者や裁判所からの連絡や郵便物を見られた
  • 住宅や車など、ご家族で共有していた財産が債務整理の対象となり回収された
  • 預貯金口座が凍結された
  • 裁判所へ申し立てる際の必要書類収集
  • 官報への記載
  • 資格や職業の制限 など

ご家族や会社にバレずに債務整理をしたい場合、裁判所を介さない任意整理をする弁護士や司法書士に債務整理を依頼するなどの対策が必要です。

債務整理すると家族に影響する?

債務整理をしても、ご家族の信用情報に影響したり、ご家族名義の財産が処分されたり、ご家族の進学・就業に影響することはありません。

そもそも債務整理は、債務者の借金の負担を軽減して経済的に立ち直らせることを目的としているため、直接的にご家族が不利益を受けることは少ないのです。
ただし、債務整理の方法次第ではご家族にも次のような影響が生じることがあります

  • 住宅や車などのご家族で共有していた財産を手放すことになる
  • 保証人となっていていたご家族が借金の肩代わりをすることになる
  • 家族カードが使えなくなる
  • 一定期間は新たなローンを組んだり、保証人になることができない など

債務整理をすると思わぬところで家族に影響を及ぼす可能性もあるので、事前に家族と話し合って、理解・協力を得ることが大切です。

債務整理すると結婚に影響する?

債務整理をしても法的に結婚が制限されることはないので、基本的には直接的な影響を与えることはありません

債務整理をしたことは戸籍や住民票に記載されないので、こうした書面から債務整理したことがバレる心配もありません。

ただし、債務整理をしてブラックリストに載っている間はローンが組めない・クレジットカードが作れないなどの制限を受けるため、結婚生活上の不便が生じる可能性はあります。

また、個人再生や自己破産を行うと官報に事故情報が記載されるため、結婚相手やその親族が官報を見たり、結婚前の身辺調査が行われたりした場合に債務整理がバレるおそれもあります。

相手との信頼関係を築く意味でも、借金の問題や債務整理したことは、結婚前に伝えておく方がよいでしょう。

債務整理したら年金や生活保護を受け取れなくなる?

債務整理をしても、条件を満たしていれば年金や生活保護費を受け取ることができます。
年金も生活保護費も、受給者の生活を支えるために必要なものと考えられているためです。

年金

国民年金・厚生年金などの公的年金は債務整理をしても減額されることなく、これまで通り受給できます
ただし、債務整理の対象の口座に振り込まれた年金は引き出すことができませんし、個人年金は自己破産すると基本的に解約することになります。

生活保護

国民年金・厚生年金などの債務整理をした後でも生活保護を受給することはできます
ただし、生活保護費は借金の返済に使えないため、生活保護を受けている方は、債務整理後も返済を伴う任意整理や個人再生は選択できません

最適な方法で債務整理を進めるためにも、まずは弁護士に相談してみましょう。

返済が困難になってしまった借金について債務整理をすることで、問題を解決できる可能性があります。
もっとも、借金の金額や収入・資産状況によって適した債務整理の方法が異なるため、ご自身に合った借金問題の解決方法を知るためにも、まずは弁護士へ相談することをおすすめします

弁護士であれば、債務整理の方法や借金の金額などの制限なく、債権者との交渉や裁判所の手続きを代理人となって円滑に行うことができます。

ご相談いただいたことは、ご家族や職場に知られないように最大限配慮いたしますので、借金についてどのようなことでお困りなのか、不安や疑問について私たち弁護士法人ALGまでお気軽にご相談ください。

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監修:弁護士 谷川 聖治 / 弁護士法人ALG&Associates福岡法律事務所 所長

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監修:弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 所長

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