無職でも任意整理はできる?収入が無い方の対処法などを解説

無職でも任意整理はできる?収入が無い方の対処法などを解説

コラムイメージ
監修
監修弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates福岡法律事務所 所長 弁護士

借金の返済が難しくなったとき、債務整理を行うことで借金の問題を解決できる可能性があります。

債務整理は無職の方でも利用できますが、選択肢は任意整理と自己破産の二択になることがほとんどです。

任意整理は、自己破産と違って借金をゼロにすることはできませんが、裁判所での手続きを必要とせず、他の債務整理の方法と比べても比較的リスクが小さいことから、無職で収入はないけれど任意整理で借金をどうにかしたいと任意整理を望まれる方も多いでしょう。

そこで本記事では、無職の方でも任意整理はできるのかどうかや、手続きの費用が支払えない場合の対処法などを解説していきます。

無職でも任意整理はできる?

今現在無職の方でも、毎月の返済が可能であれば任意整理できる可能性はあります。

任意整理における主な交渉内容は、将来利息や遅延損害金のカットと返済期間の延長です。

任意整理をしても元金の返済は残るため、和解内容に従って3~5年程度で分割返済が可能な返済資金が必要です。

無職の方でも、次に挙げるような返済資金が用意できて、「任意整理後も継続的に返済が可能である」と認められれば、任意整理することができます。

  • 就職の予定がある
  • 家族からの援助が見込める
  • 年金や不動産所得など収入が見込める

任意整理について詳しくお知りになりたい方は、以下ページもご参考ください。

さらに詳しく任意整理とは?メリット・デメリットや手続きの流れ、費用相場など

就職の予定がある

今現在無職の方でも、近々就職の予定があり定期的な収入が見込める場合には、任意整理ができる可能性があります。

任意整理の場合、収入の多さよりも、毎月一定の収入があって継続的に返済が可能かどうかで手続きの可否が判断されます。

そのため、正社員に限らず、パートやアルバイトとして就職を予定していて、毎月の収入から返済が可能であれば任意整理は可能です。

家族からの援助が見込める

任意整理する債務者本人が無職であっても、ご家族からの援助が見込める場合には任意整理ができる可能性があります。

任意整理後の返済資金は、必ずしも債務者本人の収入や貯蓄でなければならないというルールはありません。

そのため、任意整理を検討しているのが専業主婦や学生などで収入のない無職の場合でも、配偶者や親などのご家族に十分な収入があって返済資金を援助してもらえるケースでは、債権者が任意整理に応じてくれることがあります。

まずはご家族に、借金の返済が難しくなって任意整理を検討していることを相談してみましょう。

資金援助の他にも、家計の見直しや節約に協力してもらうことで、より多くの返済資金が捻出できる可能性もあります。

年金や不動産所得など収入が見込める

無職の方でも、年金や不動産所得などによる収入が見込める場合は、任意整理ができる可能性があります。

任意整理における交渉では、不動産所得などの不労所得や年金は収入として考慮されます。

雇用や自営による収入はなくても、年金や不労所得といった収入で毎月の返済が可能であれば、債権者が任意整理に応じてくれることがあります。

無職で任意整理をするメリット・デメリット

メリット

無職の方が任意整理をするメリットとして、次のようなものが挙げられます。

手続きが比較的簡単で、費用が抑えられる

任意整理の費用相場は1社あたり5万~15万円程度ですが、自己破産では最低でも50万円程度は必要になります。
裁判所を介する他の債務整理の方法よりも手続きが比較的簡単で、短い期間で手続きが行えるという利点もあります。

今後の就職に影響しない

任意整理をしても就職の際に申告する必要はありませんし、就職先がわざわざ調べたりもしないので、今後の就職に影響せず安心です。

整理する債務を選べるので、財産への影響を抑えられる

任意整理では、ローン返済中の住宅や車を整理の対象から外すことで手放さずに済みますし、自己破産のように高額な財産を処分される心配もありません。

裁判所を介さずに手続きができるので、家族にバレにくい

任意整理は裁判所を介さない手続きなので官報に掲載されることはなく、ご家族の収入に関する資料の提出を求められることもないので、手続きの過程でご家族にバレる可能性はそれほど高くありません。

デメリット

無職の方が任意整理をするデメリットとして、次のようなものが挙げられます。

返済資金を捻出できないと任意整理が認められない

任意整理では、継続的に返済が見込める返済資金が捻出できないと、債権者から任意整理に応じてもらえない可能性が高くなります。

借金を大幅に減額することはできない

任意整理をしても借金の元本までは減額されないことがほとんどで、他の債務整理の方法と比べて借金の減額幅はそれほど大きくありません。
利息や損害遅延金をカットしてもらっても、残りを3~5年で分割返済できない場合は任意整理に応じてもらえません。

ブラックリストに載る

任意整理をすると、手続き後5年程度はブラックリストに載ることで、クレジットカードの作成・利用や、ローン・キャッシングなどの新たな借入れができなくなります。

任意整理のメリットやデメリットについて詳しくお知りになりたい方は、以下ページもご参考ください。

さらに詳しく任意整理のメリット・デメリットを解説!どんな人に向いている?

お問合せ

まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います。

0120-197-051
  • 24時間予約受付
  • 年中無休
  • 通話無料

※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。

任意整理の費用と払えない場合の対応

任意整理には裁判所費用がかからないので、専門家に相談・依頼するための費用だけが必要になります。

任意整理を弁護士に依頼した場合の弁護士費用の相場は、債権者1社あたり5万~15万円程度です。

任意整理の費用がすぐに払えない場合

他の債務整理の方法と比べて、任意整理の費用は低額であるとはいえ、無職で生活も苦しいなかで「すぐに費用が用意できない」という方もいらっしゃるかと思います。

任意整理の費用をすぐに払えない場合の対処法として、次のようなものが考えられます。

弁護士費用の分割払いに応じてくれる弁護士に依頼する

弁護士費用の分割払いに応じてくれる弁護士事務所も多くあるので、まずは無料相談などを利用して、任意整理を依頼するとどれくらいの費用がかかるのか、分割払いは可能なのか、確認してみましょう。

返済資金や弁護士費用を返済が停止している間に積み立てる

任意整理を弁護士に依頼すると、債権者に受任通知が送付され、督促や取り立てだけでなく、借金の返済も一時的にストップします。
返済が停止している間に、返済に充てていた費用を手続き後の返済資金や弁護士費用として積み立てておきましょう。

法テラスの「民事法律扶助制度」を利用する

法テラスの「民事法律補助制度」を利用すると、無料で法律相談が受けられたり、弁護士費用を立て替えてもらうことができます。
法テラスに立て替えてもらった費用は、毎月5000円~1万円程度で返済していくことになります。

無職で生活保護受給中でも任意整理できる?

無職で生活保護受給中の方は、基本的に任意整理を行うことができません。

生活保護費は、家賃や水道光熱費を払ったり、生活に必要なものを購入したりするための資金で、借金の返済に充てることは許されません。

そもそも生活保護費を返済資金とすることは債権者に認めてもらえませんが、仮に生活保護費を借金の返済に充ててしまうと、不正受給とみなされて減額や支給打ち切りとなるおそれがあるので注意しましょう。

生活保護受給中の債務整理は、自己破産が選択肢となります。

任意整理後に無職になった場合の対処法

任意整理後に無職になり、返済ができなくなってしまった場合は任意整理が無効となって、一括請求されるおそれがあります。

任意整理後に無職になった場合は、次に挙げる3つのうち、ご自身に合った対処法を講じる必要があります。

  • 再度任意整理を行う
  • 他の借金も任意整理を行う
  • 自己破産に移行する

再度任意整理を行う

任意整理後に無職となったものの、アルバイトなどで収入が得られる場合や、ご家族から資金援助が受けられる場合は、任意整理をした債権者と再度交渉して、返済条件の調整を行う方法があります。

この方法を再和解といって、新しい返済条件について債権者の合意が得られれば和解が成立します。

一般的に、任意整理後に2ヶ月(2回)以上返済が滞納していると和解の条件が厳しくなる可能性が高いので、「無職になって返済が難しくなるかもしれない」と考えた時点で、早めに弁護士に相談しましょう。

他の借金も任意整理を行う

最初の任意整理で対象から外した借金がある場合は、その除外した借金について任意整理を行う方法もあります。

これを追加介入といって、任意整理の対象を広げることで、毎月の返済額を減らせる可能性があります。

追加介入によって返済総額を減らすことができれば再和解をせずに済みますが、無職となった後に返済資金が確保できないと追加介入しても状況が改善できないおそれもあるので注意しましょう。

自己破産に移行する

再和解も追加介入も難しい場合には、自己破産に移行することを検討しましょう。

自己破産では借金の支払いが免除されるので、無職になって返済資金が確保できなくても手続きを行うことができます。

ただし、デメリットも大きいため、自己破産するべきかは弁護士に相談しながら慎重に判断する必要があります。

無職で任意整理できないときは自己破産

現在無職の方で、就職の予定がない場合やご家族の援助も得られない場合、任意整理は難しいので自己破産を検討する必要があります。

自己破産とは?

自己破産とは、裁判所に破産を申し立てて、免責の許可をもらうことで、すべての借金の支払義務を免除してもらう方法です。

任意整理や個人再生とは異なり、税金などの非免責債権を除いたすべての借金がゼロになって、手続き後は返済する必要がなくなります。

自己破産で裁判所から免責許可が得られると、ほぼすべての借金の支払義務が免除となるため、収入の有無は問われません。

次の3つの利用条件を満たしていれば、収入がなくても自己破産することができます。

自己破産の利用条件

  • 支払不能であること
  • 免責不許可事由に該当しないこと
  • 借金が非免責債権だけではないこと

自己破産する場合のメリット・デメリット

自己破産には、無職の方でも借金が免除されるという最大のメリットがある反面、多くのデメリットも伴います。

自己破産で後悔しないためにも、無職の方が自己破産をするメリットとデメリットをよく理解しておく必要があります。

無職で自己破産をするメリット

  • すべての借金の支払義務が免除される(非免責債権を除く)
  • 無職だと支払不能と認められやすい
  • 収入の見込みや家族の資金援助がなくても手続きが可能
  • 基本的に次の就職に影響しない

無職で自己破産をするデメリット

  • ギャンブルによる借金など、免責不許可事由に該当すると免責が認められない
  • 一定以上の価値がある高額な財産は手放すことになる
  • 手続き中は職業・資格制限にかかる職種への就職が難しくなる
  • ブラックリストに載ることで5~7年程度は新たな借入れができなくなる
  • 官報に自己破産をした事実と住所・氏名が掲載される
  • 任意整理よりも手続きに時間や費用がかかる

自己破産の手続き や、自己破産のデメリットについて詳しくお知りになりたい方は、以下ページもご参考ください。

さらに詳しく自己破産とは|流れや費用、生活への影響などをわかりやすく解説 さらに詳しく自己破産の7つのデメリット|影響やよくある誤解を弁護士が解説

無職で任意整理をお考えの方は債務整理に詳しい弁護士にご相談ください。

無職の方でも、就職の予定がある場合や、ご家族の援助や年金・不労所得によって返済資金が確保できる場合には、任意整理によって借金の問題を解決できる可能性があります。

無職の方で任意整理を検討されている場合は、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。

任意整理できる可能性はあるのか、他に適した債務整理の方法はあるのかアドバイスが受けられますし、そのまま債務整理の手続きを弁護士に任せることもできます。

弁護士法人ALGでは無料相談も受け付けておりますので、ご自身に合った債務整理の方法や、手続きにかかる費用など、不安や疑問に感じていることをまずはお気軽にご相談ください。

お問合せ

まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います。

0120-197-051
  • 24時間予約受付
  • 年中無休
  • 通話無料

※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。

監修:弁護士 谷川 聖治 / 弁護士法人ALG&Associates福岡法律事務所 所長

監修

監修:弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 所長

保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

福岡県弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ 名を擁し()、東京、を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。

プロフィールを見る

日本弁護士連合会の通達により、依頼主と会わずに債務整理事件の依頼を受任することは原則できません

0120-197-051

※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。

※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。