奨学金は任意整理できる?返済できない場合の救済制度や解決方法など

奨学金は任意整理できる?返済できない場合の救済制度や解決方法など

コラムイメージ
監修
監修弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates福岡法律事務所 所長 弁護士

日本の奨学金のほとんどが返済義務のある貸与型ですが、厳しい経済状況で「奨学金を返したくても返せない」人が増えています。

奨学金が返済できないとき、任意整理を検討している方もいらっしゃるでしょう。
ですが、奨学金は任意整理をしても減額効果が少ないのが実情です。

この記事では、奨学金は任意整理できるかどうかについて、返済できない場合の救済措置や具体的な解決方法について、わかりやすく解説します。

奨学金は任意整理できる?

奨学金の返済が困難になったとき、任意整理をすることは可能ですが、奨学金に対する減額効果はあまり期待できません。

任意整理とは、裁判所を介さずに債権者と直接交渉して返済負担の軽減を目指す手続きです。

通常は、利息のカット返済期間の延長などの条件で合意し、残った元金を3~5年程度で分割返済することで、月々の返済額や返済総額を抑えることができます。

<任意整理の特徴>

  • 裁判所を介さずに手続きが行える
  • 今後発生する「将来利息」を免除してもらえることが多い
  • 交渉次第で「経過利息」や「遅延損害金」を免除してもらえる可能性がある
  • 返済期間の延長によって月々の返済額を減らせる可能性がある
  • 交渉する債権者を選べる

ただし、奨学金の場合は任意整理に応じてもらえるケースが少なく、任意整理の効果を十分に得ることも難しいことから、奨学金は任意整理に向いていないとされることが多いです。

奨学金が任意整理に向かない理由

奨学金は金利が低い

奨学金はもともと金利が低く、月々の返済額もそれほど高くないため、任意整理をしても返済額があまり減らないケースが多いです。

日本で多く利用されている、返済義務のある貸与型の奨学金は、無利子と有利子の2種類に分かれます。

有利子の場合でも、利率の上限が3%に定められていることが多く、利息のカットによって月々の返済額や返済総額の減額を目指す任意整理では減額効果が低く、奨学金は任意整理に向いていないとされています。

保証人に迷惑がかかることがある

奨学金を任意整理すると、連帯保証人や保証人が一括請求を受けてしまい、負担をかけてしまうケースがあります。

連帯保証人と保証人が一人ずついる場合、奨学金を借りた本人が返済できなくなると、連帯保証人は残りの全額について、保証人は残りの半額について、それぞれ返済義務を負います。

親や親族が連帯保証人・保証人になっている場合に奨学金を任意整理すると、借りた本人に代わって残りの奨学金を親や親族が肩代わりすることになってしまいます。

日本学生支援機構が交渉に応じてくれない

奨学金の債権者である日本学生支援機構は、任意整理の交渉に応じないことが多いです。

奨学金はもともと金利が低く、長期にわたる返済を前提としていて、任意整理による減額効果やメリットがほとんどないためです。

日本学生支援機構では、奨学金の返済が困難になった場合の救済制度が用意されているので、救済制度を活用する方が現実的といえるでしょう。

ブラックリストに登録される

任意整理をすると、事故情報が信用情報機関に登録されます。
いわゆる、「ブラックリストに登録される」、「信用情報に傷がつく」状態で、一定期間はローンを組んだり、クレジットカードを作成・利用したりすることができず、生活に影響が出ます。

本来、奨学金は教育支援の一環として提供されるものであり、消費者金融からの借り入れなどとは性質が異なるものです。

ですが、奨学金を任意整理すると、ブラックリストに登録され、マイホームや車を購入する際にローンの審査に通らないなど、将来設計に支障をきたすことがあります。

奨学金以外の借金があれば任意整理が効果的な場合も

奨学金だけでなく、ローンやキャッシングなど、ほかにも借金がある場合は任意整理が効果的なケースもあります。

任意整理では交渉する債権者を選べるので、奨学金以外の借金を任意整理することで保証人に迷惑をかけることなく、借金を整理することが可能です。

また、消費者金融からの借り入れや、クレジットカードのリボ払いなど、「利息の高い借金」ほど任意整理の減額効果が大きくなるので、月々の返済の負担が軽減された分、奨学金の返済に充てられる資金が増えることにもなります。

奨学金の返済ができないとどうなる?

奨学金の返済が滞ってしまうと次のようなリスクがあり、最終的には法的措置へと進んで財産が差し押さえられてしまいます。

  • 奨学金を借りた本人や保証人に督促が行われる(返済期日の翌日以降)
    返済が滞ると、電話や文章による返済の督促が行われます。
    本人が応じない場合、連帯保証人や保証人に請求がいきます。
  • 延滞金が発生する(返済期日の翌日以降)
    返済が滞った日数に応じて、定められた利率に基づいて延滞金が加算されます。
  • ブラックリストに登録される(延滞3ヶ月以上)
    3ヶ月以上返済が滞ると、その事実が事故情報として信用情報機関に登録されます。
  • 債権回収会社による取り立てが行われる(延滞4ヶ月以上)
    4ヶ月以上返済が滞ると、債権者より委託された債権回収会社による取り立てがはじまります。
  • 一括請求および強制執行される可能性がある(延滞9ヶ月以上)
    9ヶ月以上返済が滞ると、奨学金の元金・利息・延滞金を含めた全額を一括請求されます。
    これにも応じない場合は、最終的に裁判所を通じて強制執行により、給与などの財産が差し押さえられます。

こうしたリスクを回避するためにも、返済が難しくなったら放置せず、ご自身の状況に合った方法で早めに対処しましょう。

奨学金の返済が難しい場合に利用できる救済制度

奨学金の返済が困難になったとき、債務整理(任意整理)以外にも日本学生支援機構が用意した「救済制度」を利用できる可能性があります。

<日本学生支援機構の救済措置>

  • 減額返還制度
    (月々の返済額を減らせる)
  • 返還期限猶予制度
    (返済を先延ばしにできる)
  • 猶予年限特例又は所得連動返還型無利子奨学金の返還期限猶予
    (収入が安定するまで返済を待ってもらえる)

いずれも自己申請が必要で、延滞する前に申請するのが理想的です。

災害・傷病・経済困難などの条件を満たしていれば、救済措置により保証人に迷惑をかけたり、ブラックリストに登録されたりせずに、自力で奨学金の完済が目指せるようになります。

①減額返還制度

減額返還制度とは、経済的な理由などにより奨学金の返済が困難な場合に、月々の返済額を減らして、その分返済期間を延長できる制度です。

返済総額を減額できる制度ではないものの、毎月の返済の負担が減らせます。

<減額内容>

  • 月々の返済額を2分の1、3分の1、4分の1、または3分の2に減額できる
  • 月々の返済額が減る分だけ返済期間が伸びる(通算で最大15年=180ヶ月)
  • 返済総額は減額されない

<対象者>

  • 災害・傷病・経済困難などの事情で奨学金の返済が困難な方
  • 申請および審査の時点で延滞していない方
  • 次の収入・所得基準を満たす方
    • 給与所得の方:年間収入金額400万円以下
      (本人が扶養している子供が2人➡500万円以下、3人以上➡600万円以下)
    • 給与所得以外の所得の方:年間所得額300万円以下
      (本人が扶養している子供が2人➡400万円以下、3人以上➡500万円以下)

②返還期限猶予制度

返還期限猶予制度とは、奨学金の返済が困難な場合に、月々の返済を一時的に停止して返済期限を先延ばしにできる制度です。

返済すべき元金や利息は免除されませんが、返済がストップしている間は延滞金が発生しないメリットがあります。
減額返還制度とは異なり、すでに返済を延滞している方でも申請が可能です。

<猶予内容>

  • 返済期限を一定期間停止できる(通算で最大10年=120ヶ月)
  • 猶予期間の分だけ返済期限が伸びる
  • 返済すべき元金や利息は免除されない

<対象者>

  • 給与所得者で、年間収入金額が300万円以下の方
  • 給与所得者以外の、年間所得額が200万円以下の方
  • 無職・未就職・生活保護受給中の方
  • 在学期間終了後1年以内で、無職・低収入の新卒の方
  • 失業後6ヶ月以内で、再就職できていない方
  • 災害・傷病などにより、収入が大きく低下した方

※災害・傷病・生活保護受給中などのケースでは、猶予期間10年の制限はありません

③猶予年限特例又は所得連動返還型無利子奨学金の返還期限猶予

猶予年限特例又は所得連動返還型無利子奨学金の返還期限猶予とは、卒業後に一定の収入・所得を得るまでの間、返済を待ってもらえる制度です。

特定の奨学生を対象とした制度で、返済は免除されないものの、卒業後の経済的な不安を軽減させることができます。

<猶予内容>

  • 卒業後、一定の収入・所得を得られるまでの間、返済を待ってもらえる
    • 給与所得者の収入基準は300万円
    • 給与所得者以外の所得基準は200万円
  • 猶予期間の分だけ返済期間が伸びる(期間の制限なし)
  • 返済総額は減額されない

<対象者>

  • 平成24~28年度に第一種奨学金採用者のうち、所得連動返還型無利子奨学金を貸与された方
  • 平成29年度以降に第一種奨学金採用者のうち、猶予年限特例を貸与された方

※「奨学生証」または「貸与奨学金返還確認票」で対象かどうかが確認できます

お問合せ

まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います。

0120-197-051
  • 24時間予約受付
  • 年中無休
  • 通話無料

※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。

奨学金の任意整理は救済制度との併用がおすすめ

奨学金のほかにも借金がある場合、任意整理と救済制度を組み合わせることで、借金返済の負担を大きく減らせる可能性があります。

任意整理と奨学金の救済制度は、併用が可能です。
債権者を選べる任意整理で、奨学金以外の借金の負担を減らせます。

奨学金は減額返還や返還期限猶予といった救済制度を利用して、経済状況に応じた支援が受けられます。

これらを併用することで奨学金を含む借金全体の返済負担を大幅に軽減し、それぞれの借金について無理のない返済計画の実現が可能になるでしょう。

任意整理以外で奨学金返済に効果がある債務整理

奨学金の返済について、任意整理や救済制度を利用しても解決できない場合は個人再生自己破産といった債務整理の方法を検討します。

もともと低金利で返済期間が長く設定されている奨学金は任意整理の効果が小さいので、元金ごと大幅に減額できる「個人再生」や、抱えている借金の支払義務が免除される「自己破産」の方が解決に向いています。

ただし、個人再生や自己破産は手続きの対象とする債権者を選べないので、連帯保証人や保証人が一括請求されるリスクがあります。
個人再生や自己破産を検討する際は、保証人と事前に相談し、理解を得ることが大切です。

個人再生

個人再生とは、裁判所に申立てをして認可を得ることで、借金を元金ごと5分の1から10分の1程度に減額してもらい、残りを3年(最大5年)で分割返済する手続きです。

支払いを終えた車などの財産だけでなく、住宅ローン返済中の持ち家を手放さずに済むので、奨学金を含めた借金が高額で、財産を手放さずに解決したい方に向いている債務整理の方法です。

<個人再生の特徴>

  • 任意整理よりも大幅に借金を減額できる
  • 最低でも100万円は返済義務が残る
  • 財産を処分しなくて済む
  • 「住宅ローン特則」を使えば住宅ローン返済中でも持ち家を残せる
  • 手続きが複雑で、時間や費用がかかる
  • 官報に、個人再生したことと、名前・住所が掲載される

自己破産

自己破産とは、裁判所に申立てをして免責を認めてもらうことで、抱えている借金の返済義務をすべて免除してもらう手続きです。

奨学金を含めた借金が高額で、任意整理や個人再生では解決できない場合に向いている債務整理の方法ですが、一定額以上の高額な財産は手放す必要があり、一定期間職業や資格が制限されるなどデメリットが大きいので、慎重な判断が求められます。

<自己破産の特徴>

  • 裁判所に認められれば、税金などの非免責債権を除くすべての借金がゼロになる
  • 高額な財産は手放すことになるものの、生活に必要な最低限の財産は残せる
  • 収入がなくても申立てが可能
  • 手続き中は一部の職業・資格が制限される
  • 官報に、自己破産したことと、名前・住所が掲載される

奨学金を自己破産するとどうなるか、自己破産にどのようなデメリットがあるのか、詳しくお知りになりたい方は以下のページもご参考ください。

さらに詳しく自己破産の7つのデメリット

よくある質問

親が任意整理をしたら子供は奨学金を借りれない?

親が任意整理をしても、子供が奨学金を借りることに影響はありません。
奨学金を借りる際の審査で重視されるのは、「奨学金を借りる本人の信用情報」であり、親の信用情報や債務状況が直接関係することはないからです。

信用情報は個人単位で管理されるため、任意整理をしたからといって配偶者や子供の信用情報に事故情報が登録されることはありません。
そのため、親の任意整理が原因で、子供の奨学金申請が不利になることはありませんのでご安心ください。

任意整理をしても子供の奨学金の保証人になれる?

任意整理後、ブラックリストに登録されている間は子供の奨学金の連帯保証人になることができません。
奨学金申請時には、保証人の信用情報が調査されるため、事故情報が登録されていると「保証人として不適格」と判断される可能性が高いためです。

もし両親ともにブラックリストに登録されていて、ほかに保証人を頼める人がいなければ、「機関保証制度」の利用を検討しましょう。
機関保証とは、所定の保証料を支払うことで、保証機関が連帯保証人の役割を担ってくれる制度で、保証人がいなくても奨学金の申請が可能になります。

奨学金が返済できず任意整理をお考えの方は弁護士法人ALGにご相談ください

奨学金を任意整理しても減額効果は期待できませんが、ほかの借金がある場合は任意整理で解決できることもあります。

ただ、奨学金の返済に行き詰ったときの解決方法は、任意整理のほかに奨学金の救済制度や個人再生・自己破産など、さまざまな選択肢があります。

ご自身に適した解決方法を知るためにも、まずは弁護士法人ALGまでお気軽にご相談ください。

奨学金や借金の状況を詳しく伺ったうえで、任意整理をするメリットがあるか、よりリスクの少ない解決方法がないかをアドバイスいたします。

奨学金の返済が思うように進まず、将来への不安を感じている方は、おひとりで悩まず、弁護士の力を借りて問題の早期解決を目指しましょう。

お問合せ

まずは専任の受付職員が丁寧にお話を伺います。

0120-197-051
  • 24時間予約受付
  • 年中無休
  • 通話無料

※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。

監修:弁護士 谷川 聖治 / 弁護士法人ALG&Associates福岡法律事務所 所長

監修

監修:弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 所長

保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

福岡県弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ 名を擁し()、東京、を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。

プロフィールを見る

日本弁護士連合会の通達により、依頼主と会わずに債務整理事件の依頼を受任することは原則できません

0120-197-051

※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。
※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。

※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。