債務整理したらどうなる?生活・家族・仕事への影響について解説

債務整理したらどうなる?生活・家族・仕事への影響について解説

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監修
監修弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates福岡法律事務所 所長 弁護士

借金がなかなか減らないときや、自力で借金を返済できなくなったとき、債務整理をすることで借金の問題を解決できる可能性があります。

ただし、債務整理の方法によって生活に一定の影響が及ぶこともあるので、ご自身に合った債務整理の方法を選ぶことが大切です。

この記事では、債務整理したら生活にどのような影響があるのか、ご家族や仕事はどうなるのかを解説していきます。

債務整理による影響に不安を感じていらっしゃる方のお役にたてれば幸いです。

債務整理したらどうなる?

債務整理をすると借金返済の負担を軽減することができますが、所有している財産や生活に一定の影響が生じることもあります。

そもそも債務整理とは?

債務整理とは、債権者との交渉や裁判所への申立てによって、借金を減額または免除してもらったり、返済期間を延長してもらったりして借金返済の負担軽減を図る、法律で認められた合法的な手続きのことです。

債務整理をすると、次のようなメリット・デメリットがあります。

債務整理するメリット 債務整理するデメリット
  • 利息や元金を減額あるいはゼロにできる
  • 債権者からの督促・取り立てや借金返済を一時的にストップできる
  • ブラックリストに載ることで生活に一定の影響が及ぶ
  • 保証人が借金を肩代わりすることになる

ほかにも、債務整理の方法(任意整理・個人再生・自己破産)によって、借金への効果やデメリットが異なってきますので、債務整理の方法ごとに詳しくみていきましょう。

債務整理については以下ページで詳しく解説しています。
ご参考ください。

さらに詳しく債務整理とは?種類やメリット・デメリットなどをわかりやすく解説

任意整理の場合

任意整理とは、裁判所を介さずに債権者と直接交渉して毎月の返済の負担軽減を図る方法です。

任意整理をすると、利息や損害遅延金のカットにより借金の支払総額を減らすことができます。
また、任意整理後の返済を3~5年の分割返済とすることで支払期間を延長し、月々の支払負担を減らすこともできます。

ただし、利息や損害遅延金のカットや支払期間の延長には債権者の合意が必要です。

任意整理による影響とデメリット

  • 借金の元金までは減額されず、債務整理後も返済が続く
  • ブラックリストに載ることで、生活に一定の影響が及ぶ
  • 保証人が一括返済を迫られる可能性がある
  • ローン返済中の家や車を処分される場合がある

個人再生の場合

個人再生とは、裁判所を介して借金の大幅な減額を認めてもらう方法です。

個人再生をすると、借金を元金ごと5分の1~10分の1程度まで大幅に減らすことができて、残った借金を3年(最大5年)で分割返済することになります。

住宅ローンを返済中でもマイホームを残せる可能性がありますが、個人再生後も継続的に返済できるだけの安定した収入が必要になります。

個人再生による影響とデメリット

  • 最低でも100万円の支払義務は残る
  • すべての債務が個人再生の対象となるため、債務が残っている財産は手放すことになる
  • ブラックリストに載ることで、生活に一定の影響が及ぶ
  • 保証人が一括返済を迫られる可能性がある
  • 個人再生したことが官報に掲載される
  • 手続きが複雑で、時間や費用がかかる
  • 手続きの過程で個人再生することを家族に知られる可能性がある

自己破産の場合

自己破産とは、裁判所を介して借金の支払義務を免除してもらう方法です。

自己破産をすると、高額な財産は手放すことになりますが、最終的にすべての借金がゼロになって、手続き後は返済の必要がなくなります。

自己破産による影響とデメリット

  • 税金などの非免責債権は、自己破産後も支払義務が残る
  • 借金の理由がギャンブルや浪費などの場合、免責が認められない可能性がある
  • 生活に最低限必要な財産は残せるが、高額な財産は手放すことになる
  • ブラックリストに載ることで、生活に一定の影響が及ぶ
  • 保証人が一括返済を迫られる可能性がある
  • 自己破産したことが官報に掲載される
  • 手続きが複雑で、時間や費用がかかる
  • 手続きの過程で自己破産することを家族に知られる可能性がある
  • 自己破産の手続き中は一定の職業・資格が制限される
  • 自己破産の手続き中は転居や海外旅行などの移動に制限がかかることがある

債務整理したら生活に影響があること

債務整理をすると、ブラックリストに載ることで生活に一定の影響が及ぶほか、債務整理の方法によっては財産や保証人に影響が及ぶなど、日常生活上、次のような影響が出る可能性があります。

  • クレジットカードやローンが一定期間利用できなくなる
  • 家や車を処分される場合がある
  • 保証人が一括請求される
  • 生命保険が解約されることがある
  • 一部の職種に就けなくなることがある
  • 転居や海外旅行など移動に制限がかかることがある
  • 官報に掲載される場合がある

クレジットカードやローンが一定期間利用できなくなる

任意整理・個人再生・自己破産、いずれの方法でも、債務整理したことがブラックリストに載ると、一定期間はクレジットカードやローンが利用できなくなります。

ブラックリストに載るとは?

ブラックリストに載るとは、クレジットカードやローンの契約や利用に関する信用情報を収集・管理している信用情報機関(JICC・CIC・KSC)に、事故情報が登録されている状態のことを指します。

クレジットカードを作成したり、ローンを組んだりする際には、金融機関や貸金業者による審査で、信用情報機関への照会が行われます。

ブラックリストに載っている影響で、債務整理後5~7年程度はこの審査が通りにくくなるため、クレジットカードやローンの契約のほか、新たな借入れや賃貸契約も難しくなるのです。

また、債務整理をした債務者名義のクレジットカードについても、手続き後は解約されて使えなくなるため注意しましょう。

家や車を処分される場合がある

債務整理の方法によっては、家や車は処分されて債権者への返済に充てられる場合があります。

任意整理
  • ローンを完済していれば家や車を残すことができます
  • ローン返済中の場合でも、住宅ローンや自動車ローンを任意整理の対象から外すことで、家や車を残すことができます
個人再生
  • ローンを完済していれば家や車を残すことができます
  • 住宅ローンを返済中の場合、「住宅ローン特則」を利用することで家を残すことができる
  • 自動車ローンを返済中の場合、車はローン会社によって引き上げられてしまう可能性が高いです
自己破産
  • ローン返済中ではなくても、20万円以上の価値がある家や車は処分されて、債権者への返済に充てられます

なお、家や車が債務整理をした債務者以外の名義であれば、いずれの方法でも処分されることなく、手元に残すことが可能です。

保証人が一括請求される

保証人の付いた借金を債務整理すると、保証人が一括請求される可能性があります。
個人再生や自己破産では、整理する債務を選べず、保証人が付いた借金も債務整理の対象となってしまいます。

債務整理の効果が及ぶのは、債務整理をした債務者本人に限定されます。
そのため、借金の支払義務は保証人へと移行し、債務整理によって主債務者へ請求できなくなった残債は、通常、債権者から保証人に対して一括請求 されます。

保証人に迷惑をかけたくない場合は、任意整理を検討しましょう。
保証人の付いた借金を任意整理の対象から外すことで、保証人への影響を回避することができます。

生命保険が解約されることがある

自己破産をすると、解約返戻金が20万円以上の生命保険は強制的に解約されて債権者への返済に充てられます。
自己破産によって強制解約の対象となる保険は、生命保険のほかに次のようなものがあります。

  • 学資保険
  • 養老保険
  • 傷害保険
  • 自動車保険
  • 火災保険
  • 地震保険
  • 損害賠償保険 など

なお、任意整理や個人再生では生命保険を解約する必要はありません。
ただし、個人再生の場合は、生命保険の解約返戻金の見込額が財産として清算価値に計上されるため、手続き後の返済額が増額する可能性があるので注意しましょう。

一部の職種に就けなくなることがある

自己破産をすると、手続きが完了するまでの間、士業や金融業などの他人の金銭や資産を扱う職業や資格が制限されます。
自己破産の手続き中に制限を受ける職業・資格は次のとおりです。

  • 弁護士・司法書士・弁理士・税理士・公認会計士などの士業
  • 公証人・公正取引委員会・教育委員会などの一部の公務員
  • 警備員
  • 生命保険の募集人
  • 宅地建物取引士
  • 不動産鑑定士
  • 古物商 など

こうした職業・資格の制限は自己破産の手続きが終わると解除(復権)されますが、一時的であっても制限を回避したい場合は、任意整理や自己破産を検討しましょう。

転居や海外旅行など移動に制限がかかることがある

自己破産で管財事件となった場合、転居や海外旅行などの移動が制限されます。

管財事件では破産を認めるかどうかの調査が行われるため、手続き中は裁判所や破産管財人といつでも連絡が取れるようにしておく必要があるためです。

自己破産の手続き中でも、事前に裁判所の許可が得られれば 、転居や海外旅行などで居住地を離れることができます。

なお、自己破産でも同時廃止となった場合や、任意整理・個人再生の場合は、裁判所の許可がなくても手続き中に自由に居住地を離れることができます。

官報に掲載される場合がある

裁判所を介して行われる個人再生や自己破産では、債務整理した事実と氏名・住所が官報に掲載されます。

官報とは?

官報とは、裁判所での決定事項や、国会・皇室に関する情報を国民に周知するために、国が発行する広報誌のことです。

この官報は誰でも閲覧することができますが、一般の人が官報を日常的に確認していることはほとんどないため、官報をきっかけに周囲の人に個人再生や自己破産したことが知られるなど、生活に影響を及ぼす可能性は低いといえます。

「官報に掲載されるのが嫌だ」という場合は、任意整理を検討しましょう。
裁判所を介さずに行える任意整理であれば、官報に情報が掲載される心配はありません。

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債務整理をしたら家族はどうなる?

債務整理をしても、ご家族が保証人になっている借金を債務整理しない限り、直接的にご家族が影響を受けることは少ないものの、債務整理の方法によっては間接的にご家族が影響を受けることがあります。

そこで、次の4つの項目について、債務整理するとご家族にどのような影響が及ぶのかを見ていきましょう。

  • 家族名義の財産や信用情報
  • 保証人になっている家族
  • 家族カード
  • 子どもの奨学金

家族名義の財産や信用情報に影響はない

債務整理をしても、ご家族名義の財産や信用情報に影響はありません

家族名義の財産
債務整理によって処分の対象となるのは、債務整理をした債務者本人名義の債務のみです。
ご家族名義の財産には影響しませんが、債務者とその配偶者の共有名義である場合などには処分の対象となる可能性があるので注意しましょう。

家族の信用情報
債務整理によってブラックリストに載るのは、債務整理をした債務者本人の信用情報のみです。
ご家族の信用情報には影響しないので、ご家族名義のクレジットカードを利用・作成することも、新たに借入れすることも基本的には可能です。

家族が保証人の場合は家族が一括請求を受ける

債務整理をしてもご家族が借金を肩代わりする必要はありませんが、ご家族が保証人となっている借金を債務整理してしまうと、ご家族が一括請求を受けることになります

個人再生や自己破産をした場合、借金の支払義務は保証人へと移ります。
このとき、ご家族が保証人となっていると、債務整理によって主債務者へ請求できなくなった残債務は、保証人であるご家族に一括請求されて、ご家族が借金を肩代わりすることになってしまいます。

ご家族が保証人となっている借金がある場合は、任意整理でご家族が保証人となっている借金を整理の対象から外したり、個人再生や自己破産をする際に保証人となっているご家族も一緒に債務整理を検討するなど、対策を講じる必要があります。

家族カードが使えなくなる

債務整理をすると、すべての方法で債務者本人名義のクレジットカードは解約されてしまうため、これに紐づく家族カードも使えなくなってしまいます。

例えば、主会員である夫が債務整理をした場合、夫のクレジットカードとあわせて妻が持っている家族カードも利用できなくなり、解約して返却することになります。

家族カードで公共料金の支払いを設定している場合や、ポイント・マイルなどの付帯サービスを活用している場合は注意しましょう。

「家族カードが使えなくなるのは困る」
「債務整理したことを家族に知られたくない」
などの事情があると、「家族カードを発行しているクレジット会社を任意整理の対象から外せばいい」と考えるかもしれません。

ですが、ブラックリストに載ることで、任意整理の対象から外したクレジットカードも更新などのタイミングで本カードも家族カードも使用できなくなる可能性が高いので注意しましょう。

子どもの奨学金の保証人になれない

債務整理をすると、ブラックリストに載ることで一定期間は保証人になることができません。

お子さんが 奨学金を借りたい場合も、債務整理した債務者本人の信用情報がブラックリストに載っている間は連帯保証人になることができません

もっとも、親がブラックリストに載っていてもお子さん本人の信用情報には影響しないので、奨学金の審査にも影響はありません。

親が保証人になれない場合は、信用情報に問題のない親族に保証人になってもう、保証料を払って保証機関(日本国際教育支援協会)が連帯保証してくれる機関保証を利用するなどの方法があります。

債務整理をしたら仕事はどうなる?

債務整理をしたことを勤務先に知られたくないと思われる方も多いでしょう。
債務整理したことは勤務先に通知されないので基本的にバレる心配はありませんが、次のようなきっかけで知られてしまう可能性はあります。

  • 会社の関係者が保証人になっていて一括請求された
  • 債務整理によって給与振込口座が凍結された
  • 自己破産による職業・資格の制限を受けた
  • 日常的に官報を確認している職種に就いている
  • 債務整理後の支払いを滞納して給与が差し押さえられた など

万が一、勤務先に債務整理をしたことがバレてしまったら、どのような影響があるのでしょうか。
詳しくみていきましょう。

債務整理を理由に会社から解雇されることはない

債務整理をしたことを理由に会社から解雇されることはありません

債務整理は個人的な問題で、多くのケースで法律上の解雇事由に該当しません。
債務整理をしたことだけを理由に解雇することは不当解雇にあたるため、会社から解雇される心配はありません。

ただし、自己破産をすると、一部の国家公務員は失職・罷免される可能性がありますし、職業や資格に制限を受ける場合には、会社との雇用契約上は解雇事由に該当する可能性もあるので注意が必要です。

転職で不利になることは基本的にない

債務整理をしたことが理由で、転職で不利になることは基本的にありません

そもそも、就職先や転職先に債務整理した事実を申告する必要はなく、企業側で調べることもほとんどありません
仮に債務整理をしたことを知られたとしても、よほどのことがない限りは転職に影響が出る心配はありません。

ただし、自己破産によって制限を受ける資格が必要な職業への転職は難しくなるので、免責許可決定が確定して資格が復権された後で転職活動をした方が、転職先の選択肢も広がります。

債務整理の影響に関するQ&A

債務整理をしたら携帯は買えなくなりますか?

債務整理をしても携帯電話を購入することは可能ですが、ブラックリストに載っている間は端末を分割払いで購入することができなくなります

携帯電話の端末を分割購入するにあたっては信用情報の照会が行われるため、債務整理をしてブラックリストに載っていると、「分割払いとした場合に今後継続した支払いは困難」とみなされて審査に通らなくなってしまうのです。
携帯電話を分割購入できない場合には、次のような対処法が考えられます。

  • 携帯電話の端末を一括払いで購入する
  • 家族の名義で契約してもらう
  • 中古の端末を購入する

債務整理したら選挙権を失いますか?

債務整理をしても選挙権を失うことはないので、これまで通り投票することができます。

また、被選挙権も債務整理による影響を受けないため、国会議員や都道府県知事などの公職に立候補することも可能です

公職選挙法では、選挙権や被選挙権を失う条件について定められていますが、債務整理は該当しません。

そもそも債務整理は借金の返済が困難になった人への懲罰ではなく、生活を立て直すために国が認めた救済制度なので、選挙権や被選挙権に影響することはありません。
実際、自己破産した後で国会議員に立候補し、当選している方もいます。

債務整理したら戸籍や住民票に記載されますか?

戸籍や住民票に、債務整理をした事実が記載されることはありません。

そもそも戸籍は出生・結婚・死亡などの身分関係を、住民票は氏名・住所などの居住関係を記載するものです。
個人の信用情報や資産状況を載せるものではないので、戸籍や住民票から債務整理したことが知られるリスクはありません

戸籍や住民票から債務整理の事実が知られることはないとはいえ、個人再生や自己破産の手続きにおいては、同居するご家族について家計状況を裁判所に報告する必要があるため、無理に隠そうとせず、ご家族に相談して協力してもらうことも検討しましょう。

債務整理について不安なことがあれば弁護士にご相談ください

債務整理は人生で何度も経験することではないので、「債務整理をするとどうなるのか・・・」と、不安を感じるのも無理はありません。

債務整理にはいくつかの方法があって、それぞれ生活やご家族、仕事に与える影響も異なります。

だからといって債務整理をためらっていると、いつまでも生活が苦しいままで、最悪の場合は債権者によって財産を差し押さえられてしまう可能性もあります。

弁護士であれば、債務整理による影響やデメリットを踏まえて、個々の状況に合った最適な債務整理の方法を提案することができます。
債務整理について不安なことがあれば、一度弁護士法人ALGまでご相談ください。

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監修:弁護士 谷川 聖治 / 弁護士法人ALG&Associates福岡法律事務所 所長

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