セクハラ被害の慰謝料の請求は弁護士法人ALGへ

セクハラ被害への慰謝料請求の方法や相場などを弁護士が解説

監修
監修弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates執行役員

セクハラ被害に遭って精神的苦痛を受けた場合には、慰謝料を請求することが可能です。慰謝料請求は、セクハラ行為を辞めさせるためにも効果的な方法のひとつです。

そこで、本記事では・・・

  • セクハラで請求できる慰謝料の相場
  • セクハラの慰謝料を請求する方法と流れ
  • セクハラの慰謝料請求を弁護士に依頼するメリット

など、セクハラ被害における慰謝料請求をしたいとお考えの方に、参考になるようにわかりやすく解説していきます。

そもそもセクハラとは|慰謝料請求を知る前に

セクハラとは、「セクシュアルハラスメント」の略称で、職場において労働者の意に反する性的な言動が行われることにより、労働者が不利益を受けたり、職場の環境が害されたりすることをいいます。

セクハラは男性から女性に対して行う行為だと思いがちですが、女性から男性、または同性同士でも起こり得るものです。

セクハラの種類は、主に「対価型セクハラ」、「環境型セクハラ」、「制裁型セクハラ」、「妄想型セクハラ」の4種類に分かれています。

それぞれのセクハラの種類の概要と具体例は次表のとおりです。

セクハラの種類 概要 具体例
対価型セクハラ 何らかの措置を優遇する対価として性的な行為を要求するセクハラ
  • 上司が昇格させる見返りとして肉体関係をもつように求めてきた
  • 上司から身体を何度も触られるので「触るのをやめてください」と伝えたところ、不機嫌になって仕事の指示をしなくなり無視されるようになって
  • 社長に愛人になるように言われたが拒否したことを理由に解雇された
環境型セクハラ 性的な言動によって、職場環境を著しく害するセクハラ
  • 上司が職務中に性的な会話をしてくるので、仕事への意欲が低下した
  • 職場内に性的強調表現の強いポスターを掲示されているので、苦痛を感じて仕事が手に付かなくなった
  • 同僚が性的な内容を含むプライベートの情報を流布したことが原因で出社できなくなった
制裁型セクハラ 性差別的な固定観念に基づき性別を理由に圧力をかけるセクハラ
  • 女性従業員にのみ、お茶くみや掃除を命じる
  • 女性の上司の指示に従わず、男性の上司の指示を仰ぎ直す
  • 男性従業員に「男なんだからこれぐらいの仕事をするのは当然」と言い放ち、大変な仕事ばかり押し付ける
妄想型セクハラ 相手が自分に好意を寄せていると思い込んで、性的な発言や行動をとるセクハラ
  • 休日に食事やデートに行こうと執拗に誘う
  • 両想いだと思い込み、毎日のようにメール・LINEを送ってくる
  • 業務に関係のない内容のメッセージを執拗に送ってくる

セクハラの種類については、下記ページでも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

さらに詳しくセクハラの種類と具体例|これってセクハラかも…と感じたら

また、どこからセクハラになるのかについては、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

さらに詳しくどこからがセクハラに該当する?具体的な事例を交えて解説

セクハラ被害にあったら慰謝料を請求できる

セクハラ被害を受けて精神的苦痛を被った場合は、慰謝料を請求できます。慰謝料とは、精神的苦痛を慰謝するための賠償をいいます。

そして、民法では、不法な行為によって、他人の権利を侵害した者は、相手に発生した損害を賠償する義務があるとされています。この損害賠償義務を不法行為責任といいます。

よって、セクハラは、故意または過失によって他人(被害者)の権利を侵害する不法行為となりますので、セクハラ被害者はセクハラ加害者に対して、不法行為責任に基づく損害賠償として、慰謝料を請求できるのです。

なお、職場以外でのセクハラ被害を受けて精神的苦痛を受けた場合にも、慰謝料請求は可能となります。

加害者だけでなく会社にも請求できる場合がある

慰謝料は、セクハラ加害者本人だけでなく、会社にも請求できる場合があります。

請求できる根拠としては、職場環境配慮義務違反(債務不履行責任)と使用者責任の2つがあります。

会社には従業員が心身の健康を害さずに快適に働けるように職場の環境に配慮する義務(職場環境配慮義務)があります。

よって、会社がセクハラ防止措置を何も講じていなかったり、被害者がセクハラ被害を訴えても適切に対応しなかったりした場合には、被害者は会社に対して、職場環境配慮義務違反を理由に責任追及ができます。

もうひとつの使用者責任は、民法で定められている不法行為で、会社は雇用している従業員が第三者に対して損害を与えた場合には、会社も被害者への賠償責任を負うというものです。

加害者本人と会社は連帯して賠償する義務を負うため、もし加害者に支払能力が無かったとしても会社が慰謝料を支払うことになります。

セクハラを会社に相談しても対応してくれないことについては、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

さらに詳しくセクハラで会社が対応してくれない場合の対処法|慰謝料の請求など

セクハラで請求できる慰謝料の相場はいくら?

セクハラで請求できる慰謝料の相場はおよそ30万~300万円程度といわれています。

慰謝料の相場に幅があるのは、セクハラの頻度、期間、悪質性、精神的苦痛の程度など個別の事情によって慰謝料額は変動するためです。

なかには、セクハラ被害により休職や退職に追い込まれたケースや、強制わいせつ罪や強制性交等罪などの犯罪に該当するような悪質かつ重度なセクハラ行為があったケースでは、相場より高額な慰謝料を認められる場合もあります。

セクハラ慰謝料の相場については、下記ページでさらに詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

さらに詳しくセクハラ被害で請求できる慰謝料の相場は?増額されやすい6つのケース

セクハラを原因とする退職については、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

さらに詳しくセクハラにより仕事を辞めたい方に知ってほしい退職前にすべきことや注意点

セクハラの慰謝料額に影響する要素

セクハラの慰謝料額に影響する要素は、次のようなものが挙げられます。

  • 被害状況

    セクハラが原因で休職や退職に追い込まれたり、うつ病や適応障害などの精神疾患を発症した場合などは、その被害は大きいとして慰謝料の増額事由になります。

  • セクハラの頻度と期間

    セクハラを受けた回数が多ければ多いほど、期間が長ければ長いほど、違法性は大きいとして慰謝料の増額事由になります。

  • セクハラの内容と悪質性

    例えば、セクハラの内容が性的な発言にとどまる場合より、衣服の上から身体を触る、肉体関係を強要するなどの直接的なセクハラの方が悪質であり、強姦など刑事上の犯罪行為にあたるセクハラなど、内容が悪質であることは慰謝料の増額事由になります。

  • 加害者の社内での地位、反省の有無

    セクハラ加害者が職場上優位な立場にあることを利用してセクハラを行うことは悪質性が高いとみなされ、慰謝料の増額事由となります。また、セクハラ加害者本人が謝罪しているのか、反省しているのかなども考慮される事情となります。

セクハラ被害で慰謝料を請求するには証拠が必要!

セクハラ被害で慰謝料を請求するには、セクハラのあった事実が客観的にわかる証拠が必要不可欠です。

証拠がないとセクハラを受けたという事実を証明できないため、慰謝料請求をしても認められない、もしくは慰謝料が低額になってしまうおそれがあります。

慰謝料請求する場合は、何よりも有効な証拠を集めることが大切です。

具体的に有益な証拠となり得るのは、次のようなものが挙げられます。

  • セクハラ行為を撮影した写真データ、動画データ
  • セクハラ発言の内容を録音した音声データ
  • セクハラ発言が記載されていたり、セクハラ行為をしたことを認めていたりするメールやLINEなどのやりとり
  • セクハラを受けた際の内容・日時・場所などを詳細に記載した日記やメモ
  • セクハラを目撃した第三者の証言
  • セクハラが原因でうつ病や適応障害など精神疾患を発症した場合の医師の診断書 など

セクハラ被害の有効な証拠については、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

さらに詳しく【被害者の方向け】セクハラの証拠になるものは?集め方について

セクハラの証拠がない場合はどうする?

セクハラの証拠がない場合は、ご自身である程度時間をかけて継続的に「いつ、どこで、誰に、どんなセクハラを受けたか」といった被害状況を詳細に記録しておくと、証拠になり得ます。

また、信頼のできる人にセクハラの被害状況を伝えるメッセージを送っておくと間接的な証拠になり得ます。

そのほかでは、有効な手段として弁護士に相談することが挙げられます。

弁護士に相談すれば、ご自身が証拠にならないと思っていたものでも、専門家の観点から証拠になり得るものを教えてくれたり、今からでも間に合う証拠の集め方をアドバイスしてもらえたりします。

セクハラの証拠がない場合について、下記ページでも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

さらに詳しくセクハラの証拠がない場合はどうすればいい?対処法について

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セクハラの慰謝料を請求する方法と流れ

セクハラ被害について、慰謝料請求する方法と流れは主に次のとおりになります。

  • 内容証明郵便を送る
  • 示談交渉を行う
  • 少額訴訟または労働審判を申し立てる
  • 最終的には訴訟を提起する

次項よりそれぞれ詳しく解説していきます。

①内容証明郵便を送る

まずは、内容証明郵便を利用して慰謝料請求します。内容証明郵便とは、日本郵便が文書の内容とその文書を送った事実を証明してくれるサービスです。

内容証明郵便は、請求したという事実を証明してもらえるほか、裁判に発展したときに主張の一貫性を補充する証拠として使うことができます。

また、送り主を弁護士名義にして内容証明を送ると、こちらの本気度が伝わり、相手方へ心理的プレッシャーを与えられる効果が期待できます。

②示談交渉を行う

内容証明郵便を受け取った相手から何らかの連絡があれば、示談交渉を開始します。示談交渉がスムーズに進めば、この段階で解決することもあります。

しかし、セクハラ加害者が内容証明郵便による請求に何の異論もなく、素直に応じるケースは稀なのが実情です。

慰謝料の支払いを拒否したり、慰謝料の支払いに同意したとしても減額を求めたりすることが大半です。

また、請求した相手が会社の場合は、顧問弁護士がいて、その弁護士と交渉しなければならないケースもありますし、セクハラ加害者本人が弁護士を就けてくることもあります。

そのような場合は、示談交渉で不利にならないために、こちらも弁護士に依頼して示談交渉を進めることをお勧めします。

③少額訴訟または労働審判を申し立てる

示談交渉で話がまとまらなかった場合や、そもそも話し合いに応じなかった場合には、次の手段として裁判所の手続きを利用して解決を図る方法を検討します。

通常の裁判は、解決までに時間がかかりますし、ご自身で裁判を行うのは難易度が高いうえに、弁護士に依頼するとなると費用もかかります。

そこで、少額訴訟や労働審判といった簡易な手続きを検討するのも有用です。

少額訴訟とは、請求できる金額は60万円以下で、基本的に1回の裁判期日で判決や和解による解決を図る手続きとなります。

労働審判は、事業主と労働者の間でのトラブルに限り、基本的に3回以内の審判期日で当事者間の合意や審判によって解決を図る手続きになります。

どちらも通常の裁判に比べて、簡易な方法で早期に解決できる可能性があります。

④最終的には訴訟を提起する

示談交渉や少額訴訟、労働審判を行っても解決できなかった場合には、最終的に裁判を起こすことになります。

裁判では、証拠や証言によってセクハラ行為を証明できれば、判決によって慰謝料の支払いが命じられ、不払いの場合には強制執行をして支払ってもらうことができます。

ただし、相手がセクハラの事実について争うなど争点が多い、複雑な場合には、判決を得るまでに1年以上の時間を要するケースもあります。

裁判は、自分で行うことも可能ですが、専門的な法律知識が必要となり、提出する書類が多く複雑となり得ますので、弁護士に依頼して進めることをお勧めします。

セクハラの慰謝料請求を弁護士に依頼するメリット

セクハラの慰謝料請求をする場合には、弁護士に依頼して進めることお勧めします。弁護士に依頼して進めると次のようなメリットがあると考えられます。

  • 証拠の集め方についてアドバイスしてもらえる
  • 慰謝料を適正額で請求することができる
  • 加害者や会社との交渉を任せられる

次項でそれぞれ詳しく解説していきます。

証拠の集め方についてアドバイスしてもらえる

セクハラ加害者や会社に慰謝料を支払ってもらうためには、セクハラ被害を受けた事実が客観的にわかる証拠が重要です。

弁護士に相談すれば、ご自身が置かれている状況を詳しくお伺いしながら、どのようなものが有益な証拠となるのか、どうやって収集したらいいのかなどを具体的にアドバイスしてもらえます。

よって、必然的に希望に沿った慰謝料の獲得が実現できる可能性が高まります。

慰謝料を適正額で請求することができる

弁護士に依頼すれば、個別の事情や過去の裁判例などをもとに、適正な慰謝料の金額を請求できます。もっとも、慰謝料の金額に決まりはありません。

そのため、本来請求できる慰謝料よりも低い金額で合意してあとから後悔する羽目になってしまったり、逆に法外な慰謝料額を請求してしまい、話し合いがこじれてしまったり、裁判が長引いてしまう可能性があります。

弁護士に依頼することで、適正な慰謝料額の獲得を見据えて戦略的な交渉や裁判を行うことができます。

加害者や会社との交渉を任せられる

セクハラ被害を受けて精神的に疲弊している状態で、ご自身でセクハラ加害者本人や会社と直接対峙するのはさらに精神的負荷がかかってしまいます。

弁護士に依頼すれば、セクハラ加害者本人や会社との交渉は弁護士が代わりに行いますので、精神的負担は大幅に軽減され、時間や労力も削減できます。

また、不当な条件による交渉成立も防ぐことができ、より有利な条件で問題を解決できる可能性が高まります。

セクハラで慰謝料以外に請求できる損害賠償金

セクハラ被害に遭った場合、慰謝料以外にも請求できる損害賠償金があります。具体的にいうと、被害者がセクハラによって退職を余儀なくされた場合には、働き続けていればもらえるはずだった給与の一部(逸失利益)について請求できます。

また、セクハラによって仕事ができない状態になって休職した場合には、休業損害が請求できます。

そのほかにも、被害者がうつ病や適応障害などの精神疾患を発症して、病院に通院することになった場合は、治療費も請求できます。

もっとも、裁判で請求するためには、セクハラによってそれらの損害が生じた事実を被害者である原告が証拠を用いて立証しなければ、損害賠償は認められません。

セクハラによるうつ病については、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

さらに詳しくセクハラが原因でうつ病気味に…どうすればいい?

セクハラをやめさせるために取るべきその他の手段

セクハラをやめさせるためには、慰謝料請求という法的措置をとる以外に次のような手段があります。

  • セクハラ加害者本人に直接セクハラ行為を辞めて欲しいと伝える

    セクハラ加害者は、「何も言われないから嫌でないんだろう」と誤解している場合があります。そこで、加害者本人に、“その言動がセクハラ行為であり、不快に思っていること”を率直に伝えるのが、最も早くセクハラを止められる可能性が高い方法といえます。

    セクハラをやめさせる言い方について、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

    さらに詳しく【被害者向け】セクハラをやめさせる言い方は?
  • 仲間を作って対処する

    職場の同僚に協力してもらい、セクハラ加害者と一緒になるときに同席してもらい、二人きりにならないようにします。同僚が同席している状態でもセクハラが生じた場合には、証明者になってもらいましょう。

  • 信頼のおける上司や社内の相談窓口に相談する

    上司や社内の相談窓口に相談すれば、セクハラ加害者に注意してくれたり、何らかの対処をしてくれる可能性があります。そのほかにも、外部の相談先に相談すると、必要に応じて助言や指導なども行ってくれます。

    セクハラの相談先について、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

    さらに詳しくセクハラはどこに相談できる?
  • 警察に被害届の提出や告訴を行う

    慰謝料請求は民事上の措置となりますが、セクハラ行為が犯罪にあたる場合には、警察に被害届の提出や告訴を行うことで刑事上の処分を求めることも可能です。

    セクハラを訴える場合の流れは、下記ページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

    さらに詳しくセクハラ被害を訴える流れとは?

セクハラ被害で慰謝料請求をお考えなら弁護士法人ALGにご相談下さい。

セクハラ被害に遭って精神的苦痛を受けた場合には、慰謝料請求が可能です。

しかし、慰謝料請求する方法には、内容証明郵便を送付して示談交渉する方法もあれば、少額訴訟や労働審判、裁判など裁判所の手続きもあり、個別の状況によって最適な方法を検討しなければいけません。

また内容証明郵便には、書式のルールがありますし、裁判所の手続きには、専門的な法律知識が必要となります。そのため、慰謝料請求する際は、弁護士に相談・依頼して進めるのをお勧めします。

弁護士法人ALGでは、多数のセクハラ被害による慰謝料請求を行い、解決してきた実績をもっています。被害状況やご自身の要望をしっかりと聴き取り、希望に適う解決ができるよう尽力いたします。

お一人で抱え込まず、お気軽に弁護士法人ALGにお問合わせください。

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監修 : 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治弁護士法人ALG&Associates

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