2024.9.10
2024年8月における法律アップデート
解雇補償金に対する所得税免除額の増額、Tax Planning : 中小企業(SME)に対する企業に対する合法な免税及び節税に関するテクニック
Topic 1 最新法律アップデート
Topic 1. 最新法律アップデート。
官報に掲載された最新のビジネス関連法律は、以下の通りです。
所轄官庁 | 題名 | 通達日 | 適用日 | |
---|---|---|---|---|
1 | 財務省 | 所得税に関する歳入局通達(第449号) 主題:歳入法典第65条の3(5)に定める特別経済開発区域における事業に関する資産への現状維持のための修繕を除く資本的支出又は増設、拡張若しくは改良のために支出した所得を対象とする所得税免除のための基準、手続き及び条件について。 |
2024年7月9日 | 2024年1月1日~2026年12月31日までの期間において行った投資額を対象。 |
2 | 財務省 | 所得税に関する歳入局通達(第450号) 主題:テレビカメラシステムの購入及び据付費用として支出した額に相当する所得を対象とする所得税免除のための基準、手続き及び条件について。 |
2024年7月9日 | 2024年1月1日 |
3 | 財務省 | 免税に関して規定する歳入法典に基づく省令第394号(仏歴2567(2024)年) 主題:労働者が解雇された場合に取得する解雇補償金に対する個人所得税免税額の変更 |
2024年7月10日 | 2023年1月1日 |
4 | 財務省 | 所得税及び付加価値税の免除に関する財務省通達(第824号) 主題:国王陛下の庇護に基づくフォンルワン財団を、公共慈善団体、診療所及び教育機関第1030号として定める旨の通達。 |
2024年7月10日 | 2025年度より適用 |
5 | 財務省 | 所得税付加価値税の免除に関する財務省通達(第825号) 主題:プルクパンヤー財団を、公共慈善団体、診療所及び教育機関第1031号として定める旨の通達。 |
2024年7月18日 | 2024年度以降の課税所得及び2024年8月の付加価値税の税標準以降 |
6 | 財務省 | 歳入局命令第トー・ポー360/2567号 主題:地方税務署長に対する公務の命令及び歳入局長の公務の代行権限の付与 |
2024年8月6日 | 2024年8月6日 |
7 | 投資委員会(BOI) | 投資委員会事務局解説 主題:投資委員会通達第1/2566号に定める新納税方針により受ける影響の軽減のための投資奨励措置 |
2024年7月31日 | 2024年7月31日 |
8 | 投資委員会(BOI) | 投資委員会通達第ポー3/2567号 主題:投資奨励法第25条及び第26条に定める外国人の職位の承認、承認された職位への外国人の雇用及び当該外国人の職位の就労期間の延長の承認に関する基準 |
2024年8月9日 | 2024年10月1日 |
9 | 労働省 | 労働者福祉及び保護局通達 主題:発注者から仕事を受けて自宅で作業をする場合の作業の保証又は被害の保障に対する担保の要求又は受取に関する基準、手続き及び条件について。 |
2024年6月20日 | 2024年6月13日 |
10 | 保健省 | 保健省通達(仏歴2567(2024)年) 主題:業務の遂行及び環境による疾病予防法に基く職員による雇用者の事業場、公害の発生源、車両又はその他の場所への立ち入りについて。 |
2024年7月30日 | 2024年7月31日 |
11 | 保健省 | 保健省通達(仏歴2567(2024)年) 主題:労働者又は非正規労働者の健康診断情報又は公害を受ける又は受け得る国民の健康状態の監視に関する通知及び報告について。 |
2024年7月30日 | 2004年7月31日 |
12 | 保健省 | 保健省通達(仏歴2567(2024)年) 主題:仏歴2562(2019)年業務上の疾病又は環境による疾病管理法に基く産業医療又は医療サービス提供地に対する登録業務を行う他の政府組織の資格 |
2024年7月30日 | 2029年7月31日 |
13 | 保健省 | 保健省通達(仏歴2567(2024)年) 主題:公害による被害を受ける又は受け得る故国民に対する環境による疾病の警戒、予防又は管理に関して必要な情報の通知について |
2024年7月30日 | 2024年7月31日 |
14 | 保健省 | 仏歴2522(1979)年食品法に関する保健省通達(第452号)(仏歴2567(2024)年) 主題:魚油について(第2号) |
2024年7月30日 | 2024年7月31日 |
15 | 保健省 | 仏歴2522(1979)年食品法に関する保健省通達(第451号)(仏歴2567(2024)年) 主題:油及び脂肪について(第2号) |
2024年7月30日 | 2024年7月31日 |
16 | 保健省 | 保健省通達(仏歴2567(2024)年) 主題:精神衛生治療期間の名簿について |
2024年7月30日 | 2024年8月1日 |
17 | 保健省 | 保健省通達(仏歴2567(2024)年) 主題:大臣がマーケティング促進の規制を定める乳児用食品について(仏歴2567(2024)年) |
2024年8月6日 | 官報掲載より65日 |
18 | 保健省 | 仏歴2558(2015)年化粧品法に基づく押収品の処理に関する保健省規則(仏歴2567(2024)年) | 2024年8月9日 | 官報掲載より60日 |
19 | 内務省 | 内務省通達 主題:進学又は進学及び就労を目的とする外国人に対する特別滞在許可 |
2024年7月15日 | 2024年7月15日 |
20 | 内務省 | 内務省通達 主題:観光又は遠隔業務を目的とする外国人の滞在許可 |
2024年7月15日 | 2024年7月15日 |
21 | 内務省 | 内務省通達 主題:入国において入管の出入国ゲートで査証の申請を要する一時入国する者の旅券又は旅券に代わる渡航文書の対象国一覧 |
2024年7月15日 | 2024年7月15日 |
22 | 内務省 | 内務省通達 主題:観光目的で一時入国する外国人に対して査証免除及び60日間の滞在が認められる旅券又は旅券に代わる渡航文書の対象国一覧 |
2024年7月15日 | 2024年7月15日 |
23 | 内務省 | 内務省通達 主題:仏歴2562(2019)年土地及び建物法に基く手続きの期限延長(納税者が納税期限経過後に賦課決定通知を受け、且つその要因が納税者によらない場合の限る) |
2024年7月30日 | 2024年8月1日 |
※調査対象は、歳入局、投資委員会(BOI)、関税局、財務省、タイ工業団地公団(IEAT)、入国管理局、労働省、労働福祉保護委員会、商務省、国防省、農業・協同組合省、運輸省、天然資源・環境省、エネルギー省、工業省、内務省(ビジネス関連のみ)、タイ中銀、デジタル経済社会省を範囲としております。
Topic 2 トピックス・ニュース
1.解雇補償金に対する所得税免除額の増額
歳入局は、失業した労働者の負担を軽減するために、2024年7月10日付で(仏歴2567(2024)年)財務省令第394号を発布して、解雇補償金を対象とする所得税の免除額を引き上げました。同省令の内容は、以下の通りです。
「労働者が労働者保護法又は国営企業労働関係法に関する法律に基づき取得する解雇補償金。但し、定年退職又は雇用契約の終了に伴う補償金は含まれない。同規定は、直近最後の400日分の賃金で、60万バーツを超えないものとする。」
尚、本省令は、2023年1月1日以降の課税所得に対して適用されます。
2.Tax Planning : 企業に対する合法な免税及び節税に関するテクニック
企業に対する所得税の節税に関するテクニックを紹介させていただきます。その内容は、以下の通りです。
1.中小企業(SME)の場合
歳入局の定める中小企業(SME)の定義は、以下の通りです。
- 会計期間の最終日における登録資本金が5百万バーツ以内
- 売上が3千万バーツ以内
- 所有する固定資産総額(土地を除く)が2億バーツ以内
- 雇用人数が200名以内
1.1 所得税の減免に関する勅令(第603号)に定める中小企業(SME)を対象とする所得税の減免
- 利益30万バーツを超える部分につき、10%の課税
- 利益30万バーツ超3百万バーツ以内の部分につき、15%の課税
- 利益3百万バーツを超える部分につき、20%の課税
1.2 中小企業(SME)に対する減価償却費の加速償却。つまり、初年度の減価償却率を多めとして、翌年度以降は徐々に償却率を減額していく方法。
対象の資産は、以下の通りである。
- コンピューター、付帯設備及びソフトウエア
– 取得日に取得原価の40%による減価償却
– 残存価額は、取得日から3会計期間以内に償却 - 工場建物
– 取得日に取得原価の25%による減価償却
– 残存価額は、取得日より1会計期間につき5%の償却 - 機械設備
– 取得日に取得原価の40%による減価償却
– 残存価額は、取得日より1会計期間につき5%の償却
条件:上記の中小企業の定義を満たしていること。
2.損金控除が1.5~2倍に増加される場合(中小企業(SME)又は一般企業であるかによらない)
2.1 高齢者の雇用
タイ国籍を有する60歳以上の高齢者の雇用:既に在籍中であり、会社の取締役又は株主となっておらず、月給が1万5千バーツ以内の従業員は、支給した給与の2倍の額により控除できる。
2.2 障害者に関する費用
会社又は法人格を有する組合が仏歴2555(2012)年勅令(第519号)第4条に基づき、障害者生活水準の促進及び向上に関する法律に基づく障害者身分証明書を雇用している場合:建物、車両への設備の取り付け、公共に対する運送又はその他のサービスなどの、障害者用設備に関する費用及び所得を有する課税年度又は会計期間において雇用している障害者が従業員のうち60%を超え、雇用期間が180日を超える場合、これら障害者に関する費用の2倍の額につき控除が認められる。
2.3 高技能人材の雇用
化学、技術、工学又は数学(STEM)分野で高技能な人材の雇用に係る給与として支払った費用の50%による控除。但し、月額10万バーツを限度として、50%の控除及び2023年1月1日~2025年12月31日までの期間中に発生した給与を対象とする。その条件は、以下の通りである。
- 化学、技術、工学又は数学分野(STEM)で高技能であることが証明されていること。
- 2023年1月1日から2025年12月31日までに雇用が開始していること。
- 雇用開始日前より1年以内に会社の従業員ではないこと。
2.4 技術及びイノベーション研究開発費用
タイ国家科学技術開発庁(NSTDA)により技術及びイノベーション研究開発管理システムの評価によって検査及び証明され、同庁に登録されたプロジェクトにおけるイノベーションの研究開発の対価に対する費用控除。
- 通達で定める政府機関又は民間の組織に対して支払ったイノベーション研究開発として支払った報酬。
- 仏歴2559(2016年)勅令第4条に準拠する場合は支払った対価の2倍による控除
- 同勅令の第5条に定める条件を満たす場合は2027年まで、支払った対価の3倍による免除
2.5 従業員の研修訓練に関する費用
仏歴2543(2000)年勅令(第437号)(主題:会社又は法人格を有する組合が、自社の従業員の職能向上を目的として、自社の従業員の進学又は研修訓練を受け入れる教育又は訓練機関)及び所得税に関する歳入局長通達(第148号)に基づく従業員の研修訓練を対象とする費用控除。その条件は、以下の通りである。
- 従業員の研修訓練の内容は、労働省職能向上事務局より承認されたカリキュラムであること。
- 中小企業(SME)又は一般企業であるかを問わず、各会計期間において支出した研修訓練費用のうち、5万バーツを超えない部分につき、2倍の額による控除が認められる。
2.6 自動化システムの導入に関する費用
2021年1月1日~2025年12月31日までの期間中に、自動化システムと接続する機械及びコンピューターソフトウェアへの投資として支出した費用に相当する所得を対象として所得税が免除される。その条件は、以下の通りである。
- 新規の導入であり、現状維持のための費用ではないこと。
- 当該機械は、未使用であること。
同恩典は、ロボティクス・エクセレンス・センター(Center of Robotic Excellence : CoRE)の恩典であり、この免税恩典を行使するには、同センターの会員となっている委員会より認可されることが求められています。尚、同恩典は、投資委員会(BOI)の自動化システム及び機械の導入に関する投資奨励恩典とは異なります。
2.7 読書を促進するための書籍又は電子媒体の購入に対する費用控除
仏歴2554(2011)年勅令(第515号)第4条及び所得税に関する歳入局長通達(第201号)に定める会社又は法人格を有する組合の図書室における書籍の導入を対象として、各会計期間において支出した金額のうち5万バーツ限度として2倍の控除が認められる。
2.8 寄付金に対する費用控除
中小企業及び一般の会社又は法人格を有する組合は、寄付金の2倍による税控除が認められている。但し、公益又は公共慈善金及び教育又はスポーツのための費用控除前の利益の10%以内とする。